-第二章三十五節 ボロボロの元メイドさんとマサツグ流宥め方と頼りの羊-
目の前の檻の中の女の子を助け様にもこれだけ叫ばれては助け様が無く、更に檻から解放しても何をし始めるか分からない。幸い幾ら叫んだ所でこの地下二階となると上に居る兵士達にその叫び声を聞かれる事は無いのだが、手を付けられないと…とにかく宥めないと助ける事が出来ないと考えたマサツグはスッと考え…ある事に気が付くとその女の子をマジマジと見ては様子を観察する。
「……ッ!…獣人!…これは柴犬?…かなぁ?…
耳が三角してるし…尻尾も…
…とにかくこの子がこの調子……」
__……へっへっへっへっへ!…
「……犬?……ッ!…」
__バッ!!…ッ!?!?…ゴソゴソ…
バッ!!…ッ!?!?!?…
檻の中に閉じ込められている女の子は見た限り、柴犬…尻尾を股の間から出すよう丸めてはプルプルと震えさせ、耳も怖がるよう伏せっとさせてはマサツグに対して目を死んだ魚の様に曇らせている。そんな怯えているワンコを見ている様な気分になって来るマサツグはとにかく警戒を解かないと!…と悩むのだが、ふと相手がワンコである事!…自分のペットもワンコである事を思い出すと徐にある事を思い付き!…マサツグは思い立った様に幻影コートを脱ぎ出し!…更に囚人服の上まで脱ぎ出し始めると、その様子に檻の中の女の子は更に怯えた様子で戸惑う!…
「ひぃ!!…な!…何で!?…」
「コイツを…見てくれ!……どう思う?」
「ッ!?…な、何を言って!?…
とにかく来ないで!!!…もう!…嫌ぁ!!…」
{……まぁ…そうなるよな?…
…分かってはいたが何だろう?…
何かショック…}
ただ目の前でマサツグが服を脱ぎ出した事に怯えては身を震わせ…何が何だかと言った様子を見せて居ると、マサツグは両腕を広げては武器を持っていない事をアピールし、どこぞの青ツナギの男の台詞を口にする。当然突如目の前で服を脱ぎそんな事を言い出すので、柴犬の女の子は更に怯え…訳が分からないとマサツグに怯えながら口にすると、その言葉にマサツグはショックを受けた様子で納得する…本人は至って真面目に考えて取った行動なのだが、余計に警戒されてしまい!…マサツグの中でこれが通じないと…言った具合に、如何やって警戒を解くかと考えているとマサツグは思わずポロっとミスティーの名前を零す。
「……さぁて?…如何したもんかねぇ?…
このままだとミスティーに顔向け出来ねぇぞ?…」
「…ッ!…ミスティー?…
貴方はミスティアナ姫の何かですか!?…」
「ッ!?…え?…
…あっ…まぁ……そんな所かね?…」
それは突然の事であった!…マサツグも何の気無しにポロっとミスティーの名前を零したのだが、柴犬の女の子がその名前を聞いた途端にハッ!とした様子で反応すると、マサツグに恐る恐る声を掛け始めて来たのである!…その際マサツグは声を掛けられた事に戸惑っては曖昧な返事をしながらその柴犬の女の子の居る方に目を向けるのだが、そこには先程までの死んだ魚の様な目が嘘の様に!…いつの間にかその柴犬の女の子の目には活力が戻っており!…まるでマサツグの事を救世主の様に見詰めてはただマサツグの返事を待っていた。
「………。」
__…ザッ…ッ!?……
「ッ!…丸腰丸腰!…ほら!……
俺はあのクソ野郎の手下でも
無ければ君を虐める気も無い!…
今そこから出してやるから!…信じて!!…」
まるである事を確認したい様な?…でもやっぱり怪しまれている様な?…何方とも取れる目で見てはマサツグの事を一身に見詰めて居り、マサツグもそんな視線を感じては今なら檻を開けれるのでは?と考えると、一歩だけ檻に近付こうとする。すると途端に柴犬の女の子はまたマサツグに対して警戒心を持ち出し、プルプルと震え出すのだが…マサツグは先程の様にバッと両手を広げて見せては丸腰である事をアピールし、自分がゲスデウスの手下で無い事を告げて信じるよう言い聞かせると、柴犬の女の子は恐る恐る警戒を解き出してはマサツグに質問をし始める。
「……痛い事しない?
