-第二章四十九節 辿る痕跡と嫌われモンスターとまさかの発見!-
レイヴンを先頭に魔法陣から出ている痕跡を追い始めたマサツグ達。その際レイヴンの後ろを追い駆けるようマサツグはシロを抱えて歩くのだが…レイヴンはそのシロがやはり気になるのか何度かチラ見しては前を向き…チラ見しては前を向きを繰り返し…明らかに集中できていない様子を見せて居た。そんな様子にマサツグも苦笑いをしながらレイヴンの後を追うのだが、依然としてシロはレイヴンの事を見詰めており!…何だかんだで一応油断ならない状態に至ったままゲスデウスの屋敷を出ようとしていた。
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「……ッ!…なぁ、レイヴン?…
あの部屋に入った時お前さん
直ぐに魔法陣に気が付いたけど…
よくあの魔法陣を見つけたよな?…
一体如何やって見つけたんだ?…
俺には全くだったのに?…」
「…ん?…あぁ…あれな?何簡単な事だよ…
俺の選んだアバター…
アンデット種はちょっと変わった能力が有るんだよ。
ゾンビだと初期からリジェネが付いてるし…
ワイトなら俺みたいに魔力を探知して色々なモノを
見る事が出来る!…
あとゴーストだと壁をすり抜けたり出来るらしいけど…
防具や武器を装備して居ると壁抜けが出来ない
なんて言う仕様も有るらしい…
…で、俺の場合はワイトでスケルトン…
しかもジョブを魔術師に設定しているから特化型で、
相手の魔力や魔道具に宿る魔力が…あぁ~ほら!…
サーモグラフィってあるだろ?…
あんな風に靄になって手に取る様に分かるんだ…
だから入った瞬間あの魔法陣を見つける事が出来たんだ。
因みに魔力の濃度に関しても色で分かるぞ?…」
「…なるほど?…
…じゃあ今その靄を追ってるって事か……ッ!…
本当に面白そうって事を理由に選んだんじゃ…」
マサツグ達がゲスデウスの屋敷から出て来た際…マサツグはふと不思議に思った表情を浮かべると、徐にレイヴンへ問い掛けるよう声を掛け出す。マサツグが不思議に思った事と言うのはあの拷問部屋に入って直ぐレイヴンが魔法陣を見つけた事に、自分には全く見えなかった事を挙げて疑問の表情を浮かべてレイヴンに質問をすると、レイヴンは自身のアバタースキルを例に挙げて説明し出し…更に自分には如何見えるのか等細かな事までマサツグに話すと、その話を聞いたマサツグは納得したのか頷き返事をする。そしてハッと思い付いた表情を見せては改めてそのアバターを選んだ理由についてレイヴンに問い掛けようとするのだが、レイヴンは話を切る様にマサツグの言わんとする言葉を否定すると、訂正をする。
「いや?…それはマジ!…
単に面白そうだったから選んで…
っで、その後気が付いて吃驚したってとこ!…
だってゲームが始まったかと思えば
いきなり辺り一面が靄掛かってんだもん!!…
一番最初バグかな!?って普通に焦ったからな!!…
…でも何の事は無くてただ単にスキルだったって言う…
最初から驚かされましたとも!!…
このスキルには!……」
「そ、そうなのか!…
…因みに今どんな風に見えてるの?…その痕跡?…」
「あぁ…そうだな?…
…例えるなら…そう、タイヤ痕かな?…
術者一人一人にはそれぞれ魔力相って言うのが有って、
同じ物は一つとして無いんだ…
だからちゃんと後処理をしないとこう言う風に
後を追う事が出来て…まぁ、指紋に似てるんだが…
今回の場合はそのタイヤ痕が宙に浮いてるって
感じかな?…とにかく目立つよ?…」
「……俺魔術師選ばなくて良かったって思う…
話聞いてるだけでも面倒臭い…」
