-第二章三十二節 嫌われ者と隠密行動とゲスデウス邸潜入・前編-
まさかの止めた方が良いと言う返答が帰って来た事にマサツグが戸惑ってただその場で立ち尽くして如何言う事かと悩み…その際やはり意味有り気に暗い表情を見せて俯く羊の奥さんは、何かをやった様な感じを臭わせる!…そんな様子を見せる羊の奥さんにマサツグは戸惑いつつ…何が有ったのかと話に耳を傾けると、羊の奥さんはその理由をゆっくり語り始める。
「私達だって何もしていない訳じゃ無いんだよぉ?…
みんなやっぱりゲスデウスに不満を持っていてぇ…
女王陛下様に嘆願書を送ったんだからぁ!…
ゲスデウスの悪行を明かしてくれ!って……
でも駄目だったぁ!…
幾ら送っても女王様の耳に届かなくてぇ…
まるで邪魔をされている様な…
それでも何度も送ってやっとの思いで聴いて貰えたと
思ったけど!…何も出て来なくてぇ…
衛兵さん達が仕事をしていないんじゃって
思ったんだけどぉ…あの屋敷をひっくり返した所で
出て来そうも無くてぇ…
もしその証拠が有ったとしても…
こことは違う別の所にぃ…もしくは処分…」
羊の奥さんが語り始めたのはゲスデウスに対しての合法的な報復!…やはり検問所の衛兵達といい…王都の人達といい、ゲスデウスに対して好印象どころか悪印象…何ならマサツグと同じで牢屋にぶち込みたくて仕方が無いと言った様子で行動を起こしていた様だが、どれもゲスデウス本人に握り潰された様で…それでも何とか一通だけでも女王陛下に声が届いたのかその屋敷に衛兵達が踏み入り!…家宅捜索が行われたと話すのだが、その屋敷からは何も出て来なかったとまるで立ち会った様に語って、行っても無駄だとマサツグに諭すよう説明をする。まるでマサツグだけでもこのまま逃げるよう勧めているのか…羊の奥さんはマサツグを心配した様子で、ただ止める様に声を掛けるのだがマサツグはその話を聞いても行こうとするのを止めようとはしないのである。
「…いや、如何だろう?…」
「え?…」
「いや…あんまりこう言った言い方は
如何かとは思うんだが…
素直に信じていいのかなって?…
例えばその調査に入った兵士達が無能!…
或いはゲスデウスに抱き込まれたと
考えたら何も出て来なかったのも納得行くし…
…何よりゲスデウスを宰相に置いてる
女王陛下の様子から察するに…
もう疑わしいからなぁ?…
置いてるのに理由が有るのか?…
それとも無能なのか…」
マサツグの性格上…自身の目で確かめないと気が済まないと言うのも有るのだが、それ以上に気になるのは何故ゲスデウスを宰相に置いて居るのかと言う事であり…マサツグがそれを踏まえて疑問の声を挙げると羊の奥さんは困惑し、その困惑した様子にマサツグが説明するよう自身の考えた事を口にすると、その話を聞いた羊の奥さんは戸惑いの表情を見せる。その際最後に女王陛下の意識について疑問を持つよう言葉を口にするのだが、その言葉を聞いた途端羊の奥さんはマサツグに突っ掛かるよう女王陛下の擁護に入る!