ムチで叩いたり…針を刺したり…
刃物で切ったりしない?……」
「しない!…しない!!…
…ってかマジでそんな事をしていたのか!…
…まぁ…アイツの異常性はあの玄関と
この部屋を見れば一目瞭然か…
とにかく待っててくれ!…
今この檻を開けるから!…って言った所で…
見た感じ鍵は無さそうだな…
…はあぁ~…しゃ~ない…」
__スッ…カチャ…
「ッ!?…ヒッ!!…」
余程拷問がキツイ物だったのか柴犬の女の子は今だ怯えた様子でマサツグに痛い事はしないか?と尋ね、その問い掛けに対してマサツグは笑顔で安心させるよう手を振りながら「しない」と答えると、改めてその柴犬の女の子の怯え様に戸惑いを覚える。そしてゲスデウスの異常性についても改めて確認した所で!…やっと信頼を得られたかなと考えると、マサツグは檻を開けると言っては辺りを見渡すのだが、それらしい物は見当たらず…仕方が無いと言って溜息を吐くとマサツグは近くの拷問道具が置かれて有る机から、針を二本手に取り…その針が目に映った柴犬の女の子はもはやトラウマなのか、反射条件よう途端に怯えた表情を見せるのだが、マサツグが声を掛け安心させると檻の鍵の前にしゃがんでは開錠を試みる!…
「だいじょ~ぶだよ~…後ちょっとで自由になれる…
もうちょっとの辛抱だよっと!…」
__カチャッ!!…ギイイィィ……
「これ位なら余裕!…さぁて?…次はその鎖だな?…」
マサツグは安心させるよう声を掛けながら…何故か慣れた様子で時間を掛けずに檻の鍵を開錠すると、余裕と口にしては針二本を手に檻の中へと入って行く。檻の中ではやはり怯えた様子で柴犬の女の子が鎖に繋がれており、その子以外は誰もいないのか辺りを見渡しても何も無い…そうして繋がれている鎖に手を掛け開錠が出来るかどうかを確かめ始めるのだが、これも檻の鍵と同様に!…時間を掛けずに両腕両足の鎖を開錠してしまうと、柴犬の女の子の救助を完了させる!…
__ガチャン!!…ゴトン!!…ガラガラ!!…
「…ふぅ……これで良し!…もう大丈…」
__ガバァ!!…
「おっと!?…」
マサツグが柴犬の女の子を助け出すともう安心!…と声を掛けようとするのだが、それよりも早くに柴犬の女の子がマサツグに抱き着くと、マサツグは突如飛び付かれた事に戸惑いを覚える!…そしてその柴犬の女の子は余程怖かったのか、マサツグの胸を借りる様に静かに泣き出し!…マサツグもそれを理解してかギュッと優しく抱きしめると、その柴犬の女の子を宥め始める。
「うっ!…うぅぅ~!!…うっ…うっ!!…」
「……よしよし!…よく頑張って耐えたな?…
もう大丈夫だ!……」
「うぅ!!…うぅ!!…うぅぅ~!!…」
柴犬の女の子が落ち着くまでの間…マサツグは自身の心音を聞かせる様に抱き締めては頭を撫で…まるでシロを相手にして居る様にただ宥め接して居ると、徐々に柴犬の女の子が落ち着きを取り戻し始める!…余程追い込まれていたのか精神的にも肉体的にも酷く疲労しており、漸く落ち着きを見せた時…彼女はまるで人が変わった様にマサツグに謝罪をし始める…
「……た、大変お見苦しい姿をお見せして…
申し訳ありません!…」
「ッ!?…あっ…あぁ…それは大丈夫だ…
…ってか君は大丈夫なのか?…その…色々と!…」
まるで何処かの使用人のよう上品な立ち振る舞いを見せ始める柴犬の女の子に、マサツグが戸惑って居るとその目のやり場にも困り始める!…色々チラチラと見えては本能的に見てしまいたくもなるのだがグッと堪え!…体の具合について注意を逸らすようマサツグが大丈夫か?と尋ねると、柴犬の女の子はマサツグの視線に気付いて居たのか…頬を赤らめては仕方が無いと胸や足を手で押さえては隠そうとする!…
「ッ!…現状…この状態では致し方ありません…
何分代わりの物が無いので…
…それよりも早くここから出ないと!…
またいつ如何なる時にあの下種野郎が
戻って来るとも分かりません!…
