-第二章二十四節 突然の敵襲!と賊の狙いと変な都市伝説-
さて、マサツグ達はハーフリングスへ向かう為に馬車に乗っている訳なのだが…その馬車の中ではと言うとマサツグが両足に痺れを覚えながらも二人の飼育員をしていた。港町ホエールビアードを出てから約数十分と言った所か、その間シロとミスティーはマサツグの膝に頭を乗せては撫でられてゴロゴロと…甘えるよう転がっては耳をピコピコと動かし、マサツグもその和やかな雰囲気に気が抜けてはもう無警戒と言った様子で二人の頭を撫で続けていた。
「クゥ~ン♪…クゥ~ン♪…」
「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ♪…」
「……ふあぁ~あぁ…
いい加減に飽きないのかね?…」
{…てかそろそろ膝の感覚が…
…あっ…後でヤバい奴だわこれ…}
ただ何事も無く二人の頭を撫で続けるマサツグも飽きを感じ出し、大きな欠伸をすると徐々に両膝の痺れを感じなくなっては何か超越した状態になり始める。痛みも何も…本当に神経は繋がっているのか?と不安になる位に何も感じなくなると、マサツグはこの後に来るであろう反動を警戒し…そろそろ退いてくれないかなぁ?…等と言った感情を覚えていると、突如としてシロとミスティーがガバッ!と異変を感じた様子で起き始める!
__……ッ!?…ガバァ!!…ッ!?…ッ!?…
「ッ!?…シ、シロ?…ミスティー?…
一体如何したって言う…」
__ジィ~~~~ン!!!…
「だッ!!!…ぢ!…づ!…で!…どぉ~!!……」
突如起き上がったと思えば二人は揃って警戒した表情を見せ、何やら辺りを探るよう窓の外を確かめて見回し出すと、その様子にマサツグは戸惑う!…それは余りにもいきなりの事なのでマサツグも戸惑った表情で二人に声を掛けようとするのだが、次の瞬間自身の膝に一気に血が流れ込んで来たのか痺れる様な痛みを感じ始めると、思わず動けなくなってしまう!…そしてその痛みを和らげる為にマサツグは自身の脚をマッサージし始めるのだが、そんな事よりと言った様子でシロとミスティーが辺りを警戒し続けていると、ある事を話し出す。
「……ご主人様!!…
良く分かんない物が居るのです!!…
一杯居るのです!!!…変なのです!!…」
「周りを囲まれた?…
でも走っている馬車の周りを如何やって?…
陰も見当たりませんし…一体これは?…」
「…ッ~~!!…つつつつ!…
え?…一体何の話?…」
シロが話し始めたのはまるで自分達の乗る馬車に敵が迫っている様な言い分で、必死にマサツグへ危険が迫っている事を伝えているとそれに同調するようミスティーも続けてこう語る。それはもう囲まれていると言った様子で話すと徐に疑問を持ち出し、辺りを目まぐるしく確認しては視線を動かし続け!…敵の姿が見えないと言ってはただ困惑の様子を見せ始める。そしてこの時肝心のマサツグはと言うと今だ膝の痛みに襲われながらマッサージを続けており、話が見えないと言った様子で戸惑ってはシロとミスティーの姿を交互に見詰め…一体如何言う事なのか?と戸惑いを続けていると、そんなマサツグの様子を察してかミスティーが細かい説明をし始める。
「…恐らくは敵意!…は感じるのですが…
何が馬車に並走しているのかが分かりません!……
明らかに怪しいですが敵の影が見えなくては!…」
「え?…敵?…どれどれ?…感知!」
__ピィーン!!…ヴウン!!…
「ッ?…敵影…無し?…レベルか?…
それともスキル……とにかく何も可笑しな事は?…」
ミスティーは困惑しながらも警戒を怠る事無く窓から辺りの様子を確認し続けると敵襲と説明し、今感じている疑問に関してもマサツグに話すのだがマサツグは今だピンと来ていないのか戸惑った反応を見せ続ける。それでもミスティーの様子が可笑しい事には変わりないので、マサツグは感知を発動するのだが、ミニマップには何も反映されず…マサツグがその何も無い事に更に戸惑いを覚え、自身のスキルレベルが足りないのか?…それともスキルを使われているのか?…何方とも言えない様子に悩んではとにかく反応が無い事を伝えようとすると、遂にそのミスティーの言っていた敵意は動きを見せる!
