表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
19/604

-第一章十八節 クランベルズとギルドの仕様と先輩後輩-



マサツグが診療所でアヤ達と別れ、メインストリートに向かい歩き出してから数分…クランベルズは貿易都市と言うだけあって色々な店が立ち並ぶ他、港が設置されて在って次々に大きな船が行ったり来たり…露店オークションが開かれたりと、大忙しであった。外へのゲートからハリットの診療所までは露店は無かったのに、メインストリートに入った瞬間…通路に人が通れるだけの感覚を残してはビッシリと露店が並び、更に町の奥に行くと各商会のトップの屋敷が立ち並ぶ背の高い建物が目に付く。そんな光景にマサツグが唖然とした様子で立ち尽くしては都会にやって来た田舎者の様に辺りを見渡して居た。


  ------------------------------------------------------------------------


       「貿易都市・クランベルズ」


スプリングフィールド大陸の倉庫兼金庫と言ったこの

大陸に有る数少ない大都市。この町で成功を収めた者

には将来が約束されているなど商人にとっては夢の

大都市と同時に、色々な国からのアイテムが流れて

来てはそれを巡ってオークションが開かれるなど大人の

一面が見られる都市でもある。この大陸でアイテムに

困った事が有れば、クランベルズに向かえば大体揃う

など名言もあり、今だ冒険者に取ってこの貿易都市は

無くてはならない存在である。因みに現在この町を

仕切っている大商会連盟はマルコ・へグリッド・

ロバート・アンジェラ…そして大長老オグリスと

なっている。

  ------------------------------------------------------------------------


「な!…何なんだよ!?…これ!?……

お…王都と全然違!…」


さすがに現実(リアル)の大都会とは違い、コンクリートと鉄骨製の摩天楼が連なっている訳では無く、木とレンガに漆喰と西洋の雰囲気を壊さないよう…お屋敷クラスの若干背の高い建物が立って居るのだが、その建っているお屋敷の数が如何にもおかしい…大体王都みたく貴族街が有る訳でも無いのに、町の四割がその大商会連盟の持ち物なのか遠くに向かって見えており、一種の外壁の様に見えて何処と無く威圧感を放っていた。そしてその壁の足元には民家と言うかアパートと言うか…とにかく町の人達の居住区が有り、そしてメインストリートで露店と賑わった声が其処彼処から聞こえて来る!露店の他にも道具屋や武器屋防具屋…とにかく色々な店が立ち並んではその店の間にロープを渡し、まるでお祭りでも有るのかと言った様子で旗が棚引いていた。王都とは違うそんな光景にマサツグが立ち尽くしていると行違う者達との接触も避けれない。


__ドンッ!!…


「あたッ!?…」


「あぁ!!…ごめんなさい!!…

……って、貴方…冒険者?…」


「え?…えぇ…はい…」


マサツグが王都とは違う町の様子に立ち尽くしていると一人の女性とぶつかってしまう。ぶつかった事でマサツグが思わず声を漏らし、ぶつかった人もマサツグの方を振り向いては謝り始めるのだが、マサツグをジッと見詰めては冒険者である事を尋ね始め、その質問にマサツグが戸惑いながらも返事をすると、そのぶつかった女性はマサツグがここに始めて来たと言う事も理解した様子である事を話し始める。


「だとしたらこの町初めてだね?…駄目だよ?…

こんな所で立ってちゃ…

()()()()()…って言ってる様なものだから…」


「へ?…誘拐?…誘拐って如何言う…」


「ほらあれ…」


「え?…」


ぶつかった女性がマサツグに諭すよう謎の助言を口にすると、誘拐されると辺りを警戒した様子で話し始め、その様子にマサツグが戸惑いの表情を見せてその女性の言葉の意味を尋ねようとした次の瞬間、その女性はマサツグに教えるようある方向に指を差してマサツグに有るモノを見せようとすると、その様子にマサツグが戸惑いつつも女性が指差した方を見る。するとそこには全く見ず知らずのお兄さんがマサツグ同様の冒険者の手をしっかり握っては満面の笑みを浮かべ、その冒険者を何処かへと連れて行こうとしている様子が目に映る。


「さあ!…らっしゃい!!らっしゃい!!!!