それに伝えたい事が!…」
「ッ!……伝えたい事?…」
まさかの返答が帰って来た事にマサツグは更に申し訳ない気持ちで一杯になるのだが、柴犬の女の子はそれ所では無いと言った様子で慌て出すとマサツグにここから出るよう訴え始める!…その際他の連中達とは違って隠す事無くゲルデウスの事を下種野郎と呼び、急いで誰かに話が有ると言った様子で慌て出してはその様子にマサツグが興味を持ち!…そして柴犬の女の子にその事について質問をすると、柴犬の女の子はマサツグの事を信用したのか自分の事を含めて話し始める。
「はい!…元々私は女王陛下付きのメイドで
王宮に勤めていたのですが…
たまたま王宮の会議室にて下種野郎が何やら…
誰かと密談しているのを偶然聞いてしまい……」
__…ブルブルブルブル!…ッ!?…
「それがバレてここに連れて来らせられると!!…
あぁ!!……何を聞いたのかと何度も!…
何度も!!…痛い事を!!…
っ~~!!…嫌アアァァァ!!!…」
「ッ!?…おぉ~!!…よしよし!!…
もう大丈夫!!…もう大丈夫!!!…
おいちゃんが悪かった!!…
だから無理に話さなくて良い!!…」
柴犬の元メイドさんが話し始めたのは貴重な証言!…しかもその内容は今だに覚えている様でその話を思い出すようマサツグに話そうとするのだが、徐々に様子が豹変し始める!…何やら青褪めてブルブルと!…細かく痙攣するよう身を震わせては更に脂汗を掻き出し、そしてまた拷問されていた時の事を思い出したのか発狂し始めると、マサツグは慌てて抱き締めて宥め出す!…ここまでトラウマになる様な事をやったのか!?…とマサツグはゲスデウスに対して嫌悪感を持ち、また落ち着かせようと柴犬の元メイドさんを抱き締めているのだが…
{……ッ!!…細っそ!!…え!?…
これってつまり!……ほぼ断食で拷問!…
って、事だよな?……それもまだこんな若い子を!!…
…許せねぇ!!…
テメェはブクブク肥えてやがる癖にこんな!!……
…一発じゃなくてTPが切れるまで殴り倒してやる!!…
この子の分も!!…ミスティーの分も!!!……}
「……とにかくここ脱出しよう!…
君を外に連れ出す!!…立てる?……って?…ッ!…」
ここで初めて気が付いたようロクに食べ物を食べさせて貰えてないのか、体は痩せ細り衰弱しているのが確認出来た…まだ肋骨が浮き出る程では無いにしろ、その余りの姿にマサツグの怒りは込み上がり!…ゲスデウスに対して慈悲の心は要らないと改めて認識し!…とにかくここ脱出しようとメイドさんを抱えたまま立ち上ろうとすると、ふと拷問用具が置かれて有る机に目が行く!…何故机に目が行ったのか?…それは凄く簡単で、その机の上には先程は開錠する事で頭が一杯だった為、全くと言って良い程気が付かなかったのだが…そこには気になる書類の束が置かれて有り、何やら怪しい文章が書かれて有るのを目にしたからである!…そしてそれを目にしたマサツグは柴犬の元メイドさんを抱えたまま、その机の方に移動しようとするのだが…柴犬の元メイドさんはそれを察した様子でまた怯え始めると、マサツグに抵抗し始める!…
「ッ!?…嫌あぁ!!…」
「うおあぁ!!…っと!…な、何だ!?…ッ!?…」
ただマサツグは書類を取ろうと机に近付くのだが…柴犬の元メイドさんがそれを邪魔するよう抵抗をすると、突然の事に二人揃ってバランスを崩しそうになる!…その際マサツグが踏ん張る事で倒れず、事無きを得るのだが…何が有ったのかと戸惑い!…原因である柴犬の元メイドさんの方を振り向くと、そこには元に戻ったよう怯えた態度を見せるただの女の子の姿が有った!…
「お…お願い!!……痛いの嫌ぁ!…イヤ!!……
もう!…ゆるしてぇ!…」
{…ッ!?…机に近付こうとしただけでこれか!?…
これじゃああの書類を回収したくても!……ッ!…
……縄が有る……ッ!?…
やりたくは無いけど致し方なし!!…}