レイヴンはマサツグの話を否定して訂正をするのだが、この時同時に始めた当初の事を話し出しては驚いた!と…この魔力目視化の能力に戸惑った事を思い出し話し続けると、同時に楽しそうに笑って見せ…マサツグもその話を聞いて今どの様に見えているのか?と気になった様子で尋ねると、レイヴンは思った通りの事をマサツグに説明をし始める。その際魔術に関しての説明も間に挟んで口にするのだが、その話を聞いたマサツグは魔術師は性に合わないと感じたのか…面倒臭いと言った表情を浮かべては自分に正直な感想を口にし、それを聞いたレイヴンはやはりと言った様子で苦笑いをすると、続けて痕跡を追い続ける。そうしてマサツグ達はメインストリートに出ると、そのままハーフリングスの玄関口へと移動し…町の外に出ようとした所でマサツグが若干の不安を感じ始めて居たが、レイヴンはそのまま町の外へと歩いて行く。
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「……レイヴンさん?…町から出ちゃったけど?…」
「…と、言われましてもそのまま外に続いているが?…
何なら森に向かって伸びてるぞ?…」
「……やっぱり戦闘は避けられそうに無いな?…」
町の外に出るとレイヴンはそのままハーフリングスの街道を歩き続ける…その様子にマサツグは思わずレイヴンに声を掛けるのだが、レイヴンは反応を変える事無くそのまま歩き続け…マサツグに森の中まで続いて居ると何の疑問も持たずに答えると、マサツグはその答えを聞いてガクッと肩を落とす。万が一にも無いと思っては居たが、実はハーフリングス内にゲスデウスが隠れて居ると!…そんな淡い期待を持って居たのだが露と消え…楽に事が進まない事に落胆しつつレイヴンの後を歩き続けてマサツグ達はレイヴンの言葉通りに森の中へと足を踏み入れる。
__ガサ…ガサ…ガサ…ガサ……
「……ッ!…何か焦げ臭いな?…
何かが燃えていた?…
自然発火でも起きていたのか?…」
「…ッ!…その姿でも臭いは感じれるのな?…
って、ここは……」
マサツグ達は痕跡のままに森の中へ足を踏み入れ…ドンドン奥に向かい進んで居ると、レイヴンがある事に気が付き始める。それは辺りから漂う異臭…何かが焼け焦げた臭いで、辺りを警戒するよう痕跡を追いつつ視点を動かして居ると、マサツグはその様子にツッコミを入れ…同時に今自分達の歩いている場所があのドラゴンと戦って居た場所である事を理解すると、レイヴンに話を振り出す。
「……ここ…
昨日俺がドラゴンと戦ってた場所じゃねぇか…」
「ッ!?…え!?…」
「え?…いや…今日話したろ?…
昨日が裁判で無罪放免を勝ち取って…
裁判所出た直後にドラゴン退治って?…
…アレ言ったっけ?…」
「……何ならその話は初耳だと思うが?…
てかソロでドラゴンとか!!…
一体如何言う経緯でこんな!?……
こんな惨状の中を戦ってたって言うんだよ!!…」
「いやぁ~…如何と言われましても…」
思い出した様にマサツグがポロッと零すとその言葉にレイヴンだけでなくシロまで驚き!…マサツグもその二人の反応を見て釣られるよう驚きを露わにしていたが、軽い感じでその話を二人に話し出す。昨日裁判が有って、無罪を勝ち取って…そしてラドラゴンに襲われたと…まるで子供の様な言い様でマサツグは二人に説明し、話を聞いて更にレイヴンが戸惑った反応を見せると、その現場に辿り着いたのか惨状を指差してはマサツグに可笑しいと訴え始める!…昨日の今日でやって来たその現場はまるで嵐が通り過ぎた様に!…木々は薙ぎ倒され!…草花は灰となり!…辺り一帯は黒く煤けてまるでモノクロの世界を作り出して居た…ただ風景だけを見ればバグ…しかし事の顛末を聞けば兵達が夢の後と…ちょっとした詩でも歌えそうなその光景にレイヴンのツッコミも有ってマサツグが戸惑った反応を見せて居ると、不意を突く様にモンスターが突如として現れ出す!