兄ちゃん!!!…

ここでしか食べれないケバブが置いて有るよぉ~!!!

さぁさぁ!!こっちこっち!!!」


「え?…あぁ!…ちょっと!!…

…仕方ない!…」


__スゥ…ガッ!!…


有無を言わさないとばかりに冒険者の手を掴み無理やり自分の店に引き込もうとするお兄さんに、冒険者は戸惑いながらも止まるよう声を掛けるがお兄さんは笑みを浮かべて接客をするだけで止まる筈が無く、そんな様子に戸惑いつつもその連れて行かれようとしている冒険者がお兄さんの拘束から腕を振り解こうともう片方の腕を動かした瞬間、また誰かに腕を掴まれ冒険者が更に戸惑った表情を見せてはその腕を掴んで来た相手を確認する!


「えぇ!?…」


「えへへへ!…

ケバブなんか置いといてこっちこっち!!…

もっとおいしいものが有るから!!!」


「ッ!?…

えええぇぇぇ!!!!…」


その冒険者の腕を掴んで来たのはもう一人の客引きお姉さん、連れて行かれようとしている冒険者の腕に体ごとしがみ付いては笑みを浮かべ、先に捕まえた筈のケバブ屋のお兄さんを貶してはその冒険者を自分の店に引き込もうとしていた。その大胆な客引きに冒険者もタジタジになり、何なんだこれ!?…と言わんばかりにその場で悲鳴の様な叫び声を上げていると、ケバブ屋のお兄さんがその大胆な客引きお姉さんに気付き文句を言い始める!


「ッ!!…おいアンタ!!!…

こっちが先に捕まえたんだぞ!?

邪魔をするな!!!」


「こっちが先に目を付けていたのよ!!!!

アンタこそ引っ込んでな!!!

何の肉を使っているのかも分からない様なケバブ!!…

買う奴はいないよ!!!」


「ッ!?…何だとその女!?…

お前こそ女使って客引きなんかしてんじゃねぇぞ!?

ここは商人の町だ!!!…

お前みたいに勘違いして居る奴が偉そうな口を

叩くんじゃねぇ!!!…この!!…

乳牛モドキが!!!…」


ケバブ屋のお兄さんの文句に先ほどまで笑顔だった客引きお姉さんの表情は一気に凶悪に!…そしてそのケバブ屋のお兄さんに対して威圧バリバリの口調で逆に文句を言い始めると、ケバブ屋のケバブを何か危ない物で作っているとばかりに罵り始め、その客引きお姉さんの言葉にケバブ屋のお兄さんもブチ切れたのか客引きお姉さんのやり方にケチをつけては体を指差し、乳牛と罵る!その台詞に客引きお姉さんがブチッ!…と切れた様子を見せてはケバブ屋のお兄さんと喧嘩を始めるのだが、その際どちらも冒険者の腕を掴んだまま放そうとはせず冒険者を巻き込んでの喧嘩をおっぱじめ、その様子をマサツグに見せて忠告した女性はマサツグに声を掛ける。


「…ね?…

あんな風に面倒臭いのに絡まれたくなければね?…」


__ブンブンブンブン!!…


「コラアァァァ~~~!!!!

何をやって居るんだ!!!!」


「ッ!!…おいアンタ!!大丈夫か!?…」


マサツグに忠告するよう客引き同士の喧嘩を見せては捕まらない様にと声を掛け、その忠告にマサツグは納得しその光景に轢いた様子で何度も頷いて見せる。その後客引き同士の喧嘩に巻き込まれた冒険者は騒ぎを聞きつけた衛兵達の手により救出されるが、その様子は精神的に疲れたのか放心しており、衛兵達がその様子を見ては心配した表情で介抱していた。そうして一連の事件を忠告してくれた女性と一緒に見ていたのだが、その女性はハッと思い出した様子で懐から木の実を一つ取り出すと、その木の実をマサツグに手渡す。


「……ッ!…そうだわ…えぇ~っと…

…あっ…あった!…

これ、ぶつかっちゃったお詫びに…」


「……?」


   -----------------------------------------------------------------------


          スキルの実

 