__バッ!!…ザッ!!…ギュギュギュギュギュ!!…
目から涙を零してはマサツグに対して必死に許しを請い!…その様子にマサツグは更に戸惑うのだが、自分がここに来た当初の目的は証拠集めと言った様子で!…何とか書類を手に入れる方法を考えていると、ふとその机の上に置かれて有る縄を見つける!…それを見てマサツグはある事を思い付くとその縄を素早く回収し、自身の体に柴犬の元メイドさんを縛り付けるよう縄でグルグル巻きにして縛ってしまうと、柴犬の元メイドさんは錯乱し始める!…
「ッ!?…ヒ、ヒィ!!…イヤ!!…
イヤアアアア!!!…」
「ッ!!…メイドさん!!!」
__ギュッ!!…ッ!?…
マサツグに縛り付けられた事で更にトラウマスイッチが入ったのか、叫んでは抵抗する!…マサツグも何とか手早く縛り終え柴犬の元メイドさんの事を大声で呼ぶと思いっきり抱き締める!…縄に慣れさせるよう!…マサツグを信じさせるよう!…ここから脱出するにしても柴犬の元メイドさんの今の脚ではここから手早く脱出するのはほぼ不可能であり、それを踏まえてマサツグは抱えて走ろうと決意してこうして縛ったのである!…そうしてマサツグに抱き締められた事でまた柴犬の元メイドさんが落ち着きを取り戻し出すと、マサツグは呼び掛け始める…
「メイドさん?…君は俺が絶対に守る!!…
だから安心してくれ!!…」
「ッ!?……」
「君に危害を加える事もしないし…
君を置いて一人逃げる気も無い!!…
怖かったら俺にしがみ付きなさい!…
気休め程度でも安心は出来ると思うから!…」
「…う…うぅ!……ッ~~~~!……」
マサツグが柴犬の元メイドさんに守ると約束するよう声を掛けると、その言葉に柴犬の元メイドさんは驚き戸惑った反応を見せる。まるでその言葉が出て来るとは思っても居なかった様子で、ただマサツグを見詰めて困惑の表情を見せ…マサツグはただ柴犬の元メイドさんに怖かったり不安を覚えたりした際の対処法に関して簡単に説明すると、ただ優しくもう一度柴犬の元メイドさんを抱き締める!…すると柴犬の元メイドさんもマサツグに抱き締められて安堵したのか?…静かに涙を流し始めると、マサツグに縋るよう胸に顔を埋め…心の中である安心感が生まれると今までの不安が溶けて行く様な…そんな不思議な感覚を覚え始める…
{……不思議…
この人に包まれてるだけで凄く安心出来る…
これは何?…この人は一体?…
まるでお父さんに抱っこして貰っているみたい…
…懐かしい…}
__ギュウゥゥゥゥ……そぉ~…パサッ!!…
{ッ!!…いよっし!!…こっちも回収完了!!……
…ふぅ!…パッと見ただけでも分かる!…
探してたのはこれで間違いない!…}
マサツグに抱き締められている柴犬の元メイドさんが覚えた感覚!…それはシロ・ミスティー・リーナ…はたまたあの羊の服屋の人妻羊と!…意図せずして落として来たマサツグの特有の何かであり、ただ安心感や愛おしさ…その他諸々を感じさせ、柴犬の元メイドさんから怯えと言った物が消えて行くと…ただ縋るようマサツグにくっ付いて居た。そしてそんな様子を見てマサツグもチャンスと感じたのか、柴犬の元メイドさんに悟られないよう机に向かい手を伸ばしては、その気になって居た書類の束を手に取り!…無事回収した事に喜びそのまま自身の目の前に持って来るとその内容を確認するのだが、そこに書かれて有った内容は紛れも無く黒あり!…今までにやって来た事であろうミスティーの他に数十件の誘拐とその他の犯罪になるであろう内容が書かれてあった!…それらを見てゲスデウスの弱みを握ったとばかりにマサツグは悪い笑みを浮かべ!…大事そうに低スロットのインベントリを開くとその書類一式を仕舞い込み!…改めて脱出を試み始めると柴犬の元メイドさんに声を掛け始める。
「…目的の物も手に入った!…
さっさとここからオサラバするか!…
メイドさん?…」