__ガサガサッ!…ガサガサッ!!…バサァ!!!…
「ッ!?…敵!?…
しまった!…完全に油断してた!!…」
__ウギャギャギャギャーーーー!!!
__ギゲギャーーーー!!!
辺りから草木を掻き分ける音が聞こえているにも関わらず!…三人が反応出来ないで居ると、モンスター達は集団で姿を現すなりマサツグ達に向かい駆け出し始める!突如として現れたモンスターに漸く気が付いた様子でマサツグ達が慌て出すと武器を構え出し!…その際マサツグはシロを降ろして直ぐに抜ける刀に手を掛けるのだが、モンスターの姿を確認するなり驚いた様子で言葉を口にする。
「ッ!?…な、何だあれ!?…
ゴブリンが狼に跨ってる!?…
それも乗りこなしてるし!?…」
「ッ!?…まぁた珍しい奴らが出て来たな!…
あれはゴブリンライダー!…
言わずもがな狼に乗ってるゴブリンや!
機動力は高いわ地味に攻撃は痛いわで
面倒なモンスターや!
それにそこそこ会心率が高い!…
回り込まれないよう気ぃ付けろ!!…」
何とか相手から攻撃を仕掛けられる前に武器を構える事に成功したマサツグ達は、その狼に跨っているゴブリン達の姿に戸惑いを覚える。ただでさえゴブリン単体でも狼単体でも面倒臭いと言うのに、ゴブリン達は巧みに狼を乗りこなしている様子で…棍棒を片手にまるで暴走族の様な煽りを見せては迷う事無く突っ込んで来ており!…更にレイヴンは戦えないと言うこの上なく接敵したくない状況だと言うのにやる気満々と!…慌てた様子ながらもレイヴンは冷静にマサツグへモンスターの対処法を口にするのだが、次の瞬間マサツグ達は目の前で奇妙な光景を目撃する!…
__ダダッ!…ダダッ!……ニヤッ!…
ビクゥゥ!!…ザザァ!!
__ッ!?…グギャガ!?…
「え?…」
真っ直ぐにゴブリンライダー達はマサツグ達に向かい突っ込んで来て居たのだが、マサツグやレイヴンに悟られる事無く…シロがその狼達に向けて怪しい笑みを浮かべると、途端にその狼達は委縮し急ブレーキを掛け出す!…当然意図せずして急ブレーキを掛けられたゴブリン達は投げ出される様にして前へ吹き飛び!…その光景を見てマサツグ達が戸惑う中、目の前ではゴブリン達が綺麗な顔面着地をすると、そのままフェイススライディングを決めて見せる!
__ぱぴゅぅぅぅん!!…
…ズシャアアァァァ………ピクピクッ!…
「……え?…」
そしてその場で落下の衝撃に耐えられなかった様子でゴブリン達がピクピクと痙攣して居ると、突然の目の前の光景にマサツグ達はキョトンとした様子で戸惑い続け…急ブレーキを掛けた狼達はと言うと、ゴブリン達をそのままにして森の奥へと逃走し始める。
__キャインキャイン!!…
ダダッ!…ダダッ!…ダダッ!…ダダッ!…
「……えぇ~っと…
ご自慢の機動力が逃げて行ったがこれは?…」
「…俺もこんなの見た事ねぇよ?…
こんなコントみたいな事…」
__ドヤアァ!!…
ただ武器を構えて迎え撃つ態勢を整えて居たマサツグはその目の前の光景に困惑し、レイヴンもレイヴンでただ信じられない!…と言った様子でそのゴブリン達の哀れな姿に目を向けると、思わず同情をしてしまう…そうして一瞬の出来事では有るのだが、一体何が起きた?と二人は困惑し続け…シロはシロで狼を追い払う事が出来て満足なのか、尻尾を振っては誰に見せる訳でも無くドヤ顔を見せて居た。そうしてこの後の展開について如何したものか?…と思わずゴブリンの様子を気にしながら二人が硬直して居ると、ゴブリン達は急に動き出して立ち上がる!…
