-第二章三十九節 ミスティーの姉ともう一つの計画書とまさかの飛来!-
マサツグの裁判が終わり…ゲスデウスの告発も無事女王陛下が直々に動き出した事で大事件として取り上げられると、裁判所内は何とも言えない沈黙に包まれ、異様な雰囲気を漂わせる。ただ殺気に似た怒りを放つ女王陛下をそのままに…その一部始終を見ていた傍聴席の獣人達はただ怒涛の展開に付いて行けず、驚いた表情で固まっては微動だにしないで居た…そしてマサツグもそんな不穏な空気の中ではあるのだが、一応は一段落したと…そう言った様子で肩の力を抜いて安心して居ると、ミスティーも安堵した様子でマサツグの腕に抱き着いては名前を呼び出す。
__…ガバァ!!…
「マサツグ様!!…」
「うぉッ!!……ミ、ミスティー?…」
「良かったぁ~!…本当に良かった!……」
マサツグに抱き着くミスティーはまるで懐いた猫のよう!…何度も甘える様に顔をグリグリと押し付けては嬉し涙を目に浮かべて良かったと連呼し、マサツグはマサツグで抱き着かれた事に戸惑った反応を見せるのだが、ミスティーが自分の事を心配し続けてくれていた事を理解すると、頭を撫でて感謝の意を伝える…
__…ぽん…なでなで…
「…ありがとな?…ミスティー…」
「良かった!…よかったよぉ~!…」
__ゴロゴロゴロゴロ!…
まるであやす様に言葉を掛け…飼い猫を可愛がる様に頭を撫でると、ミスティーは喉を鳴らしながら喜びを露わにする。これがちゃんと人間と猫の間で起きて居る事なら問題は無いのだが、思いっきり人型同士でやって居る事なので…何も知らない人間から見ればただ怪しいプレイをしている様にしか見えず、そうして厳粛な裁判所内にて似つかわしくない雰囲気を漂わせていると、徐々に女王陛下も落ち着きを取り戻し…ふと気が付いた様子でマサツグ達を…傍聴席の獣人達と共にその二人の様子を眺めて居ると、マサツグはハッとした様子で慌て出してはミスティーに声を掛ける。
「……ッ!?…ミ、ミスティー!?…
もうそろそろ離れた方が良いのでは!?…」
「え?…あっ!…」
「い、いやスマン!!…
俺も何の気なしに撫で出したのも悪かったんだが…」
「い、いえ!…こちらこそ!…
すみません…でし…た…」
周囲の目に気が付いた所でマサツグがミスティーに声を掛けると、ミスティーもハッ!と周囲の目に気が付いた様子で…慌ててミスティーが離れて見せると二人は揃って顔を赤くしては謝り始め、互いに無意識にと言った様子で言い訳を口にしあって居ると、その様子を女王陛下はニヤニヤと!…先程の怒りを忘れる様に何か企んでも良そうな表情を見せて居た。
__ニヤァ!……
{…外に遊びに行くと聞いては居たが…
まさか男を見つけて来るとは!…
ミスティーの奴め!…隅に置けぬでは無いか!…
…っと!…イカンイカン!…それより!…}
__…バッ!…シュタ!……コッ…コッ…コッ…コッ…
まるでこれは!これは!…と言いたげな視線で…女王陛下は二人を見詰めて居たのだが、直ぐにハッ!とした様子で元に凛々しい表情に戻ると、徐にマサツグの元へと飛び跳ねて一回転半の綺麗な着地を見せる!…その際傍聴席の獣人達は何事かと言った様子で女王陛下を見詰めるのだが、さすがネコ科と言った所か…スッと着地から立ち上がると何事もなかったかの様に歩き出し…マサツグの前に立つと、女王陛下は先程までのマサツグに対する扱いに対して謝り出す。
「…マサツグ殿…
先程は試す様な真似をしまい申し訳ない!…
…一応は幾ら妹を助けた者とは言え、
注意を払わねばならなかった故…
そしてこれも礼が遅くなって申し訳ない!…
ありがとう!…
我が妹を!…我が親友の命を助けてくれて!!…」
「ッ!…あっ!…いえいえ…それよりも…」
女王陛下はマサツグの前に立つと名前を読んで頭を下げて謝り出し、王族として…国の長として注意を払った経緯を含めて弁明すると、改めてミスティーと柴犬の元メイドさんを助けた事に対して感謝の言葉を口にする。その際やはり鎖国しているのは女王陛下の意思なのか?…注意を払ったと言った言葉にマサツグは引っ掛かりを覚えるのだが、とにかく例の如く頭を下げられているのを目にすると、マサツグは戸惑っていつもの様に頭を上げるよう声を掛けようとする…しかしそれよりも先に女王陛下が顔だけを上げてニヤッとマサツグに笑って見せると、次にミスティーを見詰め出し!…何を思ったのかそのままの体勢で問い掛ける様に喋り出すと、茶化す様にミスティーの事をマサツグに話し始めては徐々に体勢を元に戻す。
