-第二章二十六節 二度目の夜襲と挟み撃ちとフェンリルの片鱗・前編-
マサツグ達の乗っていた馬車から御者が離れ…それとは別に何か妙な気配が近付いて来るのを感じる!…狼と言った原生生物なら唸り声の一つでも聞こえて来そうな物なのだが何一つ聞こえず…寧ろ気配を隠そうとしているのか不気味な静けさのみがマサツグ達に伝わって来ると、否応無しに警戒させる。そんな外の様子にマサツグとシロは身構えて居り、恐らく外に居るであろう敵に対して注意を向けていると、マサツグがシロに指示を出す。
「……シロ!…俺の背中に貼り付け!…」
「へ?……」
「奇襲を掛けるぞ!……俺の背中に隠れて!…
タイミング良く奇襲!…出来るか?…」
「ッ!…了解です!…」
外に出る扉を睨み付けては昨日のよう馬車に籠る訳にも行かないと!…マサツグはその迫って来る気配に対して奇襲を考える!…自身の体を陰に…シロに奇襲を任せるよう考えるとシロに背中へ隠れるよう指示を出し、その指示を聞いたシロがキョトンとした表情でマサツグに返事をすると首を傾げるのだが、マサツグが説明すると納得した様子で再度返事をしては勢い良く飛び付いてマサツグの背中に張り付く!…この時シロはまるで慣れているが如くマサツグの背中にぶら下がるようくっ付いては自身の姿を隠し、いきなり飛び付かれたマサツグは驚きながらもシロがくっ付いた事を確認すると、最後にシロへ声を掛ける!…
「……行くぞ?シロ!…」
「…はいです!」
__ギュッ!……ッ!…コクリ!…
「…ふぅ~……ッ!!」
準備が出来たか如何か尋ねるようマサツグがシロに尋ねると、シロは気を使ってか外の敵に悟られないよう小声で返事をする。その際マサツグには見えないもののやる気を見せた表情で頷き、肩をガシッと握るとマサツグもそのシロのやる気に気付いたのか後ろをチラッと見て頷く!…そうして一呼吸吐いて歩き出すと馬車の扉を開け出すのだが、馬車の扉を開けて外に出ようとした瞬間!…待ってましたとばかりにやはり賊達が待ち伏せして居た様子でマサツグに向かい襲い掛かる!
__コッ…コッ…ガチャッ!!…キイィィィ…
「シャアアアアアァァァァ!!!!」
__フォン!!…フォン!!…
「ッ!…やっぱり居たか!!…
ってかシャアシャアシャアシャア!!…
そんなに赤い〇星が好きなのかテメェらは!!…
刹那!!!」
シロを背にマサツグが外に出ると途端に賊が数人…奇声を上げてダガーを振り被り!…真っ直ぐマサツグの方に向かって来るとすかさず攻撃を繰り出し始める!…しかしそんな盗賊達の攻撃は既に予見されていたのかマサツグに当たる事無く半身で回避されると空を切り…マサツグはマサツグでその賊の掛け声が余程耳障りなのか文句を言うよう声を荒げると、一気に片付けるつもりか刹那を発動し始める!