__……バリィ~ン!!…パサアァ!!…
「ッ!?…なッ!?…
一体何が!?…ッ!?…これは!!…」
「スンスン!…ッ!!…ご主人様!!…これはぁ~…」
「ッ!?…あぁ…この臭いは…」
__バタッ!!…パタリ……ッ!?…
突如馬車の外から窓を突き破る様に投擲されたのは一つの包み!…それが馬車の中で中身が漏れ出るよう封が開くと包みから淡い青色をした煙の様な物が立ち昇り、その包みを見る際マサツグは少し煙を吸い込んでしまうと途端に強烈な眠気に襲われる!…そしてそれはシロやミスティーにも襲い掛かると二人は諸に煙を吸い込んでしまったのか、崩れる様にその場に倒れ…マサツグがそれを目にして不味いと、意識が飛びそうになりつつも本能的に鼻と口を押さえてその場に伏せると、先程の眠気が消えて行く。
{……ッ!…何とか意識は有るか!…
…何なんだこれは!?…
まぁ誰と言っても敵しかいない訳なんだが!?…
とにかくこの煙は!?……
現状分かるのはこの煙は催眠効果が有るって事位か!?…
シロとミスティーは完全にグッナイしてるし!…
…完全にぬかった!!…
もっとミスティーの忠告を聞いておけば良かった!!…
そんないつもののほほん旅じゃ無いって事
分かってた筈なのに!!……さぁて?…如何する?…
ミスティーが言うには馬車と並走しているって
言ってたな?…オマケに感知を使っても
反応は無かったし?…}
マサツグが一人完全に不意を突かれた事に戸惑って居ると慌てて現状の把握をし始める!…如何やらその投げ込まれた物には催眠効果が有るのかシロとミスティーは寝息を立てており、その催眠効果のある煙は空気より軽いのか…その投げ込まれた窓から流れるよう抜けて行っては馬車から消えて無くなる。そして感知を使った所で敵はその反応には引っ掛からない!…ミスティーの話をちゃんと聞けば良かった!…と嘆くのだが!…マサツグはまだ諦めていない様子で床に倒れたまま伏せていると、ある事を考え始める!…
{……当たり前だが敵はまだ外に居る!…
となると馬車の御者はグルか?…
…いや、それは無いだろうな…
…ギルドが用意した人間でそんな事が有れば大問題!…
てかまずそんな怪しい人間を使う筈が無い!…
狙いは間違いなくミスティー!…
そうなると俺とシロは邪魔だから始末されると
言った所か?……とにかくここは…}
シロとミスティーは今だ寝ている…目的がミスティーならば勿論馬車に入って来る!…もしそれで御者もグルだった場合も考えるとマサツグはそのまま寝たふりを続行し、相手の出方を伺い始めたのである!…そしてこれが功を奏したのか数分後…相手もあの青い煙はヤバいのか完全に抜け切った所で徐々に馬車は減速し始め、完全に止まった所で外から何者かの足音が聞こえ出す!…
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「へっへっへ……如何やらグッスリの様だぜ?……」
「そりゃそうだろ!……
何せネムイテングダケの粉末を密室で
捲かれた様なモンなんだからな!…
一度嗅いちまったら明日までぐっすり眠ったままだ…」
{……なるほど?…名前からして納得の効力だな…}
馬車の床に耳を当てるよう外から聞こえて来る足音に耳を傾けていると、その包みを投げ込んで来たであろう賊達の会話が聞こえて来る!…相手は完全にこちらを全員眠らせたと勘違いした様子で、大声で喋り…投げ込んだ物に対しての情報もハッキリ口にすると、マサツグは静かに聞き耳を立てては納得する。そうして外に居る賊は最低でも二人居る事を確認していると、更に仲間が居るのか…先程話していた二人より立場が上っぽい何者かの声が聞こえて来る。