         レア度 unknown


何処から来て何処で取れるか全く分かっていない

謎の木の実。ただ唯一分かって居る事はこの木の実を

食べた者は何かしらの能力(スキル)に目覚めると言うだけで、

更に本人が選んで能力(スキル)を獲得出来る訳では無い。

それでも急に能力を獲得出来るとあって一部の者に

高値で取引されているが、やはり不明な部分が多い為

使用する者が少なく…更にバッドスキルが付く恐れも

ある諸刃の剣として畏怖の念を持たれている。


   -----------------------------------------------------------------------


「ッ!?…これ!?…ッ!?…」


「いいのいいの!…それじゃあね?…」


マサツグがその鬼灯の実の様な物を受け取り何の木の実かを確認すると、そこには「スキルの実」と名前が表示されると同時に、効果も下の文章で出て来てはその文面でマサツグを驚かせる。その木の実を手にマサツグが慌てた様子で返そうとその女性の方を振り向くのだが、女性は笑顔で手を振っては返さなくて良いとだけマサツグに言い、その場から足早に離れて行く。


__タッタッタッタッタ!…ワイワイ…ガヤガヤ…


「あぁ!…ちょ!…ちょっと!?……駄目だ!…

完全に見失った!!…この人混みの中を如何やって?…

すり抜ける様に通って行った?…」


__コロッ…


「……如何しよう?…これ?………ッ!?…」


まるで厄介物を押し付けるよう離れて行くその女性にマサツグは戸惑いしか見出せず、追い掛けようにも人混みで思う様に追い掛けられず女性が消えて行くのを見ていると、遂に見失ってしまう。人混みに揉まれるようその場で女性を見失った事に若干悲観しては手渡された「スキルの実」を見詰め、使い道に如何したものかと考えるもハッ!と気が付いた様子で辺りを見渡す。それもその筈…先ほど見ていた冒険者同様にマサツグは露店の客引き達に獲物として見られて居る事に気が付いたからである。


__引き込む!…買わせる!!…

ニガさない!!!…ゼッタイニ!!!!…


{…ッ!?…ヤッバ!!!…

何かギラギラした視線をあっちこっちから感じる!!…

もう客引きと言うよりは怨念めいた物を感じるが!?…

…今考え事をするのは止そう!…

とにかくギルドに!!…}


__ダッ!!!……


マサツグが客引き達のギラギラした視線に気が付き、この町で考え事をするのは止めておこうと視線に恐怖を覚えながら学習すると、一旦はスキルの実をズボンのポケットに入れ、とにかくその場から逃げる様に走り出しては町の広場に向かう。このゲームのギルドは大抵人の目に付く所に建てられて居る為、まず広場に行けばギルドは見つかると言う先人達の知恵(親友)を胸に広場へ駆け出すも、それでもギルドに辿り着くまでの間に数十回押し売りに捕まる。


「ちょっとだけでも良いですから!」


「いりません!!!」


「損はさせませんよ!!!」


「急いでいるので!!!!」


{商魂逞しいと言うのかなんと言うか……}


何度も捕まっては無理やり断りを繰り返し、そのクランベルズの商人達の根性が凄まじいと感じつつ…マサツグがメインストリートを駆け抜けていると、マサツグ同様ここが初めての冒険者の何人かが捕まっては、まるで蟻地獄に掛かった蟻の様に引きずり込まれ、必死に外の冒険者に向かって助けを求める様に手を伸ばす…。


__ズルズル…ズルズル…


「あ!…あああぁ!…た、たす!…たすけ!…」


__ズルズル……いらっしゃ~い♪……


「うわああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…」


その様子を目にしたマサツグの気分はゾンビ映画の主人公のそれで…見ないよう必死にメインストリートを駆け抜け、やっとの思いでクランベルズの広場に辿り着くと先人達の知恵(親友)の言う通り…広場には目立つよう建てられたギルドの看板とギルドの建物を見つける。それを目にしてマサツグが助かったと安堵し、駆け込む様にギルドの中に入って行くと、ギルド内から聞き覚えの有る声が聞こえて来ると同時に見覚えのある顔もそこにあった。


__バアァン!!…


「ッ!!…びっくりしたぁ~!…

…って、あれ?…マサツグさん?