__スッ!…
「……にしても驚いたぞぉ?…ミスティー?…
そなたのいつもの引っ込み思案が
無くなったかと思えば!…
助けたい者が居る!!と言ってエルフの国に
連絡し出すとは?…
それに助けた男が中々の度胸持ち!…
ミスティーも良い婿候補を連れて来たものだな…
姉として余も嬉しいぞ!」
「ぶふっ!?…」
「ッ!?…お、お姉様!?!?…」
ミスティーの事を話す際の女王陛下の表情はチョッカイを入れたがる意地悪そうな姉の表情で、話し始めたのはマサツグが監獄に入れられている間の奮闘記であり!…ミスティーが国の外で男を見つけて来た!とまるで娘をネタに会話を広げようとする母親の様な手口で弄り出すと、マサツグはその彼氏と誤解されている事に吹き出し!…ミスティーは顔を真っ赤にし慌てた表情を見せると、女王陛下に向かって行っては両手を振り上げ子供の様に殴り掛かる!
__ポカポカポカポカ!!…
「あっはっはっはっは!!…全く!…
幾つになっても可愛いな!…余の妹は!…」
実の妹に叩かれて居ると言うのに女王陛下は笑って両手で防ぎ受けると、ただミスティーに笑って見せ!…ミスティーはそんな女王陛下に対してムキになり続けて居ると、その様子に女王陛下は可愛いとやはり笑う。…嘘みたいだろ?…これ?…裁判後なんだぜ?…と先程までの切迫した様子が嘘の様に晴れやかなモノになり出すと、マサツグも思わず笑い出しそうになってしまい…フッと笑いが込み上がって来るのだがしかし、次にはハッ!と思い出した様にある疑問がマサツグの頭を過り出すと、兄弟喧嘩?…をして居る二人を呼び止めてはその疑問を口にし始める。
「……ッ!…あっ!…そうだ!!…
ミスティー!!シロは!?…
アイツにはミスティーの護衛を!!…」
「え?…あっ…あぁ!…はい!…
大丈夫ですよ!…シロちゃんは王宮に居ます!…
今日マサツグさんを連れ帰るって約束して
その復帰祝いの準備を任せてます!…
…シロちゃん大張り切りでしたよ!…」
マサツグが口にした疑問と言うのはシロの事であり、ミスティーがここに居ると言うのにシロが居ないと!…何か有ったのでは!?と慌てた様子でミスティーを呼んではシロの居場所について尋ねると、ミスティーはマサツグの様子に若干戸惑った反応を見せるが無事だと答え!…王宮でマサツグの帰りを待って居ると笑顔で安心させるよう説明すると、その言葉を聞いたマサツグは途端に安堵した表情を見せる…しかし更にここである疑問が出て来る!…
「ッ!…そ、そうか…無事なら良いんだ…
…ッ?…って、いやいや!…
これで俺が有罪になったら如何するおつもりで?…
それに俺が有罪になった場合確か!…」
更なる疑問!…それはマサツグが裁判で有罪になった場合について!…裁判所に来るまでの道中…マサツグは看守から有罪になった場合は死罪にされると説明されて居たにも関わらず、ミスティーの口ぶりだとまるで今日絶対に連れて帰れると言った!…自信に溢れた言葉が飛び出して来た事に疑問を感じていたのである!…何処にそんな根拠が?…確かに鏡の手配等マサツグ側が有利に動く様にはなって居たが、万が一が有る!…そう言う事を考えてマサツグはミスティーに尋ねるのだが、ミスティーは笑顔でサラッとトンデモナイ事を口にする!…
「あぁ!…王族特権を行使しようかと!…
その為にお姉様にも来て貰ったのですが…」
__ッ!?…
「…その必要も無かったようだがな?……
まさか監獄を脱獄して自ら無罪の証拠を集め!…
そして自ら牢獄に戻ると言った奇行を見せるとは!…
本当に恐れ入った!…」
「………。」
