-第二章六十一節 強襲からの復興とギルドの会議とミスティーの決意-
……この話はゲスデウスがハーフリングスに攻め入り、そしてマサツグからボコボコにされた後…フィロネウスの手によって骨も残らないまま焼却処分された日から時間が飛んで…一週間後のお話。ハーフリングスは今だモンスター達から受けた攻撃の残痕が残るものの復興に勤めていた…市街地の外れにはあのレイヴンとシロが戦っていた、デーモンの大穴が今だデカデカと開いていて、そこからモンスターが侵入し…家を破壊された者達は帰る場所を失って難民と化していた…中には集合住宅の基礎に異変が出て来たとかで家が有るにも関わらず帰れない者まで出て来た!…そんな中幸いだと思われるのが、ハーフリングスに住む獣人族の死者が一人も居ないと言う事で、町はボロボロの状態で誰が亡くなっていても可笑しくない悲惨な戦いだったにも関わらず、誰一人として実際に亡くなっておらず…不謹慎ながらもこの事を奇跡と言う者まで現れる始末であった。…だがあくまでもそれは住民達の中の話であり、衛兵達はカウントされて居ない!…深手を負った者や退役せざるを得ない者と…やはり色々と被害が大きい戦いであった事に変わりは無く、とにかくそんな状態を奪回する為にフィアナはまず!…住人達の住居及び外壁の補修に力を入れて居た。
__トントントントン!!…
カンカンカンカン!!!…ジャッ!!…
「…今日でこの大穴を塞いでしまうぞ!!
修復を完了させるのだ!!…
もう少しでこの大穴を見なくて済む!!…
そうすれば皆少しは休む事が出来るぞぉ~!!」
__オォ~~~!!!…
…ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
その大穴付近では色々な音が響き渡る!…木材を叩く音に石を削る蚤の音…漆喰を塗る様な音ととにかく色々な者が修復に努めてはオーケストラを開いていた!…誰一人として仕事に対して手を抜く事無く、再びこの様な悲劇が起きない様に!…獣人の大工達数十名を引き攣れ!…衛兵達の警護による大作業と、衛兵長が陣頭指揮を執って居ると進捗が気になったのか?…そこへフィアナがやって来る。
「…衛兵長!…進捗は如何か?…」
「ッ!……ッ!?…じょ、女王陛下!?…
無理を成されては!!…」
「民が今も眠れぬ夜を過ごして居ると言うのに!…
余だけが休んで居る訳にはいかないだろう?…
…それで?…進捗は?…」
「ッ!!……ハッ!!…
現在約八割の修復を完了させており、
恐らく今日中にはこの穴を塞ぐ事が出来るかと…
ただあくまでも塞ぐだけなのでここから
補修・強化となるとまた時間が…」
この時フィリアもゲステウスに酷い拷問を受けて深手を負って居るのだが、ジッとしては居られないとばかりにまだ完治して居ないにも関わらず、ハーフリングス全体の指揮を自ら行い、衛兵達と民達の両方を動かして居た。その際フィアナは何度も民や衛兵に頭を下げては自分の不出来さを謝罪し、その謝罪に民や衛兵達が戸惑い頭を上げる様に逆に頭を下げる等…珍事が起きたのだが、今は順調に事が進んで復興の一途を辿って居た。しかし先の戦闘にてやはり衛兵達も深手を負った者が多数おり…復興に当たれる者が少ないと言った実情ではあるのだが…それでも皆が協力し合い復興に勤める姿にフィアナは感動を覚えつつ!…今日も今日とて確認してはホッと安堵し、それとは別にイヤな予感を感じながらも衛兵長に指示を出す。
「……まだ塞げただけでも良しとするか…
引き続きこの外壁周辺の警備と修繕に勤めよ!…
幾ら掛けても構わん!…不備の無い様に頼む!…」
「ッ!…ハハァ!!…了解に有ります!!」
「では引き続き頼む!……」
{……出来るだけ早く修復してしまいたい所だが!…
…圧倒的に人手が足りん!!…
またいつ来るかも分からない敵に
この様に怯えるとは!!…クッ!!…あの女狐めぇ!!…
マサツグだけでなく我が国までをも
引っ繰り返そうとしおって!!…
いつかこの借りは返させて貰う!!!…
…その為には!!…}