__グググ!!…グ…グギャガアアアア!!
「ッ!…あっ…起きた…」
「いや起きたじゃねぇだろ!!…来るぞ!!」
今にも泣き出しそうな表情を浮かべつつ!…ゴブリン達は退くに引けないと言った様子で立ち上ると、途端に棍棒を振り上げてはマサツグ達に襲い掛かる!この時自分達を鼓舞する様に叫び出すのだが、あの光景を見た後なので如何にも迫力が無く…ゴブリン達が倒れている時にマサツグも一度刀を鞘に仕舞ったのだが、向かって来た事に対し困惑気味に再度刀を鞘へ納刀した状態のまま身構える。ゴブリン達が起き上がった際気の抜けた様子で呟き、その呟きに対してレイヴンがツッコミを入れるのだが!…マサツグは問題無いとばかりにその納刀した刀を振るって見せると、その襲い掛かって来たゴブリン達を一掃してしまう!
「いや向かって来るって言われてもなぁ…
よっと!!…」
__フォフォフォフォ!!!…バババババキィ!!!…
__グギャガアアァァ!!!……
レイヴンに返事をしつつ…マサツグは春風刀で的確にゴブリンの頭を叩き!…斬って落とす様に地面へ転がすと一息吐いて見せる。その際ゴブリン達は悲鳴を上げて頭を抱えると事切れた様にその場でうつ伏せに倒れ…本当にピクリとも動かなくなってしまい…マサツグも倒すつもりで攻撃したのだが先程の事が頭を過っては不憫に思ってしまい!…意図せず手加減をしてしまい気絶に留めてしまうと、そのまま戦闘を終了させる…
「ッ!?…はっや!?…」
「……ふぅ…思わず手加減しちまったけど…
ざっとこんなもんかね?…
不意さえ突かれなければ対処の仕様は幾らでも有る!…
…てか俺はさっきのあの光景の方が怖過ぎるんだが?…」
「むふ~!!…
ミスティーお姉ちゃんに教えて貰った通り!!…
ぜっこうちょうなのです!!」
「「ッ!…え?…」」×2
その一瞬の様な刀捌きにレイヴンは驚くとマサツグを見詰めるのだが、マサツグはなんて事無いと言った様子でレイヴンに話しては笑い!…ただ先程のフェイススライディングの方が怖いと戸惑った様子ながらに言うと、また倒れているゴブリン達に目を向ける。そんなマサツグに対してレイヴンも初めてと言った様子で戸惑いながら返事をするのだが、シロはそんな様子など御構い無しにグッとピーカブースタイルで森の先…先程の狼達の様子に目を向けると自信満々の言葉を口にしていた。そんなシロの様子にマサツグとレイヴンは不思議そうな様子で見詰めると言葉を漏らすのだが…終わり良ければ総て良しで流すと、一同は改めて!…ゴブリン達をそのままに森の中へと再び進み出すのであった。…しかし暫く森の中を歩き続けて居ると、モンスターも出て来る森だと言うのに…突如としてフラフラと徘徊している奇妙な人影を見つける…
「……にしてもさっきのアレは
もう見事としか言いようが無いな?…
あんなのそうそう見れねぇよ!…」
「…だな?…
アレは近年稀に見る見事なフェイススライディング…
…って、ん?…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…ヴァアアアア…
「……何だあれ?…人?…に違うは無さそうだが?…
何だこの呻き声めいた声は?…」
先程のゴブリン達の事を話しつつ再び痕跡を追って歩いて居ると、何やら様子の可笑しい人影を見つける。両腕を前に突き出しては手をダラン…とさせ、膝の関節は曲がらないのかまるでコンパスを歩かせる様に歩いて見せると、何やら挙動が可笑しい様子を窺わせる!…極め付けがまるで地を這う様な低い声での唸り声と、不気味さを物語っており!…まだ遠目から見て居るだけで恐らく人であろうその物陰に…マサツグ達が不気味さを感じて居ると、シロは異変を察知した様にある事を言い出す!…
__……ッ!…スンスン!…ッ!?…
「ッ~~~~!!!…ごひゅじんしゃま!!
