-第三章十六節 黴臭い洞窟と囚われの者達と救助活動-
「……はあぁ~…ここでだべってても仕方がない…
とにかく中に入って調べてみよう…
さすがにあの手のスライムは二体も居ないだろうし…
……それにもしかしたらまだ中に人が捕まっている
かもしれないし…」
「ッ!…そうだな…」
散々罠が有るかも知れないと言って居た後…やっと重い腰を上げる様に全員が決意を固めると、その怪しい洞窟の中へと入って行く…中は薄暗く湿っており、明かりが無ければ真面に進めない程…当然道も整備していないせいかボコボコとしていて、如何にも進み難い…オマケにあのスライムが良く出入りをして居たのか、一部滑りを感じては足を滑らせそうになり…コケやカビが生えてはこれまた呼吸がし辛いと言った様子でシロとオーディックが顔を顰めていた…
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「……うぅ~…何ですかここ?…凄く臭いのです!…」
「うぅ~…確かにこれはちっとばかし!…
かび臭いでよぉ?…
少しは掃除をするべきだでよ!!…」
「……洞窟を掃除するとはこれ如何に?…」
シロもオーディックも鼻が利く分辛いのか、節々に洞窟の文句を言い!…その際オーディックは綺麗好き何か洞窟を掃除するよう文句を口にし、その文句に対してレイヴンがツッコミを入れるよう疑問を口にすると、マサツグは一人苦笑いをする。この時マサツグとレイヴンも多少なりともその黴臭さを感じる筈なのだが、このゲームの特性上…匂いに関しては鈍く感じるよう設定されて有るお陰で助かっており、二人は気にする事無くどんどん歩いて行くと、その様子に疑問を持ったのかオーディックに尋ねられる…
「……二人はあんまり匂いとかは気にならないでか?…
オラもう鼻が曲がりそうだでよぉ~…」
「え?…あ、あぁ…そうだな…
あんまり匂いを感じないって言うか…
…そうだな?…もうボケてしまったのかもしれん…」
「ッ!…お鼻が…ボケる?…」
「そう!…匂いが感じ難く……ッ!…」
余りにも平然としているマサツグとレイヴンの様子に…そこまで臭うのかオーディックが限界と言った様子で質問をすると、その突然の問い掛けにレイヴンが戸惑いつつ返事をし…その際鼻がボケてしまって居ると言った言葉で感じないと口にすると、その言葉を聞いたシロは疑問を持つ…鼻がボケる?…如何言った状態?…と言う具合に不思議そうな表情で自身の鼻を押さえつつ首を傾げると、レイヴンの言葉を端的に復唱し…そしてその言葉にマサツグが答えるよう、何と無しの意味合いでそう感じると言った風にシロへ返事をしようとすると、奥の方から漏れる明かりを見つける…
__……ポゥ…
「…如何やら最深部っぽいぞ?…全員警戒!…」
「ッ!?…おう(はいです)!…」×3
明かりを目にするとマサツグが途端に警戒した様子で三人に声を掛け…それを聞いた三人も途端に反応すると、一気に臨戦態勢に入り出す!…最悪この狭い洞窟の中、戦闘が予想されると各々が武器を手に緊張感を持ち!…恐る恐るその灯りが漏れている方へとマサツグ達が歩いて行くと、そこでちょっとした広い空間…広い空間と言ってもまるでアパートの一室の様な、二畳分位のポッカリとした空間に出て来る。この時その空間の灯りの他にマサツグ達の目に飛び込んで来た物は、何かの実験をして居た様な痕跡が有る光景で…石で出来た台の上に何やら薬品が…これまたそれぞれ石で出来たフラスコにビーカーと…怪しい煙を立ち昇らせ何かやって居た様な光景を目にすると、マサツグ達は戸惑いの言葉を漏らす…
「ッ!?…な、何だここ?…」