フィアナは一通り作業の進行具合を確かめると、衛兵長に引き続き現場の指揮をお願いし…そのフィアナの呼び掛けに衛兵長は緊張しつつ、フィアナの容態を心配しながら敬礼し返事をすると、その返事にフィアナは軽く笑みを浮かべてその場を後にする。だが衛兵長に背を向けるとフィアナは途端に強張った表情を見せ!…そのある一抹の不安に危機感を覚えると、ただ自身の心の中でその心配と戦い続ける!…この時フィアナが感じていた嫌な予感とはあのフィロネウスの事であり、最後消える前の素振りからしてまた現れる様な事を言っていたと一人思い出すと、今の守りで大丈夫なのか?…と心配し…ただ今出来る事をするしか無いと分かって居つつもやはり不安を覚え!…この時別に動いていたマサツグとミスティーの事を思い浮かべては無言で空を見上げるのであった。
さて、ここで話は少し変わる!…この時点でフィアナはハーフリングスの復興に勤め、レイヴンは衛兵達の頼みである事に耐えれるよう…とある訓練に付き合い!…マサツグとミスティーは一度ホエールビアードに向かいギルドを目指し進んで居た。突然何故この様な急展開の話になったのかと思う所なのだが、それはゲスデウスが燃やされた日より後日に開かれた緊急の会議にて…フィアナからとある相談を受けた事より始まった出来事であった。
__[ハーフリングス大強襲事変]
解決より後日…午前十一時…
__コッ…コッ…コッ…コッ…
…コンコンッ!…ガチャッ!…
「……呼ばれて来たけど如何したん…ッ!?…」
「ッ!…あぁ!…来てくれたか!…まぁ座ってくれ…」
「え?…あ、あぁ…」
この日マサツグとレイヴンは戦いの後の休息を取るよう用意された自室に居たのだが、フィアナに突如会議室に来るよう言われ…二人揃って突如呼ばれた事に疑問を持ちつつ、言われるままに会議室へ向かい扉を開け…中に居るであろうフィアナに声を掛けようとするのだが、そこに居たのは満身創痍のフィアナが治療を受けて直ぐの状態で椅子に座っている様子で有り!…更に周りの席には衛兵長や議員…官僚らしき人物達が座っており、物々しい雰囲気を放ってマサツグとレイヴンの二人を出迎えていた。そしてマサツグとレイヴンの二人が来た事にフィアナも普通を取り繕うよう声を掛けると、二人に席へ座るよう口にし…そのフィアナの様子に二人は戸惑いつつも返事をすると、空いている席に手を掛けて恐る恐る席に着く…そうして二人が座った所で何が起きるのか?…とマサツグとレイヴンが思わず緊張して居ると、フィアナはまず…徐に立ち上り始めるとマサツグとレイヴンへ謝罪とお礼を口にし始めるのであった。
__…ガタッ!…ッ!?………スッ!…ッ!?!?…
「……すまない!…
こんな身内の恥を見せただけに飽き足らず!…
この様な事態を引き起こしてしまった事!…
それも結果としてマサツグとレイヴン殿!…
二人に任せっきりにしてしまった事!!…
本当に申し訳ない!!…
これも全て余がゲステウスの悪行を
見抜けなかった事に責任が有る!!…
それに二人は余やミスティー!…
民の命まで救ってくれた!!…
感謝してもし切れぬ!!…本当に!!…
ありがとう!!!…」
__ガタタッ!!…ッ!?……スッ……ッ!?!?…
立つのも辛い筈なのにフィアナは一人立ち上ると、マサツグ達に頭を下げ…その様子にマサツグとレイヴンは戸惑い!…オロオロとした態度を二人揃って見せて居ると、フィアナは構わず謝罪と感謝の言葉を口にする。その際何がいけなかったのか自分でも理解した様子で反省の言葉を口にすると、その周りに座って居た衛兵長や議員…官僚らしき人物達までもが立ち上がり、マサツグとレイヴンに頭を下げ出し!…その様子にマサツグがテンパった様子で立ち上り、フィアナに大丈夫と声を掛けようとするのだが!…レイヴンがハッと我に掛けるとマサツグの腕を掴んで止めに入る!…
「え?…えぇ?…いやちょっと!…」
__……ッ!!…ガッ!!…ッ!?……
「ヤブ!!…これは止めちゃいけない気がする!!…