「…ッ!?…お、恐れ多い事を言っちゃ駄目よぉ~!…
確かに今の宰相はあの下種野郎だけど…
女王陛下様は私達の為にこの町を色々と改善!…
今巷で起きてる誘拐事件に関しても自らの手で
捜査して私達の安全を第一に考えてくれてる
大変お優しいお方なんだからねぇ~!!…
それに今までにも何か事件が有ればまず自分が
先に動く!…そんな行動力の塊で!…
あの時の嘆願書も女王陛下様の前に
子供が飛び出して!!…
その子供が直に嘆願書を手渡した事で
漸く叶った家宅捜査だったんだからねぇ~!!!」
「ッ!?…そ、そうなのか……だとするなら……
まぁ…とにかく!…
色々心配してくれたみたいでありがと…」
__ポンッ!………ッ~~~~~~!!!…
羊の奥さんが慌てた様子でマサツグに詰め寄るよう女王陛下の擁護に入ると、またもやマサツグは後ろへと押され…本日二度目となる壁ドンをされると、羊の奥さんの気迫に負けては擁護に納得してしまう!…ただこの様子を見る限り少なくとも女王陛下は民衆に人気が有る事が分かり、変にプライドが高いと言った高慢ちきでは無いと言う事も同時に理解する。そしてその話を一通り聞いた所でマサツグは少し悩み…やはり自分が動くしか無いと言った様子で決意をすると、まずは心配してくれた羊の奥さんに対してお礼を言う。この時癖になりつつある様子で羊の奥さんの頭に手を置くと、徐に撫で出し…突如頭を撫でられた事で羊の奥さんがビクッと反応してはその場で固まり、徐々に顔を赤くし出すとマサツグは続けて安心するよう声を掛ける。
「安心してくれ!…絶対に証拠は見つけて来る!!…
ゲスデウスとは全くの赤の他人でそれどころか
ゲスデウスに敵意剥き出しの人間が調べるんだからな!…
…それに…自分で言うのもおかしいけどこう言った
状況下で逆転劇のヒーローになる事が
最近多いからな!!」
「………。」
「…あれ?……奥さん?…」
「……はう~~ん♥……」
「えッ!?…」
マサツグは笑顔で羊の奥さんの頭を…まるでシロを可愛がる様に撫でると、必ずゲスデウスを地獄に落とすと約束する!…その際自分の境遇を皮肉るようネタにして話し苦笑いもして見せるのだが、羊の奥さんからの反応は無く…マサツグは反応が無い事にスベッた?…と言った様子で戸惑って羊の奥さんに声を掛け顔を覗き込むと、そこには頬を赤く染めて蕩けた表情を見せる羊の奥さんの姿があり、羊の奥さんからは甘い声が漏れたりと…色々と困惑する事が起きてマサツグも戸惑い!…慌てて撫でる手を止めると、羊の奥さんは余韻に浸った様な表情になる!…
__とろ~~ん……
「え?…えぇ~っと?…」
__………ッ!?!?…
…ブンブンブンブン!!!…
「え?…えぇ!?…」
マサツグの目の前で蕩けた表情を見せてはフラフラと…真っ直ぐ立てない様子を見せる羊の奥さんにマサツグは心配になると手を貸そうとするのだが、直ぐにハッ!と意識を取り戻した様子で羊の奥さんが勢い良く首を左右に振り出すと、その様子にマサツグは更に戸惑う!…マサツグ自身もさすがに原因は分かって居るとばかりに!…ただ頭を撫でただけで!?…と考えては思わず自分の手を見詰めて困惑した表情を見せ、ただただ羊の奥さんの様子にも目を向け気に掛けていると、羊の奥さんは正気に戻るなりマサツグの手を握っては服屋の外に飛び出る!
__ふぅ!!…ふぅ!!……ガッ!!…
「こ…こっち!!」
「うえええぇぇぇぇ!?…」
__バァン!!…カランカラン!!……
ただ羊の奥さんは慌てるようマサツグの手を握っては店の扉を開けて外に飛び出し、マサツグはマサツグでただ羊の奥さんに手を握られては引っ張られる様に外へと連れ出される!…マサツグ自身何が何だか分からないと言った様子でただ戸惑いの声を挙げていると、そのまま外へズルズルと…外に出るなり羊の奥さんは慌てた様子をそのままに…マサツグに教えるようある建物を指差すと、今までの間マサツグが聞きたかった答えを口にし始める。
「…はぁ!…はぁ!……あ、あれ!!…」
「え、えぇ?…ッ!?…ナ!…何じゃありゃ!?…」
羊の奥さんは息を切らしながら指を指し出し!…マサツグはそんな羊の奥さんの様子に戸惑いながらもただその指差す方を振り向くと、驚きを露わにしてはその光景に目を疑う!何故ならそこには街灯も無いただ月明かりだけが頼りの暗い夜の中でも!…ハッキリと分かる位にこの国のどの建物とも違う!…見事なまでに不釣合いな屋敷が建っている光景が目に映ったからである!…それはまるで極彩色のキュビズム絵画の様な歪さで!…一瞬公園にあるジャングルジムに壁が付いた様な巨大な物が建って居る様に見えるのだが、ちゃんと目を凝らすと屋敷である事が認識出来!…その外見のヤバさはとにかく!…このゲームの世界観をぶっ壊す!と言った狂気に満ち溢れていた!…
「ほ…ほら!…こんな真っ暗な夜でも分かる位に
悪趣味で馬鹿みたいに派手なお屋敷が見えるでしょ?