__ヴウン!!……チャキッ!!…
「ドォッ…セイ!!!」
__フォン!!ガキイィィン!!!…
「ッ!?…ぐああぁぁ!!…」
マサツグが刹那を発動すると刀に手を掛け、刀身を抜く事無く鞘ごと横薙ぎに刀を振り抜くと襲い掛かって来た連中を薙ぎ払う!そしてその一撃は賊の腕や胴に入るとそのまま後ろに仰け反るよう吹き飛ばし!…馬車から否応無しに距離を取らせると、マサツグはゆっくり賊達の前に姿を現し始める!その際背中に張り付いているシロの存在を賊達に気付かれないよう馬車から離れると、改めて刀を握り直しては賊達に対して構え出し!…先程吹き飛ばした賊達もダメージを貰った様子を見せつつ、マサツグに対して再度ダガーを構え始めると他の仲間と合流する!…
「……昨日より数が多い?…1…2…3……
ざっと見た限り大体8人位か?…
…これで伏兵が居たりすると面倒だな…
一応…感知!…」
__ピィーン!…ヴウン!!…
刀を構えるマサツグの目の前には先程襲って来た賊達の他に数名…昨日襲って来た連中…あのリーダー格らしき者もやはりそこに立っており、連中を前にマサツグは冷静に敵の数を数えると昨日より敵の数が多い事に気が付く!…その事に気が付いたマサツグは伏兵等も警戒した様子で徐に感知を発動すると自分を中心に半径30mの範囲を索敵し、自身のミニマップ上にその敵の数とアイコンを表示させるのだが…同時に見覚えのないアイコンまで表示されるとマサツグは一瞬戸惑う。
「ッ!…このアイコンは?……ッ?…」
__チラッ……コソォ…
「ッ!…あの御者あんな所にいたのか!…
…まぁ無事なだけ良しとして…
…と言う事はこのアイコンは協力者もしくは
中立モブの反応って事か…」
敵達とは別方向…街道馬車の左側と言った所か…岩場に隠れるようその青いアイコンが光るとマサツグはその方向にチラッと視線を向け、その正体を確認するとその岩場の陰からこちらの様子を確認する御者の姿を見つける!そんな御者の姿を見てマサツグが思わず戸惑った反応を見せるのだが、今回の御者はグルで無い事を確認すると安堵し…無事である事も確認し思う存分賊に集中する事が出来ると構えていると、賊達の方では…仲間が手こずっている光景を見ては若干の苛立ちを隠せない様子で構えていた。
「…チッ!!…何を手こずってる!!…
相手は一人だろうが!!…」
「クソ!!…分かってんだよ!!けどコイツ!!…
昨日とはまるで別人の様な動きをしやがる!!…
動きが見えねぇ!!…」
「チッ!!…役立たず共が!!…やってしまえ!!…」
「シャアアアアアァァァァ!!!!」
リーダー格が斥候に行かせた三人に対して苛立ちの言葉を掛けると、その三人は若干焦った表情を見せては言い訳を口にし…その言い訳を聞いて更に苛立ちを覚えたのか、今度は全員で消し掛ける様に命令を出すと賊は一斉にマサツグに向かい襲い掛かり始める!この時やはり奇妙な奇声を上げてはダガーを構え!…マサツグに向かい一直線に向かって来るのだが、ある事には気付いていない様子を見せて居り、マサツグはその事にニヤリと笑うと隠し玉に指示を飛ばす!
「…ッ!…おっと、動いてきたか!…
…出番だ!シロ!!」
__ンバッ!!…
「ッ!?…な、何!?…」
「覚悟するのです!!!」
……この時…賊達は驚いたであろう!…マサツグが誰かに指示を出した途端!…マサツグの背後からケモミミ幼女が飛び出して来たのだから!…マサツグの合図をきっかけにシロはマサツグを踏み台にすると大きく空に向かい跳び上がる!…その突如現れたシロに賊達が戸惑って居ると、シロは眼下に居る賊達に向かい敵意を見せては回し蹴りを炸裂させ始める!勿論ただ跳んだだけなので蹴り自体が賊達に当たる訳では無いのだが、まるで竜巻〇風脚の様に繰り出したシロの蹴りからカマイタチが発生すると、そのカマイタチは真っ直ぐ賊達に向かって降り注ぐ!
__ヒュン!ヒュン!!ヒュン!!!…ッ!?…
うわあああぁぁぁぁ!!!…
「なっ!?…バ、馬鹿な!?…あんな幼女如きが!?…」
__ッ!?……シュタッ!!
「……幼女じゃ無いのです!!…シロなのです!!!」
シロが一蹴り一蹴り放つ毎にカマイタチも一緒になって放たれると、雨の様に降り注いで直撃とは行かなくとも十分な牽制になり!…賊達が余りの出来事に戸惑って勢いを失い!…ただ宙に回転しながら滞空しているシロを見詰めていると、その正体が幼女である事に更に衝撃を受ける!…リーダー格もそのシロの姿を見ては驚きの声を口に出して驚き!…賊達一同がそのまま着地しようとしているシロに対し完全に戸惑って居ると、シロは地面に着地するなり文句を口にする!…その際シロは賊達に対して胸を張って威張る様に腰に手を当て、ただ賊達もその様子に戸惑いを覚えていると、マサツグはシロに更に指示を出す!