確かに頭を下げられる事には俺ら慣れてないけど!…
これは相手なりのケジメの付け方で有る気がする!!…
…一国の女王にその側近多数!!…
相手は同じ身分じゃなくて冒険者!!…
……ここまで言えばわかるだろ?…」
「ッ!!……了解…」
止めようとするマサツグに対してレイヴンが慌てた様子で止めに入ると、当然マサツグはそのレイヴンに止められた事に困惑し!…何で止めに入った?…俺達がやったのは当然の事!…と言った様子で困惑の表情を見せてはレイヴンの方を振り返るのだが、レイヴンはそれをも踏まえた様子でマサツグに止めちゃいけない理由を説明すると、マサツグに理解するよう促し始める!…その際相手が個人ではなく一国の長として頭を下げて居る事を口にし、マサツグもその話を聞いてハッとした表情を見せると、渋々理解した様子で座り始める…その様子を見たフィアナは心の中でレイヴンに感謝をすると、その二分間の間マサツグ達に頭を下げ続け…そうして感謝の意を自分達なりに十分示した所でフィアナ達が改めて席に着き出すと、本題に入る。
「……さて…見苦しい所を見せてしまい申し訳ない!…
マサツグとレイヴン殿を呼んだのは他でも無い!…
マサツグと初めて会った時に聞いたギルドの事について
詳しく聞きたくてな?…
今回を機に我が国でのギルドの設置!…
及びそのギルドを建てるに当たって何か決まり事が
有るかどうかについて聞きたいのだが?…」
「ッ!?……な、なるほどぉ~……うぅ~ん…」
「……やはり出来ないのか?…
何が足りないのか言ってくれれば出来る限りの事は!…」
フィアナが謝りつつ席に着くと、今回の本題…ギルドについての説明をマサツグ達に求める。フィアナの意向としては今回の事件に当たって、冒険者達も助けてくれた事でこの国が助かったと感じて居り!…これを機に本格的なハーフリングスの開国!…ギルドを招き入れての不測の事態に対する備えを万全にしたいらしい!…ではそうするに当たって自分達に何か足りない物は有るか?と心配したフィアナは、こうして詳しい事をマサツグ達に聞こうと考えたらしいのだが…その問い掛けを聞いた肝心の二人はと言うと、納得した表情を見せるが次には悩んだ様子で…シンクロするよう腕を組みただ唸る様に悩むと、その答えに苦しみ始める。当然そんな様子を見たフィアナは途端に不安の表情を浮かべてマサツグ達に声を掛けるのだが、マサツグ達はそんなフィアナの様子に安心させるよう宥め出すと、こう答える。
「ッ!…あぁ!!…
いや、足りないとか出来ないとかじゃなくて!…」
「……単純に分からないんだ…」
「……え?…」
マサツグがフィアナを宥める様に言葉を掛け出し、レイヴンが今だ悩んだ様子で一言…分からないと答え出すと、その言葉にフィアナを含め全員がキョトンとした表情を見せる。マサツグ達の方からギルドの設置を進めて来たにも関わらず、いざ聞いてみれば分からない…これには戸惑いを隠せない様子でフィアナ達が固まって居ると、レイヴンは続けて説明を始める。
「恐らく女王陛下のお願いはギルドマスターに
言えば直ぐに認可は降りると思う!…
何ならそのギルマス本人が率先して!…
…今まで鎖国状態だった国がオープンに
なって行ける様になるって事は…
それだけ仕事の量も増えるわ移動も楽になるわで
万々歳だし?…
何ならこれでここを含んだ後二国との三国の会議も
スムーズに行う事が出来るって!…
多分そっちの方で喜ばれるんじゃないかな?…
……ただ問題なのは…その認可を出す人と
俺達は面識が無い事と…
いきなり行ってまずギルマスに会わせて
貰えるか如何か?…って事位か?…
聞いた話に寄るとここのギルマスかなりの
変わり者だし…かなり忙しいみたいだし…
…何より俺達がギルドに人間じゃ無いからてんで
ギルドの運営の事は分からんってのが
最大のネックだな?…話を進めにるはまず…
この国の外交官を連れてギルマスに会いに行く!…
ここから始めない限りは今は如何する事も…
返事をする事も出来ないかな?…」
「ッ!…が、外交官か……うぅ~ん…」