「お喋りはいい!…
早くそこの姫さんを掻っ攫ってこの場を離れよう…
そんで報酬をたんまり貰うんだ!…」
「まぁ、そんなに慌てんじゃねぇよ!!……
もう相手は寝てるんだぜ!?…
何ならその姫さんの
大事なモンも奪っちまうか!?…俺もあんなイイ女…」
「…貴様は消されたいのか?…
…そんな事は如何でも!…」
__……スッ…キュキュキュ…キュッ!…ガタッ!!…
更にマサツグが黙っているとその賊達の頭領らしき男から奇妙な言葉を耳にする…それは「姫さん」という言葉である。それを聞いた途端に出て来たのはリーナの顔なのだが違うと言った様子でマサツグは目を閉じ…改めて先程の呼び名は如何言う意味か?と考えていると、今度は下種な会話が聞こえて来る。聞くに堪えないその何とも下半身直結振りにマサツグが軽い苛立ちを覚えると、まだ残留しているかもしれないネムイテングダケの粉末を吸わない様に、アイテムポーチから布切れ一枚を取り出すと自分の口と鼻を塞ぐようにマスクをする。そしてスッと立ち上がって見せると外からもその様子が見て取れたのか、その賊達はマサツグを見るなり驚いた反応を見せる!
「なっ!?…馬鹿な!?…
あのキノコの粉末から逃れただと!?…」
「ッ!?…チィ!!…運が良い奴が居たみたいだが…
逆にアンラッキーってやつかもしれねぇぜ!!…」
「御託は良い!!…サッサと始末するぞ!!
…最悪姫さんの誘拐を最優先しろ!!」
__スチャ!!…スチャ!!………チャキッ!!…
{……なるほど?……御者もグルだったって事か……
そうなると今回受けたこの護衛の任務って
マルコの時より面倒かも知れんな…妙な粉を使うし…
やたらとしつこいし…}
マサツグが立ち上って外に居る賊の数を確認するとそこには御者の姿も有り、賊と御者を合わせて十人!…更にその賊の中には昨日の夜・宿屋を襲って来たあの夜這い族の姿も有り、賊達はマサツグ一人だけを相手にすれば良いと安堵している様子を見せては一斉にダガーを抜いて構え始める!そしてそんな相手を前にマサツグはマスクしたまま馬車の中で構えていると、ゆっくりと誘拐犯を睨む様に刀へ手を掛け!…改めてこの護衛任務が一筋縄ではいかない事を認識していると、その賊達は昨日とは大違いの機敏な動きでマサツグに襲い掛かる!
「構う事はねぇ!!…やっちまえ!!!
ただ馬鹿な冒険者の死体が転がるだけだ!!!」
「シャアアアァァァァ!!!!」
「ッ!…速いな!……でも!!」
__バアアァァン!!!…フォン!!…
盗賊達はミスティーの誘拐を最優先した様子で馬車に飛び込んで来るとそのままマサツグに襲い掛かり!…マサツグもその機敏な動きを見せる盗賊達に驚くが、難なくその盗賊達の攻撃を回避する!…そしてマサツグがこの馬車から降りようとしなかった理由はここに在り、相手の動きを制限・かつ襲ってくる人間の数を…馬車に入って来れる人数を制限したかったからであった!…結果自分の動きも制限されるのだが馬車に入って来れる人間は二人と、残り外に居る者達は如何する事も出来ず!…ただ後ろから見守る事しか出来なくなるのであった。しかし!…
「シャアアアァァァァ!!!!」
__フォン!!フォン!!!…
「ッ!!…チィ!!