「ッ!…は、はい!…」
「もう少しの辛抱だから我慢してくれよ?…
今から脱出するからなぁ~?……あっ!…
後これも預かっとくか…脱出の役に立つだろから…」
__ジャラッ!……
マサツグは柴犬の元メイドさんを縄で縛ったまま幻影コートを羽織り出し、ここから出ると我慢するよう声を掛けると拷問部屋を後にしようとする!…その際柴犬の元メイドさんは幻影コートから頭がはみ出る形になってしまうのだが、マサツグは構わず元来た道を戻り出し!…最後に部屋を出る前に拷問用の針を束で手に入れると護身用として持って行く!……因みにコートの中はと言うと柴犬の元メイドさんがマサツグに大しゅきホールドをしている様な体勢になっており、コート越しに見るとマサツグは妊婦になった様に見え…首元から柴犬の元メイドさんが顔を出している姿はまるでカンガルーの様な姿になって居た…さて、ここからが難しい帰り道と言った様子で…地下一階のワインセラーまではただ足取りが重いだけで別にこれと言った敵は居ないのだが!…倉庫に辿り着き倉庫から出ようとすると、外から慌ただしい物音が聞こえ!…それに合わせてマサツグが警戒をしていると何やら兵士達の会話が聞こえて来る!…
__ガッチャ!!…ガッチャ!!…
ガッチャ!!…ガッチャ!!……ッ!?…
「おい侵入者は!?…」
「やはり居ないぞ!?…誤報じゃないのか!?…」
「そんな訳ないだろう!!…
倒れていた兵士達周辺から
ネムリテングダケの粉末が見つかった!…
これは明らかな証拠だろう!!…」
「だけど相手は人間なんだろ?…
そんな影の中を潜伏するとかしない限り…
てか俺達の鼻や目が有る限りは隠れていたとしても
直ぐに見つけられると思うけどなぁ?…」
慌しい原因はやはりマサツグに有るらしく、兵士達は如何やらこの屋敷にマサツグが居ると踏んでいるのか、慌しく駆け回っては必死にマサツグを探して居た!…まるでここに来させてはいけない!と言った様子で…そんな慌てる様子を目にしてマサツグは思わず某ビッグサルになった気分で居ると、今までの屋敷内での活動も有ってか思わずサンタ服や松明…サルのお面等を付けたくなってしまう…しかし当然ながらそんな事を言っている暇は無く!…兵士達はマサツグの事を人間と言っては馬鹿にしている様子で、とにかく手当たり次第に探すよう声を掛けてはガチャガチャと走り回り!…マサツグはそんな様子を眺めつつ影の中に潜んではイソイソと玄関通路まで引き返して居た。
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「…馬鹿にするのは結構だけどよぉ?……
こうもアッサリ抜かれてちゃ世話ねぇと思うが?…
……それも身重の人間相手に…」
「も、申し訳ありません!…
私がこの様な事になって居るばかりに!…」
「ッ!?…あぁ!!…違う違う!!…
誤解しないでくれ!!…
決して君が邪魔とかそう言う事を
言いたい訳じゃ無いから!!…」
マサツグ達が兵士達に馬鹿にされた事をぼやきながらあの悪趣味な玄関通路を歩いて居ると、自分が足手纏いになって居ると理解している分柴犬の元メイドさんがショックを受けた表情を見せ…その様子に気が付いたマサツグが慌てて違うと釈明していると、マサツグ達は難しいと思われた帰り道を難無く突破する!…これも偏に幻影コートのお陰と言った様子でマサツグが改めてコートの性能に感心するのだが、ここでふとある疑問が浮かび…その疑問と言うのも柴犬の元メイドさんの事で、助けたのは良いもののその先の事を考えて居なかった事を思い出して、ハーフリングスの兵士達の巡回を掻い潜りつつ悩み出すのであった…
{…そう言えば助けたは良いもののこの子如何しよう?…
このまま俺の居る獄中に招き入れるとか?…
いや、要らぬ誤解を招く上に更に混乱を招くっての!!…
とは言えこの姿で放り出すのも良く無いし…