お疲れ様です!!」


マサツグが勢い良くギルドの中に入って行く際、扉も騒々しく開けて中に入るとその開けた音にギルド内がビクッとした反応を見せては飛び込んで来たマサツグに視線を向ける。何事かと言った視線が集まる中、マサツグが息を切らして俯いて居るとカウンターの方から王都に居る筈の受付嬢の声が驚いた様子で聞こえ、その事にマサツグが顔を上げて確認するとやはり王都のギルドに居る筈の受付嬢がカウンター前に立って居た。その事にマサツグが戸惑った様子で言葉を漏らしてはギルド内を見回し、何も王都のギルドと変わっていない事に気が付き今度はギルドの外を確認すると、外は先ほど自分が逃げ回っていたクランベルズだと言う事を理解するとマサツグは疑問を抱え始める。


「はぁ!…はぁ!……え?…あれ?…君は王都の?…

じゃあここは?…」


「……?…ッ!…あぁ~そう言う事ですかぁ~…」


「え?…如何言う事?…」


受付嬢がマサツグの様子を見て何を悩んで居るのかを理解したのか、不敵に笑みを浮かべては意味深な一言を呟き、その受付嬢の言葉にマサツグが戸惑いを覚えていると、周りの冒険者達もマサツグの在る部分を確認しては「なるほど」と言った様子で納得し、視線を外し始める。そんな受付嬢や他の冒険者達の反応にマサツグが更に疑問を抱え一人悩み始めていると、受付嬢はマサツグの疑問に答えるようある説明をし始める。


「それでは説明いたします!…

恐らくマサツグさんが悩んで居るのは

なぜ私がここに居るのか?…ですよね?…」


「え?…あ、あぁ…俺はクランベルズのギルドに

入ったと思ったら王都のギルドで…

見覚えの有る顔が有ると思って周りを見渡しても

やっぱり王都のギルドで…

それで外を確認したらクランベルズで…

…自分でも何を言っているのかもう訳が分からないよ…」


受付嬢が自信満々でマサツグの抱えている疑問について本人に尋ねると、マサツグは戸惑いながらも返事をしては先ほど自分が確認して疑問を感じた事について話し、自分でも何を言っているのか分からないとポ〇ナレフ状態になり始めると、周りの冒険者達も最初は俺達もそうだったとシミジミ頷き同意する。そんなマサツグの様子に受付嬢が微笑み疑問に答えますと受付嬢が話し掛け、両手を広げてギルド内をアピールすると、とんでもない事を言い出し始める。


「うふふふ!…その疑問にご説明を!…

簡単に説明しますと実は!…

この国にあるギルドは全部ここに繋がっています!」


「え?……」


「…説明すると言っても私自身そこまで詳しくは

無いのですが……分かる範囲で説明しますと…

まずこの大陸と言いますか…各大陸ですね?

各大陸にギルドは一つずつしかありません!…

じゃあ何故この様に各町にギルドの建物が有るかと

言いますと、それはその建物自体が言わばギルドへの

ワープゲートであって、各町の何処かで異変が

起きた場合!…その避難及び各町の緊急クエストや

情報の提供・提示が素早く出来る様にこういう

仕組みになっているらしいです!

つまり!…マサツグさんがこの大陸のどの町に居て

ギルドに入って来ても!…

辿り着くギルドはここ一つだけと言う事です!!」


__ドヤァ!…


受付嬢が自信満々かつ簡単にギルドはこの大陸全土に繋がっているとマサツグに答えると、その答えを聞いたマサツグは一体如何言う事なのかと若干驚いた様子を見せては受付カウンターの方へと歩き出し始める。そしてマサツグが受付カウンターに向かい歩き出して行く間も受付嬢はマサツグにこのギルドの仕組みを説明し続け、マサツグが受付カウンターに辿り着くと同時に説明が終わると受付嬢はマサツグに対してドヤ顔をして見せる。その説明を聞いてマサツグが頭の中で理解しようと簡単にまとめ始めると、その内容から身近に有ったアニメによく似た物を思い出す。