あれがゲスデウスの屋敷でぇ…玄関は…
まぁ行ったら分かるよぉ~…」
「……また世界観ブチ壊しな建造物が!……
これ運営が考えたのか!?…それともゲスデウス!?……
とにかく趣味が悪すぎる!!…
壁がゲルニカしてる!!…」
当然そんな物を目にするとマサツグは自身の目を疑い、目を擦って見せるのだが光景は変わらず!…羊の奥さんも嫌悪するよう指差しては改めてその建物がゲスデウス邸だとマサツグに場所を教えると、マサツグはその言葉に戸惑いを感じる!…何故今まで目に入らなかったのが不思議な位のその建造物に!…マサツグはただ口をあんぐり開けて戸惑いの表情を見せ、その際羊の奥さんの説明を聞くと何故かその説明は慌てて居る様に聞こえて来る!…そんな慌てた様子を見せる羊の奥さんにマサツグは疑問を覚えるのだが、漸く場所を聞き出せたと…羊の奥さんの方に振り返ってお礼の言葉を口にしようとすると…
「……ま、まぁ…とにかく!…
これでクソ野郎の居場所は分かった!…
…ありがとう!…じゃあ…」
「ッ!?…あっ!!…
当たり前だけど屋敷の中にはゲスデウスの部下が居てぇ…
前に盗みに入った泥棒が捕まった時は問答無用で
処罰したなんて話も有るからぁ…
絶対に見つかっちゃ駄目だよぉ!!」
「え?…あっ…あぁ…ありがと……」
「じゃあ、私もそろそろお店をちゃんと
締めないと駄目だからぁ!…じゃあねぇ!!」
マサツグが笑顔でお礼を言おうとすると羊の奥さんはビクッとした様子で途端に目を逸らし、勢い任せと言った様子でマサツグに見張り・巡回の兵士が居る事を告げると、見つからない様に泥棒の話も交えて注意する!…そんないきなり急テンポになった羊の奥さんの説明にマサツグは戸惑うのだが、戸惑いながらもお礼を言い…最後に別れの言葉を口にしようとするのだが羊の奥さんは脱兎の如く!…店仕舞いが残ってるからと言い残すと逃げる様に店の中へと引っ込んで行く!…
__ダッ!!…バタァン!!!…
「ッ!?…え?…えぇ?…
…俺なんか嫌われる様な事した?……
…あるぇ~~?……」
何をそんなに慌てて居たのか?…勢い良く扉を閉じて店の中に引っ込んだ羊の奥さんの様子に、マサツグは戸惑いながらもそのまま店を様子が気になり見詰めて居ると、その店の中の明かりがフッ…と消される…またもや態度が豹変した羊の奥さんの様子に、マサツグは何かしたか?と一人悩み出すのだが…その肝心の羊の奥さんはと言うと、まだ明かりを消した店内に扉越しでもたれ掛かるよう座っては、顔を赤くしその場にしゃがみ込み心臓を震わせて居た!…
__ドッ!…ドッ!…ドッ!…ドッ!…
「…ッ~~~~~!!!」
{…何!?…何であの人間さんに
頭を撫でられたら電気が走ったのぉ!?…
確かに私は良く帯電し易いけど…
今までの電気とは違ったぁ!!…
……それに頭を撫でられただけで
こんな幸せな気持ちに……ッ!?…
ダメダメダメダメェ!!…
私には旦那様という人が居るのぉ!!…
……そう!…これは旦那様への愛の試練!!…
負けちゃだめなのよぉ~!!…}
マサツグの知らない所でいつもの「たらし」としての能力が働いたのか…一人悶々としてはマサツグに対して誤解を抱き…愛すべき旦那様が居ると自身に言い聞かせては昼ドラを回避しようとする…いや、ある意味フラグが立った様な…とにかくマサツグに頭を撫でられ何とも言えない至福感に飲まれそうになる羊の奥さんのその後の様子なのであった。そうしてマサツグもあからさまに迷わない目印を教えて貰ってその目印に向かい歩き出し!…数十分掛けてマサツグがゲステウスの屋敷前に辿り着くと、そのゲスデウス邸の玄関前に居る門番の様子を伺っていた。
__……ふああぁぁぁ~~……
{…偉く眠そうに門番やってんなぁ~……
まぁ門番なんかそんなモンか…