「…幼女には変わりは無いと思うが…
…まぁいい!…シロ!!…
派手に暴れていいぞ!!…
ここなら誰にも迷惑は……ッ!?…
あっ!…馬車に被害が出ない程度にな!?…」
「はいです!!!……ヴヴヴヴヴヴヴ!!!…」
マサツグがシロに指示を出す際、思わずリーダー格の言葉に同意をしてしまうのだが…とにかくこれで二次災害の心配が無い事・向かって来たら遠慮なく叩き潰して良いと言った一応の警告!を済ませたと言うと、暴れても良いと許可を出す!……が、最後にハッ!と気が付いた様子でシロに馬車へ対しての注意を促すと、シロはその言葉をちゃんと聞いているのか居ないのか…元気良く返事をすると賊達に対して威嚇するよう唸り声を上げ始める。
さて…ここで戦況を少し確認しよう…マサツグがさっき感知を使った時、敵の数は斥候の三人と後から出て来た五人で計八人!…で、それに対してマサツグ達はと言うと、一人と一匹の計二人?…と圧倒的に不利な訳なのだが…賊達は何故か驚き戸惑ってはマサツグ達に攻撃を仕掛けようとはしないのである!…一体それは何故か?……答えは地面に有った。空中で放った際のカマイタチはシロにとっては牽制のつもりだったらしいのだが威力が高く!…マサツグ達と賊達との間に大きなバッテン!…約2mクラスの斬撃痕が深々と残っており、それを目にしては賊達も否応無しに怯えてただマサツグ達を牽制していた。そして…
「……チッ!!…
こんな化け物が居るとか聞いてねぇぞ!?…
如何すんだよ!!!」
「落ち着け!!!…別に相手にする事は無い!!!…
ただあの馬車の中に居るターゲットさえ
確保出来ればそれで良い!!!…
…こっちには数が有る!!…相手は二人だ!!…
撹乱するよう動いてターゲットの確保!!…
いいな!!!」
「「「おう!!!…」」」
__バババッ!!…ッ!?…
慌てた様子を見せる賊達の一人に対しリーダー格は焦りを覚えながらも統率を図る!…そして幾らシロに警戒をしていてもまだ諦めないのか!…横に広がるよう指示を出して展開し始めると馬車の方に向かい走り出し、何としてでもミスティーの奪取を成功させようと躍起になる!そしてそんな賊達の様子にシロもバラバラになったと警戒を解いた様に慌て出すと、マサツグに判断を仰ぐのだが…マサツグは慌てる事無く動き出すとシロに指示を出し始める!
「ッ!?……あわわわ!…
ご、ご主人様、皆ばらけて!?…」
「…ッ!…シロ一旦退け!!…馬車最優先!!…」
「は、はいです!!」
__ふっふっふ!…バッ!!…バババッ!!…ッ!?…
マサツグはシロに一旦戻るよう指示を出すとシロは慌ててマサツグの元に戻り、馬車の扉を護る様に二人で仁王立ちし始めると賊の動きを警戒する!…しかしそれに対して賊達は不敵に笑みを浮かべると突如として馬車の反対側に回り出し、その様子にマサツグが何が有ると言った様子で疑問を持ち出すと、ハッ!とある事に気が付く!
「…ッ!…チッ!!…面倒この上ない!!…
この分だとシロと俺で馬車の両脇に展開した方が
速く処理出来るかな?…
相手のタゲは馬車に向いてるけど…
両脇さえ守れば!…シロ!…」
「はいです!!」
賊達が馬車の反対側に回った理由!…それは馬車の扉程では無いが反対側にはその扉の半分位の大きさの窓が付いていると言う事で、そこから侵入すれば誘拐出来ると算段していたからである。当然扉の方をずっと守って居ても窓から侵入されれば結局は誘拐され、そのまま窓から逃げられればミスティーは連れ去られると…マサツグも気付いては状況の面倒臭さと馬車の構造に若干の苛立ちを覚えると思わず苛立ちの言葉を口にする!…そして直ぐに打開案として馬車を挟む様にマサツグとシロが両翼に展開する方法を思い付くと、シロにその反対側を任せようとするのだが…シロはマサツグの話をちゃんと聞いていたのか返事をすると、若干後ろに下がっては馬車に向かい駆け出し!…馬車の下をスライディングで駆け抜けると反対側に現れる!