{……ギルドが一つだけで…ゲートが各町にある…

その仕様は緊急時の避難や情報伝達の為であって…

直ぐに異変に対処出来る様に…

……あれ?…これってハ○ルの動く城の

あのドアノブなんじゃ?……じゃなくて!…

じゃあ…この場合はどうなるんだ?…}


「…一つ質問…

…今俺はクランベルズから入って来たけど…

このまま王都に向かう事も出来るのか?…」


マサツグが某有名アニメの制限有りど〇でもドアを連想させて一人納得するのだが、緊急時の避難の部分でふとある疑問が浮かんで来ると、受付嬢に質問をする。それはギルドを使っての町から町への移動で、それが出来れば色々と便利かつ馬車みたく移動に時間が掛からないのではと考えたからであった。その答えを聞く為にマサツグが受付嬢に質問をし、その答えを聞こうと尋ねると受付嬢は詰まる事無く笑顔で返事をしてはマサツグの質問に答え始める。


「はい!出来ますよ!

…ただし本人が一度も行った事の無い街への

移動は出来ません!…

あくまでも自身の脚で一度でも行った事の有る

街で無いと、ギルドを通しての移動は出来ません!」


「なるほど……?…じゃあもう一つ!…

その俺や他の冒険者がどの町からゲートを

潜って来たとかは何処で識別するんだ?…

ゲートを潜るのは冒険者だけじゃないし…

現にギルド職員だって色々外で見かけるし…」


受付嬢はマサツグの質問に対して出来ると答えるのだが制限が有ると説明し、その制限をマサツグに説明すると更にマサツグの中である疑問が浮かんで来る。その疑問についても同じ様にマサツグが受付嬢に説明を求めると受付嬢はハッとした表情を見せては右手を口に当て少し驚いた表情を見せ、説明をしてなかったとマサツグに話すと笑みを浮かべて説明すると答える。しかし…


「あぁ~!その説明はまだでしたね!…

それも簡単にお答えします!…

それはですねぇ~?…」


__ギシッ…


「……え?…」


受付嬢がマサツグの質問に答える為なのか、突如受付カウンターの上に登ってはマサツグへにじり寄り、四つん這いで迫って来る受付嬢にマサツグが戸惑いその場で硬直していると、他の冒険者達がその事に気が付いては慌てた様子でガン見し始め、その受付嬢に格好にスタンディングオベーションする!そして歓声を上げるのは野郎どもばかりで、その様子に女性冒険者達がこれだから男共はと言った様子で呆れ始める。


__ッ!?…ガタッ!!…

オオオオォォォォォォ!!!……ハァ…


「え?…えぇ!?…ちょ!…ちょま!?……ッ!?…」


__ギッシギッシ…スッ…


「……?」


そして徐々に近づいて来る受付嬢にマサツグが如何するかで悩み、戸惑い考えた結果謎のガード体勢に入ると受付嬢はマサツグの胸に向かって手を伸ばしては、マサツグの胸を指差す。何も言わずに手を伸ばして来た事にマサツグがガードの体勢のまま気が付き、徐々にガードを解いては受付嬢が指差す部分に視線を落として何を指差しているのかと確認すると、そこには見覚えのないバッジが着いており、受付嬢がそのバッジに指を差したままその場で止まっては説明を続ける。


「これです!」


「……へ?」


「マサツグさんの疑問の答えがこのバッジです!

このバッジはギルドに入って来た時に自動で

装着されます!入った国、都市毎によってバッチも

色々な形や色が違うので、それを見て確認するのです!…

因みにそのバッジは外そうと思っても外せませんし、

服を切り抜いて取ったとしてもまた別の所に

装着されます。」



受付嬢がニコッと笑ってそのマサツグの胸に付いているバッジを指差すと、一言「これ」と話し掛け、その言葉にマサツグが戸惑いの表情で返事をしては受付嬢の方に視線を向ける。マサツグが迫って来る受付嬢に戸惑ったまま硬直していると、受付嬢は説明しながら更にマサツグへにじり寄り、更に大胆な格好になって来ると男冒険者達がマサツグを羨ましそうに見て居たり、グッ!とガッツポーズをして居たりと十人十色の様相を見せ始めていた。