ミスティーの口から出て来るとは思わなかったまさかの王族特権行使!…その言葉が出て来た瞬間マサツグは驚きの余り固まってしまい!…ミスティーを見詰めたまま目をパチパチとさせて居ると、目の前では女王陛下が笑い出す!…ミスティーの言葉に対して女王陛下は咎めると言った事はせず、ただマサツグの事を変わり者と言って笑い!…そのミスティーの変わり様にマサツグがある意味責任を感じていると、ただ目の前では仲直りしたのか二人揃って笑い合って居り!…こうなったのはやはり自分の言葉のせい!?…或いは内弁慶だったとか!?…と色々考えてしまう中、無罪を勝ち取れて良かったと改めて安堵していると、マサツグはハッ!と我に返った様子で女王陛下とミスティーに声を掛ける。
「…ッ!?…って、そうだった!…
ミスティー!…女王陛下!!」
__ガッ!!…
「…ッ!?…な、何だマサツグ殿!?……ッ!!…
よ、よもや余も落とそうと言うのではあるまいな!?…
た、確かに情熱的に来られると余も弱いが…」
「…ッ!?…何を勘違いされているのかは
分かりませんが違います!!…とにかくこれを!…
さっきの裁判では出しても意味が無かったので
出さなかったのですが…」
マサツグは真剣な表情で女王陛下の肩に手を伸ばし!…引き寄せる様に振り向かせると、その突然の事に女王陛下は戸惑う!…強引かつ大胆に!…今までそんな事をされた事が無いと言った表情で困惑してはマサツグに何ようか?と尋ね!…その際女王陛下の悪い癖か頬を赤らめながらマサツグに茶々を入れようとすると、その反応にマサツグは違う!とツッコミを入れる!そしてツッコミを入れた後、裁判の時には出さなかったもう一つの証拠の書類!…自身のインベントリから徐に取り出して見せると、その計画書の事で話が有ると手渡し始める。
__パサッ…スッ……ッ!?…
「……一応聞きますが?…
ミスティーにホエールビアードへ行くよう
仕向けたのは誰です?…ミスティーの性格上…
自分からあの町に行きたいと願う様な子には
思えないのですが?…」
「……ゲルデウス…あのネズミだ!…
公務を忘れて息抜きにと提案して来たのを!…
余がそれを許可した!…
たまには良い事を言うとその時は思って居たが!!…
よもやこの様な事を!!…
そしてこの計画書を見る限りはあのネズ公!!…
絶対に許さん!…」
__グシャッ!!!…
マサツグが手渡したのはあのゲスデウスの屋敷で見つけた…証拠の計画書の中にあった一枚の…それもまだ未達成の計画書で、内容は以下の通りに描かれて有った…
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「ミスティアナ姫・誘拐解禁計画書」
○○○○年◇月△日
計画の概要はこうである…
-中立港町ホエールビアードにてミスティアナ姫の誘拐-
あの町は観光客が多く、その上ナンパも多い。これを
利用しミスティアナ姫をバカンスと称しご移動して
頂いた後、我が配下を使ってナンパを偽った誘拐を
試みるモノとする。勿論他の者に一切バレては
いけない!…隠密重視の作戦である。
まずは私が陛下に意見し、ミスティアナ姫をバカンスと
称した視察へと出向かせる。その後ホエールビアードに
移動した際、護衛・付き人が居ると予想されるので
まずはその者達の無力化と排除…始末の際手段は
問わない、ただ見つからない様に処分せよ。その後
ミスティアナ姫を孤立させた後に誘拐。誘拐先は私の
隠れ家とし、一生涯をそこで過ごして貰う。ここまで
来るともうミスティアナ姫は用済みなので私の新しい
玩具として楽しませて貰うとしよう。
因みに処分に困った際は付属している地図を頼りに
すると良い、恐らくはそれで誤魔化せると思う。
失踪から数ヶ月たった後に偽の脅迫文を作成、
女王陛下に差し出すと忽ちに自身の肉親が
攫われた事に錯乱し倒れるだろう。何故なら
ミスティアナ姫は女王陛下の唯一の肉親なのだから。
成功報酬は150000000G
更に私が実権を握る事が出来たならば貴族に格上げ等の
追加報酬も出す。ただし失敗をした場合はそれ相応の
罰が有るので心して掛かる様に!…健闘を祈る!…
ハーフリングス 宰相
アスモマウデル・ゲルデウス・マウニーより