__トトト…タッタッタッタ!…
バッ!!…ズザアァ!!…
「ッ!?…なっ!?…」
__ニヤァ!!…
「み~つけた!…です!!」
シロが馬車の反対側に出ると案の定賊達が窓を割ろうとしている最中で、突如足元に一番警戒していたシロが現れると賊達は戸惑い!…シロはシロでマサツグに影響されたのか悪い笑みを浮かべると、その賊達に向かってカマイタチを放つ!…そしてほぼゼロ距離で放たれたカマイタチは賊達に向かい跳んで行くと簡単にその腕を吹き飛ばし、改めてシロがヤバいと言う事を認識させると、賊達は慌て出す!
__フォン、ズバン!!……ボトッ!!…
「ッ!?…ヒッ!?…ヒィ!?…お、俺の腕が!?…」
「あらぁ~…やり過ぎちゃいましか?……
でもそっちが悪いんですからね!?」
飛ばされた賊の腕はそのままその賊の後ろに向かって跳んで行き、ボタッ!と言う生々しい音を立てると、その鋭利な断面図に賊達は衝撃を受ける!…何故ならその断面図からは一滴も血が垂れて来ず…痛みも無いのかただ腕を失った事に衝撃を受けると慌て出し!…シロはその腕が飛んで行った事に逆に平然としてはただやり過ぎた?…とマサツグの言葉を思い出した様子で若干反省する。しかし直ぐに賊達が悪いと言った様子で膨れ出すと窓の前に立つよう仁王立ちしては警戒を露わにし!…そのやり取りはマサツグの方でも聞こえて来ているのか、ある物を目にしては目に入って居ないのか?とリーダー格の盲目具合を疑い始める。
「…はあぁ~…ったく!…
シロのアレで帰ってくれたら楽だったんだけどなぁ…
…まぁ始末しなきゃ結局諦めないか?……
……アレは見えていないのかね?…
それとも見ていないのか?…」
…その際マサツグの目の前に有ったものと言うのは例のバッテンの着弾地点で、逃げるのに失敗したであろう賊の一人がバラバラになって倒れている光景であった。幸い深い草むらの中で倒れている為…ワザワザ覗き込まないと見えないのだが、マサツグの立ち位置だと見えてしまい…あまり見たいと思うものでないので…マサツグが目を逸らし極力見ない様にしていると、シロが馬車の反対側に現れた事で賊達は更に警戒し始める!
「ッ!?…クソ!!…
やっぱりこの化け物を
相手にしないといけねぇのか!?…」
「チィ!!…おい!!…向こうに人員を割け!!…
こっちは無理でもあっちなら!!…」
「ッ!!…わ、分かった!!…」
シロが馬車の反対側に現れた事で一気に賊達は攻撃の手を止めると、攻めあぐねる!…更に目の前で仲間の腕が吹っ飛ぶ光景を目にしては完全にシロに対して畏怖の念を抱いて居り、リーダー格もシロを警戒すると窓からの侵入を諦めては扉からの強行に打って出始める!それに戸惑いながらも賊の仲間達は同意すると急いで扉の方へと移動し出し…その内四人を窓側の方に留まらせるとシロの注意をマサツグの方に向けないよう動き出す!