__ギッシギッシ!!…

オオオオォォォォォ!!!…グッ!…


「へ…へぇ~……ッ!…あっ!…ホントだ…

しっかり縫い付けられて有るみたいにくっ付いてる!…」


{な…何でにじり寄って来る!?……

しかも不敵に笑みを浮かべて!?…

何をしようとしている!?…

このままだと踏み外して落ちるぞ!?…}


そして受付嬢から説明を受けたマサツグもバッジの事を確認しては受付嬢から逃げ様かどうかで悩み始めるのだが、自分がここから後ろに退けば受付嬢がカウンターから落ちるのでは!?…と考えると下がるに下がれないでいた。しかし受付嬢はそんなマサツグの考えを分かっているのか分かっていないのか…更ににじり寄って来てはマサツグを戸惑わせる。


__ギッシギッシ!!…


「……ッ!!…いやぁ~これで疑問も解けた訳なんだが…」


「…だが?」


「……何でそんなににじり寄って来るとですか?…」


にじり寄って来る受付嬢に危険を教えようとしたのか、マサツグが意を決した様子で疑問が晴れたと話し始めてはにじり寄って来る受付嬢の両肩に手をやる。そして受け止められた受付嬢がマサツグに止められた事を尋ねるよう最後マサツグの台詞の一部分を使って復唱するのだが、その復唱を聞いたマサツグは若干の間を置いて受付嬢に質問をすると、受付嬢は妖しく笑みを浮かべてはその質問に答え始める。


「……ふふふ!…如何してなんでしょう?…」


「……へ?」


「マサツグさんを見ていると如何言う訳か…

他の冒険者さんと違ってなんと言うか…」


「な…何と言うか?…」


自分でも分からないと言った様子でマサツグの質問に答え始めてはその反応にマサツグが戸惑い、その様子に受付嬢が今度は意地悪そうに笑みを浮かべるとマサツグの表情をチラッと見て他の冒険者と比べた様子で話し始め、その言葉に今度はマサツグが受付嬢の言葉を復唱すると、受付嬢がカウンターの上に体勢を整える様に内股座りをしては笑顔でマサツグにこう話しかける。


「意地悪してみたくなっちゃうんですよね!!」


「……へ?」


「いやぁ~…如何してなんでしょう!?

他の人だとそう言う事が無いのに

マサツグさんだけ何故かこう…

意地悪したい!!…と言う気持ちが…」


__……ッ!?……コッコッコッコッコッコッ…


受付嬢の言葉にマサツグが気の抜けた返事をしてはキョトンとした表情を見せ、受付嬢がそのマサツグに意地悪したくなる理由について語り始めるが、本人も分からないと言って見せてはカウンターの上に座ったまま笑顔話し続ける。受付嬢を止めている手を離せばまた前進して来そうなので、その間マサツグはずっと受付嬢が動き出さない様に両手で止めていたのだが、カウンターの後ろからこちらに向かい歩いて来る物が一人…それに気が付くとマサツグは受付嬢から手を離し、バックステップをする。


__バッ!!!…


「ッ!…あれ?…マサツグさん?如何したの?…」


「ハアァ~~…」


「ッ!?…あっ……」


マサツグがバックステップで距離を置いた事に受付嬢が困惑しマサツグに質問をし始めるのだが…マサツグが返答をするより先にその受付嬢の後ろに恐らく受付嬢の先輩ギルド職員であろう人物が立つと、深く呆れた様子で溜息を吐く。その溜息に受付嬢がビクッと反応して見せては恐る恐る…まるで錆びが回ったブリキの玩具の様に後ろを振り返り始めると、そこには先輩ギルド職員が腕を組んでカウンターに座る受付嬢を睨む様に立って居た。その様子に受付嬢は完全硬直…受付嬢のサービスショットに盛り上がっていた男冒険者達も自分は関係ないと言った様子でスッといつの間にか席に座り直しては何事も無かったかの様に雑談を始める。そうして受付嬢が冷や汗を掻き、先輩ギルド職員が怒りに燃えた様子で立ち尽くしていると先に話し掛けたのは先輩の方であった。


