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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
121/606

-第二章二十三節 町の噂話とギルドの疑念と気遣い-



宿屋にて店主からまさかの話を聞かされた事にマサツグが戸惑って居る一方で、周りから視線を感じると思わず警戒をしてしまう!…一応敵対している様なモノではなく完全に好奇心…そんな視線に戸惑いつつマサツグは情報を得られなかった事に戸惑い続けていると、店主は更にある事を話し始める。それは町中の噂らしく…既にこの盗賊達が獄中死したと言う話は外に漏れているのか、そう言った噂話を外から集めて来たと言う話であった。


{…中にはこんな噂話も有りましたよ?……

町中に[特殊なモンスター(ユニークモンスター)]が出たんじゃないかって!…}


{……ッ!…特殊なモンスター(ユニークモンスター)?…}


{えぇ!…何でも最近よく聞く話で…

町の外に出た冒険者が帰って来なくて?…

外に様子を見に行ったらさっき言った状態に

似たその冒険者の遺体が見つかったとか?…

…ここ最近…サマーオーシャン全体で

モンスターが活発化してますし…

ギルドでも何か特殊なモンスター(ユニークモンスター)

出て来たのではないか?と警戒しているようですよ?…

お客さんも気を付けて?…}


{…ユニークモンスター……ッ!…

あ、あぁ…ありがとう…もういいよ…}


店主から町中の噂…特殊なモンスター(ユニークモンスター)について聞かされ、マサツグがその話に疑問を持ち出すとまるで尋ねる様に店主の言葉を復唱し、店主はマサツグの疑問に答えるよう何故そんな噂が流れているのかを説明し始める。何でも獄中死した盗賊達の様子はその町中で噂になっている、ユニークモンスターにやられた冒険者達の姿に似ている事からそんな噂が立ったらしい…そんな噂話を聞いたマサツグは町中にユニークモンスターが湧くのか?と更に疑問を覚える一方で、店主に色々教えて貰った事にお礼を言い…情報料のチップを渡すと店主に戻るよう声を掛ける。


さて…ここで少しユニークモンスターについて説明をしよう…ユニークモンスターと言うのはこのゲーム内においてレアモンスターの上位互換で、レアモンスターより出現率は低く…更に強さもノーマルやレアより圧倒的に強く、色々な能力が上乗せされて面倒臭い仕様になったモンスターの事である。通称「運営の嫌がらせ(悪ふざけ)」と呼ばれる位に凶悪!…かつ凶暴なモンスターで、大体Lv.40~Lv.50台の冒険者がパーティを組んでも苦戦必死となる強敵とされており、何も知らないまま迂闊に近づくと消し炭にされる危険性が秘められている!…そしてそんなユニークモンスターの存在を知らずに戦いを挑んでワンパンで沈むと言った事がざらに有り!…出現した場合、ギルドでマスターオーダークエストとして貼り出される程の強敵として有名になっている!…が、しかし!…そんなユニークモンスターももし倒せた場合はその報酬も大きく!…報酬目当てにバウンティハンターとして活動する冒険者も出て来る程、人気のモンスターと言っても過言ではないモンスターとされている!


…さて、話は戻り宿屋の食堂…勿論そんな事知らないマサツグはユニークモンスターの存在を今知る事になるのだが、今は盗賊達の事!と…やはり色々情報が足りない事を考えては悩み、ただ一人複雑そうな表情を浮かべてはポツリと呟いて居た…