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マサツグが手渡した誘拐計画書の内容を女王陛下とミスティーが目にした途端!…ミスティーは両手を口に当てて引き気味に青褪め、女王陛下は目を剥きその文章を睨み付け怒りを覚えた様子を見せては、それぞれ違う困惑の反応を露わにする!…そんな反応を目にしつつマサツグは一応と言った具合に誰がこの視察に行くよう指示をしたのか?と尋ねると、女王陛下は静かな怒り交じりの声で答え!…ゲスデウスの思惑に嵌った事で更に怒りを燃やしたのかその計画書を握り潰すと、息を激しく荒げる!…そして青褪めていたミスティーも徐々に両手を降ろすのだが…今度は寒がる様に自身の体を抱き締め出すと、誘拐された様子を想像してしまったのか…青ざめたまま震え出し、その場で若干俯いては恐怖に満ちた表情をして居た…そうして二人が困惑を隠せない様子を見せて居ると、ふとマサツグはある事を思い付くと同時に疑問を持ち…女王陛下に声を掛けるとある事を尋ね出すのであった。
「……ッ!…そう言えば…
つかぬ事を伺いますが何故鎖国を?…
別に何か危機に瀕して居る様には
見えないのですが?」
「ッ!…あぁ!…それもネズ公の言い分だ!…
何処から仕入れた情報かは知らんが!…
この国に戦争を仕掛けようとする輩が
居ると言っておった!…
スパイを入れない様にする為、疑わしい者は監獄へと…
これも奴が仕切って居った!…
情報が定かで無い限りは余も鎖国は
したくなかったが!…」
ある思い付きを話す前に…マサツグは先に疑問の方を解決しようと考えると、女王陛下に鎖国をしている理由について問い掛け出す!…本来鎖国と言うのは何か危機に瀕している!…それこそどこぞの宗教弾圧の為に国を閉めたと言った理由が無い限りはしないと言うのが相場で、勿論別に理由は有ると思うがマサツグがハーフリングスを見た限り!…その危機的状況はゲスデウスの策略だけでこれと言った物は見当たらなかったのである。それを踏まえて女王陛下に理由を尋ねて見たのだが、その鎖国の理由もゲスデウス絡みで!…女王陛下も鎖国はしたくなかったらしく、何か渋る様に言っては別の理由も滲ませると、その言葉にすかさずマサツグが食い付く!…
「ッ?…何が?…」
「……我が国の外で人間の諜報員らしき者が
動き回って居るとあってな?…
それが余計に不安を煽る種になったのだろう…
それをきっかけに鎖国………ッ!…
冒険者のマサツグ殿は何か聞いては居らんのか?…
何処の国が戦争の準備をしているとか
そう言った情報は!?……」
マサツグが引っ掛かりを覚えた様子で戸惑いながら質問をすると、女王陛下はその渋った理由についてばつが悪そうな表情を見せては、マサツグにその理由を話す…何でも鎖国をしてからだろうか?…ハーフリングスの外で不審者を見つけたと言う話があり、それがきっかけで鎖国をしたと万が一を考えてやったと女王陛下が話すと、ふと疑問を感じたのかマサツグにある事を尋ね出す。
「……ッ?…いや?…
そう言う情報が有ったらまずギルドに
連絡が行くだろうし…
それにどの国も平穏そのものって聞いて居るが?…
…それもこの国みたく鎖国しているとか
そう言うのでない限り…」
「…と言う事はその戦争の話からしてネズ公の大嘘!…
と、言う事か……だとするなら今あのネズ公の計画は
何処まで進んで居るのだ?…
よもやここまでがただの余興と言う訳ではあるまい!…」
言わずもがなその質問と言うのはゲスデウスの真実を確かめるモノで、戦争を起こしそうな国について近隣で無いかと困惑気味に尋ねると、マサツグは聞いて居ないと…そう言う話が有った場合まずギルドに入ると説明しながら話すと、やはり嘘で有った事に女王陛下は安堵すると同時に落胆する…そうして全てが嘘である事に気付いた所で改めて女王陛下はある不安を覚え始め、何処までがあのゲスデウスの筋書なのか?と若干怒りを覚えながら考え出すと、今度はマサツグが思い付いた事を話し出す。
「……ここで物は相談なんですがね?」
「ッ!…ん?…」
「一度鎖国を解いて貰って…
他の冒険者達を入国させる事を許可して貰えませんか?