オマケにこの巡回している兵士に引き渡したとして
あの下種の息が掛かってるとも考えられるし…
何よりこの子の手当てをしないと色々と!……}
「…居たか!?…」
「いやこっちには!!……クソッ!!…
まさか脱走されるとは!?…
看守の連中は何をやってたんだ!?…」
{…俺は依然お尋ね者……
オマケにこの国へはまだ来たばかりだから
頼れる人は居ないし!…
てかわざわざこんな面倒事に付き合って
くれそうな人なんて!……ッ?…
いや待てよ?…あの人ならワンチャン有る?…}
現在ゲスデウスの屋敷を離れてメインストリート周辺!…メインストリートでも脱走したマサツグを探して居るのか慌しく衛兵が駆け回っており!…当然ながらハーフリングスの玄関口は完全封鎖されている!…外の人間に頼ろうにも…と言うより外に頼れる者は居らず…内にも頼れる者は居ないのだが、八方塞がりのこの状況にマサツグは戸惑いつつ…如何したものか?と一人悩んで居ると、ふとある者の顔がマサツグの中に浮かんで来る!…そうして思い付いたままその者の居る方に向かって隠れながら歩き始めるのだが、依然として大しゅきホールドをしている柴犬の元メイドさんはそのマサツグの様子に戸惑い!…マサツグの顔を心配そうに見詰めては不安を拭う様に!…ただ行き先も分からずマサツグにしがみ付いて居ると、マサツグ達はあの羊の看板の服屋に向かい移動するのであった!…しかしその道中…
__タッタッタッタッタ!…じ~…
「ッ!?…そこか!!…」
__フォン!!…カカカッ!!…
「え?…誰も…いない?……そう言えばあの視線…
ホルンズダンジョンに居た時と似ている様な?……
…いやまさかな?…そんな訳ない…」
マサツグがあの服屋に向かい出来るだけ走って向かっていると、何処からとも無く視線を感じ!…マサツグは見つかったのか!?と思い!…あの拷問用の針を視線の感じた方に投げ付けるが、針はただ対面の建物の壁に刺さっては何事も無く微振動する!…その際マサツグはその視線の正体を確かめようと辺りを見渡すのだが、やはりそこに誰も居らず!…気のせいか?と思いつつマサツグが不可思議そうに首を傾げていると、柴犬の元メイドさんがコートから顔を覗かせてはマサツグに心配をする!…
「ッ!!…い、いかが為さいました?…」
「ッ!?…あぁ!…何でもない!!…
先を急ごう!!…」
__タッタッタッタッタ!………ぼわん!!…
「…ついに!…ついに!!……
遂にわっちの視線に気付き!…
位置まで特定出来る様になったかや!…
…ッ~~~!!…長かった!…
…長かった!!……実に長かった!!!…
幾時に比べれば何と言う事は無かったのじゃが…
遂にここまで育った!…
ここまで後を付いて来て!…茶々を入れて!…
漸く育ったわっちの子!…
今こそあの計画を動かす時じゃあぁぁぁ!!!…
あっはははははは!!!…
……ではこちらも仕上げのあの者を急がせねば!!…
ここからがお楽しみじゃあぁ!!…」
心配する柴犬の元メイドさんにマサツグは何でもないと不思議そうにしながらも返事をすると、改めて先を急ぎ出し!…マサツグの気付かない所でその陰から見て居た者が突如姿を現し!…壁に刺さっているマサツグの投げた針を抜いて具合を確かめるよう見詰め始めて居ると、途端にその針を捨てる様に手放しては徐に一人楽し気に笑い出す!…まるで願い事が叶った様に!…ただ嬉しそうに笑って居るのだが、直ぐに沈黙し…徐々に悪い笑みを浮かべて何やら良からぬ事を考え始めると、その謎の者はその場で煙を立てては姿を消すのであった!…そうして自身の気付かない所でまた勝手に話が進められて居る事にマサツグは当然気付いて居らず…ただ先を急ぐ様にしてあの羊の看板の服屋まで辿り着くと、羊の奥さんが起きている事を願い出す!…
「…ふぅ!…ここまでくれば!…
後は起きててくれれば……よし!…」
__コンコンッ!…
「夜分すいませ~ん!