「……あの盗賊達は消されたと考えた方が良いのか?…

だとしても如何して?…ただ襲うだけにしても?…

……とにかく穏やかでないのは間違いなさそうだな!…」


「……あのぅ…何かあったのですか?…

盗賊って聞えた気がするのですが?…」


「ッ!…ん?…何の事かな?…

それより皆ちゃんと食べた?…

これから多分長い旅になりそうだからね?…

しっかり食べておくんだぞ?」


たった一晩?…でミスティーを襲おうとしていた盗賊達は始末され、証拠を残さない様にする徹底ぶりを見せる敵の動きにマサツグは疑問を覚えていると、店主との話の内容を聞いていたのかミスティーが恐る恐るマサツグへ話の内容を尋ねる。また自分のせいで誰かが傷付いた…マサツグに迷惑を掛けた…と言った不安の表情を浮かべ…明らかに食欲が減退した様子を見せるとマサツグはミスティーの問い掛けをはぐらかし、心配を掛けない様に笑顔でちゃんと朝食を食べるよう声を掛けると、その話し掛けにミスティーでは無くシロが元気に返事をする!


「はいです!!!…ハムハム…」


「ッ!……プッ!…あっははは!

そうだ!…しっかり食べとけぇ?

シロは成長期だからな?」


「ングング……ッ!…あれ?…

ミスティーお姉ちゃん?…」


シロがマサツグの言葉に元気良く返事をするとパクパクと口一杯にパンやベーコンエッグを詰め込んではモグモグと!…ハムスターの様に頬を膨らませながら朝食を食べ続け、その様子を見たマサツグが思わず吹き出し!…シロの頭に手を置くと笑顔でしっかり食べるよう声を掛ける!その際父親らしく一杯食べるよう言葉を掛けると、シロは笑顔で頷き…その際返事が無かったミスティーの方を振り返り、ミスティーの様子を確かめるとその様子に疑問を感じる。そして口の中の物を飲み込んでからミスティーに話し掛けるのだが、そのミスティーの表情は何故かシロと同様の膨れ方をして居り…マサツグの方を見詰めてははぐらかされた事に怒っているのか、抗議の目で見詰め続けていた。


__ぷくぅ~~~!…


{……幾ら睨まれても話しませんよぉ~?…

話したら話したでまた暗い顔をされる…

だったらそのまま怒っててくれ…}


__……ッ?…もぐもぐ…


ミスティーとしては何か出来なくとも話して欲しいのかマサツグを見詰め、マサツグはシロの頭を撫で続けながらミスティーの視線を浴び続ける。そしてマサツグ自身もその講義の目は感じているのかチラッと確認するものの話そうとはせず…ただ心の中で聞かないでくれと…言ったお願いを思い続けていると、その様子をシロは不思議そうに…ただ黙々と朝食を頬張っては首を傾げるのであった。そうしてマサツグ達は朝食を食べ終えると宿屋をチェックアウトし、ギルドへ向かい出すのだが…その道中ある事に気付くと同時にクーラーアイスの効果が切れたのか、またもやシロが溶け始める!…


__カッ!!…


「あうぅ~~……」


「シ、シロちゃん!…大丈夫?…」


{……ッ!…そう言えばいつの間に?…}


外は見事なまでに快晴で炎天下!…そしてマサツグが気付いたある事と言うのは…シロとミスティーがいつの間にか打ち解け合った様子を見せて居る事であった。別にシロは引っ込み思案と言う訳では無いのだがミスティーの事をお姉ちゃんと呼び、ミスティーの方が引っ込み思案なのかシロを相手にする際、若干緊張した様子を見せて居たのだが…次にはシロの事をちゃん付けで呼んでシロと手を繋いで歩いて居たのである。ゲーム時間にして昨日時点ではまだ距離が有った様な感じだったのが、今ではそれも無くなり…マサツグの着替えが功を奏したのかそれで一気に距離が縮まった様子を見せる中、肝心のシロはと言うと溶けている状態で…マサツグがシロの右手・ミスティーがシロの左手を握り、シロはその真ん中で垂れ下がる様に溶けて居ると…まるで宇宙人を捕縛した調査員状態でギルドに向かい歩いていた。