ちょろちょろ動き回りやがって!!…
さっさとくたばれよ!!!」
{はぁ!……はぁ!…息苦し!…
ちっとばかしキツ目に締め過ぎたか!?…}
昨日とは打って変わって機敏な動きを見せる盗賊達にマサツグは苦戦を強いられる!…何故なら動きが制限されている事と、マスクによる呼吸困難!…迂闊に自分から動くと盗賊に反撃を貰い、一気に形勢逆転されかねない状況だからであった。自ら招いたこの状況なのだが悪手過ぎたのか思う様に動けず、更に足元にはミスティーと…シロがスヤスヤと寝て居る為思う様に足を運ぶ事が出来ないのであった!…そうしてマサツグは何とか賊の攻撃を躱し、盗賊もマサツグに攻撃を当てる事が出来ずに消耗し…互いに膠着状態に入りそうになりつつ他の打開策を考え始めていると、ここで天の助けが入る!
__ガラガラガラガラ!…
「……ん?…何だあの馬車?…何であんな所に?…」
「御者も居ないし…馬も繋ぎっぱ?…
何か様子可笑しく無いか?…」
「お~い!!…誰かいるのか!?
何でこんな所で止まっているんだ!?」
ここで入った天の助けとは!…何とここでまさかの他の冒険者達が乗った馬車が近くを通り掛かったのである!そしてその馬車に乗っていた冒険者達も不自然に止まっている馬車を見掛けて不審に思い…その冒険者達は警戒した様子で馬車から降り始めると、ゾロゾロとマサツグ達が戦闘している馬車の方へと歩いて来たのである!そしてこれに感付いたリーダー格の賊は分が悪いと感じたのか、マサツグと戦闘している仲間に対し撤退するよう声を掛け始める!
「ッ!?…チッ!!…更に面倒な事に!!…
…仕方が無い!!…おい、一旦引き上げるぞ!!!」
「ッ!?…ハァ!?…何言って!?…
まだ姫さんを誘拐!…」
「それ所じゃなくなったんだ!!…
残りたきゃ勝手に残れ!!!
ずらがるぞ!!!」
__バッ!!!…
リーダー格が悔しそうに慌てながらも声を掛けるとその場から離脱し始め、マサツグと戦闘を繰り広げている賊はその突然の撤退命令に慌て出す!…まだミスティーを確保していないと戸惑った様子で叫ぶのだが、リーダー格はそれよりも安全と言った返事をし…その際戦っている仲間を見捨てる様な感じの言葉を残すと、一歩足りと待つ気配を見せずそのままその場を後にしようとする!そしてそんな様子に戦闘していた面々も更に慌て出すとマサツグをそっちのけで逃げ出し、一目散にその場を後にし始めるとその降りて来た冒険者達とぶつかる様にすれ違う!…
__ダッダッダッダッダ!!…
「ッ!?…うわぁ!?」
「きゃッ!!」
「おうッ!!」
「な…何だあいつ等は…盗賊か?…」
突如馬車の影から飛び出して来た賊達に冒険者が驚いて居ると、賊はそのまま振り返る事無く現場を後にし…その姿を近くの森の中…薄暗い影の中へと消して行くと、更に冒険者達を戸惑わせるのであった。そうして馬車の影から出て来た賊に対して奇妙な違和感を覚えては賊が消えた森を見詰め…一方でマサツグ達の乗る馬車の方からは何やら…突如としてズルズルと何かが擦れる音が聞こえ出し、その音に冒険者達は更に違和感を覚えると興味を持ち出す!…
__ズル…ズル…ズル…ズル…
「…ん?…擦れる音?…
馬車の中に誰かいるのか?…」
「ッ!?…負傷者なんじゃ!?…」