何処ぞの中華娘も良く寝てるし…
…さてそれは置いといて…
早速如何やって忍び込むとするかな?…
さすがにこのコートを着てても
真正面からは不味いし…
一番簡単なのはアイツ等の気を逸らす事だけど……}
__チラッ…チラッ……
{まぁ…まずは安定と言った様子で
一階の窓から調べるか?…}
ここだけ世界が違うと言った錯覚を覚えるが、玄関の前に立って居る二人の門番達は当然武装して立っており、それぞれ軽装備の鎧を身に纏っては門の両端に鎮座している!そして門番達の手には槍がしっかりと握られており、幾ら眠そうにして居てもそれを支えに立って居るのか、全くと言って良い程手放す気配を見せないでいた…そんな眠そうにしている門番達をマサツグは遠目で見ては進入ルートを探すのだが、その際眠そうにしている門番をあるキャラに例え…とにかく余程の事が起きない限りはこちらの様子に気付く事は無いと判断すると、手慣れた様子で庭から侵入を果たし、屋敷の中に入る方法を探り出す!…
__バッ!!…バババッ!!…
{…庭から玄関に掛けての見張りはあの二人だけ……
不用心と言うか何と言うか…まぁお陰で侵入はし易いな…
この無駄に植わってる木のお陰で目に付いてない
みたいだし…}
__バババッ!!…スッ…ふああぁぁぁ~~…
マサツグは素早く玄関前の庭から侵入し、植木の影から影へ伝う様に!…やっている事はあのワイバーンの巣でバックアタックを繰り出そうとした時と同じ様なモノなのだが、今回は相手の裏が取れないと!…そんな事を考えつつ趣味の悪い西洋式の建物の影に入り!…門番の欠伸を聞いた所でまずは一周するよう自身の手の届く範囲の窓全てを調べるが、開いている窓は一つとしてないと事を確認し終える!…
__スッ…スッ……ガタガタッ!…
{……窓はやっぱ開いてないッと!…
まぁ大体想像で来て居たけど…
……にしても凄まじいな!…
これ!…本当に何も音が鳴らない!…
……って、感心してる場合じゃねぇんだよな?…
…さて…}
__ヴウン!!…スッ…スッ…
{……やっぱアイテム類は全没収!…
まぁ…全ロスした訳じゃ無いから良いけど…
アイテムも装備も幻影コートのみ!…
…さぁて…本格的に如何しよう………ッ!…}
窓を確認し終えては意外とちゃんと戸締りをしている事にマサツグは面倒と言った様子で、あの羊の奥さんの所で買ったコートの性能にも驚きつつ…やはり玄関からの侵入しか無いのか?と考えると、ふと徐に自身のアイテム画面や装備画面を開き出す。しかし幾ら見た所でアイテム欄にも装備欄にも…幻影のコートの一つだけで他に何も無く、そんな画面に軽い絶望を覚え…溜息を吐きつつ間違えて今度はスキル画面を開き出すと、あるスキルがマサツグの目に留まる!…
__スッ…ヴウン!!…
{ッ!…っと、間違え……ん?…刹那?……}
__ピシャアアァァァン!!!…
{ッ!?…そうか!…その手が有る!…
って言うか!…最初から悩む必要はねぇじゃねぇか!…}
一人ゲスデウス邸の裏手でスキル画面と睨めっこしては刹那のスキルを見つける!…幾度と無くお世話になって来たスキルでは有るのだが、今回はその活躍の場は無いと…隠密メインで動きを見せるマサツグが一人考えてはその画面を閉じようとすると、ここでマサツグに電流が走る!…それはいつものマサツグらしく!…恐らくは一番確実な作戦であり!…文字通り天啓を得た様子でマサツグがハッとしていると、何を悩んで居たのかと元の自分に戻ったよう呟く!…そして思い立ったが吉日と言った様子で直ぐに動き出すとまずは玄関前の庭に移動し、建物の影から直ぐ近くの植木に姿を潜ませる!…
__ババッ!!…チラッ…ふああぁぁぁ~~…
{…よし!…全く気付いて居ない!……じゃあ!…}