「シ、シロちゃん!!…頑張って!!」


「あ…あついのですぅ~……ご主人様ぁ?…

またアイスを買って下さいぃ~…」


「もうちょっとでギルドだから頑張れ!!…

そこで買ってやるからな!…」


そのギルドに向かう道中…ミスティーは心配しながらも励ます様にシロへ声を掛け、シロは項垂れながらもマサツグにアイスをねだり…マサツグはギルドで買ってやると約束してシロを頑張って歩かせると、あの時の誘拐騒ぎが再び起きない様に務める。しかし周りから変な目で見られる事には変わらず、徐々に居た堪れなくなり…結局マサツグが耐えかねてシロとミスティーを両脇に抱えると、またもや人攫いの様に急ぎギルドへ向かい走り出す!


__ざわ…ざわ…ざわ…ざわ…


「…ッ~~~!!

シロ、ミスティー!!…ごめん!!」


__ガッシ!!…バッ!!!…


「きゃあ!!…マ、マサツグ様!?…」


こうして二度目の通報を受けそうになりつつ…マサツグは二人を抱えてギルドに辿り着くと真っ先にルンの立って居るカウンターに向かうなり、まずはシロを復活させる為にアイスを頼み始める!


__バァン!!…タッタッタッタッタ!!…


「ッ!?……あっ!…

おはよう御座います!!…マサツグ…」


「おはよう、ルン!!!

早速で悪いがアイスを頼む!!!

後、馬車一台も!!!」


「ッ!?…は、はい……え~っと……

アイスは分かりましたが…馬車は?」


突如飛び込む様にマサツグがシロとミスティーを両腋に抱えた状態でギルドに現れると、当然ながら人の視線を集め!…ルンも驚いた様子でマサツグに気が付くと戸惑いながら挨拶をするのだが、マサツグは真っ直ぐルンの立って居るカウンターの方に向かい猛進すると、食い気味に挨拶をしては早速アイスの注文と馬車の手配についてルンに質問をする。そしてそんな切迫した様子を見せるマサツグに対しルンも戸惑いながらも返事をし…その際馬車の事は何を言っているのか分からなかった様子でマサツグに戸惑うながら聞き返すると、マサツグはシロとミスティーを降ろしてはルンに問い掛けに答える。


「え?…あぁ…そうか…

いきなり言われても分からないよな…スマン!…

昨日の件なんだけど…如何?…

ハーフリングス行きの馬車出せそう?…

ミスティーの護衛の任務で乗って

行きたいんだけど?……あっ!…

後これアイスの代金!…」


「ッ!…あぁ!…はいはい!…その馬車ですね!…

はい、何とか一台だけ!…

…ただ、今は鎖国状態なので…

さすがに国の中までは走れませんが…

早速乗られますか?…あっ!…後これアイスです。」


突然の質問に困惑するルンにマサツグが謝ると改めて馬車の質問について説明し、アイスの方も急いでいるとばかりに代金を手渡すと、ルンも納得した様子で頷いては笑顔でマサツグの質問に答える。その際カウンター下に常備されて有るクーラーアイスを取り出し、マサツグに馬車の予約を取るかどうかを質問すると、同時にそのアイスをマサツグに手渡す。まるで熟年夫婦の様な!…この手のやり取りに慣れていると言った迷いの無いルンの動きに、ミスティーは思わず感動し…マサツグはマサツグでルンの問い掛けに対して笑顔で直ぐに返事をすると、アイスの銀紙を剥いてはシロの口にアイスをねじ込む!…


__バリッ!!…スッ…


「あぁ!…お願いするよ!!…

…ほらシロぉ~?

アイスだぞぉ~?…」


「ッ!…あいしゅ~…」


__パクッ!…シャキィーン!!!…ググググ!!…


マサツグがシロの口元までアイスを持って行き…シロにアイスを食べるよう呼び掛けると、シロは項垂れながらもアイスに食い付く!…そして一口齧った瞬間いつもの様にダレた様子から戻り出すと、まるで某銀河の戦士の登場シーンの様にガッツポーズを取り、途端に元気を取り戻しポーズを決めたままアイスを咥え続けて、お約束と言った様子で尻尾を振りながら言葉を口にする!