「…明らかに何かやってたってのは
間違いなさそうだな!…
…その薬品っぽいのには迂闊に触れるな?…
物によっては爆発するのも有るかも知れんからな?…」
「ッ!?…ば、爆発するだか!?…
んだばばってん!!…
なしてこんなあぶねェモンを!?…」
「それはその薬品を作ったモンに聞いてくれ?…
俺も相手の考えまでは分からん!…」
恐る恐るその開けた空間にマサツグ達が入って行き…辺りを調査する様にマサツグとレイヴンが見回そうとすると、オーディックはその薬品に興味を示したのか…静かにビーカーに手を伸ばそうとする!…するとそれを見たレイヴンがオーディックに注意をするよう声を掛けると、最悪爆発すると忠告し!…当然それを聞いたオーディックは慌てた様子でその薬品から跳び退き!…レイヴンに何故こんな物が!?…と言った様子で息を軽く切らしつつ質問をすると、レイヴンはその質問に対して簡潔に分からないと返事をする。さてそんなやり取りを見せている一方で、マサツグがここである物を見つけ…洞窟の壁に擬態するよう…何か風を感じる様な切れ間を見つけると、レイヴン達に声を掛ける…
「……ッ!…んん~?…
…なぁレイヴン?…ここ怪しくないか?…」
「え?……ッ!…確かに!…何か風を感じる…
この先にまだ道が有るのか?…」
__……ッ!…スンスン…
「…ごしゅじんさまぁ?…
このさきからくちゃいのいっしょに
なにかひとのにおいが?…」
マサツグの呼び掛けに対してレイヴンも移動すると、マサツグの指差す壁に視線を向け…そこで同じ様に亀裂を発見し、風が吹いて来て居る事も確認すると、奥にまだ道があるのか?と疑うのだが…それと同時にシロもある事に気が付いた様子で、突如辺りの臭いを嗅ぎ出し!…カビの臭いと一緒に人の匂いがする事を不思議そうにマサツグ達へ話すと、マサツグ達はその話を聞くなり更にその亀裂を疑う!…
「ッ!……って事はぁ?…」
「間違いなくだな?……いっそブチ破るか?…
罠もし掛けられて無さそうだし?…」
「ッ!…だったらオラがやるだど!…
三人は少し離れてて欲しいだ!…」
__スウゥ…デリャアアアァァァ!!!!…
ドゴオオォォォン!!!!…
シロの話を聞いてマサツグとレイヴンの中では疑念は確証に変わり!…奥に何か有る前提で話を進めると、色々と順路を探すのが面倒になったのか壁をぶち破ろうとする!…その際ちゃんと罠の類が無い事を確認しつつ、マサツグとレイヴンがその亀裂を見詰めて居ると、先程の話を聞いていたのかオーディックがブチ破る役目を買って出始め!…マサツグ達に下がるよう声を掛けると、その亀裂の前に立っては斧を構える!…その際大きく足を開いて斧を掲げると、まるで薪を作る様に斧を振り下ろし!…この時洞窟内に反響する勢いでオーディックは掛け声を上げ!…その勢いで洞窟の壁を破壊し!…マサツグ達の睨んでいた通りに道を探し出して見せると、ふぅ…と一息吐く!…
「……ふぅ!…これでどうだで?……ッ!…
おぉ!…本当に道が有るでなぁ!?…
これまたまげたでぇ!!……ぶひゃ?…
んだば如何したでぇ?…」
「……い、いや?…
相変わらずトンデモナイ威力してんな?って…」
「……ッ?…そうだか?…
これでもまだ抑えた方だで?…」
「ッ!?…お、抑えてこれか!……末恐ろしいな!!…」