そうすれば万が一危機的事態に陥ってもハーフリングスと
冒険者ギルドで連携を取れば!…
まず最悪の事態には陥らないし!…
事態の収拾を早期に終わらせる事だって可能です!…
……勿論全員が全員善人と言う訳では無いですが…
少なくともギルドが管理している者達なので問題を
起こしても直ぐに対処は可能になってますし!…
何より人手は多い方が!…って言うが今思い付いた
考えです!」
「……なるほど…確かにその案は有りなのだが…
今まで鎖国していた国に人は寄って来るのだろうか?…
それにその人も直ぐに集まらねば意味が無い!…
それこそギルドとやらを誘致せねば…」
マサツグが突如悪徳セールスマンの様に揉み手をしながら女王陛下に話し掛け出すと、女王陛下はマサツグの方に振り向き…満面の笑みを浮かべているマサツグに対し、若干の戸惑いを覚え出していると、マサツグは鎖国を解くよう女王陛下に説得を試み始める。さながらペリーの様に!…とまでは行かないが、冒険者を連れて来る利点を丁寧に話すと危機的状況の回避について説明し!…その際逆の欠点とその対処法も女王陛下に説明すると、その話を聞いた女王陛下は名案と言った様子で聞き入れる!…しかしその案に即効性が無い事、ちゃんと集まるか如何か等不安点を挙げ出すと、女王陛下は色々と悩み出し!…マサツグもそれを受けて他に何か手は無いかと…いつの間には自身から世話を焼いて居る事に気付いて居ない様子で悩み出すと、それは突如起きる!…
__タッタッタッタッタ!!!…
バアアァァン!!!…ッ!?!?…
「ぜぇ!…ぜぇ!…も、申し上げます!!!…」
「きゅ!…急に勢い良く扉を開けるでない!!!…
吃驚したであろう!!……全く!…
今日は何か勢い付く日か何かなのか…」
「も、申し訳ありません!!…ぜぇ!…
ですが!…がはぁ!…緊急事態です!!!…」
「……緊急?…一体何が有った?…」
大裁判所の外から鎧の擦れる音が聞こえて来ると同時に、何やら慌ただしい足音まで聞こえ出す!…その足音は一直線にこの大裁判所の扉へ向かっている様子で、徐々に近づいて来るに伴って大きく聞こえ始め!…大裁判所の扉が勢い良く開くと、そこには酷く息を切らした様子を見せる衛兵の姿があった。当然突如大裁判所内に響き渡る勢いで扉を開けたので中の人達は驚き!…その衛兵はとにかく慌てた様子で女王陛下に用があると声を掛けると、女王陛下はその衛兵に文句を言うよう騒がしい!と言う!…そして本日二度目となる物音の驚きに戸惑いを覚える中、衛兵は女王陛下に謝るとただ慌てたまま緊急と言い、その言葉に女王陛下が尋ねるよう声を掛けると、衛兵は息を切らしながら女王陛下に報告をし始める!…
「ぜぇ!…ぜぇ!…ド、ドラゴン!…」
「……ッ?…は?…ドラゴン?…」
「は、はい!…ドラゴンが!…
ドラゴンが!!…ッ~~~!!!
ドラゴンがこちらに向かい
侵攻して来ましたああぁぁぁぁ!!!!」
「ッ!?…な!?…なにぃ~~~~!!!!」
この時の衛兵は酷く動揺しており、明らかに平静さを失っていた!…ただ自分でも信じられない!…と言った様子で言葉が思う様に出ず!…やっとの思いで出たのはドラゴンと…ただその一言だけを聞いたマサツグ達もドラゴン?…と戸惑い、その場に居る全員の言葉を代弁する様に女王陛下が復唱すると、漸く衛兵は伝えたかった言葉を口にする!…その際酷く驚き慌てた様子で叫ぶと、大裁判所内に反響し!…その衛兵の言葉を聞いて女王陛下もまさか!?と言った表情で驚き出すと、大裁判所内は大混乱に包まれる!
