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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
129/606

-第二章三十一節 滑り込み来店と幻影コートと狂気の羊さん-



目の前で店仕舞いがされている服屋に向かい猛ダッシュするマサツグ!…その際ゲーム時間では8時になろうとしているのだが…この時間までまず服屋が開いて居るのは珍しいと思いつつ…この国の住人の寝る時間も速いと感じては思わず田舎の1日の様な時間の短さに戸惑いを覚える…幾ら獣人と言えどやはり人なのか色々な動物みたいに夜行性と言う訳でも無く…健康的な毎日を送っている様子を目にしながらも脱獄囚のマサツグは必死に足を動かすのであった。


__ダダダダダダ!!!…


「わああぁぁちょッ!…ちょっと待ってぇ!!」


「ッ!…はい?…」


マサツグが慌てた様子で声を掛け!…それに反応するよう羊の女性が振り返ると、マサツグは焦った表情のままその羊の服屋へと駆け込む!…その際周りの人達の目に付かないよう全力で走り込むと、そのマサツグの全力来店に羊の女性は戸惑い!…それも相手は囚人服を着ている事から一目で脱獄犯だとバレると、ただ仕舞おうとして居た看板を持ったままその場で固まり若干の恐怖を滲ませる!…それもそうだ!…何故なら脱獄犯が目の前に居るのだから!…そんな脱獄犯を相手に叫ぶ事も出来ず、ただその場で目をウルウルとさせながら事の成り行きに困って居ると、マサツグはその羊の女性に声を掛け始める。


「ぜぇ…ぜぇ…す…すんません!…

…ちょっとだけ…待って貰えますか?」


「ヒッ!…」


息を切らしながらマサツグは手を伸ばし…待つよう声を掛けるのだが、羊の女性は完全にマサツグに対して怯えており、相手は自分達とは違う人間!…それも脱獄囚と言った表情で、ただただ目をピエンとさせてはマサツグの事を見詰めて居た…そしてそんな羊の女性に対してマサツグは更に焦りを見せると、ただここで妙な騒ぎを起こされるのは面倒と…何もしないと必死に訴えては叫ばれない様に!…懐から財布を取り出し振って見せては買い物をすると言った意思表示をして見せる!…


「あぁ~!!…何もしない!…何もしないから!!……

…ただ服が欲しいだけなんです!…

ほらお金も持ってる!…目的はお買い物!…OK?…」


__バッ!!…ジャラジャラッ!!…


「ッ!………は、はい…」


__……バタンッ…カタンッ…


その際中身が有る事を伝えてはちゃんと払うと更に訴え!…羊の女性店員もそんな必死具合に何かを感じたのか…マサツグには怯えた態度のままなのだが小さく頷いて見せると、ただ店の中にマサツグを入れては店の扉にcloseと看板を掛け扉を閉める。そうして誰にもバレる事無く服屋に入れて貰うと、マサツグはホッとした様子で長居は失礼とばかりに早速服を物色し始め、そんなマサツグの様子に羊の女性店員は怯えながらもこう告げる…


「…ご!…御用の際はお呼びくださいねぇ~?…

う、伺いますのでぇ~…」


「ッ!…は、は~い…」


一応買い物と言う事で羊の女性がレジの前に立つと、用が有れば聞くとやはりマサツグに怯えた様子で声を掛け…その怯えた声にマサツグは戸惑い、自身も釣られて戸惑い気味の声で返事をすると店内は何とも気まずい空気になり始める!…この時マサツグが体感している物はあの店員さんに笑顔でガン付きされている様な感覚であり、何とも言えぬ緊張感を覚えて隣に誰も居ないのに居た堪れない気持ちになってしまう…そうして服を手に取って違う…手に取っては違うを繰り返し…思う様に決められないでいると、ふとあるコートの前に立っては自然と目に付き…マサツグが興味を持ち始めると羊の女性店員に声を掛ける。