__……ッ?…
マサツグ達の言葉を信じた様子で斧を振り下ろし!…見事その亀裂を粉砕!…隠れた道を掘り出して見せると、オーディックは道が出来た事に驚き!…マサツグ達に先を急ぐよう声を掛けようとすると、そこでオーディックを見詰めては固まるマサツグ達の姿を見つける…そんな固まるマサツグ達にオーディックは不思議そうな表情を浮かべると、如何した?と声を掛けるのだが…マサツグ達は当然そのオーディックの馬鹿力に驚き!…戸惑いつつもオーディックにそう答えると、オーディックは首を傾げながら返事をする。その際自分では抑えた様にオーディックは説明をするのだが、それを聞いて更にマサツグ達は驚き!…レイヴンが恐ろしいと言った様子で零し、やはりオーディックとは敵対したくないと言った様子で見詰めて居ると、オーディックはそのマサツグ達の視線に戸惑うのであった…さて話は戻ってその亀裂の先の道…前の場所で松明を見つけ、火を灯し一列になって歩くがやはり薄暗く…それでも警戒しつつ奥へと歩いて居ると、またもや奥から明かりが漏れる!…
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「……ッ!…また奥から明かりが!…今度こそ最深!…」
__……~~~~!…ピクッ!…
「ごしゅじんさまぁ!!…おくからだれかのこえが!…」
__ッ!!……チャキッ!…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
二度目となる洞窟奥からの明かりにマサツグが反応し、今度こそと言った様子で警戒しつつ歩いて居ると、シロが反応する!…何か人の声が聞こえたのか音に反応して耳をピクっと動かすと、人の声が聞こえたとマサツグに報告し!…それを聞いてマサツグだけでなくレイヴンとオーディックも反応を示し!…それぞれ武器を手にその灯りの見える奥へと目指すと、また開けた場所に出る!…しかも今度は先程よりもしっかりとした実験設備が置いてあると同時に、壁には鉄格子と!…明らかに自然に出来た物ではなく!…バリバリ人工物が置かれてある事にマサツグ達が違和感を覚えて居ると、途端に人の声が響き出す!…
「ッ!?…な、何だここ!?…
…って、さっきも言ったか…」
「ッ!!…おいそこに誰か居るのか!?」
__ッ!?…バババッ!!!……ッ!…
マサツグがさっきも言った様な言葉を漏らして居ると、そのマサツグの声に反応するよう鉄格子の中から女性の声が!…その声は誰かが居る事を確かめる様に言葉を口にしており!…マサツグ達はその声を聴くなり警戒するよう瞬時に武器を構えると、その正体を確認する!…だがそこに居たのはボロボロの姿で捕まっている女性のエルフの姿で、明らかにその様子からは敵意は無く…寧ろ何かに対して怯えており!…必死に訴えるよう鉄格子に縋り付くと、マサツグ達に助けるを求めるよう訴える!…
「た!…助けてくれ!!…
我々は化け物に掴まった者だ!!…
ここには他に掴まって居る者も居る!!…
早くここから出してくれ!!…」
「ッ!…あ、あのエルフの嬢ちゃんは!!…」
「ッ!…オーディックの知り合い?…」
「…あの嬢ちゃんはオラ達の集落さ調査しに来た
衛兵さん達の一人だ!…間違ぇねぇ!!…
来た次の日が雨で…夜が明けたら居なくなってた!…
あの嬢ちゃん達もここに連れ去られて…」
エルフの女性はマサツグ達に助けを求める際、自分だけでは無いと!…複数捕まって居る事を話し出し!…何とか助けて貰おうと必死の形相を見せて居ると、オーディックはその女性エルフと面識が有るのか…戸惑いの言葉を漏らしては驚きの表情を浮かべ、マサツグがその事について質問をすると、オーディックはその女性エルフとの経緯を話し出す。その際捕まっている女性エルフはその神隠しの被害に遭ったエルフの衛兵の様で、オーディックは戸惑いつつも説明し…だが捕まって居る本人達はそれ所ではない様子で!…半狂乱にまで至り始めると、ただ必死に助けを求める様に訴える!…