__ッ!?…イヤアアアアァァァァァ!!!!
「し、静まれい皆の衆!!!……
はぁ…で!?…規模は!?…」
「ハ…ハハァ!!…
あくまでも検問隊の報告によりますと
大きさはサイクロプス級!!…
到着までの時間は既に検問隊の
頭上を飛び越して行ったとの事なので…
もう直ぐかと!…」
「ッ!?…バ、馬鹿な!?…サイクロプス級!?…
確かにまだ幼体のようではあるが如何して!?…」
あちらこちらで絶望の悲鳴が飛び交い!…その場が騒然とすると、女王陛下は慌てて吠えては静まるよう呼び掛ける!…その際また何らかのスキルを使ったのかその吠えた声を聞いた獣人達の悲鳴はピタッ!と止まり!…女王陛下の方を振り向いてはこれまた時間が止まった様に動きも止まる!…そうして一時的にではあるが落ち着いた所で女王陛下は相手の規模を聞き出し、その問い掛けに衛兵もそのドラゴンの大きさと飛んで来る時間について答えると、その返答を聞いた女王陛下は驚き困惑する!…この時ただ驚いた様子で後退りすると、後ろにある椅子に足を引っ掻けてそのままバランスを崩す様に座り込み!…ただ有り得ないと言った様子で戸惑い!…何も答えが出ないのか若干絶望に満ちた表情を見せて居ると、マサツグは女王に声を掛ける!…
「女王陛下!!…とにかく行動!!…」
「ッ!?…え?…」
「今は状態の確認が最優先!!…
何処まで来てるかによって避難の経路と確保を急いで!…
衛兵達は出来るだけドラゴンの気を引き付けて
時間稼ぎ!!!…絶望するのは後でも出来る!!!…
とにかく民衆を導くのが女王陛下の仕事だろ!?」
「ッ!?…そ、そうだな!…分かった!!…」
マサツグはその話を聞いて半信半疑になるがとにかく真実とした様子で慌て出すと、椅子に座り項垂れる女王陛下に指示を出す!…そして突如指示をされた女王陛下もハッ!とした様子で戸惑いながら顔を上げると、マサツグの顔を覗き込み…マサツグは構わずただ動く様に最優先事項を口にし、女王陛下に激励の言葉を掛けて奮い立たせようとすると、女王陛下も目が覚めた様な表情を見せては慌てて返事をする!…そしてマサツグに言われたまま付いて行くよう慌てて裁判所の外へ飛び出し!…ハーフリングスの玄関口の方に目を向けると、そこには衛兵の言う通り赤い竜が翼をはためかせながらこちらに向かい飛んで来ているのを確認し!…それを見て女王陛下が苦虫を噛んだ様な表情を見せると、衛兵達に民の避難を命令し始める!…
「ッ!?…クッ!!…止むを得まい!!…
衛兵達は全業務を止めて民の避難を優先せよ!!…
あの竜の足止めをしつつ!…安全な場所へ!!…
最悪!…この国を放棄する!!!…」
「ハッ!!…ッ!?…いやしかし!?…」
「国は何度でも立て直せる!!…
しかし人の命はそうは行かぬ!!…
とにかく生き延びる事を考えよ!!!…
次代に繋ぐ事こそ!!…
我々の出来る唯一の方法だ!!!」
飛来して来た赤い竜はハーフリングスの玄関口に降り立つと、門番の衛兵達と交戦し始める!…そんな門番達からは突然のドラゴンに狼狽える声が聞こえて来るのだが、同時に侵入はさせまい!と言った勇ましい掛け声も聞こえ!…その様子に心強いと感じるもやはり危機的状況と考えたのか、女王陛下は最悪の事態も踏まえた指示を出し始める!…当然その指示に衛兵達は返事をするも戸惑った様子を全面に見せ、女王陛下もそんな表情を見て悔しがるも今は人命第一と言った具合に説き伏せると、衛兵達は慌てた様子で動き出す!…そうしてその指示を聞いて衛兵達が動き出す一方で、マサツグはと言うと…ただその赤いドラゴンをジィ~と見詰めては何か考える素振りを見せ、勝手に何やら自己完結し始めると、何やらある事を口走り始める!…
「……うぅ~ん…なるほどサイクロプス級…
でもあれ位なら俺一人でも倒せそうかな?…」
「ッ!?…は?…」
「え?…いや…あれ位なら俺でも…」
「そなた気は確かか!?…」