このしゃきからすっおくくひゃい
にほひがするのへふ!!」
「…ッ!…臭いがする?…
…両手を前に突き出して唸り声…
オマケに膝は曲がって居ないし臭い…
って、まさか!!…」
「……俺は今の言葉を聞き取れた
ヤブの方に驚きだわ!…」
シロは何かに反応した様子で辺りの臭いを嗅ぎ出すと、途端に自身の鼻を摘まみ!…マサツグの服の裾を引っ張って何か臭う物が有る事を伝えると、それを聞いたマサツグはその見えている人影を含めて考え始める!…そしてある結論に至ったのかマサツグは嫌な表情を見せると慌て出し!…レイヴンはレイヴンでシロの言葉がよく聞き取れなかったのか、マサツグの耳に良さに若干驚いてはツッコミを入れて、目の前の人影を凝視し始める!するとマサツグの結論は的中したのかその人影はマサツグ達の居る方へ徐に振り向き!…その素顔を見せると、マサツグ達を驚かせる!
__ヴァアアアア…
「ッ!?…く、腐ってやがる!?…ッ!…
…出すのが!…早過ぎたんだ!!…」
「ッ!?…んなボケた事を言ってる場合か!!…
…幸いここはその術者との距離が近いのか
痕跡はハッキリと残ってる!…
これなら戦闘を手伝う事も出来るが!…
この森はアンデットが湧くのか!?…
ここでドラゴンと戦ったんだろ!?」
「ンなもん知るか!…
俺もそこまで詳しく知ってる訳じゃ無い!!…それに!…
ドラゴンと戦っている時はドラゴンと一対一の
状態だったからな!…
目に付かなかっただけかも知れんし!!…
ただこうして居るって事は恐らく!!…」
その人影がマサツグ達の居る方に振り向くとそこには見事に腐食した人の顔が!…ある程度新鮮なのかまだ軽度で済んでは居るものの、両眼球は紛失してただの窪みが出来ており!…見えているのかいないのか、マサツグ達の事を見つけた様子で真っ直ぐ!…ゆっくり歩いて来ると、それに反応してマサツグ達は身構える!…その際マサツグはそのゾンビの表情を見ては何故か某風の谷のネタでボケ出し!…そのボケに対してレイヴンが慌てる様にツッコみを入れ、マサツグにこの森の事について質問をする!…レイヴンもアンデットだと言うのに何故かただ慌てており!…マサツグも慌てた様子でレイヴンに返事をすると、知らないと言う!…そして少なくともここにアンデットが居ると言う事は!…と言った具合に!…二人がただ面倒臭いと言った様子で辺りを警戒して居ると、その目の前のゾンビは吠え出す!…
__ザッ…ザッ…
…ヴォアアアアアアアアァァァァァ!!!!…
「ッ!?…来るぞ!?…」
「クソッ!!…
こんな事なら聖水の一本でも買って置くべきだった!」
__ヴァアアアア…ヴァアアアア…
まだマサツグ達との間合いは開いているものの!…突如として天には響かなくとも地鳴りのする様な叫び声をゾンビが上げると、マサツグ達は更に警戒を強める!…さて…ここでまた少しこのゲームのモンスター…「ゾンビ」について説明を…ここまでマサツグ達が警戒をする…たかがゾンビ一体に何故ここまで慌てて居るのかと言うと、このモンスターは屈指の嫌われモンスターであり!…冒険者の死因ベスト5に入る!…危険モンスターだからである!このモンスターの嫌われている理由…
その壱!…とにかく仲間を呼ぶ!
このゾンビが居る所ではこう言った警告が有る!…
1体居れば軽く50体は居ると思えと!…
まるで冷蔵庫裏に居る黒い悪魔を彷彿とさせる
言われ様がある位に!…
とにかく先程の様に叫んでは周囲に居る仲間を
呼び始める!
それを知らずに戦えばズルズルと…
泥沼化は免れないと言われており!…
戦闘をする場合は仲間を呼ばれる前に始末する!…
これが鉄則とされている!
その弐!…何度でも復活する!
何度でも復活するとは言うモノの完全に倒す事は
出来る!…しかしその倒す条件が面倒臭いのである!