__バッ!!……ババッ!!…
「ッ!?…ご主人様!!…」
「大丈夫!!…
シロはそっちを引き続き守ってくれ!!…
……舐められたモンだ!…」
シロの前に賊が四人残ると…勝てなくとも時間稼ぎと言った様子で隙を伺い出し、マサツグの方にはその後の賊が向かって来てはマサツグの前に立ち、ダガーを構え始める!その際まだ何処かに隠れていたのかマサツグの索敵外から更に賊が二人出て来ると、五人が緊張した様子で並び…シロがマサツグを心配した様子で声を掛けるとマサツグは直ぐに大丈夫と返事をする!…この時自分の方は突破出来ると賊達に公言されて居るので、マサツグがその言葉に苛立ちを覚えると、殺気を放っては威嚇をし…賊達はマサツグの様子を察してか動かずただマサツグとの睨み合いを始めると、その場はちょっとした一触即発の硬直状態になる。
__ゴゴゴゴゴゴ!!!…
「ッ!?…こっちもこっちで何だ!?…
コイツやけに殺気を!?…」
「……ッ!!…時間がねぇってのに!!…」
「一気に行きゃぁ何とかなんだろ!!!…行くぞ!!!」
睨み合いも時間にして約数分…マサツグの殺気に戸惑ってはやはり警戒した様子で動けず、賊達の方は余程時間が無いのか慌てた様子を見せると、徐々に痺れを切らして来た様子で一気に畳み掛けようとマサツグとの間合いを詰め始める!そんな様子にマサツグは一歩も動く事無く更に慌てる事も無く!…ただ刀を手に正眼の構えで待ち構えて居ると、賊達はマサツグを自身の攻撃間合いに入れたのか!…一気に三人が飛び掛かる様に襲い掛かろうとし始めると、マサツグは呆れた様子で溜息を吐く。
__ジャ…ジャ……バッ!!…
「……はあぁ~……やってらんねぇよな?…」
「シャアアアァァァァァァ!!!!」
「……三人一気に来た所で……遅ぇんだからよ?…」
マサツグが呆れた様子で溜息を吐いた理由とは至極簡単な事で、今だマサツグは刹那を発動中の為…幾ら一気に襲って来ようとも敵の動きが手に取る様に!…スローモーションで動いている様に見えてはカウンターを放つ事が出来る体勢に有ったからである!その為の正眼の構え!…しかしそれを賊達は全く理解していない様子で…愚直に真っ直ぐマサツグに向かい襲い掛かり始めると、マサツグはその襲って来た賊三人に無慈悲なカウンターを入れる!
「……斬り捨て御免!!」
__フォンフォンフォン!!!…
「ギャンッ!!…」
「グアッ!!…」
「ドハァ!!!…」
まるで剣道の様に!…真っ直ぐ刀を振り上げるとその襲い掛かって来た三人の賊の頭に向かい面を放つ!…それは賊側からすれば一瞬の出来事であろう!…三人が襲い掛かったと思ったら次には前のめりに倒れ始め!…受け身を取る様子を見せないのであるから!…そして夜に打撃の鈍い音が響くと飛び掛って来た三人の賊はマサツグの足元に倒れ、それも頭にギャグマンガの様なタンコブをこさえてはピクリとも動かなくなる!…
__ドサドサドサァ…ぷっくぅ~~!!…
「なっ!?…馬鹿な!?…一瞬で!?…」
「ッ!?!?…お、おいルイス?…
ロッド?…アンス?…」
__………。
一瞬で三人がやられた事に驚きリーダー格が戸惑いを露わにしていると、もう一人の賊はあまりの出来事に驚き戸惑っては思わずその地面に倒れた仲間の名前を口にする。しかし幾らその三人に呼び掛けた所で彼らからの返事は帰って来ず…オマケにマサツグが繰り出した攻撃は悉くCritical Hit!と、死ぬまでは行かなくともただ地面に倒れて生きて居るのかさえ不安になる程深々と痕跡が残っており、そんな無慈悲な攻撃を見たリーダー格と残りの一人が驚き戸惑って居ると、マサツグはドレッグの真似をするよう肩に刀を置いてはトントンと叩き始める。
__スッ…トン…トン…トン…トン…
「……で?…まだ来るの?…
お次はどう来るかなぁ~?」
「グッ!?…コイツ!!…」
「クソッ!!…話が違うぞ!!…
馬車に居る姫さんを誘拐して終わりの
簡単な仕事じゃなかったのかよ!!……」
マサツグが煽る様に言葉を口にすると、その言葉を聞いたリーダー格は苦虫を噛んだ様な表情を見せる!…思っていた予定と違う!…そんな感情が読み取れる程に焦っている様子が見て取れ、隣に居る仲間もただ話と違う!と嘆いてはもはや隠す気も無い…いや考えも無いのかボロを出し、その言葉を吐いた仲間に対してリーダー格がハッ!とした表情を見せると、仲間に向かって激怒する!
「ッ!?…この馬鹿!!!