マサツグはただ無言でジィ~…と赤いドラゴンを見詰めた後、大きさが本当にサイクロプスやレッサーワイバーンクラスだと言う事を確認すると、倒せる!と言った謎の自信を持ち出す!…それも覚悟を決めた様な!…何か切羽詰まった様に言うのなら未だしも、まるで友達同士で約束をした様に軽く言って見せると、その言葉を聞いた女王陛下にミスティーと…まだ残って居た衛兵達の少数が耳にしては「は?…」と言った困惑の視線でマサツグを見詰め!…女王陛下が実際に「は?…」と言葉を漏らし、その声に反応してマサツグが再度勝てる!と口にしようとした瞬間!…女王に詰め寄られては正気かどうかを確かめられる!…まぁ当然の反応と言えば当然なのだが、マサツグは女王陛下に詰め寄られては戸惑い!…ただオロオロとして居ると、女王陛下は更にマサツグに詰め寄る!…
「相手はドラゴンなのだぞ!?…
…確かに相手は幼体!…
まだ完全に大人になっては居ないが
それでも十分の脅威!!…
なのに勝てると言うのか!?…そなたは!!」
「え?…えぇ…剣一本あれば……ッ!…
何ならこれを機にドラゴン退治の依頼を俺に出します?
この国にとって初めての冒険者への依頼!!…」
「バ、馬鹿を言うな!!…折角の恩人を見す見す!!…」
「だぁから安心してくれって!…
一応こっちもプロだし?…
倒せなくても何処かへやる事位は出来る!…
この手の修羅場はそこそこ経験してるし?…
やられる気はサラサラ無いさ!…
…ここは大船に乗ったつもりで任せてみないかい?…」
まるで人がボケている様な…とにかく目を覚まさせる様に呼び掛けてはマサツグにその危険度を分からせようとするのだが、マサツグは改めず!…ただ剣が有れば勝てると言っては冗談の無い!…しかし何処か緊張感の無い様子で女王陛下に依頼の話を持ち出すと、逆にそのマサツグの言葉に女王陛下は戸惑う!…別に信用するしないと言った問題では無く、ただ単純に客人に任せるのは如何かと…女王陛下はそう言ったつもりで断ろうとするのだが、マサツグは誤解をした様子で大丈夫と言い!…笑顔で任せる様に女王陛下に言葉を掛け出すと、その言葉に女王陛下は疑問を持つ。
「……な、何故?…何故そこまでして我々の事を?…
先程まで罪人として捕らえ!…
刑を与え様として居たと言うのに!…」
「……へ?…
誰かを護るのに理由なんて要るの?…」
「ッ!?…」
「…ただ俺がそうしたいと思ったから
そうして居るだけで?別に他意何か在りはしない!…
アンタもミスティーも守りたいと思ったから
ただそうさっきから答えて居るだけだけど…
何か理由要る?…」
疑問を持つと同時に女王陛下はマサツグに対して最悪感を覚えているのか、先程の裁判のやり取りを口に出してはマサツグに質問をすると、マサツグはその質問に対して不思議そうな表情を見せては逆に質問をし始める。まるで理解出来ないとばかりに…逆に質問をされた事に当然女王陛下は戸惑った反応を見せるのだが、それよりもマサツグの言い分の方に驚き!…マサツグはそんな女王陛下を置いてけぼりにただ淡々と自分がそうしたいと話して、更に女王陛下に質問をし…その質問に女王陛下は答えられず困惑して居ると、マサツグは徐に女王陛下の頭に向かい手を伸ばす!…
__……スッ…ポン……どよ!?…
「いっちょ任せてくれ!!…
今後の友好関係の意味も込めて!!…
キッチリ対処してやるからよ!!!」
「……は、はい……」
女王陛下の表情がミスティーの心配している時の表情と被ると、マサツグは無意識に笑顔で女王陛下の頭を撫で始める…その際マサツグが突如女王陛下の頭を撫で出した事で周りの衛兵達は酷く動揺し、マサツグを不敬者として捕えようかと悩むのだが…その撫でられている当本人は嫌がる様子を見せる事無く、ただ黙って撫でられては顔を赤くして硬直しており!…更にマサツグの言葉に同意するよう…あの自信満々の態度が借りてきた猫の様に静かなモノになると!…女王陛下の表情はまるで恋する乙女の様な表情に突如として変わり、その様子に周りの衛兵達は更に困惑の様相を見せ始める!…
__カァ~~~!!!……どよどよッ!?…
{ッ!?…
今までにあんな表情をするお姉様を見た事が無い!…