「……ッ!…え?…何これ?……

えぇ~っと…す、すいませ~ん!」


__ビクゥ!!…ガタアァ!!…


「ッ~~~~!?…は、は~い!!…

な、何か気になる物がありましたかぁ~?」


マサツグの目に留まったコートと言うのは黒い生地が使われて有り…と言うよりは何故こんな暑い土地でこの様な全身をスッポリ覆う事が出来るコートが置かれて有るのか?と悩むのだが、何より興味を持った理由は別にある!…何故ならそのコートは妙なまでに()()()()()()…そこに有るのか?と…まるで蜃気楼を見ている様な感覚を覚えたからであった!…とにかくその不確かなコートを見詰めては羊の女性に声を掛けるのだが、その羊の女性店員は呼ばれた事に吃驚し!…スツールを蹴飛ばした様子で慌しい反応を見せるとマサツグに返事をしては内股走りで駆け寄り、マサツグもそんな羊の女性店員の様子を見て思わず驚き心配すると、羊の女性店員の様子に気を掛ける。


{……やっぱりまだ偉く警戒されてるな…

まぁ…無理も無いか…}


「えぇ~っと…大丈夫ですか?…」


「は、はい!!…大丈夫です!!…

それよりも何か気になる物がありましたかぁ~?」


警戒しているのかマサツグにビタ付きする訳でも無く少し距離を置いて話を聞こうとする羊の女性店員に、マサツグは心配した様子で声を掛けるのだが…羊の女性店員は大丈夫と言っては慌てた様子で返事をし、ワタワタと身振り手振りで丈夫さをアピールするのだがそのぶつけたであろう脚は引き摺って居る様に見える…明らかに大丈夫そうに見えない様子にマサツグは声を掛けるべきか?と言った具合に悩むのだが、羊の女性店員は触れて欲しくは無いのかその引き摺る脚を後ろに隠し…マサツグへ悟られない様にすると、それを察した様子でマサツグは悩みながらも質問をする。


「……え、えぇ~っと…じゃあ…

このコートなんですけど…何でこんな…

…何と言うか……存在感?…

が無いんでしょうか?…それにここは…」


「…ッ!…ん~?…あぁ!…

幻影コートですね!!」


「……幻影コート?」


マサツグは戸惑った表情ながら羊の女性店員にそのボンヤリとするコートを指差し…これは何か?と困惑気味に尋ね出すと、羊の女性店員はマサツグの指差す方を向いては一度目を凝らすよう顔を顰めて見せる。そして直ぐに理解した様子で商品の名前を口にするのだが、その際羊の女性店員の口から出て来た聞き慣れない商品名に、マサツグは復唱するよう再度尋ね…羊の女性店員もここでプロとばかりにスッと怯えた様子を消して顔を挙げ出すと、マサツグにその幻影コートの説明をし始める。


「えぇ!……あぁでもお客さん何処を

どう見ても外から来た人だしぃ~?

知らなくてもおかしくないかぁ~!…

私達獣人族は狩りが得意な種族なんだけどぉ~?…

やっぱりそんな種族でも隠れたり気配を消したり

するのが苦手な子が居る訳なのよぉ~!…

で、そう言う苦手な子用に全身を隠す事が

出来るコートを作ったんだけどねぇ~?…

この国って基本暑いじゃなぁ~い?

だからこのコートを作っても全然売れなくてねぇ~…」


「ッ!?…きゅ…急にキャラが変わった!?…」


幻影コートの説明をし始めた途端!…羊の女性店員の口調は某女性芸人のカリスマ店員の様な喋り方に変わり、更に独特の訛り…某フレンズなアル〇カを連想させる様な訛りも加わると、それはそれはカオスな店員に早変わりする!…先程の恐怖心は何処へやら!…当然そんな口調に変わった物だからマサツグは羊の女性店員を見詰めたまま困惑し!…イキイキと自分の仕事を全うする羊の女性店員の姿に押されに押されて今まさに在庫処分したくて仕方が無いと言った商品を必死にアピールされ、徐々に後ろへ後ろへと押されていた!…


__ガタタッ!……ズイッ!…ズイッ!…


「でもでもこのコートすっごいのよぉ~!!