「とにかく確認を見よう!!…」
馬車の中から突如として聞こえて来る何かが掠れる音に反応すると、冒険者達は馬車の中に居るマサツグ達の存在に気付く。しかし如何言った相手なのか?…如何言う状態なのか?…ましてや馬車の中に居るのがマサツグである事を知らない彼らは当然警戒し悩み出すのだが、先程飛び出して来た賊の件も有る事から誰かが襲われたのではないか?と考え着くと、冒険者達は慌てた様子で馬車の中を確認しようと歩き始める。そして馬車の乗り込み口に回り込んでその様子を確認するなり彼らは驚いた反応を見せる!…
「ッ!?…な!…何だこれ!?…」
「こ!…こんなイベントが有るの!?…」
「いや、聞いた事無いて!…って言うかこれ!…
ちょっとリアル過ぎないか?…」
「……ど、如何する?…中を確認するか?…」
そこには今先程まで襲われてましたとばかりに馬車の窓が割れており、中の様子は陰になって居て良く見えない…窓の端々には淡い青色をした奇妙な粉末が飛び散っており、中では今だ這いずる音が聞こえて来るからである。明らかに異様な馬車の様子に冒険者達は中を確認するかでどよめき悩み出すのだが…そんな時間は無いとばかりに、独りでに馬車の扉が開き出すとその馬車の中から這いずるよう人間が一人が出て来る!…
__ガチャッ!…ギイィィィ…
「ッ!?…」×4
__ズル…ズル…ズル…ズル…
「あぁ?…あああぁぁぁ……」
冒険者達が独りでに開いた馬車の扉に戸惑いつつ…馬車の方に視線を向けると、馬車の中から這って出て来たのは息を切らしているマサツグの這っている姿であった。マスクをして敵の攻撃を躱し切り、呼吸困難と激しい運動によるTPの消耗!…それにより膝に力が思うよう入らなくなっては這って出て来たのだが、その表情はヤバく!…まるで人殺しをして来たと言わんばかりに凶悪な表情をしては体中にあの淡い青色の粉と…まるでバイオなハザードに感染した!…ゾンビの様な姿で馬車から這って出て来たのである!…その際マスクをして居るせいか思う様に言葉を発せず…ただマサツグは冒険者達の姿を見つけると、この冒険者達に助けられたんだなと理解するのだが、その冒険者達はと言うとマサツグの出て来た姿を見るなり青褪め始める!…
__ッ!?…どよ!?…
「な!?…何だ!?…これ!?…人!?…」
「でもなんか青いぞ!?…明らかに変だ!?…」
「ッ!?…こっちに向かって来てる!?…」
{た…たすかったぜ……しかし…息がし難い……}
マサツグはゆっくりとその冒険者達に向かい這うと助けてくれた事に対してお礼を言おうとするのだが、その肝心の冒険者達はと言うとマサツグを完全に化け物と見ているのか近付くに連れて後退りをする。その際冒険者達は青褪めた表情をしているのだが、マサツグからは見えず…ただ後退りをするものだから追い駆けてを繰り返し!…ただ冒険者達に恐怖を植え付けていると、遂にその冒険者達はマサツグから逃げ出し始める!…
「ッ!?…う!…うわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ッ!?…ちょ!!…ちょっと待ってよ!?…
置いてかないでぇぇぇ!!!」
「ぎ…ぎぃやぁぁぁぁぁああああああ!!!!