「そんな事は如何でも良い!!!…
早くここ出してくれ!!!…
もう!!…もうあんな目に遭うのは御免だ!!…
…だから頼む!…
ここから出してくれたら何だってする!!!…
…靴を舐めればいいか!?…
それともこんな体で良ければ夜伽を!!!…」
「ッ!?…マジかよ!?………
…って、駄目だ駄目だ!!!…
何を考えてんだ俺!!!…」
もはや自分が助かりたい一心で一杯なのか、その檻の中に居るエルフはトンデモナイ事を口にする!…余程酷い目に遭って来たのか、その目は完全に怯え切っており!…目に涙を溜めては自分の身を売る様な事までしてでも助かろうとする!…そしてその言葉を聞いたマサツグも目を見開き酷く戸惑うと、思わず引いた様に後ろ下がっては言葉の意味を想像し…頭の中で思わずR-18みたいな展開を考えてしまうのだが、そこはハッと我に返って雑念を振り払うよう頭を左右に振り!…レイヴンもそんなマサツグの様子に叱咤するよう大人の対応力を見せると、まずは檻に近付いて鍵の具合を確かめる!…
「……何を考えて居るか知らねぇが
そんな場合じゃないだろ?…
…とにかく!…人命救助最優先!!…
…檻に鍵は……駄目だな?…
何か奇妙な細工をしてあるとかでは無いけど…
…俺の器用レベルじゃ…」
__ブオンッ!!…ガッ!!…
「ぶち壊すだか?…」
「…ッ!!…
いやいや、直ぐ脳筋に出るのはよしなさい!…」
レイヴンはその檻に近付くなり鍵の構造を調べ出し、至って普通の鍵である事を確認するのだが…自身では技能が足りないと言っては解除出来ないと判断し、マサツグに鍵を開ける事は出来ないかと尋ねようと振り返ると、そこで仁王立ちするオーディックの姿を見つける!…その際オーディックは斧を手に構えると、先程同様ブチ破るか?とレイヴンに尋ね…その問い掛けに対してレイヴンは冷静にツッコむよう!…オーディックに注意を促すと、そのレイヴンの注意を受けたオーディックはシュンとする…
__ヘタッ…ショボ~ン……
「……で、マサツグは如何なんだ?…これ開けれ…」
__スッ…ガチャガチャ……カチッ!…キィ!…
「……開いたぞ?…」
レイヴンに注意を受けて耳をペタッとさせてはションボリするオーディックを余所に…レイヴンは再度マサツグに鍵を開けれるか如何かについて質問をすると、マサツグは徐にアイテムポーチから細い金属の棒二本を取り出す…そして何食わぬ顔でその金属の棒二本を鍵穴に突っ込むと、慣れた様子でガチャガチャと弄って見せ…そこからものの数分と掛からない内に鍵から開いた様な音が聞こえ…マサツグがスッと鉄格子に手を掛けると、開けて見せる!…そして何でも無いと言った様子でマサツグが言葉を口にすると、当然そんなマサツグの手際の良さにレイヴンは無言で戸惑い!…檻を開けたら開けたでその助けを訴えていたエルフは我一番にと飛び出し!…そのまま逃げるよう出口に向かい駆け出すが、衰弱しているせいか足がもつれて転んでしまう…
__バッ!!…タッタッタッタッ!!…
ガッ!……ドサァ!!…
「あぁ!…おい!?…」
「ッ~~~!!!…クッ!…あ、脚が!!……ッ!?…」
「おいおい…大丈夫かぁ~?」
いきなり駆け出して行ったエルフが転んだ様子を目にすると、マサツグは心配の声を漏らし…その駆け出して行ったエルフも転んで地面へ横になったまま自身の足を押さえ…苦痛に耐えるよう必死に歯を食い縛って居ると、マサツグが心配した様子で駆け寄って来る。この時マサツグはただの親切心で声を掛けて近寄って行くのだが、エルフからはそうは見えなかったのか!…マサツグが駆け寄って来るのを目にするなり近付くに連れそのエルフの表情は恐怖に染まり!…地面を這ってでも逃げようとすると、必死に誰かに対して助けを求める様な!…許しを請うよう叫び出す!…