何てったってシャドーウルフのなめし皮を

90%使用してるからぁ~!!

シャドーウルフは文字通り影に隠れるのを

得意とする狼でぇ~、一度でも影に隠れると

次見つけるのがすっごく難しい狼なんだよぉ~!!

ふんだんに使ってるからその分お値段は高いけど…

効果はバッチリ!!…私が保証するねぇ~!!…

…でもお客さん凄いねぇ~!!

私ですらこのコートの事を忘れちゃうのにぃ~!!

ちゃんと見つける事が出来るなんてぇ~!!…」


「え?…えぇ~……」


{…コ、コートの説明を聞きたかっただけが

いつの間にかこんな事に!?…

これが俗に言うポル〇レフ現象って奴か!?…

…あ!…ありのままに今起きている事を話すぜ!?…

店員さんに説明を求めたらいつの間にか壁際に!!…

壁際にぃ~~!!!………って、ん?…

隠れる?…気配を隠す?……ッ!!…}


そうして羊の女性店員のヨイショも入って来る!…忘れ去られて居た様子で羊の女性店員が話しては良く見つけたと言って話し、まるでマサツグが選ばれた様に言い聞かせ始めると、その羊の女性店員にマサツグはタジタジになる!…このままではコートを買わされる!…特徴的な髪型をしているジョ〇ョのキャラクターの台詞を思い出しては、自身の状況を誰も聞いて居ないのに心の中で叫び!…そのままズイズイと押されて遂に追い込まれ!…身動きが取れなく如何しようもなくなってしまうと、ふとここである事を思い付く!…そしてマサツグはその考えに基づき突き出されたコートに目をやると、羊の女性店員からコートを受け取って笑顔で買う事を口にする。


「…じゃあこれ買います。」


__バサァ!!…


「ッ!?…え?……ッ!?…」


「えぇ~っと…幾らですか?」


マサツグが羊の女性店員からコートを受け取るとレジの前に移動し始め、それを聞いた羊の女性店員はと言うとまさかの返答が帰って来た事に戸惑っては、ハッ!とした様子で元のマサツグに怯えた態度に戻り始める!そして自身がマサツグに迫って行った事も当然覚えている様子でアワアワとし始めると、改めてマサツグの事を見詰め出し…思って居た程怖くは無い?…そんな事を考えてはただその場で自身の振る舞いについて反省した態度をとって居ると、マサツグがレジの前に立ってコートの代金を尋ね始める。そうしてコートの代金を尋ねられた羊の女性店員はまたもやハッ!とした様子で…マサツグの問い掛けに対して慌てた様子でまたレジの方に向かい移動し出すと、戸惑いながらもマサツグに確認の声を掛け始める。


__ッ!?…タッタッタッタッタ!!…


「え…えぇ~っと…先程はごめんなさい!…

迫ったりしてぇ!…

無理にお買い上げ頂かなくても大丈夫ですよぉ~!…」


「ッ!…いやいや!…

そう言うんじゃなくて少しおば…

悪い事には使わないので安心を…

ただお土産的な意味で買いたくて…」


「……本当ですかぁ?