ふぃろ!(シロ)ふっはふはほへふ(復活なのです)…!!」


「…ふふふ!…それでは一人1500G頂戴しますね?」


「ッ!…はいはぁ~い」


__……ジャラッ!!…ジャッ…


カウンター周りに居るメンバーが復活したシロに視線を向け…元の様子に戻った事に安堵していると、ルンはシロの様子を微笑ましく笑って見詰めてはマサツグに馬車の料金を請求し始める。その請求にマサツグもピクっと反応すると、ルンに返事をしては自身の財布から三人分…4500Gを支払い、ルンがそれを受け取って料金丁度である事を確認を終えると、カウンターから出て来ては既に予約してあると言った様子でマサツグ達を馬車へ案内し始める。


「……はい、確かに!!…ではこちらに!!…」


「え?…もう?…」


「既にもう待って貰ってます!…

来るだろうと思って居たので!」


「……マジか…

…って、シロ?…ミスティー?…行くぞぉ?」


カウンターから出て来ては直ぐに馬車へ案内し始めたルンにマサツグが驚いて居ると、ルンはマサツグの性格を読んだ様子で既に手配済みと元気に答える。確かに明日また来いと言われたから…護衛の件が有るからまた来る事は分かって居ただろうけど!と、マサツグも考えるのだが…もしこれで万が一に来なかった場合は如何するのだろう?と考えると、ルンは意外にギャンブラーなのでは?と考えてしまう。そうしてマサツグが心の中でそう感じては思わず呟き…シロとミスティーを呼んでは慌ててルンの後を追い掛けると、その際ルンからある事を尋ねられる。


{……所でミスティーさんはどうですか?…}


{ッ!…如何と言うのは?…}


馬車の元まで案内される道中…ルンが辺りを気にした様子で目配りをするとヒソヒソと警戒した様子でマサツグに話し掛け、マサツグもそれを聞いてピクっと反応すると、自身の後ろに居るシロとミスティーに話を聞かれて居ない事を確認する。その際ルンは神妙な面持ちでマサツグに声を掛けると、ミスティーの事を気にした様子で話し出し、マサツグもその様子を見て何か有った事を察すると辺りを警戒する!…宿屋の時の様に聞き耳を立てている者は居ないか?…怪しい者が居ないか?…辺りに目を光らせながら如何言う事か?とルンに尋ねると、ルンは何とも辛そうな表情である話をし始める。


{……あんまりこんな事は言いたくないのですが…

今回マサツグさんが受けた依頼(クエスト)

ギルドマスターが気にしている様でして…}


{ッ!?…え?…ギルマスが?…}


{はい…それにこう言った自身の名前を隠したがる

ケースと言うのは別に珍しくは無いのですが…

やっぱり匿名で依頼をするとなると否応無しに

警戒されますし…

万が一ギルドが感知する前の犯罪者だったり、

実は一国の要人でした!…みたいなトンデモナイ方が

依頼主だったりすると……それはそれで問題に…}


ルンが話し始めたのは今回の護衛の件について…サマーオーシャンのギルドマスターが注目していると言う点であり、何やら警戒している様子を見せて居ると言う事をマサツグに簡単に説明をすると、マサツグもギルドマスターの名前が出た事に驚く!…ただの護衛依頼の筈が大事に!…まぁ夜襲を掛けられた時点で普通の護衛では無いのだが、ルンが言うにはやはりあの名前を隠した事が怪しまれていると…更にこれが厄介な事件に巻き込まれて居たりすると面倒と言った様子で、もしこれが一国の貴族だったり王族だったり…依頼失敗となれば問題になると言った様子で動いて居るらしく、その事を聞かされたマサツグは若干呆れながらも徐にルンへ質問をし始める…