__うぅ~ん……
レイヴンはギルドの設置に賛成なのか、イケると言った様子で話し出してはギルドマスター本人が動くと言い!…その際向こうが率先して動く理由!…ギルド側の利点をフィアナ達に説明すると、その話にフィアナは耳を傾ける!…この時今までゲスデウスに任せっきりだったせいか、そのフィアナの表情は何処かぎこちなく!…緊張した様子を見せるのだが、レイヴンの話に必死に耳を傾けては理解しようと食い付き!…レイヴンもその様子を見て出来るだけ分かり易く説明しようとすると、最終的に外交官が必要である事をフィアナに説明する。そうしてその話を聞いて何とか今までの説明も含めて理解出来たのか、フィアナは安堵すると同時に腕を組んで悩み出し!…同じ様に話を聞いていた面々も、[外交官]と言う言葉を聞いた途端に悩み出すと、その様子を見たマサツグは何と無く察しつつも不思議そうに声を掛け出す。
「ッ!…あぁ~っと…その様子だともしかして?…」
「…今まで外交官を務めて居たのはゲルデウスだ……
奴は宰相の仕事と外交の仕事を兼任していた…
まぁ…外に融通を利かせられる者が他に居なかったから
奴に任せて居たのだが…
奴が居ない今その外交が出来そうな者は…」
マサツグが戸惑った様子を見せながらフィアナに問い掛けると、案の定フィアナから予想通りの答えが返って来る…悩んだ様子ながらフィアナは外交を務めて居たのはゲスデウスと話すと、宰相と外交官を二役を買って居たと悔やむ様に話し!…ゲスデウスが唯一外との係わりを持って居た事も加えて説明すると、その外交が出来る者がまさかのクーデターと!…そして今回の件でゲスデウスは亡くなり、現状今外交出来る人材が無い事でフィアナ達は悩んだ様子を見せて居るのだが、そんな雰囲気を壊す様に突如会議室の扉が独りでに開くと、そこからミスティーが姿を現す。
__ガチャ!…キイイィィィ~……
「あの…す、少し宜しいでしょうか?…」
「ッ!…ミスティー?…如何したのだ?
お前はもう少し休んだ方が……」
「それはお姉様の方です!…
まだ体を動かさないでくれと
お医者様にも言われたのに!…」
__ッ!?…ピィ~♪ピピィ~♪…
恐る恐る尋ねる様に会議室へ入って来たミスティーにその場の全員が反応すると、フィアナが若干驚いた様子で声を掛け出す。その際ミスティーの体を労わる様な素振りを見せるのだが、その言葉にミスティーは逆!と言った様子でフィアナの体を心配してツッコミを入れ!…そのツッコミを受けてフィアナは誤魔化す様にそっぽを向き口笛を吹き出すと、ミスティーは呆れた表情で溜息を吐き出してはある事を話し始める。
「……はあぁ~…お姉様ったら……コホンッ!…
私は今回の件でいかに自分の国が
無力か思い知らされました…
ですから私もマサツグさんの言っていた
ギルドを建てる事に賛成します。」
「ッ!…いや…そうなのですが……
その建てるに当たって交渉をする者が
居ないのが現状で有ります!…
この冒険者様が言うには外交官が必要不可欠!…
恐らくそれ相応の身分の者が行かない事には
向こうも取り合ってはくれないかと!…
悪戯に官僚である我々が行っても相手にして
貰えるかどうかと言った所で…」
「その事なのですが…
…先程からお話は外から聞かせて貰いました!…
その外交官!…私…
[ミスティアナ・レオ・レヴナント]に任せては
貰えないでしょうか!!…」
__どよ!?……
ミスティーは咳払いを挟みつつも次には真剣な表情をして見せると、改めて自分の国に脆弱さ思い知った様に語り出し!…先程から悩んで居るギルド建設についても、建てる事に関して賛成の意見を示すよう自身の言葉を口にすると、そのミスティーの話を聞いてか官僚の一人が今悩んで居る問題について話し始める。その際悩んで居るのは誰が外交官になるかではなく…その外交官を務めるに当たってそれ相の身分の人間でないと話が出来ないと言う問題点で有り!…迂闊な人選が出来ない事をミスティーに説明すると、その説明を聞いたミスティーは自ら外交を務める事を口にする!…当然このミスティーの言葉に会議室内はどよめき!…マサツグとレイヴンも呆気に取られた表情を見せ、衛兵長に至っては突如感動した様に涙を流すと、懐から白いハンカチを取り出しては泣き出す始末!…