「ヒッ!!…い、いやぁ!…もうこないでぇ!…
…もういやぁ!!…だれか!!…
だれか助けてぇ!!!……」
「ッ!?…えぇ?…俺が悪役ぅ?…」
「…あぁ~…ここはオラに任してくんろ?…
こりゃ大分酷い目に遭ってるべ…
正常な判断が出来て居らね…
ここは一度落ち着かせてから改めて…な?…」
「……うぅ~ん…何か腑に落ちないが…仕方がない…」
余程ここから逃げ出したいのか必死に出口へ向かって手を伸ばしては地面を這い!…そして洞窟内に響きはしなくとも!…自分なりに精一杯出せる声で助けを求めると、その様子にマサツグは戸惑う!…何故なら傍から見れば完全に自分が悪役の様にされており、何なら檻の鍵を開けた張本人なのに…そんな様子にオーディックは仕方が無いと言ってはそのエルフを引き受け…一度落ち着かせる様に徹すると言うと、改めて後で心配するよう声を掛ける…当然これには助けた本人であるマサツグも若干納得が行かないのだが、錯乱して居る事には間違い無いので…渋々納得するとマサツグは改めて檻の方に視線を向け…人命救助に当たろうとすると、レイヴンがオーディックにある確認をする。
「……オーディック!!…
今まで攫われた人の数って覚えてるかぁ!!」
「ッ!?…ぶひ?…あぁ~っとだな?…
…大人子ども合わせて約十三人…ってとこだかな?…
…ほらアンタも大丈夫だか?…」
「ッ!…ッ~~!!!……ッ!…ア、貴方は!?…」
「落ち着くだぁ!!…
オラ達はアンタ達を助けに来た!!…
もうアンタ達を怖がらせる物はねぇべ?…」
オーディックに質問をする際、レイヴンは既にマサツグの開けた檻の中に入っており…今まで攫われた人数の明確な数字について尋ねると、オーディックは突然の問い掛けに戸惑いつつも返事をする。そしてまだ地面を這って居るエルフに対しても声を掛けると、まるで丸太を抱える様にしてエルフを肩に担ぎ…エルフも担がれた事で抵抗をするのだが、そこはオーディックと気付いた様子で途端に少しは冷静さを取り戻した様子で言葉を口にすると、オーディックは改めてそのエルフに助けに来たと説明をする。そして安心させる様に声を掛けている一方で、マサツグもレイヴンと合流すると、檻の中に入って状態を確認し…その惨状に思わず嫌そうな表情を浮かべ、如何やって助けるかで悩み出すと、レイヴンに声を掛ける。
「……ヒデェ惨状だな?…息は?…」
檻の中には白骨死体が多数…その他にも飢餓状態のオーク族にエルフの衛兵達と…やはり衰弱した状態で壁にもたれ掛かってはただ呼吸をするのでやっとと言った様子を見せていた…一番酷い者でもはや皮と骨だけになったようガリガリに痩せた者も居れば、まだ日が浅かろうと何故か無気力と…この時この光景はシロに見せられないと、マサツグはシロに「待て」合図を出すと檻の外で待機させ!…レイヴンにその者達の命について確認を取ると、レイヴンは難しい!…と返事をする!…
「……辛うじてある!…
まだ助けられそうなのが多数と手遅れが二人…
エルフの衛兵達もかなり衰弱してる…
目が虚ろでもう何日も食べ物…
…いや、水すら口にして居ない状態だ!…
一刻を争う!…だが!!…」
「……圧倒的に人手が足りないのが現状って所か!…」