「……貴方は一体何をしているのです?…」


「へ!?…い、いやぁ~…

何をしていたと言われましても…

か、駆け出しのマサツグさんに

ギルドについてのあれこれを…」


「ほぅ?…で?…

何でカウンターの上に座っているのですか?…」


「こ…これはそのぅ…」


先輩が冷静に受付嬢へ質問をし、その質問に受付嬢はマサツグの名前を出しては言い訳をし始め、その言い訳を一応は聞いた様子で先輩がメガネをクイッ!と動かすと一言呟く。しかしそれで終わる筈も無く、次にカウンターに乗っている理由について尋ねられると受付嬢は答えに戸惑い、言葉がしどろもどろになる。そうして帰って来ない返答に先輩が呆れた様子でハァ…と軽く溜息を吐くと受付嬢に向かって両手を伸ばし始める。


__ハァ……スッ…


「ッ!?…ち、違うんです!!先輩!!…

これにはディープアンダーブルーより深い訳が!?…」


「問答無用!!」


__ガッ!!…グリグリグリグリ!!…


先輩が伸ばした手は受付嬢の頭を捕まえ、捕まった受付嬢が先輩に対して手を突き出し振り回しては言い訳をしようとするのだが先輩はもう聞く耳を持たない様子で受付嬢を手前に引き寄せては両手で拳を作り、その拳を受付嬢の両方の蟀谷(こめかみ)に当てて力を入れた様子でグリグリ攻撃をし始める。始めた瞬間受付嬢の表情はこの世のものとは思えない程苦痛に満ちた表情をしており、その悲鳴もギルド内に木霊する。マサツグの目の前で拷問ショーが始まり、その先輩のグリグリ攻撃は手馴れているのか宛ら万力を彷彿とさせる。


__ギャアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!…



__数十分後……



__ピクッ!…ピクピクッ!!…

…ッ!?!?!?…


「よっと!…」


一頻り受付嬢が悲鳴を上げ数十分後…お仕置きが終わった頃には受付嬢はカウンターの上に痙攣した様子で倒れて目からハイライトは消え、まるで乱暴にされた様に見えてマサツグが先輩に対して畏怖の念を抱く。そしてその先輩はと言うとカウンターを身軽に飛び越えてはマサツグの前に立ち、不出来な後輩の尻拭いをする様にマサツグに平謝りしていた。


「本当にこの馬鹿が申し訳ありません!!!…

今後こんな事が無い様に躾けますので

今回はお許しください!!!」


「い…いえいえ…大丈夫です!…

それよりも…大丈夫なんですか?…」


「え?……あぁ…

いつもの事なので大丈夫です!…

気にしないで下さい!」


{いつもの事なのか!…}



平謝りする先輩ギルド職員にマサツグが大丈夫と答えては、今だカウンターの上で痙攣し涙を流す受付嬢の心配をするのだが、その質問を受けて先輩ギルド職員が振り向き確認すると、直ぐにマサツグの方を振り向き直してマサツグに笑顔で大丈夫と答える。その際あの見事なグリグリ攻撃をして見せた先輩ギルド職員の姿をマサツグが確認すると、メガネを掛けた黒髪ストレートショートのスレンダーお姉さんで胸は受付嬢より小さいと言った所…でもモデルの様にスラッとした体形は先輩ギルド職員が着ているコーヒーバリスタ風の制服に凄くマッチしており、出来るお姉さんと言った様子が見て取れた。そんなお姉さんがいつもの事と笑って見せる先輩ギルド職員にマサツグがマジか!…と言った様子で驚くと同時に先輩の躾けると言う言葉を思い出してはマサツグが考えてしまう。


{…そう言えばさっきあの先輩職員さんが躾けるって

言ってたけど……犬か何かなのか?…

何か人権も剥奪されている様な……}


__キャンキャン!!…キャインキャイン!!…


{あぁ~…ゴメン…受付嬢さん…アンタ犬だったわ…}


__チ~ン……ガバァ!……


受付嬢の扱いにマサツグが戸惑いを覚えては少し想像力を働かせ、今までの一連の流れを思い返してみると先輩ギルド職員の言う言葉の意味を理解する。そして心の中で受付嬢に対して謝罪と肯定の言葉を口にしてはカウンターの上に倒れる受付嬢を見て、思わずマサツグが手を合わせる。しかしマサツグが拝んでから直ぐ位に受付嬢が体を起こすと頭を抱えては譫言の様に…某ホラー演出の様に同じ言葉を繰り返し、恐怖に苛まれ始める。