{……で?…ギルマスは?…}


{……現状観察…このまま任せても大丈夫と言う事で

認識しているみたいです!…

やはり春野原(スプリングフィールド)での活躍が買われているのと……

ギルドマスター自身が個人的に買っている様でして…}


{ッ!?…個人的って!?…まぁ…今はいいや…

で、俺から分かった事を聞けって言われた感じか…

…そうだな…少なくとも前者…犯罪の臭いはしない!…

涙を使って人を動かす様なタイプじゃない!…}


マサツグがギルドマスターの動向を気にした様子でルンに話し掛けると、ルンは神妙な顔をしながらマサツグの質問に答える。意外と慎重なのかマサツグ…と言うよりはミスティーの事をまだ泳がすつもりの様で、更に不測の事態が起きたとしてもマサツグが居るから大丈夫と言った様子で…妙な信頼を得てしまうと、その信頼にマサツグは戸惑う!…まだ会っても居ない人間を相手にそこまで信頼出来るのかと思いつつ…ルンから話を聞いてマサツグが感じた事を話し出すと、ルンはその理由について尋ね始める。


{…と申しますと?……}


{……一応昨日?…になるのかな?…

夜の宿屋に態々コソコソと夜這いを

掛けて来た馬鹿が居たから。}


{へ?……ッ!…それってもしかして!?…}


{察しが速くて助かる…

そう、今日見つかった牢獄の変死体…

それがそいつらで…

俺もそいつらを適当にぶっ倒して衛兵に

突き出して貰ったんだが……まさかの結果に…

犯罪は犯罪でも罪人の方じゃない!…

寧ろ被害者の方が近い気がする!…}


ルンの問い掛けにマサツグは呆れ気味のまま昨日の宿屋で起きた事を話し始めると、やはりギルドでも変死体の噂話は届いているのか?…ルンは少し悩んだ表情を見せるも直ぐに把握した様子でマサツグの言葉に驚き、その事について詳しく尋ねようとする。そんな様子にマサツグもやっぱり聞いているのか…とギルド側の反応を確認すると、続けて昨日の夜に有った事を話し…ミスティーが逆に狙われて居る事をルンに説明すると、ルンはマサツグの顔を見詰めては若干驚いた表情を見せる。


{………。}


{……ん?…如何した?…}


{…ッ!?…い、いえ!!……

ただ護衛任務に託けて他国の宰相を

ぶっ飛ばそうと考えている人がまさか

そこまで冷静に判断出来る人とは思わなくて…}


「ッ!?…ちょ!?…ッ!…あんだと!!}


マサツグがルンに見詰められている事に気付くと不思議そうに声を掛けるのだが、声を掛けられたルンはマサツグに吃驚した反応を見せるとつい思わず考えてしまった事を口にする。その考えていたと言うのはマサツグの冷静な判断力についてで、あんな風に突拍子も無い事を言う人がまさかの状況判断が出来ていると!…あからさまに驚いた反応を見せられた事にマサツグも思わず声を荒げてルンを見詰める!その際自身が大声を上げている事に気が付いては途中でハッ!とし、声のトーンを落とす等するのだが、時すでにお寿司と言った様子で…シロがジ~ッとマサツグの事を見詰めては不思議そうな顔をして首を傾げていた。


「……ッ?…ご主人様ぁ?…」


「ッ!…な、何でも無いよ!…ちょっとクシャミが…」


「……ッ?…」


シロに声を掛けられるとマサツグが苦しい言い訳をし…シロに後ろから不思議そうに首を傾げられながら見詰められつつ…ルンの案内で馬車の用意されて有る場所まで辿り着くと、ルンは馬車の扉を開けてマサツグ達を中へエスコートする。その際気になったのは春野原(スプリングフィールド)との馬車の違いで、春野原の方はキャラバン型が多かったのだが、夏海原(サマーオーシャン)の方ではワゴン型なのである。簡単に説明すると天井に帆が張られてある方がキャラバン型で木製の箱が乗せられているのがワゴン型なのだが、そのワゴンも通気性を良くする為か大きめの窓が設けられており、中に入って驚くは意外と熱は籠って居らず涼しいと言う点であった。そしてそんな馬車の使用にも驚きつつ…マサツグ達が馬車に乗り込むとルンは馬車の扉を閉じ、御者に合図を出すと馬車はゆっくりと動き出し始める。