まずは属性攻撃!…最後の一撃を地水火風雷氷の
属性攻撃で倒した場合、その属性に関する
エフェクトが出て来て消滅と…この消滅を持って
完全勝利となる。これがただの剣戟や打撃だと
ゾンビの体力を削れても消滅させるまでは至らず!…
時間経過で復活すると言った泥沼化の要因と
なってしまう…勿論属性攻撃の他に聖属性の
攻撃・聖水を使う等…色々対処法は有るのだが
属性攻撃を放つにはやはりTPが必要で、
大量に出て来られる!=TPも大量消費と…
最悪詰んでしまう場合が有る!…
ゆえに最初から情報を集めて対策をする等…
色々しないといけないのだが、今回は完全に
準備不足で、絶賛囲まれ始めようとして居るのである!…
その参!…これが恐らく一番の嫌われ要因である!…
その理由とは!…「EXPが少ない」!!…
他のモンスターに比べて圧倒的に経験値が
無いのである!…恐らくゾンビは集団で現れる為、
運営側によって調整が成された結果なのだろうが
その実りはトンデモナクヤバく!…
とある冒険者の検証により3時間ぶっ続けで戦ったが
その経験値量は何と!?…
某銀色のスライム一匹にも満たない経験値量で有り!…
何度呼んで戦い続けたとしてもただ苦労するだけ!…
骨折り損の結果に終わったのである!…
これによりゾンビに対する評価は駄々下がり!…
何なら戦う価値の無いモンスターとして扱われ、
今に至って居ると言われている!…
こうして3つの理由が重なって嫌われているゾンビが今目の前に!…仲間を呼んでマサツグ達に襲い掛かろうとしては窮地に追いやろうとして居るのである!
「チッ!!…本当に面倒でしかない!!…
ヤブ!!…魔法唱えるからタンカーヨロ!!」
「ッ!?…ちょ!?…俺剣士!!…
って、言ってる場合じゃないか!?…
シロは無理しなくて良いからな!?」
最初のゾンビが叫んだ事で続々と周りに居たゾンビ達が集まり始める!…さながら米国お得意のゾンビ映画の様に!…マサツグやシロに向かいゆっくり歩き出しては低い唸り声を上げて迫って来て、その際レイヴンは既に仲間と思われているのか…何故か然程ターゲットを貰っては居らず、生者であるマサツグ達にターゲットが向いて居る事にレイヴンが気付くと、マサツグにタンカーを買って出る様にお願いをする!そんなレイヴンの指示にマサツグはジョブが違う!…と言った具合に慌てた様子でツッコミを入れるのだが…徐々に迫って来るゾンビ達に対してそんな事を言っている場合では無く!…仕方なしにタンカーを引き受けるとシロに指示を出し、シロはシロで大きく息を吸い込むとそのまま息を止めて…マサツグにサムズアップをして見せると、戦う意思を見せる。
__すぅ~~~!!!…クッ…ビッ!…
「…匂いが駄目なだけなのね?……
とにかく危なくなったら後ろに下がるんだぞ!?…
んじゃ!…行くかあぁ!!!」
「んん~~~!!」
最初シロが初めてゾンビを見た時!…明らかに嫌そうな表情を見せて居たのでゲテモノは駄目なのか?とマサツグは心配し、シロに下がるよう指示を出したのだが、如何やら駄目なのは臭いだけらしく…戦う意思を見せたシロに対し若干の逞しさを感じると、改めて無理をしない様に言い聞かせる!…自身も春風刀を手に握るとゾンビに対して構え!…威勢良く吠えて駆け出すとそれに付いて来るようシロも一緒に駆け出し!…遂に嫌われ者ゾンビとの戦闘の幕が上がる!…