羊の奥さ~ん!!」
__………。
無事に羊の看板の服屋まで辿り着くと店の裏手に回る!…何故裏手に回ったかと言うと人目を避けると言う意味も有るのだが、如何やら改めて見て見ると店は二階建ての建物らしく…その店の二階にあの羊の奥さんの居住スペースが有るらしい!…更にコートを買いに店内へ入った時!…二階に続く階段が無かった事を思い出すと、別に入り口が有るとマサツグは考え…裏手に回る道を見つけて入って見れば案の定!…居住スペースへの玄関を見つけたと言う訳であった。…そしてあんまり声を挙げたくはない状況なのだが仕方ないとばかりに、声を掛けて玄関を叩き出すが、あの奥さんからの返事はない!…やはり駄目か…と言った具合にマサツグは諦めようとするのだが、何やらポッ…と二階の部屋の明かりが点き出すと、その灯りは一階に向かって移動して来る。
__…ぽっ!…パタパタパタパタ…
「ッ!…来た!…」
「…ッ!…え?…」
__ガチャッ!!…キイイィィィ…
明かりの移動と同時に何やら足早に駆けて来る足音も一緒に聞こえて来る!…それを見て聞いたマサツグは起きていた!…と言った具合に安堵すると、コートの中に隠れている柴犬の元メイドさんに笑い掛け!…何が何だか分からない柴犬の元メイドさんがマサツグの表情を見て戸惑いの表情を見せて居ると、玄関の鍵が開いてはその扉の影から羊の奥さんが眠い目を擦りながら姿を現す!…
「…もぅ~…こんな時間にだぁ~れ?…
…って、人間さん?…如何したのぉ~?…
……ッ!…それにそんなおっきなお腹してぇ~?…」
「いや本当に申し訳ないんだけど…
何も言わずに匿ってくれないか!?…」
__バサアァァ!!…
「ッ!?…きゃああぁぁ!…」
先程まで寝ていたと言った様子で目を擦りながらその来訪者を確認すると、その来訪者がマサツグである事に少し驚き!…最初会った時よりマサツグのお腹が膨らんで居る事にも気が付き更に驚いた表情を見せていると、マサツグは切羽詰まった表情を見せては突如として目の前でコートを脱ぎ出す!…当然突如目の前で脱ぎ出した事に羊の奥さんは困惑した表情を見せ、慌てて赤面して気の抜ける悲鳴を上げて自身の顔を隠すのだが…指の間から覗く様にマサツグの体を確認すると、その緊急事態の意味を理解する!…
__そろ~~……ッ!?…
「え!?…何これ!?…この子は!?…」
羊の奥さんが目にしたのはカニバサミでマサツグにしがみ付く、あの痩せ細った柴犬の元メイドさん!…それも縄でグルグル巻きにされて擦れて赤くなっており、触ると痛そうな位に体も傷だらけでボロボロと!…一体何が有ったのかを想像したくなくなる姿で見つけて戸惑いの表情を見せ、マサツグにオロオロとした態度で説明を求めると、マサツグはただその柴犬の元メイドさんを匿う様にしか話そうとはしない!…
「今は上手く説明出来ないけど!…
とにかくこの子を匿って欲しい!…
あの屋敷で見つけた!…唯一の生存者だ!…」
「ッ!?………何だか分からないけどぉ~…
後でちゃんと説明するんだよぉ~!…」
十分な説明は無いもののマサツグは急いでいる!と言った様子で、簡単にあの屋敷で見つけた!…とだけ説明すると、羊の奥さんはその言葉だけで如何言う事かを把握出来たのか、少し悩んだ表情を見せる!…そして少しの間無言になるのだが直ぐに同意した様子で…マサツグに後日改めて話すよう眉間にしわを寄せて決意の表情を見せると、その縄を解いてはマサツグに言う通りに柴犬の元メイドさんを匿おうとする!…話が纏まった所でマサツグは柴犬の元メイドさんと自分を縛っていた縄を針で滅多刺しにしては無理やり切り!…解放すると羊の奥さんに後を任せると自分は元に牢屋に戻ろうとする。