__…パァ~ン!!…ヒヒィィィン!!!…

カラカラカラカラ…


「いってらっしゃぁ~い!!!」


__ヒョコッ!…


「行ってきまぁ~…あぁ!?…」


マサツグ達の乗る馬車が徐々にスピードを上げ始めると後方にはギルドが見え出し、更にその手前では大きく手を振りマサツグ達を見送るルンの姿が見て取れる!そんな様子にシロが反応するといつもの様に窓から顔を出し、手を振り返そうとするのだが…その際馬車が揺れてシロがフラ付くと危うく馬車の窓から転落しそうになり、マサツグが慌てて捕まえに入って事無きを得るのであった。そうしてマサツグ達の乗る馬車は港町ホエールビアードを離れると、ハーフリングスに向かう街道の方へと出て行くのだが…一段落と言った所でシロと落ち着いて席に座ると、ここでミスティーがマサツグにある質問について尋ね出す。


「ふうぅ~!…一時は如何なるかと!…」


「……あのぅ…マサツグさん…一つ良いですか?…」


「んん~?…何かね?…」


「今朝の事…

宿屋のオーナーさんと話していた話なんですけど…

……実は全部聞いていました…」


「ッ!!……」


マサツグが若干疲れたと言った様子で席に寛いでいるとミスティーに声を掛けられ、だらけた様子で返事をし何を尋ねて来るのかと構えていると、ミスティーの口から出て来たのは今朝の宿屋で話した店主との会話であった。この時ミスティーは暗い表情を見せるとマサツグに全て聞いたと言って、聞き耳を立てていた事を話し…マサツグもその話を聞いてピクっと反応するとだらけた様子から戻っては背筋を伸ばしてミスティーに向き合う。その際もう誤魔化せないと感じてか真剣な表情を見せると、ミスティーも聞き耳を立てた事を謝る様にある事を話し始める。


「……私達獣人族はとても人に近い姿をしています…

ですが身体能力は自慢ではないですが人間より高いです…

…どんな小さな音も聞き逃す事のない聴力があります…」


「……黙っていても無駄って事ね?」


「……はい…」


__……ッ?…


ミスティーが話し始めたのは自分達の身体能力について、マサツグが隠そうとしていたヒソヒソ話は全て聞こえていたとばかりに!…申し訳なさそうに俯きながら話し出すと、マサツグもやっぱり駄目か…と言った様子で項垂れ始める。相手は獣人族の為マサツグ自身も薄々感じていたのか、ミスティーに話を聞く覚悟が有るかの確認の言葉を掛けると、ミスティーは静かに頷いて返事をする。そしてシロも同席して居るので当然聞かれる事になるのだが、シロは何の事か分からない様子で話を聞いていた。