__ッ!?…ぶわぁ!!…
「ミ…ミスティアナ皇女!!…うぅ!!…
ご立派にならせられた!!…
ご立派にならせられましたなぁ!!!…」
{……衛兵長…お前さん感動し過ぎじゃね?…
父親か何かかい?…
てか、ハンカチだけじゃ間に合って無いぞ?…
ボロボロ零れとる…}
__………ッ!…ジッ!!……
ボロボロと泣き出す衛兵長に気が付いたマサツグとレイヴンも途端に驚いた反応を見せ…心の中で衛兵長にツッコミを入れて居ると、その一方ではミスティーの迷いの無い覚悟を決めた表情に、フィアナも思わず驚いた表情で固まってしまう!…今までそんな積極性を見せた事の無いミスティーの様子に、フィアナは何が有った!?…と言った様子でその心境の変わり様に心配をしてしまうのだが、ハッと我に返ってミスティーを見詰め…堂々と立っているミスティーの事を見定めるよう真剣な眼差しを送り出すと、その視線を感じ取った周りの官僚・議員達はビクッとする!…
__ビクッ!?………スッ……ッ!…スッ…
「ッ!…な、何だ!?…何で急にこんな!?…」
「ッ!?…お!…重い!…
何でこんな急に空気が重く!…ッ!?…」
「……本当にやるのだな?」
官僚に議員達と…衛兵長もフィアナの様子に気が付いた途端!…何故か全員がスッとその場で俯き出すと、会議室内の空気は一気に亜空間状態に変化したよう重苦しい空気に包まれ出し!…その異変に気が付いたマサツグとレイヴンもただ何が起きたのか分からないと言った様子で困惑して居ると、突如フィアナだけがミスティーに声を掛け始める!…その際フィアナの表情は何時しか真剣な表情から尋問をする様な厳しい表情に変わっており、その表情にミスティーもたじろぐ様な反応を見せると、更にフィアナはこう話し掛ける!…
「……外交の仕事と言うのは他の国に対して
失礼の無い様に振舞う!……
まぁ…その点に関してはミスティーなら
問題はないであろう…
余よりもその点に気を配る事をするからな?…
…だがもう一つ!…
これはある意味もっとも重要な事でも有る上に
ミスティーに出来るかどうかと言う難題でも有る!!…」
「ッ!?…そ、それは?…」
「それは……後れを取らんと言う事だ!」
「ッ!!…」
フィアナが話し出したのは外交と言う仕事での注意点!…気を付けないといけない点であり、その内の一つ…礼儀に関しては大丈夫とフィアナ自身も安心した態度を見せるのだが、もう一つの話を持ち出すと更にその眼光は鋭く!…ミスティーを見詰める!…そんなフィアナの反応にミスティーも驚き戸惑った反応を見せては、一体如何言う事かと尋ね始めるのだが…そこから帰って来たフィアナの言葉はマサツグ達も思わず納得してしまう…「後れを取ってはならない」と言う言葉で有り、ミスティー自身もその言葉を聞いてハッと目を見開き戸惑った反応を見せて居ると、フィアナは如何言う事かを説明し始める!…
「…外交と言うのは言わば交渉の場だ!…
まぁ、その他にも色々有るとは思うが…
基本は交渉!…つまり対談だ!…
交渉をする際自分達の有利な方に話を
進める技量も居る!……だが逆に!…
言い包められて自分達が不利になる様な
交渉はしてはならない!!…
これがまだ自分達で解決出来る事であれば
問題は無いだろうが!…
これは国全体を揺るがしかねない!…
失敗の許されない交渉でも有るのだ!!…
……ミスティー!…
余とて妹であるお前を信じたいのは山々だが!…
お前にそれを背負うだけの器量は有るのか!?…」
「ッ!?…」
「勿論その交渉の場に余は居ない!…
衛兵長も!…官僚も!…議員達もだ!!…
一人でそのある種過酷な場所に立つ覚悟は有るのか!?…
…今一度考えて申してみ…」