……それに何かしら?…羨ましい?…}
__じぃ~~……
{……あれ?…
俺今ナチュラルに女王陛下の頭撫でてるけど…
如何してこうなった?…気が付いたら吸い込まれる様に…
何か女王陛下めっちゃ顔赤いし……何だこれ?…
てかこれ…同意を貰った所で武器が無いんじゃ?…
俺の武具は何処にやられたか分からないし…
…如何したものか?…}
一体何が起きて居るんだ!?…目に見えて驚きの様子を見せる周りに対し、ミスティーは女王陛下の気持ちが分かるのか…同情するよう頷いてはただその様子を羨ましそうに見詰めて居た。そしてマサツグもハッと気が付いた様子で目の前の光景を目にすると、何故こうなったと心の中で困惑し…同時に女王陛下から同意を得た事で如何やって武器を調達しようかと悩んで居ると、女王陛下もハッと我に返った様子でマサツグに有る物を手渡そうとする。
「……ッ!?!?…マ、マサツグ殿!!…
戯れが過ぎる!!…それよりもこれを!!…」
__スッ…
-----------------------------------------------------------------------
夏海刀 弐式
レア度C
ATK+75 DEF+30 SPD+10
[夏海の加護]
一定時間ごとにHPを2%ずつ回復する。
特殊武器条件未達成 現在装備不可。
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{ッ!?…刀!?…
これってどっから如何見ても刀だよな?…
何か既視感の有る手渡し方だなぁ…まぁいい!!…
これさえ有ればあのドラゴンを!!…}
__グッ!……グッ!グッ!………
{…てかこれも例によって何かロック掛かってるし…
他に武器は?…無さそうだし…
実戦で抜ける様にしろって事か?…}
慌てた様子で自我を取り戻すと女王陛下は自身の腰に佩いていた一本の刀を手渡して来る。その突如手渡された刀にマサツグは若干驚くのだが、好都合とばかりに受け取り…徐に鞘から刀を抜こうとするが、刀は抜けない!…何処かで既視感の有る光景にマサツグは戸惑いつつ…能力を確認すると、案の定刀には特殊武器条件が付いており!…それを見て他の武器はと考えるが有る筈も無く…ただ何でこれ?をと言った様子で女王陛下に視線を送ると、女王陛下は謝り出す!…
「……この様な事になってしまって本当に申し訳無い!…
それは本来ミスティーを助けて貰った礼に贈ろう思って
居た物なのだが…よもや早速使う事になろうとは!…」
「いや…その前に何でこれを?…
確かに気持ちは有り難いが…
他に何か無かったのかな?…」
女王陛下はその刀をミスティーを助けてくれたお礼にと言ってマサツグに手渡し、早速使わせる事になって申し訳ないと…愛想の無い手渡し方とマサツグに頼る結果になってしまった事について謝り出すのだが、それよりもと言った様子で!…マサツグは何故これを選んだのか?とお礼を言いながら尋ね出すと、その質問に女王陛下はマサツグの春風刀を例に挙げては戸惑いながら答える…
「……えッ?…
そなたの付けていた武具の中に同じ物が有ったからな。
宝物殿に眠っておった誰にも抜けぬ剣であるから
お主なら扱えると思って持って来たのだが?…やはり…」
「……はあぁ~…いぃや?…丁度良いかもしれん…
…さぁて?…激しく体を慣らしに行きますか!!」
女王陛下の言葉にマサツグはマジかぁ…と言った具合にガックリと肩を落とした様子を見せ、考えてくれた厚意については有難いと思うのだが…今じゃない!と心の中でツッコみを入れると、嘆いては武器を交換せずそのまま行こうと諦める!…そしてハーフリングスの玄関口に向かい歩き出す際、女王陛下はやはり武器を変えようか?…と言った様子でマサツグの心配をするのだが、マサツグは大丈夫と言い!…時間が無い事と女王陛下の気遣いを汲み取る様に!…ぶっつけ本番の肩慣らしへと急ぎ出すと、後の事など全く考えずに最初から自棄を起こしそうになるのであった!…