__ガサガサガサガサ!!…
「ッ!?…な、何の音だ!?…おい!…」
植木の影に移動するなり玄関を門番している二人にバレないよう…チラッと様子を伺う様に覗き込むと、その門番二人は全くマサツグに気付く気配を見せずに欠伸をしている。そんな様子にマサツグはしめしめと!…早速侵入する為に近くの植木を揺らしては音を鳴らし、その音に門番の二人がすぐさま反応すると、二人揃って警戒するようそのガサガサと揺れた植木の方へと歩き出す。槍を構えていつでも戦える様に臨戦態勢!…そんな警戒ぶりを見せて居るのだが、マサツグは徐々に近づいて来るその門番二人の様子を影から見詰めては徐に刹那を発動し始める!…
「…よし釣れた!……ッ!…刹那!…」
__ヴウン!!…
…ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
「んん~?…何かある…」
__ガサァ!!…
マサツグが刹那を発動し始めるといつもの様に動く物全てがスローモーションの様に見える!…それは当然マサツグの方に向かい歩いて来る門番達も例外ではなく、何も知らずにただ不自然に揺れ動いた植木を確かめようと門番二人が…その内の一人が植木を覗き込む様に何が有ったのかを確かめようとした途端!…マサツグは自身の間合いに入ったとばかりに植木の影から直ぐに姿を現すと、誘き寄せた門番二人を瞬く間に組み伏せてしまう!…
__ドス、ガッ!!…ブン!!…ドシャアァァン!!!…
「な!?…なん!?…」
まずは植木を覗き込もうとしていた門番から仕留めに掛かると、さながら某伝説の傭兵の様に!…飛び出し様に相手の腹部へ左拳を叩き込むと否応無しに前屈みにし、相手が屈んだ所で更に左手を相手の顔に持って行きそのままフェイスクローをすると、腰の捻りも入れながら投げ飛ばすよう相手を地面に叩き付ける!…その際辺りに叩き付けた衝撃音が響くのだが、辺りに居るのはこの門番達だけなのか?…ただ目の前で相方が突如倒れた様に見えた門番の片割れはその場で戸惑い!…マサツグは騒がれる前にと言った様子で直ぐにもう一人の門番の方に組み付くと、一緒に口を閉じてしまう!…
__ガッ!!…ッ!?………
「悪いけどちょ~っとの間だけ…寝ててくれ?…
なぁ~に?…次に目が覚めたらこの庭で
転がっているだけだから…」
__ブン!!…ドシャアァァン!!!…
次に門番が気が付けば目の前には黒いコートを着て悪い笑みを浮かべるマサツグの姿が!…口を塞がれて助けを呼ぶ事も出来ず、身動きも思う様に取れない状態になって居ると、マサツグは門番に声を掛ける…ただ少しの間眠って居てくれ…そう囁くと門番は更に困惑の表情を見せるのだが、マサツグは構わず足を掛けバランスを崩させると、そのまま背負い投げでもう一人の門番を地面に沈める!…その姿もやって居る事も…完全にマサツグ側に非が有るのだが、誰も見ていないとばかりに堂々と決めて見せると、マサツグの足元には二人の門番が転がり…これで心置きなく玄関から入れると言った様子で一安心すると、ふと倒れている門番達二人に視線を向ける…
「…ふぅ~……意外と出来るもんだぁ…
見様見真似CQC!…
……で、一応死んでは無いよな?…
思わずやっちゃったけど…」
__HP 1500/3500…
「…一応死んでは無いか……気絶だけみたいだし…
まぁ…口から泡吹いてるし、HPも半分以上減ってるけど…
…とにかくそこら辺の植え込みの影にでも
隠しておくか…」