「どおぉっせい!!」
__ザシュッ!!ドシュッ!!
「んんんんんんんんんん~~~~!!!!」
__バシュン!!…ザクウゥゥゥゥン!!!!……
マサツグが一気にゾンビとの間合いを詰めると触れられる事無く刀で首を刎ね!…マサツグにターゲットを向けているゾンビに関してはシロがカマイタチで真っ二つに切り裂くと、そのまま斬った、切り裂いたゾンビを消滅させる!…この時シロのカマイタチは風属性でマサツグの刀も風属性!…特段ゾンビを相手する分には問題は無いのだが…違う所で問題が出て来る!…
「ヒュ~!!…さすが英雄様ご一行!…お強い事で!」
「でりゃあ!!…そらどうも!!…ッ!?…」
__……ヴォアアアアアアアアァァァァァ!!!!…
「ッ!?…コイツ!!…また増援を呼んだな!?…」
最初はマサツグとシロだけでもゾンビ達を圧倒する事は出来ており、その光景にレイヴンもさすが!と言った様子で二人を称賛するのだが…その数が減って来るとゾンビ達がまた叫んで増援を呼び!…戦闘そのモノを振り出しに戻してしまうと、マサツグ達の疲労感を溜め始める!…斬っても切り裂いてもまた呼ばれ!…これを繰り返しては終わりの無いまさに泥沼と化して行き!…マサツグの鬱憤も溜り出しいつもの様子で自棄を起こしそうになって居ると、レイヴンが遂に魔法の詠唱を終えたのかマサツグに指示を出す!
「……よし!…ヤブ!!
シロちゃん連れて離れてくれ!!!」
「ッ!?…よし!!…
待ってたぜレイヴン!!…シロ!!」
「ッ!…んあいです!!」
「《降り注ぐ炎の雨よ!!…
我が眼前に居る歯向かいし者共を焼き払え!!…
フレアレイン!!!》」
レイヴンはマサツグ達がターゲットを集めてくれている間に魔法を詠唱…細かい範囲に二次被害が起きないよう配慮を配り!…マサツグとシロの動きを見計らいタイミング良く指示を出すと、マサツグはその指示を待って居たとばかりにシロに指示を出す!…その際シロも呼吸の限界が来て居た様子で息を吐きながら返事をし、二人揃ってレイヴンの魔法範囲外に慌てて逃げると、レイヴンは確認を取り次第杖を掲げては魔法を発動する!その際最後の詠唱を口にすると杖が輝き!…マサツグの目の前で見覚えの有る魔法が発動され、ゾンビ達は一気に焼かれ始める!…
__ゴウッ!!バババババババ!!…
ヒュン!!…ヒュンヒュンヒュン!!!…
「ッ!?…こ、これって!!…」
__ジュゴオオォォ!!!……ヴァアアアア…
「……やっぱりあまり見ていて良いモノでは無いな…」
ゾンビ達の頭上より火の玉が降り注ぎ出し!…火の玉に直撃すると炎上し始める!…直撃しなくとも辺りを焼いては火傷のあるエリアを作り、その炎の雨の中ゾンビ達が悶え踊る様に焼かれ苦しみ消えて行くと、その魔法の光景を見てはマサツグが戸惑う!…何の事は無い!…これはあのカルト教団の教祖が使って居た魔法であり、ゾンビ達も呻き声を上げながら倒れて行くと、その魔法を唱えた術者本人が後悔した様子で呟く…幾ら一気に殲滅しないといけなかったからとは言え、あまりにも惨い!…そのゾンビ達が消滅して行く姿に…マサツグ達はただ唖然とするしかないのであった…そうして魔法も止み戦闘が終了された所で辺りは焼け野原となり…煙が晴れて行くとそこにはゾンビがドロップしたであろうアイテムが転がっていた。
__シュウウウゥゥゥ!!……
「……ふぅ…お疲れ!…
しっかし突然のゾンビだったな?…」
「あ…あぁ…そうだな……やっぱあれなのか?…
初代宜しく森にバイオでハザードな
展開ってのは付き物なのか?…」
「いやそんな展開俺は知らんが?…」
レイヴンは終わったと言った様子でマサツグに声を掛け、マサツグはマサツグで先程の光景を引っ張っているのか、戸惑いを隠せない様子でシロを連れて返事をしていた…しかしレイヴンの問い掛けに対してボケる様に気を取り直して居ると、そのボケには付いて行けなかったのかレイヴンは苦笑いし…何とも後味の悪い戦闘後にマサツグ達が如何にもやり切れないで居ると、ふとある物が目に付く。