でもそれ結構高いですよぉ~?」


「え?…」


羊の女性店員がマサツグの前に立つようレジに入るとまずは謝り始める…やはり怯えた態度は失礼と感じたのか?…それとも迫った事に対しての謝罪か?…とにかく高い物を無理に買わなくて良い!…と言った様子で畏まってはマサツグに大丈夫と声を掛け、その羊の女性店員に対してマサツグは買いたいから買うと笑顔で答えると、その言葉で更に羊の女性店員は困惑の様子を見せる。そして最後の確認をするようオズオズと…困惑しながらも高いとだけ緊張した様子で伝え、その言葉を聞いてマサツグも釣られた様に戸惑った様子を見せると、レジにそのコートの金額が表示される!…


__カッ!…カカカッ!…カッ!…チ~ン!!…


「…165000Gになりますぅ~…」


「ッ!?…うお!?…高っか!?…」


レジはタイプライター型の物で外から手に入れて来たのか…使い込まれた形跡が多々見うけられ、紙に金額が印刷されマサツグの目の前に表示される!…そこに書かれて有った金額は165000G!…普段使う回復ポーション(中)の約330倍で有り、滅多に高額な商品を買わないマサツグからすればべらぼうに高い金額であった!…恐らくは説明に有ったシャドーウルフのなめし皮が希少で高いのか、90%使用したと言う言葉を思い出し!…その金額を目にしたマサツグが思わず高いと声に出してしまうと、目の前では羊の女性店員が言ったじゃないですか…とばかりに無言でピエンの瞳を見せる…


__ウルウルウルウル!…


「ッ!?…ちょちょちょ!!…買いますってば!!…

だからそんな泣きそうな顔しなくても!!…」


「でもでもぉ~!…やっぱり無理強いは!…」


別に羊の女性店員の元々の表情があの顔文字に似ているとかそう言う訳では無いのだが…如何にも羊と言う事から…ふと連想してしまうとマサツグは戸惑いを感じてしまう!…そしてレジの向こうではその羊の女性店員が目をウルウルとさせてはやっぱり…と言った様子でマサツグを見詰め!…そんな表情にマサツグは更に戸惑いを覚えて羊の女性店員を宥めようとすると、羊の女性店員は責任を感じているのか更に悲しい顔をしては金額の掛かれた紙を切り取ろうとする。


__ピリリリ!…


「だからそれも違うっての!!!…ほら、これ代金!!

これでこのコートは俺のだからね!!」


__ジャリンッ!!…


「ッ!?……え?…えぇ~!?…」


恐らくはその紙がレシート代わりなのだろう…切り取っては金額に横線を入れて商談不成立にしようとするのだが、マサツグが如何しても欲しい!と言った様子で慌てて財布からキッチリ!…コートの代金を取り出すと、羊の女性店員に差し出す!その際お金を出された羊の女性店員はマサツグの方を見てはえ?…と言った戸惑った表情をし、本当に買うとは思っても居なかった様子でただ慌てて驚いた反応を見せて居ると、マサツグはお金を支払った事でそのコートを着始める。


 -----------------------------------------------------------------------


       幻影コート(黒)


        レア度 C


      アバター装備:外套


  特殊能力:気配消し(大)・幻影化・消音


影に溶け込むのが得意な狼の皮を鞣して作られた


大きめのコート。黒く鈍く輝く皮の質感はとても


上品で普段着としても使える他に、隠密行動を


する際の目立ち難さもカバーしてくれる特性も


兼ね備えている。これを着れば闇夜ではまず


人に気付かれる事無く行動出来る他に悟られると


言った心配も無く…布同士が擦れる音・歩いたり


走ったりする際の足音も消してくれる為、時に


大胆な行動を取り辛くても安心して行動出来ると


言った運動面の方でも完璧に考慮がなされて有る。


但し逆に日の光が当たる所・着ているコートとは


反対の色が強く反映されて居る所で着ると、余計に


目立つデメリットもある!…

 -----------------------------------------------------------------------


すると如何だろう!…そのコートはまるでマサツグ用に作られたかの様にピッタリであり、マサツグ自身も驚いた様子で軽く動き出しては具合を確かめる。


__バッ!…ババッ!!……スッ…


「…おぉ!…良い感じ!…

オマケにフードも付いてるから

隠密には最適だな!…」


「ほ…本当にそれで良いのですかぁ~?