__ズルズル…ズルズル…
やってて良かったメタ〇ギア!…マサツグの見様見真似CQCが上手い具合に決まった所で門番達が口から泡を吹いて倒れているので、改めてマサツグは心配になる!…狙うはゲスデウスのみ!…無用な殺生は避けたい所で在り、うっかり殺して無いか?と心配になると門番達の容態を確かめると、打ち所が悪かったのか門番達のHPは半分を下回っており!…マサツグがヤベェ!!…と言った様子で戸惑って居ると、今だ門番達はピクピクと痙攣していた。そんな様子を目にしつつもマサツグはこのままでは不味い!と、近くの植え込みまでその門番達を引き摺って隠し、何とか事無きを得る事に成功すると、改めて玄関の方へと歩き出す。
__……ギイイイィィィ!…
「お邪魔しまんにゃ~……って、うわぁ~!…」
玄関に辿り着きそのまま堂々扉を開けて侵入を果たすと、あの屋敷の外見とは裏腹に内装は普通…では無く、入って早々裸婦の絵画が並べられるよう壁に…玄関通路からエントランスに掛けて飾られて有るのを入って二秒で確認すると、そのゲスデウスの趣味の悪さに驚きを覚える!…そしてこの時はまだその飾られて有る絵がただの裸婦だと言った感じに…ただ趣味が悪いと感じてはあまり見ない様にして居たのだが、いざチラッとその裸婦の絵画を見て見ると更にマサツグは驚きを覚える!…
「……よくもまぁこんなに……って、ん?……え?…」
飾られて有るのはただの裸婦の絵画…と言う訳では無く、そこに描いて有った絵は全部が拷問画!…どれも無理やり傷付けられて拷問に苦しむ表情が書かれて有り、泣きながら許しを懇願する姿等がその絵には描かれて有った!…ある絵は磔台に磔にされ背中を鞭で叩かれ悲痛の表情を浮かべる女性の図!…又あるモノは首輪で拘束され体中に針らしき物を無数に突き立てられ涙を流す女性の図!…他にも色々と胸糞が悪い絵が飾られてあり、更に何処から攫って来たのか明らかにまだ幼い子供までその拷問に掛けた様子の絵や!…獣人とは違う人間やエルフも手に掛けた様子の絵が自慢げに飾られてあるのであった!…当然そんな絵を目にしてマサツグは戸惑い!…一体これはと言った様子で戸惑って居ると、ふとあの時の馬車を強襲して来た賊の言葉を思い出す!…
「な!?…何なんだこれ!?……ッ!…」
{ッ!……それはお前等自身の目で確かめたらいい!…
なぁに!…行けば分かるさ!!…
何処まで可笑しいか!…異常か!!…
思い出したくも無い!!…
一目でアイツの異常さが分かる筈だ!…}
「……な~る…アイツが言ってたのはこう言う事か…
しかし一体何人の被害者が居るんだ?…
確かこの国は鎖国中だから…
…って、考えた所で誘拐して来たとしか考えられんか…
それにしても胸糞悪いな…」
屋敷の通路を歩いて行けば行く程!…明るみになるそのゲスデウスの異常性にマサツグが不快感を覚えていると、ある事に気が付く!…それは絵画一つ一つを良く見ると恐らくはゲスデウス本人らしき人物が満面の笑みを浮かべ!…手を叩きながら喜ぶ様子が描写されている事であり、如何やらゲスデウスは見た所ネズミの獣人の様で丸々と恰幅が良すぎる体形…下卑た笑みを浮かべる剥げネズミだと言う事を確認する事が出来た。無性にムカつくその顔にマサツグは苛立ちを覚えるのだが、同時にこの絵を運営自体が許可したのかと考えると、何が何だかと言った疑問しか出て来なくなる!…そうしてそれらの絵を飾るだけに作ったであろう無駄に長い通路を通り…最後に極め付けの絵が飾られて有るのを見つけて目にすると、マサツグは足を止めては更に激しい不快感を覚える!…
「ッ!?…さすがに血管がブチキレそうな絵を
飾っていやがるなぁ!……いっそここで処分…
…いや、今はソレで来たんじゃない!……ッ!!…」