フィアナは外の事を知って居るかの様にその厳しさについて話し出すと、交渉に置いてもっとも重要な事をミスティーに話し始める!…それは先程の言葉であり、つまりは気圧されない心を持つ事!…ある種交渉とは戦いの場であって気圧されたら最後…なし崩しに後手へ回ってそのまま自分達にとって不利な状況に陥るからこそ!…気圧されない心が必要とされる場所であり!…その心をミスティーが持って居るか!?と覚悟を確かめる様にフィアナが聞いたモノであった。まだ今回はギルドを建てる…比較的交渉のテーブルとしては難易度は低めなのだが、今後の事を考えると不安を覚えるモノであり!…フィアナとしてもミスティーに期待を掛けるよう言った言葉でも有った!…当然その言葉を聞いたミスティーは若干怯んだ様子を見せて俯くのだが、フィアナは追撃を止めず!…覚悟を見せる様に言葉を掛け続けようとした次の瞬間!…ミスティーは俯きながらもフィアナに反論し始める!…
「…スゥ~……ッ!…やります!!」
「ッ!…何?…」
「お姉様が言われる意味も分かります!…
国益が絡めば民の生活にも影響が出る!…
それは避けなければならない事!!…
…ですが!!…
この件は自分でやらないと駄目なのです!!!…」
「………。」
ミスティーはフィアナに反論をする際…呼吸を一回挟むと、フィアナの言葉を遮る様に返事をし始める!…この時ミスティーがまるで喧嘩をする様に怒鳴るように返事をした事で、フィアナは驚きつつもミスティーの事を睨み!…言いたい事が有るなら言ってみよ!…と言った鋭い眼力で更にミスティーの事を見詰めて居ると、ミスティーは顔を上げてその眼力に負けないよう見詰め返し!…自身の意見を口にする!…そんなミスティーの様子をフィアナは一切手加減する事無く睨み続けるのだが、ミスティーは負けじと胸を張ると話しを続ける!…
「……お姉様の言う通り私にまだまだ至らない所が
有るとは思います!…
私は人見知りでお姉様の様に堂々と出来ない!…
もしかするとお姉様の言う後れを取るかも
しれません!!……ですが!!…
この国を思う心はお姉様にも負けるつもりは
有りません!!!…
……私が行ってギルドの方と交渉し!…
この地にギルドを建てて見せます!!…
…何も知らない私の事を信じて助けて下さった
マサツグ様の様に!!…
今度は我々が彼らの事を信用する番です!!!…
必ず交渉を成功させて見せます!!!」
「………。」
ミスティーは自身の弱点でも有る気弱さを上げては至らないと口にし、それでもこの件は成功させたいと感情をぶつける様にフィアナへ言葉を口にすると、その言葉を聞いたフィアナは目を見開き戸惑った反応を見せる!…今までにここまで必死になるミスティーを見た事が無い!…そう物語るようにフィアナの表情は驚きの様相を見せており、衛兵長もそんなミスティーの発言を聞いて更にボロボロと泣き出すと、ハンカチを握りしめる!…そして周りの官僚や議員達はフィアナとミスティーの二人を交互に見てはある種の一触即発状態を感じたのか、滝の様に汗を掻き出して緊張し!…その様子を同じ様に見ていたマサツグ達もただ戸惑い無言を貫いて居ると、その会議室内の空気は更に異質な物となる!…こうしてその奇妙な空間は全員が黙る事によって五分間の間変わる事無く…官僚や議員達は早く終わる事を願う様に目を瞑り出すと、漸くここでフィアナが口を開き出す!…
「……なるほど?…
そこまでの覚悟が有ると言う事で良いのだな?…」
「…ッ!!…はい!!…」
フィアナは五分間の間ミスティーを睨み付け!…ミスティーも負けじとフィアナを見詰め続ける!…その間周りの者達は気が気でない様子でジッと座って居り…その五分間の睨み合いでフィアナは何かを悟ったのか、ミスティーから視線を外して一息吐き出すと、最後にミスティーへ確認の言葉を掛ける!…当然その言葉は許可を出す様な流れを見せており、ミスティーも理解した様子で熱意を胸に嬉々としてフィアナに返事をすると、遂にフィアナが折れた様子で笑みを浮かべて許可する!…
「……フッ…
気付かない間に成長するものなのだな?…
人と言う物は?……よかろう!!…