そのコートを来て歩いて居たら暑さで

倒れちゃいますよぉ~?

そのコートを着て倒れたらもしかすると

見つけて貰えないかも…」


「大丈夫ですって!…とにかく!…

これで商談成立!…」


軽く腕を回したりその場でしゃがんだり…とにかく動き回っては自身の動きの邪魔にならない事を確認すると、そのコートに付いて有ったフードを被り出す。その姿は明らかに不審者でしか無いのだがコートのお陰か…その存在感はほぼ無いに等しく、マサツグが一人良い買い物をしたと言った様子で満足していると、やはり心配なのか羊の女性店員はマサツグを見詰めて目を潤ませる。そしてもしもの話をし始めては今からでも遅くは無いと…返品を受け付ける様な事を言い出すのだが、マサツグは大丈夫と言い!…そのまま店を後にしようとするのだがその前にハッ!とある事を思い付くと、羊の女性店員の方を振り返っては徐に声を掛け始める。


{…あの羊の獣人さん…

何処かあの高山山頂のカフェで

紅茶を淹れてくれそうなフレンズと似てたなぁ~…

同じ受け答えするし…雰囲気も何か似てるし…

…何かやり辛かった…}


「ッ!…あぁ~…そうだ!…

最後に一つ聞きたい事が有るんだが良いか?…」


「ッ!!…は、はい~…何でしょうかぁ~?」


「いやそんなに……いや…

…とにかく、ゲステウス?…

って言う宰相に家は何処にあるんだ?…」


色々考えながらドアノブに手を掛け…いざ店を後にしようとした瞬間、マサツグが思い出した様子で羊の女性店員に質問をすると、羊の女性店員は驚いた様子を見せる!…突如マサツグに声を掛けられた事でビクッと反応し慌てた様子で声を震わせては、また元の様子に戻った事でマサツグは戸惑い…先程のカリスマぶりも何処へやら…プルプルと震える様な態度へ戻った事にツッコミを入れそうになるのだが、グッと堪え!…ただゲルデウス…もといゲスデウスの家の場所について質問をした途端!…またもや店員の態度が豹変し始める!…


__ピクッ!!…スッ……トッ…トッ…トッ…トッ…


「……お客さんもあの()()()()の仲間か部下なのかなぁ~?……」


「ッ!?……え?…はい?…な、何で?…」


「質問に質問で返さなぁ~い?…

如何なのかなぁ~?」


今まではマサツグに対してプルプルと震え怯えた様子を見せて居たのだが…一応その怯えが無ければ恐らくは朗らかなほんわかした優しい店員さんなのだろうが!…ゲスデウスの話をし始めた途端羊の女性店員さんの様子が変わり出す!…やはりそれは次第に某フレンズの様にゆ~っくり暗~くなるとそのままゆ~っくりマサツグの方を向き!…何か恨みでも有るとばかりの表情でマサツグの事を見詰め出すと、問い詰める様な言葉を掛け始める!…一歩間違えればヤンデレ口調!…コロコロと変わるその羊の女性店員さんの様子にマサツグが戸惑っては如何したと声を掛けるのだが、マサツグの言葉には一切耳を貸さず!…ただ詰め寄るよう歩いて来ては諸に裏が有ると言った笑顔でマサツグに再度問い掛け!…マサツグが再び壁際へと追い込まれると、両手で壁ドンされては完全に逃げ場を失う!…