「頭割れるかと思った!…頭割れるかと思った!…

頭割れるかと思った!…」


「ッ!…起きたみたいですね?…それでは失礼します…」


「あ…はい…」


__ガッ!!…ズルズルズルズル…


受付嬢が起きた事に先輩ギルド職員が気が付くとマサツグに一礼してはカウンターの方へと歩いて行き、マサツグが戸惑いながらも先輩ギルド職員に返事をして見送ると、先輩ギルド職員は起きたばかりの受付嬢の首根っこを捕まえてはカウンターから引き摺る様に下ろし、そのままカウンターの奥へと受付嬢を連行して行く。もともとそんなに力が無いであろう先輩ギルド職員は受付嬢を連れて行く際、顔を真っ赤にしながら力を込めて連れて行く様子が見て取れ、その様子にマサツグが苦笑いをすると漸く一段落する。そうしてマサツグは次のクエストを受ける為にクエストボードの前に移動し、仕事を探し始める。


「……さて…次の仕事はっと……ん?…」


__コロッ…


「…そう言えばスキルの実の事忘れてたな……

さて如何したものか?…一部の人間には高価で

買い取られているとは言っていたが…

生憎そんな知り合いは居ないし…

欲しいスキルが有る訳でも無いし…

…正直こんな怪しい物はさっさと

如何にかしたいんだが…」


マサツグがクエストボードの前に立って次の仕事を探す際、ポケットに手をやり何か感触を感じるとマサツグが少し不思議な表情を見せて、ポケットの中身を取り出す。するとそれはマサツグにクランベルズの歩き方を教えてくれた女性から貰ったスキルの実で、それを見てマサツグが思い出した様子でスキルの実を如何するかと悩み始める。自分にとっていまいち利用価値の無いスキルの実の仕様用途にマサツグがクエストボードの前で立っては悩む中…後ろの方から突如何者かが現れてはマサツグの肩を叩く。


__そぉ~~…ポンッ!


「ッ!?…でゅわああぁぁ!?…な、なん!?…」


「ッ!?…そ…そんなに驚かないで下さいよ!?…

こっちまで驚いちゃったじゃないですかぁ~!?…」


「って、受付嬢さん!?…

アンタさっき連行されたんじゃ!?…」


マサツグが突如肩を叩かれた事に声を挙げて驚いては慌てて振り返り、誰が肩を叩いたのかと振り返り確認すると、そこにはマサツグ同様驚いた様子で固まる受付嬢の姿が有った。受付嬢はマサツグの反応が予想外と言った様子で戸惑ってはマサツグに文句を言い、マサツグは受付嬢がここに居る事に疑問を持ってその理由について尋ねると、受付嬢は下をペロッと出しては笑顔でマサツグの質問に答える。しかしこの時…既に事は起きていた…


「えへへへ♪…逃げて来ちゃいました!…」


「に!…逃げて来たって!?…ついさっきだぞ!?…

そんな逃げて来て大丈夫…」


__…ヒュウウゥゥゥ…コンッ!…


「あたッ!…え?何?…ッ!…」


__パクッ!!…バキィ!!…


マサツグは受付嬢が逃げて来たと白状した事に驚くと同時に呆れた様子でツッコミを入れ始めるのだが、次の瞬間マサツグが持って居た筈のスキルの実が受付嬢の目の前に振って来ては受付嬢の鼻に当たり、鼻に何かが当たった事に受付嬢が手を鼻にやって何が起きたのかと辺りを見渡す。その鼻に当たった弾みでスキルの実がマサツグの喋る口の中に綺麗に入って行くと、マサツグの意図しない状態で思いっきりスキルの実を噛み砕いてしまい、まるで焙煎されたナッツが噛み砕かれた様な香ばしい音がマサツグの周りに響いては、マサツグを驚かせる。鬼灯の様な形でも意外としっかりしていたスキルの実に口の中がカシューナッツの様に香ばしく、こんな漫画みたいな出来事に何が起きたのか当本人達が分からず戸惑った様子を見せて居ると、マサツグはあるスキルを獲得するのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