「……昨日の晩、宿屋に不審者が現れたんだ…

大体七人…恐らく狙いはミスティー…

ミスティー達が泊まっている部屋の扉を

ピッキングして入ろうとしていたのを

俺が捕まえて衛兵に突き出したんだけど…

次の日その内の三人が誰かに殺されたのか

変死体で見つかったらしい……」


「ッ!?…え?…不審者!?…

シロ何も感じませんでしたよ?…」


「…まぁ俺もたまたま気付いたって

言った所だからな?…

もしかすると何かしていたのかもしれない!…

これが宿屋の店主から聞いた話…

で、多分その調子だとルンとの会話も

聞いてしまった口だろ?…」


「……はい!…

確かに今は身分は明かせませんが信じてください!…

私は何も疚しい事はしていません!…

それは本当です!!………証拠はありませんが…」


マサツグがミスティーの同意を聞いた所で昨日の夜あった出来事を話し始めると、シロは初めて聞かされたと言った様子で驚いてはマサツグに質問し、マサツグも運が良かったとばかりにシロに話すとスキルを使っていたのでは?と若干考えて答える。そしてその話を聞いて案の定ミスティーが暗い表情を見せるとそのまま俯き、マサツグがその様子に気付きながらも宿屋の店主に聞いた話を続けて話すと、更にルンの話も聞いただろうと確認する。ミスティーはその問い掛けに対して小さく頷き返事をすると、またいつぞや見たく必死に信じて欲しいと涙ながらにマサツグに訴えるのだが、マサツグはミスティーに笑って見せると優しい言葉を掛け始める。


「大丈夫!…落ち着け!…誰も疑っては無いよ!!…

何が有ろうと君を守るし!…そう約束しただろ?…

絶対に君を故郷に帰すし!…

何が有ろうとも絶対に裏切る様な事もしない!!!…

最初に言った通りに君を助ける為に受けたんだ!!…

安心してくれ!!…」


「……ッ~~~!…マサツグさん!!!……はい!…」


マサツグがミスティーを安心させるよう言葉を掛けると依頼の事…ギルドの事に身元の事と、何も疑って居ないと言っては身辺警護は任せろ!と胸を叩いて笑って見せる。やはり色々と会ったせいかミスティーは情緒不安定に陥っており、ただミスティーを助けたいとだけ!…マサツグがミスティーの事を信じていると言うと、ミスティーは頬を染めては目に涙を溜め始める。そして感謝するよう消えそうな声で返事をしては涙を拭うのだが、シロはその様子を見て何を思ったのか?…マサツグの腹に飛び付くよう跳ねると名前を呼び始める。


__……ん~……ぴょいん!…


「ごっしゅじんさまぁ~♪…」


「ッ!?…うぇええ!?…」


「シロ!!…構って欲しいですぅ~♪」


突如飛んで来た!…狭い空間で飛んで来たシロにマサツグが戸惑いを覚えていると、シロはマサツグに向かってパッションダイブを決める!…そしてマサツグに飛び付くなり甘えた様子で構うよう要求し始め、その様子にマサツグとミスティーが戸惑った表情を見せて居ると、マサツグは一旦シロを引き剥がし抱えながら宿屋での出来事を掘り返す!


「うぇええええ…

や、宿屋で散々じゃれただろ!?…

それもかなりハードに!!…」


「シロ!!…アレだけじゃ足りません!!!…

さぁ、もっと!!…くっ付きましょう!!…それ~♪」


「ぶわああぁぁぁ!!…って、そうは行くか!!…」



マサツグが疲れた様子で宿屋での一件を話し始めるがシロは満足していないとばかりに尻尾をブンブンと振り、マサツグの拘束から逃れてもう一度マサツグに飛び付こうとすると、マサツグは悲鳴を上げる!…しかし!二度もそうは行かないとばかりにシロの動きを予測すると、そのまま捕まえて自身の隣に座らせ…大人しくなるよう自身の膝を使って膝枕をすると、シロの頭に手を置きゆっくりと撫で始める。


__ガッ!!…スッ…ポンッ……なでなで…なでなで…


「ッ!…くぅ~ん♪…」


「…馬車の中で暴れてはいけません!!…全く!…

ッ!……我!…秘技を会得したり!…

名を…「おばあちゃんの膝枕」ぁ~!!…」


「え!?…」


シロはマサツグにされるまま撫でられ始めると大人しくなり…マサツグに甘えるよう頭を擦り付け始めると、もはや狼の面影は何処にも無い…そしてマサツグもシロを撫でる際…暴れてはいけないと言って叱ると、脱力した様子で力を抜き…自身が咄嗟に編み出したシロを宥める方法に突如として名前を付け出すと、その様子にミスティーは戸惑う!…そうしてシロが落ち着いた所で漸くマサツグの休めると言った様子を見せるのだが、ふとミスティーの方に視線を向けると、ある様子を目にする。