__スッ…ドンッ!…ドンッ!!…


「…で?…どうしてなのかなぁ~?…

まさかゲスデウスの部下さんだったりぃ~?…」


「…ち…違うけど?…

だとしたら一々屋敷の場所なんて尋ねないと思うが!?…

…それに寧ろ今からちょっとばかしお邪魔しようかなって

思っていたところだったけど?…」


まさかの壁ドンを…それも女性から生涯で二度もされるとは思っても居なかった様子で戸惑って居ると、更に羊の女性店員さんはマサツグに詰め寄って来る!…その際マサツグは改めて羊の女性店員さんに目を向けると身長は低く!…顔も幼顔と!…容姿を簡単に説明するとやはりあの某ア〇パカのフレンズであり!…精々違いが有るとするなら羊の角が付いて居るか付いて居ないかの差!…マサツグに顔を近付け目を爛々と光らせるが身長が足りない!…150cm位で意外とボイン!…これが俗に言うロリ巨乳と言う奴なのか!?と、羊の女性店員さんに胸を押し付けるよう顔を近付けられてはそんな事を考えていると、その幼顔からは想像出来ない位の狂気に満ちた眼を向けられていた!…そんな視線にマサツグは混乱しつつも反論をするのだが…羊の女性店員さんはやはりマサツグの事を信じていないのか、更に追撃の質問を繰り出す!


「…ふぅ~~~ん?……

じゃあ…何でお邪魔しようとしたのかなぁ~?」


「ッ!……スゥ~…ハァ~…

誰にも言わない?…」


「ッ!!…え?…」


もはや状況は尋問!…その羊の女性店員さんに理由を聞かれると誤魔化し切れないと感じたのか…マサツグが徐に深呼吸をし始めると、真剣な表情を見せては誰にも喋らないかどうかと…自分がやろうとしている事について話し出そうとする!…そう!…これはあのコートを買わないか!?と差し迫られた時に思い付いた突拍子も無い考えであり、コートを買おうと思った理由そのもの!…そしていきなりそんな表情を見せるマサツグに羊の女性店員さんが思わず戸惑った表情を見せると、マサツグはその仕出かそうとしていた事を淡々と…まるで犯罪だとは思ってもいない様子で話し始める。


「…目的は俺の冤罪を晴らす為!!…

それが一番の目的!…

…後はゲスデウスをぶっ飛ばして

他の冤罪で捕まっている連中の解放が目的かな?…

そんでもってゲスデウス自身を牢獄に!…

…で、その為にはまずは証拠!…

アイツの家に忍び込んで色々と証拠を

手に入れようと考えた訳です!…はい!…」


「ッ!?…え?…そんな事出来る…」


「……如何だろ?…実際の所はやって見ないとだが…

監獄の警備があの程度だったら…

行けるんじゃないのかね?…

その為にこのコートを買った訳だし…」


「………。」


マサツグがコートを買った理由を話すと、それを聞いた羊の女性店員さんは信じられない様子で戸惑う!…ただでさえ今日出会ったばかりの脱獄囚が幻影コートを買い…そのまま国から逃げ出すのでは無く不法侵入と!…更に罪を重ねようとしているのだから!…そしてマサツグのやろうとしている事に対して思わず羊の女性店員さんは出来るかどうかと訪ねてしまうのだが、マサツグは出たとこ勝負といつもの様にギャンブルに頼り始め!…その答えを聞いた羊の女性店員さんは思わず呆気に取られ、先程までの憎しみめいた物を発さなくなるとただただマサツグを見詰める。その際マサツグはと言うと全く失敗を恐れていない様子で軽く笑みを浮かべると、同じ様に羊の女性店員さんの目を見詰める…そして…


「……ふうぅ~…とにかく!…

あの下種野郎の仲間では無さそうみたいだねぇ~!…

いやぁ~ごめんなさいねぇ~!!

その名前を聞くと如何もさっきみたいに

殺気立っちゃってぇ~!…」


「……ふうぅ~…怖かったぁ~」


別に昼ドラの様な展開などそう言った物は無く…ただ羊の女性店員さんの誤解が晴れると、マサツグに謝り出しては壁ドンから解放する…その際もうマサツグに対しての恐怖心は無いのか羊の女性店員さんは普通にマサツグと接し始め、マサツグも漸く解放された事であの狂気染みたの目を見る事は無いと安堵すると、自身の胸に手を当ててはホッと一息吐き始める。そして思わず本音を漏らすと羊の女性店員さんはマサツグの心配をし始め、先程あそこまで豹変した理由について言い訳する様に語り始める。