は、早く!!…速く走れええぇぇぇぇぇ!!!!!…」
如何やら様子を見に来た冒険者達は駆け出しで、レベルも低かったのかマサツグをホラー系モンスターと勘違いしたらしく、完全に恐怖に染まった悲鳴を上げて!…マサツグに背を向けると冒険者達は一目散に自分達が乗って来た馬車へと駆け出し!…馬車に乗り込むと慌てて馬を走らせては猛スピードで逃げるようその場を後にしようとする!…
__パシイィィン!!…ヒヒィィン!!…
ガラガラガラガラ!!…
「……え?…」
その際猛スピードで逃げられたマサツグはと言うとその冒険者達の様子に困惑し、走り去って行く馬車を見詰めて戸惑いの声を漏らすのだが…後にその冒険者達はその状況を掲示板に挙げては一連の出来事についての情報を募り…誰もが見た事が無いと言ってゲーム内の都市伝説として扱われる事になるのであった。その際彼らが言うには…まるで本当にゾンビに追われている様な!…助けを求めて伸ばす腕はまるで某井戸から出て来る幽霊のソレと語り…それを聞いた者なのかそれとも別の何かか?…今後その道は「貞○ロード」と言う名のあだ名が着けられる事をマサツグは知る由も無いのであった。さて話は戻り地を這うマサツグ…徐々にTPを回復して漸く立てる様になり、マスクをしたまま体に付いたネムイテングダケの粉末を払うと、馬車に戻ってはシロとミスティーの様子を確かめる。
__…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……
「すぅ~…すぅ~…」
「すぴぃ~…すぴぃ~…」
「……とにかく二人とも無事そうだな…
…ふぅ……で?…如何するかね?…
ここまで来て徒歩でホエールビアードに
戻るは骨が折れるし…
何処を如何言ったら良いのか分からない
国を探すには距離が有る!…
ともかくこれじゃあ真面に動けそうに無いし…
ここで野宿をするしか無いんだが…
…アイツら…多分諦めてないよなぁ?…
かと言って追い駆けれる状態じゃ無かったし…
マジでちょっと考えないとだな!…」
マサツグが馬車に戻って中の様子を確認するとそこには床に転がり眠るシロとミスティーの姿が…先程までのドタバタが嘘の様に穏やかな寝息を立てて丸まっており、その様子を見てマサツグが一人安心していると、今後の移動方法について考え始める。町に戻るにしても若干遠く、先を急ぐにしても道が分からない上に遠いと…完全に足止めを喰らった事にマサツグは悩み!…更にまだ先程の連中が襲って来る事を考えると、迂闊に動く事が出来なくなったのである。シロはまだ戦えるもミスティーは恐らく…この先徒歩で向かうとしてミスティーを護りながら何度もその奇襲に耐えられるのかと…色々考えつつも今日はとにかく動けないと言った様子で、野宿の準備をし始めると、馬車の近くに焚火を作り…馬車の扉の隣直ぐで構えるよう過ごし出しては、取り敢えず今日の移動をお終いにするのであった。
__ハーフリングスに向かう道中・二日目…
__チュンチュン!…チチチチ…
「……うぅ~ん……ッ!?…ハッ!!…
こ、ここは!?……馬車の…中?…」
「すぴぃ~…すぴぃ~…」
「……シロちゃん……ッ!…
マサツグさん!…そうマサツグさんは!?…」
ミスティーが鳥の囀りを耳にして…馬車の中で目を覚ますと途端に慌てた反応を見せ始める!…昨日何が有ったのかを思い出した様子で慌てて辺りを見渡すのだが、辺りは昨日と同じ馬車の中と…更に隣でシロが寝てマサツグだけが居ないと不可解な状況で、マサツグが居ない事に慌てて目を覚まし始めるとミスティーは慌てながらも外を警戒するよう…恐る恐る馬車の外に出ようとする!…すると…
__ガチャッ!…ギイィィィ……チラッ…ッ!!…
「……zzz……おぉぅ……眠い……zzz……」
「……ま、マサツグさん?…」
馬車の扉を開けて直ぐ隣…そこには刀を抱える様に座り込んでは焚火の前で舟を漕ぐマサツグの姿が有り、マサツグは意識が朦朧としているのか何やらブツブツと眠いと言っては夜通しの番をしていた。そんなマサツグにミスティーは驚き戸惑った様子で呟くのだが、その本人はと言うと余程眠いのかミスティーに見られている…扉が開いた音にも気づいていない様子で、ミスティーがゆっくり馬車から降りてマサツグに向かい手を伸ばし話し掛けようとすると、次の瞬間マサツグがビクンと反応する!