レイヴンはまだ意識は有ると言った様子で返事をするもその大半が瀕死だと答え!…状態についても一番にキツいのは飢餓だと更に説明し!…一刻を争う状態だと切羽詰まった様子を見せるが、レイヴンは動けずにおり!…その動けずに居る理由もマサツグは分かっている様子で、その答えを尋ねる様に人手が足りない?とレイヴンに声を掛けると、レイヴンは黙って頷く!…
__……コクリッ…
「…ここかあの集落まで走って
援軍を呼んだとして時間は?…」
「……恐らくギリギリ!…
せめて回復薬があればまだ!!…」
「ッ!…それだったら!!…」
その場にしゃがみ込み無言で倒れている者達に目を向けると、悩んだ様子でレイヴンはマサツグに返事をし…マサツグも少し悩んでハッと思い付いた表情を見せると、レイヴンに再度質問をするのだが…それでもレイヴンはギリギリだと答え!…その呼ぶまでの繋ぎに回復薬が有れば!…と希望を口にすると、マサツグはそれを聞くなり大丈夫と言った様子で自身のアイテムポーチを開き出す!…しかしレイヴンはマサツグに期待はして居ない様子で、無駄だと声を掛けようとするのだが…
「……生半可な量じゃ足んねぇんだぞ?…
ザっと見た限りでも数十は!…」
__ドサ!!…ドサ!!…ドサ!!…
「ッ!?…え?…ッ!?…」
レイヴンはアイテムストック数の事も考えてマサツグに無駄だと口にするのだが、その背後では何かブロック単位で物が置かれている様な音が聞こえ!…その音に驚くよう反応して振り返り…マサツグが置いた物について確認をすると、そこには普通では有り得ない量の回復薬に回復効果の望める食料と!…マサツグが今まで貯め込んでいた物が置かれて有ってはズラッと並べられて有った!…まるで歩く道具屋!…その言葉に尽きる量の回復アイテムがそこに積まれて有り!…レイヴンがそのアイテムを見て絶句して居ると、マサツグはドヤ顔をしてはレイヴンに声を掛ける!…
「…ふぅ!…とりまこんだけあれば足りるか!?…」
「………。」
「……ッ?…レイヴン?…」
「……ヤブ?…アイテム出して貰ってなんだけど…
一体何者なんだ?…
職業は剣士の筈なのにSSランクのペットは連れてるし…
ピッキングも早いわ…アイテムもほぼ移動販売所だわ…
盗賊で商人?…更にはブリーダーって!…
一体何をすればそんな?…」
「ッ!!…そ、そんな風に言われても!!…
後その疑惑の眼差しを向けるな!…
俺は正規でやってる!!…」
マサツグの問い掛けに対してレイヴンは絶句しながら取り出して来たアイテムを手に取り確認し…そして全部がちゃんと使える物である事を確認すると、顔を上げてはマサツグに視線を向ける…当然その視線を向けられた事でマサツグは戸惑った様子でレイヴンに声を掛けるのだが、レイヴンは続けて今自身が感じた疑問を口にし…剣士でブリーダーで盗賊で商人と、あまりのマルチタスクぶりに思わず疑問を持ち更にチーターの疑いを掛けるよう視線を向けると、その疑いに対してマサツグは戸惑いながらも真っ向から否定する!…そうして話している間にマサツグとレイヴンとの間で段取りが決まったのか、集落に援軍を呼びに行く事が決まり!…シロに見せれる様な状態で無い事からシロに伝令を任せ!…檻の中から一人一人捕まっていた人達を解放する手筈で進めると、早速救助作業が始まる!…
「…じゃあシロ!!…超特急で頼む!!…
出来るだけ人を集めて来てくれ!!」
「集落のモンにはオラの名前を出せば
大体話を聞いてくれるで!!…嬢ちゃん頼んだでな!!」
「はいです!!!…では行ってきます!!!」
__スッ…バビュウゥゥン!!!!……
「ッ~~~~!!!!………相変わらずの弾丸娘!…
一体あの華奢な体の何処にそんな力が有るのか?…」