__ザスッ!!…ザスッ!!…
グググッ!…ブチィ!!!…
「…よし!!…感謝する!!」
「ッ!…あっ!……」
__ガッ!!…ッ!?……ウルウルウルウル!…
マサツグはお礼を言い残しその場を後にしようとするのだが、柴犬の元メイドさんはマサツグから離れるのが嫌なのか…慌てて抵抗するよう腕を伸ばすとマサツグの腕を掴み、マサツグも腕を掴まれた事で驚きバランスを崩しそうになると、振り返っては柴犬の元メイドさんの様子を目にする!…するとそこにはやはり不安なのか表情から恐怖を滲ませては目で行かないで!…と訴えており、そんな表情にマサツグは戸惑い如何したものか?…悩み出すと、羊の奥さんが徐に柴犬の元メイドさんを優しく抱き締める…
__スッ…ギュッ!……
「だいじょうぶだよぉ?…わたしにまかせてぇ~!…
今はゆっくり休んで元気になろうねぇ?…」
__……うと…うと……すぅ~……ッ!?…ペコッ!!…
羊の奥さんが安心させるよう声を掛け…まるで我が子をあやす様に柴犬の元メイドさんの頭を撫で始めると、落ち着いたのか安堵した様子で瞼を閉じ始める…そして緊張の糸が切れた様に羊の奥さんの胸の中で寝息を立て出すとマサツグから手を放し!…マサツグもその様子に驚きつつ…羊の奥さんに一礼してその場を後にすると、コートごと受け渡しては柴犬の元メイドさんを改めて羊の奥さんに任せる!…そうして今度こそマサツグはバレないよう索敵しつつ足早に自身の牢屋に戻り!…何食わぬ顔で眠りに入り始めると、マサツグの脱走騒ぎも看守の気のせいで済まされてしまう…その際マサツグは何ともまぁ緩い警備だなと考えてしまうのだが、ここで改めて自分がコートを脱いだ際の事を思い出すと、よく変質者扱いされなかったなとホッと胸を撫で下ろし…そして同時にある事についても疑問を感じると如何にも気になってしまい!…その夜は何故か一睡も出来ないのであった…
因みに何に疑問を持っていたのかと言うと、それは些細な事なのだが…あの時幻影コートを着て居たにも関わらず、羊の奥さんは玄関に立って居るのがよく自分だと言う事に気付いた事であり…月の光を浴びていたのか?と考えてはその事で一晩中悩んで居るのであった…そしてマサツグがゲスデウスの屋敷で証拠を手に入れてから更に二日後…
__コッ…コッ……ガンガン!!…
「聞け、人間の囚人!!…
貴様の裁判の日程が決まった!!…
…明日だ!…明日貴様の裁判が行われる!!…
そこで刑が確定したら後はどうなるか?…
今の内に自身の行いについて懺悔して置くのだな!!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「……明日…ねぇ?…偉く急じゃねぇか?…
これは相手がビビって居るって事かそれとも…
この証拠を持っていると踏んでの事か?……
何方にせよ一騒ぎ起こしてやるとしますか!…」
朝…看守がマサツグの入って居る独房の前にやって来ると格子を叩き!…マサツグに裁判の日程を伝える!…その伝え方も余程見下して居るのか、何やら嫌味らしく聞こえ!…マサツグはその話を聞いて居るのか?…聞いて居ないのか?…ただ急だな?と言った様子で聞き流して居ると、看守はそのまま何処かへ歩いて行く!…そうして裁判が決まったと言うのにマサツグは戸惑う事無く…目の前から看守が消えた事で徐にインベントリと言う名の四次元ポッケから隠した証拠を取り出し、一通り目を通して悪い笑みを浮かべると、明日騒ぎを起こす!と決意してはただただゲスデウスの慌ててふためく表情を想像するのであった!…それと同時に看守達の話声も聞こえ!…ゲルデウス邸に侵入者が現れたと言う話を聞くと、その事にマサツグは吹き出しそうになりながらも証拠を整理をするのであった!…