「…ふぅ~……ッ!…

ん?…如何した?ミスティー?…」


「…ッ!!…え?…な、何がですか?…」


「いや…さっきから何か

モジモジしてる様に見えるから…」


「え?…あっ!……」


マサツグが目にしたミスティーの光景とは…頬を赤らめモジモジとしている姿であった。明らかに物欲しそうに…シロとマサツグを交互に見ては視線を逸らし、また見詰め始めたと思えばまた外すを繰り返していたのである。その様子はまるで恥ずかしがる様に…かつ葛藤している様なそんな風に見え、マサツグがその事について指摘すると、ミスティーは更に顔を赤らめモジモジとし始める。その様子にマサツグは思わずトイレか?と考えてしまうのだが、シロは察した様子で突如飛び起きるとミスティーの手を取りに行く!


「……もうじれったいのです!!」


__ガッ!!…グイ!!…ボスン!!…


「きゃ!!…」


「…ふぅ!…さぁ、ご主人様!!

ミスティーお姉ちゃんも撫でてあげて下さい!」


「ッ!?…」


シロがモヤッとした表情でミスティーの手を取るとそのまま引っ張り込んでマサツグの隣に座らせ、ミスティーもシロに引っ張られるまま座らされると目をパチパチとさせては困惑の表情を見せる。そしてシロも一仕事終えたと言った様子で一息吐くと、またマサツグの隣に戻り…マサツグに任せる様にミスティーの頭を撫でるよう言うと、マサツグはそのシロの言葉に困惑する。「え!?…シロさん!?何やってるの!?…」と、思わず出そうになった言葉とは裏腹に、ミスティーは覚悟を決めた様子で横になるとマサツグの膝に頭を乗せ、小刻みにプルプルと震えては何かを期待している様子を見せる。


__……スッ…コテン…プルプルプルプル!…


「え?…えぇ!?…」


「さぁさぁご主人様ぁ~♪…

続きを~♪…お願いします♪」


「ふ…不束者ですが…よろしくお願いします!…」


「ッ!?…ミスティーさん!?…それ何か違う!!…

色々と違う気がする!!…」


まさかの反応を見せたミスティーにマサツグは更に戸惑うと、シロもマサツグの膝に頭を乗せて上機嫌で続きをおねだりし始める。シロの反応にミスティーの様子と…更にミスティーが頬を赤らめながらマサツグにお願いをし始めると、何か違うものを想像し!…マサツグが慌ててミスティーにツッコミを入れては言われるままに二人の頭を撫で始めるのだが…その際の二人の様子はと言うと、まさに犬と猫と言った様子を見せるのであった。


「クゥ~ン♪…ハッハッハッハッハ!…」


「ゴロゴロゴロゴロ♪…」


「……何か獣使いになった気分…

いや、この場合はブリーダーか?…

まぁ何方にせよ…大型二人かぁ~…」


シロはマサツグに撫でられて喜ぶと尻尾を振って擦り寄り…ミスティーもマサツグに撫でられて喜ぶと大人しく頭を摺り寄せては喉を鳴らす。思えばシロが飛び付いて来たのもミスティーの事を思っての行動か、きっかけ作りに動いたのかとマサツグは改めて考え、ここで漸くマサツグはミスティーがメスのライオンの獣人である事を理解するのだが、そんな事は如何でも良く…本当に動物園の飼育員にでもなった気分で居ると、マサツグ達の旅はまたもやドタバタの展開を見せようとするのであった。



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