「…本当にごめんなさいねぇ~!……

実はねぇ、私の旦那様も謂れの無い罪で

牢屋に入れられてたのよぉ~…

たまたまうちに来たゲスデウスが

私の事を気に入ったらしくてぇ~…

セクハラをして来たのよぉ~…

旦那様が直ぐに気が付いてゲスデウスを

追い払ったんだけどねぇ~…

次の日衛兵が来て旦那様を覚えの無い罪で

拘束して連れて行ったのよぉ~…

…さっき買ってくれたコートが

その旦那様が作ったコートなんだけどねぇ…」


「ッ!……なるほど…だからか……分かった!…」


羊の女性店員さんがマサツグに語り出したのはあのペーターの話で、やはりこの羊の女性がペーターの奥さんで有ると…自ら明かしては何故ゲスデウスを恨んでいるのか?…何故マサツグに突っ掛かって来たのかを説明し、その内容もあのペーターから聞いた話と同じだと言う事にマサツグが気が付くと、夫婦揃っていかにあのゲスデウスの事を嫌っているのかが伺える!…その際マサツグが買ったコートはペーターが作った物らしく、羊の奥さんはまるでコートの事を遺作…亡くなったかの様に語っては悲しそうな表情を見せ、一通りの話を聞いた所でマサツグが一人納得すると、そのマサツグの納得した様子に羊の奥さんは戸惑う…


「ッ!…え?…」


「丁度良い機会だしアンタに伝言を…

多分だけど…アンタの言うその旦那様の名前は…

[ペーター・マトン]って言うんじゃないか?…」


羊の奥さんを置いてけぼりにマサツグが一人納得すると、良い機会とばかりにマサツグはある事を口にし始める!…それは羊の奥さんの旦那…ペーターの名前であり、言い当てる様にマサツグがペーターの名前を口にすると、羊の奥さんはハッ!とした表情で一度も旦那の名前は口にしていないとばかりに驚いた反応を見せる!


「ッ!?…え?…何でぇ!?…

如何してその名前を~!?…

だって一度もぉ!!…それにぃ!!…」


「…えぇ~っと…これを!」


「ッ!?!?!?……こ、この文字はぁ!!…

それにこの臭い!!…間違いない!!…」


__ポロッ…ポロポロッ!…


その時の奥さんの表情はまるで死んだ人が生き返った様な驚いた反応で、恐らくは看守達に獄中死したと…或いは処刑されたとでも聞かされた様な困惑の様子を見せており、マサツグはそんな驚く羊の奥さんに笑顔を見せて…あのペーターからの脱獄手引きの手紙を見せると、その手紙を見た途端に羊の奥さんは目を見開いては涙を流し始める!…その手紙は間違いなくペーターから!…ペーターは生きて居ると確信を持てたのか、ポロポロと涙を流し続けてはギュッと脱獄手引きの手紙を胸に抱きしめ、マサツグがその様子を見て更にゲスデウスに対して不快感を覚えると、更に地獄へ突き落そうと闘志を燃やすのであった!そして…


「…感動に浸ってる所悪いけど…

そろそろ良いかな?…

俺も時間が無いし…」


「………止めといた方がいいよぉ…」


「え?…」


マサツグは旦那が生きて居る事に感動して泣いて居る羊の奥さんに、改めてゲスデウスの居場所について…若干急いだ様子で尋ねると、その返答を聞くまで店を出ないと言った態度で待ち始める。すると羊の奥さんもマサツグの問い掛けに対して徐々に落ち着きを取り戻すと、やはりまだ泣き顔のまま…マサツグに止めた方が良いとだけ言って首を左右に振っては止めに入り、その返事が返って来た事にマサツグが戸惑って居ると、その理由を羊の奥さんはゆっくり語り始めるのであった。



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