早速伝令をシロに任せるとマサツグは急ぐ様にお願いをし、オーディックも自身の名前を出すようシロに言い聞かせると、同じ様にシロへお願いをする!…それを聞いてシロは元気に手を上げて返事をすると、二人に背を向けるなりしゃがみ!…そしてクラウチングスタートの体勢を取り出し!…何の合図でか一気に飛び出して行くと、一陣の風になったよう洞窟の外へと駆けて行く!…その際シロが駆け出して行った風圧をマサツグとオーディックが真面に受けると、まるで某・一狩り行こうぜのゲームに出て来るハンターの様によろめき!…マサツグは改めてシロの脚力に驚かされ!…シロについて軽い疑問を持ち出して居ると、レイヴンに手伝うよう声を掛けられる!…
「…ッ!!…はぁ…
おい、呆けてないで手伝ってくれ!!…
こっちはその筋肉すらない骸骨なんだぞ!?」
「ッ!…それでも動けるのは何故なんだろう?…」
「良いから!!…さっさと!!…手伝え!!!…
…ぜぇ!…ぜぇ!…」
シロを見送って居る二人を尻目に…レイヴンは一人でその捕まっていた人達の解放に勤めていたのか、息を切らしながら運んでおり…その際持ち上げるのは無理なので、マサツグとシロが遊ぶのに使っていた麻袋を借りてはその上に被害者を乗せ…麻袋を引っ張る様にして外に人を出して居たのだが、それでも十分重労働で有り!…早く手伝うよう声を掛けると、先程のマサツグの話を聞いていたのか、自分がワイトである事を上げては文句を言う!…だがその話を聞いてマサツグは更に乗っかるようボケ出すと、まるでツッコミを待つようモジモジとし!…それを見てレイヴンは更に文句を言い!…疲れた様子で膝に手を突き息を切らすと、マサツグもさすがにこれ以上は酷かと動き出す。
「はいはい…そっちから話し降って来たくせにぃ~…
じゃあ…やるか、オーディック!!…」
「んだ!!…運ぶのはオラに任せてくれ!!!
二人はみんなの治療を!!!…」
「了解!!…とりま……ッ!…
俺は回復効果のある食料の調理に当たるわ。
一応塩コショウは持ってるし!…」
レイヴンの反応を見てマサツグが動き出すと、オーディックに声を掛け!…オーディックはマサツグに返事をするなり治療行為に自信が無いのか、自分は檻の中に居る者達を連れて来ると買って出ると、後の事をマサツグ達に任せては檻の中へと入って行く!…それを聞いてマサツグも了承すると、その開けた場所に有る物々しい実験機器に目を向け…それを使って料理が出来ると考えたのか、回復効果のある食材を調理すると言うと、本当に食料を持っては実験器具の元へ向かい出す!…
__ガサガサ……コッ…コッ…コッ…コッ…
「ッ!?…ぜぇ!…し、塩…コショウ?…ぜぇ!…
りょ、料理も出来るのかよ?…
…てか、コ!…このゲームの!…コショウって!!…
高いんじゃ?…」
「んん~?…スキルは持って無くても出来るだろ?…
一応現実では料理スタッフだし?…
それにコショウに関してはちぃっとばっかし宛てが有るから」
当然そんな事を言い出したマサツグにレイヴンは戸惑った様子で声を掛けると、同時にコショウについて疑問を持ち…だがマサツグは出来ると言った様子で返事をすると、現実での自身の職業を口にし!…更にコショウに関しても当てが有ると!…まるで闇ルートで手に入れた様な邪悪な笑みを浮かべてレイヴンに返事をすると、慣れた手付きでその食材を調理し始める!…勿論そんな様子を見せるマサツグにレイヴンは更に戸惑うのだが!…レイヴンが戸惑っている間にも洞窟内には香ばしい匂いが充満し!…黴臭い匂いも分からない程良い匂いが鼻孔を擽ると、その倒れて居る者達の腹の虫を呼び起こすのであった…