何考えてモノ言ってやがる!!…
先に貴様を消してやろうか!!!」
「え?…あっ!!…」
「…はあぁ~…
…人間慌てれば慌てる程ボロが出るな…
まるでお手本の様だな?…」
「ッ!?…クッ!!…貴様ぁ!!!」
リーダー格が激怒するとそこで仲間は自分の言っている事に気が付いたのかハッ!とした表情を見せ、慌てた様子で口に手を抑えるももはや後の祭りと言った状態で…マサツグが呆れて溜息を倍プッシュすると言葉を口にし、その煽る様な言葉で更にリーダー格が激怒すると、マサツグに視線を向けてはダガーを握り直す!…もはや殺すしかない!…そんな殺意に満ちた目をマサツグに向けるのだが、向けられても尚マサツグは面倒と言った態度で構えて見せ…反対側に居るシロの様子を伺う様に耳を澄ませ始めると、そのシロの方からは何やら楽しそうな声と一緒に奇妙な音が聞こえて来る。
「よっ!…ほっ!…とぉ!…」
__ヒュヒュン!!…カカッ!!…
「…ふぅ~…それじゃあシロは捕まえられないです!」
__ッ!?!?…
何やら運動をしている様なシロの掛け声と何かが飛んでいる!…木に鋭利な刃物が刺さる様なカッと言う音!が聞こえて来ると、次にはシロが余裕と言った様子で賊達に言葉を掛けている声が聞こえて来る!…さて、この時シロと賊達との間で何が有ったのか?と言うと…賊達は余程シロに近付くのを躊躇っているのか、用意した投げナイフで仕留めようと試み始めるのだがシロに悉く回避され!…四人掛かりでも一発として当たらない事に戸惑ってはただただシロの回避能力に驚いて居た!…そしてこの時シロは賊達に対して胸を張るよう反っては腰に手を当て威張り!…幼女相手に威張られる賊達はそれを見てムキになり始めると、仕切りに投げナイフを投げ続けていた!
「ッ!?…クソッ!!…四人掛かりだってのに!!…
本当に何なんだあのガキ!!…全然当たらねぇ!!」
__ヒュヒュン!!…ヒュヒュン!!…カカカカッ!!…
「落ち着け!!…無駄に痕跡を残すな!!…
ナイフも無限じゃないんだぞ!!…
それに相手は所詮ガキ一人だ!!…
もっと冷静に!…」
依然として投げ続けられる投げナイフをシロはやはりまるで遊ぶ様にヒラリヒラリと回避し、キャッキャと喜びながら笑い簡単に回避し続けて見せると、その様子を見て賊は更に熱くなる!…プロとしてのプライドか?それとも自分より小さな子に馬鹿にされてキレているのか?…ただシロにムカついた様子でナイフを投げ続け…シロの事をガキと呼んでは何が何でも当てる気で居ると、仲間の一人が冷静になるよう声を掛ける。しかしその賊もやはりシロの事をガキと呼んでは完全にお子様扱いをしている様子で、とにかく冷静になるよう仲間に声を掛け続けるのだが…シロは先程から自分の事がガキと呼ばれて居る事に…別にお子様扱いをされて怒っている訳では無いのだが!…その言い方が気に食わないのか突如として固まると何やら様子が急変する!…
__ピタッ!…
「ッ!…ガキ?…」
「ッ!?…しめたあぁぁ!!!」
__ヒュン!!!…
卵から孵って色んな言葉を聞いて来たシロで有るのだが…確かにまだ聞いた事の無い言語が有るのだろうが…何故かこの「ガキ」と言う言葉だけはシロにとってムカつきを覚えるもので!…思わず足を止めその言葉を復唱しているとその隙を狙う様に賊が投げナイフを投げ付け、まだ当たっても無いのにシロを仕留めた気で更に「ガキ」と口にすると今度はマサツグの事を馬鹿にする!…
「足を止めたのが運の尽きだなクソガキィ!!…
後でテメェの飼い主もあの世に連れて行って!!…」
「またガキって言いましたね?……」
__スッ…ピンッ!…スパンッ!!…
「ッ!?…へ?…」
__ザシュッ!!!…
ナイフを投げた賊がマサツグの事も殺すと言った次の瞬間!…シロは人が変わった様に突如として俯き出すとポツリと呟き、その投げナイフに向かいデコピン!…小さなカマイタチを放って見せ飛んで来る投げナイフを縦に裂いてしまうと、そのまま放ったカマイタチはナイフを投げた賊に向かって飛んで行き、その賊の右目を刻んでしまう!ただ一瞬の出来事で何が起きたのかは賊達も直ぐには分からないのだが、突如右目が見えなくなった事に気が付くと、その賊は右目に手を当てる…
「……ッ!!…あれ?…
何で何も見えないんだ?……ッ!?…」
「ッ!?…お、おい!?…嘘だろ!?…」
「ヒッ!…う…
うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…」
右目に手を当て何が有ったのかを確認するとそこには深々と何か残痕が…触った手には血が付いており、徐々に自身の頭の中で何が有ったのかが鮮明に分かり出すと青ざめ始める!そしてその周りの仲間達も考えている原因が合って居るとばかりに!…同じよう青褪め出すとただただその光景に戸惑い!…遂に現実を受け入れたのかその右目を失った賊が悲鳴を上げ出すと、シロは止めの一撃をその賊に向かって放つ!