「あ…あの…マサツグさん?…」
__…スッ…ポンッ…
「ッ!?…どわああぁぁ!!!…て、敵襲!?!?…」
「ひゃああぁぁぁ!!…ご、ごめんなさいごめんなさい!!…」
マサツグは極限状態になるまで眠かったのかミスティーがマサツグの肩に手を置いた瞬間!…酷く驚いた様子で飛び起きては刀を握り、ミスティーもマサツグが飛び起きた事に反応し慌てて自身の身を護るよう!…その場にしゃがみ頭を抱えて丸まり始めると必死にマサツグに謝り始める!さながら某おぜうさまと言った所か見事なまでの完全再現に、マサツグもハッ!と意識を取り戻すとミスティーの姿を見つけ、思わずその様子を見るなり一言呟きジッと見詰める…
「お…おぜうさま?…」
「え?…」
「ッ!…あぁ!…いや何でもない!!…
てかミスティー?…何で?…って、もう朝か…
…まさか朝になった事すら気付かないとは…」
「……一体何が有ったのですか?…
馬車の中で敵意を感じていると思ったら
急に眠くなって…
…それからの事を覚えていないのですが……」
マサツグもその見事なカリスマガードを見るなり思わず目を丸くしては呟き…その呟きにミスティーが疑問を持った様子で恐る恐る顔を上げてマサツグの方を確認すると、マサツグはそのカリスマガードの主がミスティーである事を確認する。そして慌てた様子で何でも無いと言い出すと、スッとミスティーが馬車の外に出て来ている事に疑問を持ち…そしてふと空を見上げて日が昇っている事に漸く気が付くと、マサツグは自身が危ない状態であった事を自覚する。ミスティーはミスティーで自身が気を失う前の事について質問し出すとマサツグを心配した様子で見詰め、マサツグも自身が飛び起きた事に驚きを覚えつつ…その問い掛けに答えるよう眠い目を擦ると、隠す事なく真実をミスティーに話し出す。
{……寝てる時に何か有って飛び起きる!…
何て事って漫画やアニメの中だけだと思っていたんだが…
本当に自分自身で体験する日が来るとは!…}
「……あ、あぁ…えぇ~っとだな…
あの青い煙が立った後シロとミスティーは
そのまま眠ってしまって…
その後敵襲が有って何とか守り切る事は
出来たんだが…実は俺達の乗っていた
馬車の御者もグルだったらしくて…
その御者も賊も逃がしてしまって、
ここで立ち往生しては如何したものかと…
誰も馬車を動かした事は無いだろうから
今動けず仕舞いなモンで、一応考えて居たのは
ヒッチハイクなんだが?………ッ?…」
__ガラガラガラガラ!…
「ッ!?…ミスティー俺の後ろに!!…
馬車が来た!!…
ヒッチハイクしたいところだけど結局の処は
出来るか怪しくてさ!?…」
マサツグが正直に昨日遭った事を話し出すと、ミスティーはショックを受けた表情を見せる。まるで自分に関わってしまったからマサツグ達はこんな目に!…そんな暗い表情をミスティーが見せると、マサツグはミスティーの頭に手を置いては宥めるよう撫で出し、続けて状況説明して今自分達が出来る事を提案してはミスティーに納得して貰おうとするのだが…その際ふと街道の方に目を向けると、ホエールビアードの方向から馬車が一台…何やらこちらに向かい走って来るのが見えて来る。それを見てマサツグは一気に警戒状態になると刀を手に構え出し!…自身の後ろに隠すようミスティーを移動させると警戒を強めるのだが、次第にその馬車が近付いて来ると見知った顔が見え始め、その顔を見たマサツグは幻覚かどうかと悩むのであった。