「……ッ!…あれ?…」
「…ん?…如何した?…」
「いや…あれ?…」
__スッ…キラッ…
マサツグが見つけた物とは先程のゾンビの遺品か、指輪の様な物を見つけ…レイヴンもマサツグの反応が気になった様子で声を掛けると、マサツグはレイヴンにも分かる様にその指輪の様な物を指差す…更にあのゾンビ達のドロップ品にしてはアイテム化されて居ない事にも気が付くと、余計に何故か?と不思議に感じてしまい…他のドロップ品を回収しつつその指輪の元まで歩くと徐に手に取って確認をする。すると…
__…スッ…
「……ッ!…あれ?…「マルク・ノエル」?……
この名前って確か……」
「……やっぱゾンビのドロップ品は頂けないなぁ~…
…ん?…おいヤブ?…
何かよくよく見ると他にもアイテム化されていない
装飾品が色々落ちて居るんだが?…」
マサツグはその指輪を手に取りマジマジと観察をすると、内側に何か文字らしき物が掘られて有るのを目にする。この時…指輪は少し煤けて見難い等と言った点も有るのだが、そこには「マルク・ノエル」と…誰か人名らしき名前が掘られて有り、その名前に覚えが有るとマサツグが疑問に感じて居ると、レイヴンは一人ドロップ品を回収し続ける。ゾンビが落とすドロップ品は如何にもショボい…内容物は人キメラと一緒でレアドロップが金歯と…手に入れて一体如何しろと?とレイヴンは相変わらずと言った様子で考えてしまうのだが、はたと辺りを見渡すとマサツグが見つけた指輪の他にアイテム化されていない装飾品を多数見つけ!…その事にレイヴンが軽い恐怖を覚えて居ると、マサツグも思い出した様子で声を戸惑わせる!…
「ッ!?…これって!?…行方不明者の名前だ!!…
それも裁判で使った!!…」
「え!?…ゆ、行方不明者?…それに裁判って?…」
「……俺の予想が正しければここに居た
ゾンビ達は恐らく!…
ハーフリングスで行方不明者にされて居た
被害者達だったんじゃ!?…
…今見つけたこれはその行方不明者の遺品!…
間違いは無さそうだ!…」
マサツグが突如思い出した様子で行方不明者の名前!…と言い出すと、その言葉にレイヴンは戸惑う!…当然まだハーフリングスに来て半日位しか経って居ないので何の事を言っているのか分からず!…マサツグに真意を尋ねる様に言葉を掛け出すと、マサツグは先程のゾンビ達に対して推理した事を話し出し!…レイヴンに説明するよう行方不明者が居る事を続けて話すと、レイヴンはその言葉を聞いて更に戸惑いを露にする!
「ッ!?…マジで?…」
「間違いない!…
…これも!…これも!…これも!!…
王宮の報告会に出席した時に見た行方不明者リストに
載っていた名前が彫られてある!…
ただもうその本体も消滅したから
確認のしようが無いけど…多分そうだ……」
レイヴンの驚きを余所にマサツグも慌てた様子で遺品に目を通し出すと、一つ一つ自身の記憶にある行方不明者の名前と照らし合わせ!…確信を持った様子で驚き、本当に合って居るか答え合わせしようにも本体が消えた事で出来ないと悲観し始めて居ると、同時にゲスデウスの正体についても悩み出す!…何故なら悪魔召喚の魔法陣を扱い、ゾンビも指揮出来る様な獣人の話等聞いた事が無いからである。獣人に魔法適性は望めない!…それこそキャラメイクをしない限りは!…と悩むのだが、今はそのゲスデウスの痕跡を辿る事しか出来ないと!…マサツグとレイヴンは互いに顔を見合わせると無言で頷き、痕跡の続く方へ振り向くとまたシロを連れて歩き始める。その際辺りからは春野原のカルト教団の事件に似た不気味さをマサツグは覚え!…嫌な予感を全身に浴びるよう感じつつ、警戒を更に強めるのであった!…