「……フン!!」
__ゴウッ!!…ドゴオォ!!…
「ギャファッ!!…」
__ギャルルルル!!…ドゴオォォン!!!…
何処で習ったのかシロは肩幅に足を開くと腰を落とし!…肘を引いて拳を固めると、周りの空気を巻き込む様にその右目を失った賊に向かい拳を放つ!すると如何だろう!…シロの拳から横向きの竜巻の様な波的な物が放たれて賊を吹き飛ばし!…そのまま賊の後ろに有った大岩にその賊ごと竜巻が接触すると、竜巻はガリガリと賊と大岩を削る!…その際普段聞かない様な物音が聞こえると衝撃音も響き!…その様子に他の賊達は怯えた様子で痕を見詰めて居ると、次に竜巻が晴れてはその賊の無残な姿が見つかる!…
__シュウウウゥゥゥ!……ダラン…
着ていた服はボロボロ!…体中は鋭い刃物で切り刻まれた様にザクザク!…しかし不思議な事に血は一滴たりとも!…体の何処からも出血は全く見られず、更に奇跡的にまだ生きて居るのか虫の息で呼吸をしている!…だが見ての通り戦闘不能なのには変わらず、ただ力が無い様にダランとその岩に張り付くようもたれ掛かってピクリとも動かない!…そんな見た事も無い光景に賊達はただ青褪め固まって居ると、シロへの注意が散乱しては危機が訪れる!
「ッ!?…あ…あぁ!?……ッ!?…しま!!…」
「遅いです!!!」
「うわああぁぁぁ!!!」
賊達が気付いた時には何処にもシロの姿は無く!…次に違和感を覚えた自身の足元に目をやると、そこには怒った表情で鏡直ぐに攻撃を繰り出せる体勢で構えているシロの姿を見つける!…そして今更気付いた事に対して無駄とばかりに言ってのけると、シロは一気に立ち上がるよう足に力を入れ!…その賊の腹部に向かいこれまた誰に教わったとばかりのアッパーを!…容赦の無い一撃を繰り出す!…
__ドゴオォォ!!…
「ガッ!?……ハァ!!……」
「知らない人を馬鹿にする言葉は
言っちゃ駄目なんですよ!!」
しゃがんだ状態から一気に立ち上がるアッパーを繰り出す際…シロは自身の腕に風を纏わせると、賊の腹部へ抉り込む様に拳を入れては風の力で上空に吹き飛ばす!幼女のか細い腕の何処にそんなパワーが!?…そう言いたくなる位に賊が打ち上るとその光景に他の賊達は震え始め!…シロはシロで言っている事は可愛らしいのだがそのシロから繰り出された一撃は余りにも凶悪で、一瞬で二人を戦闘不能にされた事にただただ怯えるしかなくなると、賊達は自身の命の方が大事とばかりに背後の草むらの中へと姿を隠す!…
「ヒィ!!…ヒイイィィ!!…」
__バッ!!…ガサァ!!……
「ッ!?…あぁ!!逃げた!!」
{なっ!…何なんだよアレ!?…
あんな子供見た事がねぇよ!?…
二人が一瞬で!?…あんな死に方!…
人の死に方じゃねぇよ!!…}
……最初はシロの事を小さな子供でミスティーのお付きとでも思って居たのだろう…しかしいざ蓋を開けて見たらその認識は全然違い!…今自分達の目の前に居たのはトンデモナク強い正真正銘の立派なモンスターだと言う事を解らされる!…ただ目の前で起きた光景に賊達は信じられないと言った様子で怯え!…やられた二人の事を死んだと誤解してシロの影に怯え…今はやり過ごす事でも考えているのか息を潜めジッとしていると、その白い悪魔はホラー映画張りの索敵能力で逃げる者を追い詰めるのであった。