マサツグの目の前にあったのは…やたらと無駄にデカいキャンバスにゲスデウスが裸の王様の様な恰好で君臨し!…その周りを今まで拷問を受けて来ただろう女性達を並べては…傷だらけのまま地面に頭を着けさせ許しを請わせる姿を描いた絵画であった!…更に許しを請わせる女性達の他にまだ拷問を受けさせている女性達の様子等…恐らくは玉座であろうゲスデウスの座って居る椅子もボロボロに傷め付けられた女性であったりと、とにかく人格を疑う物で!…それを見てマサツグが思わず絵を破り捨てようか?と考えるが、ここで騒ぎを起こしては駄目だと自制心を取り戻すと、屋敷のメインホールに向かい再び歩き出す。そしてメインホールに辿り着くとこれまたゲスデウスのセンスが光る!…
__……スッ…チラッ…
{うわぁ……こっからが本番か……とは言え…
この程度なら何とか余裕で掻い潜れるな…
…よしよし!………にしても成金趣味な…
…悪趣味で成金……救い様が無いな…}
物崖に隠れるようマサツグが姿を隠すとメインホールの様子を覗き見る!…メインホールには巡回するよう兵士が数人…その内何人かは余程疲れて居るのかやはり槍を支えに立ちながら居眠りをしており、成金趣味な毛皮の絨毯に女体の銅像と…成金趣味バリバリと言った物があちらこちらに飾られている。そして屋敷と言うだけあってやはり無駄に広く!…メインホールを中心に両脇へ通路が延びており、各部屋に繋がって居ると言った様子を見せて居た。
「…偉く御大層なお宅で……
これだけの物を立てるのに一体どれ位掛けたのやら?…
それも…ちゃんと自分のお金で払ったかどうかが
疑わしい所だが?…」
__チラッ……コッ…コッ…コッ…コッ…
「ッ!…まずは左側の通路から調べるか…
色々と気になる点も有るし…
証拠は多いに越した事は無い…」
__ババッ!…スタタタタタタ!!…
屋敷の大きさ…部屋の多さからゲステウスの羽振りの良さが伺えるのだが、それは本当に正当な報酬で手に入れたのか?とマサツグは疑いながら柱の影に隠れていると、左の通路から巡回が手薄になり始める…それを見てマサツグはチャンスと言った様子で動き出すとその左の通路の一番奥の扉から調べるのだが、そこは倉庫でマサツグが何か使える物・証拠品と言った物は何も無く、調べても出て来るのは掃除道具や使われていない家具があるだけで、これと言って使えそうな物は何も無い。
__ガタガタッ!…ガタガタッ!…
「……ふぅ…とりあえず一通り見て回ったけど
使えそうな物は無いな?…
せめて武器になりそうな物の一本でも
有れば良かったんだが……仕方が無い!…
次行くか…」
使えそうな物が無い事に溜息を吐きつつ…そうしてその倉庫を後にすると順を追って左側の通路の部屋を調べて行くのだが、あったのはゲスデウスのコレクションらしきガラクタルーム…この屋敷の守衛が寝泊りする為の二段ベッドが大量に置かれて有る部屋等、ロクな物がこれと言ってない!…その際守衛の部屋にてベッドで寝ている兵士達の他に、余っている槍を見つけるのだが…
__すこおおおぉぉぉ!…ひゅるるるるるぅ…
{……寝てるから静かに!…
って、槍は有るけどスキルが…
…多分頑張った所で無駄だろうから置いて置くか……
…てか、本当に何も無いな…
…回復薬や傷薬位は有るだろ普通……
ゲステウスはそう言う支給はしないのか?……
こんなデッカイ屋敷に住んでるのにドケチなのか!?…
まぁ、いいか…それよりこの場を離れよう…
長居しても何も無い…}
マサツグに槍のスキルは無く…持って居ても仕方が無いとマサツグが一人槍を手に眺め判断すると、槍をそのままにして部屋を後にする。こうして左の通路…及び他の部屋を一通り調べると何も無い事を確認し終え、次は右側の通路に向かおうとするのだが…今度はメインホールを横断しないといけなくなり…更にメインホールの奥、中央には二階へ続く巨大な踊り場付き階段が設置されて有るのだが、その階段側の壁には巨大なガラス張りの壁が有り!…そこから月の光が差し込んでフロア全体が明るくなると言った…幻影コートの効果が皆無になるピンチが訪れるのであった。