此度のギルド誘致の件はミスティー!!…
お前に任せる!!…
必ずやその交渉をモノにして来るのだぞ!!…」
「ッ!!!…はい!!!」
「……立派になったな…ミスティー!…」
__ガタッ!…コッ…コッ…コッ…コッ……ギュッ!…
フィアナはいつの間にか成長していた自身の妹の様子に驚きつつも笑みを零し、改めてギルド誘致の件を一任するよう任命すると、ミスティーはやる気に満ち溢れた表情をしてはフィアナに返事をする!この時初めて認めて貰えたと感じたのか、ミスティーは若干涙目になっており…フィアナもそんなミスティーの成長を喜ぶ様に!…徐に立ち上りミスティーの方へ歩き出すと、優しくギュッと抱き締める!…こうしてこの会議?…によって正式にハーフリングスにギルドを誘致する事が決まったと同時に、ハッピーエンドを迎える筈なのだが…同時に奇妙な空間も解除され…緊張が一気に解けた事でドッと疲労感が押し寄せ!…官僚や議員達…及びマサツグ達もグッタリした様子で項垂れると、思わずマサツグ達は零し始める…
__……ダハアアァァァ!!……
「…なぁ、レイヴンさん。
ここの会議って毎回こうなのかな?…」
「どうなんだろうな?……唯一つ言える事は…
議員さんや官僚の人達が今現在グロッキー状態で
机に突っ伏してるって事なんだよな…
オマケにこれってまだ外交官が決まっただけだろ?…
ここから如何やってギルドに行くとか話し合わないと
行けなんだろ?…
……まだ会議が終わっていないって事だな……」
「……ここから延長戦?…キツイな…」
もはや慣れているのか衛兵長だけはシャキッとしてミスティーの様子に涙し!…ハンカチを握り締めて何度も涙を拭く!…もはや絞れそうな位にハンカチはボタボタなのだが、今だ収まらず!…その一方で視線をずらすとそこは死屍累々…マサツグ達同様まだ会議は終わって居ないと言った様子で息を切らして机を支えに体勢を整えようとする者達で溢れており、マサツグ達もまだ会議が続く事を覚悟して居ると、フィアナはもう会議が終わったかの様にある事をマサツグにお願いし始める!…
「……ッ!…そうであった!…マサツグ~?」
「ッ!……え?…お、俺?…」
「…ッ?…他に誰が居る?…
…ちょっと頼まれてくれないか?…
…ミスティーの護衛…ッ!…ンンッ!!…
貴君には我がミスティアナ皇女を
ホエールビアードまで護衛して貰いたい!…
頼めないだろ…」
__ッ!…シュッ!…タシッ!!……ッ?…
気の抜けた様子でフィアナが徐にマサツグの事を呼び出すと、その呼び方にマサツグは反応が遅れた様子で戸惑い!…慌てて返事をすると、フィアナはその反応をされた事で逆に軽い戸惑いを覚える。だが直ぐに気を立て直すと、マサツグにミスティーの護衛をお願いしようとし出し…改まるよう咳払いをしては頭を下げて正式にお願いを口にし、その様子を見てマサツグが反射的にフィアナのおでこに向かい手を伸ばすと、頭を下げる事を制止してしまう。
「……悪いがこの頭を下げる事に関しては
止めさせてもらうぞ?…
恐らくそうなる事はこっちでも予想出来ていたし?…
別に今更改まってお願いされる様な事でもねぇよ!」
「ッ!!……感謝する!!…マサツグ!!…」
__スリスリ♪…スリスリ♪……ブンブンブンブン!…
「……何かアンタもシロに似て来た様な?…」
マサツグはフィアナのお辞儀を阻止しては頭を下げなくて良いと言い出し、
改めてフィアナの頼み事を聞くよう快く笑顔で返事をすると、フィアナはマサツグに感謝の言葉を口にしてはその止められた手に自身の額を擦り付け始める。その際フィアナはライオンであるにも関わらず尻尾を振って喜びを露わにしており、マサツグがそんなフィアナにツッコミを入れて苦笑いをして居ると、その隣では何故か膨れた表情を見せるミスティーの姿を見つけるのであった。……因みにこの時シロはと言うとマサツグに用意された部屋のベッドで大の字に寝ては穏やかに過ごしており…目を覚ましたシロはその後マサツグが居ない事に気が付くと、慌て出す五秒前爆弾と化していた…




