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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
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-第二章十九章 指名手配とギルドのアイドルとマサツグの蛮勇-



さて、ギルドに戻って来るまでに色々あった訳なのだが…シロが麻袋を大事そうにかつ満足げに抱えギルドにやって来ると、その様子に冒険者達は戸惑いを覚える。何故そんな大事そうに麻袋を!?…そんな心の声が駄々洩れで聞こえて来そうな…戸惑いの視線を向けられている事にマサツグも気付いては戸惑いつつ…ギルドの受付カウンターの方へ歩いて行くと、ルンも気が付いた様子で対面に立つようカウンターの前に移動する。しかしそのルンの表情は何処か困惑に満ちている様に見えると、マサツグはその表情に疑問を持ち…とにかくカウンターの前に立つなり挨拶をしようとすると、ルンはまず何かを話し出そうとするのだが先に目に入った光景について質問をしてしまう。


「ッ!…マサツグさんお帰りなさい!!…

少しお話が!!……って、あれ?…その麻袋は?…」


「え?…あぁ…これは気にしないで…

それより何かあったのか?…

何かさっきから様子がおかしいけど?…」


「ッ!!…そうでした!!…少しお話が!!…

…まずはこれを見て頂けますか?…」


「…ッ?……何?……ッ!?…」


ルンの目に入った光景…それは言わずもがなシロが麻袋を大事そうに!…満足げに抱えている様子で、思わずその光景について疑問を持ちマサツグに質問をすると、その問い掛けにマサツグはただ苦笑いをしながら気にしないよう返事をする。そしてそれよりもとばかりにルンの様子がおかしい事を気にするとマサツグは何が有ったとルンに尋ね出し、逆に問い掛けられた事に戸惑いつつルンはハッ!と用件を思い出した様子で反応すると、マサツグに話が有ると慌て出す。その様子にマサツグはやはり不思議そうな表情をするのだがルンは至って真剣で、カウンターの上に何やら書類を一枚取り出し…マサツグがその出された書類に目を向けると、そこには驚くべき事が書かれてあるのを目にするのであった!そしてそこに書かれてあったのは!…



 ------------------------------------------------------------------------------


   「ホエールビアードの冒険者ギルドに告ぐ」



 ○○○○年◇月△日



 我々獣人…「ハーフリングス」の方にて事件となった


 為、ここに明記する。上記の日付にて重要な任務を


 受けていた我が臣下数名が貴殿の所属するギルドの


 冒険者達により、暴行事件を受け負傷して帰って来た


 件について…即刻謝罪とその冒険者に対して罪を


 償わせる事を願う。この件に関して我らの女王陛下も


 大変お怒りになっており、解決が見込めない場合は


 「ハーフリングス」から使者を送りその者に制裁、


 或いはそれ相応の罪を与える事をここに明記させて


 貰い、ギルドの態度次第によっては同類の罪を与える


 事も検討しており、場合によっては戦争の火種になる


 事も致し方無しと考えて居る所存。即刻その罪人を


 探し出し我らに引き渡すよう願うものとする。尚、


 負傷した臣下の話ではその者は黒髪の人間で背中に


 大剣を、白髪の小さな獣人を連れていたと聞いている。


 該当する者を連れ来ない、或いはこの問い掛けに対して


 返答をしない場合はそれ相応の覚悟を決められたし。



 以上 この件が解決される事を切に願う。



 ハーフリングス 宰相


 アスモマウデル・ゲルデウス・マウニーより


 --------------------------------------------------------------------------------


「……これに身に覚えは?…」


「……はあぁ~…なるほど?…これは面倒だな…」


「ッ!?…と言う事はやっぱり!!…」


マサツグの目の前に出されたのは「ハーフリングス」と言う名の知らない国からの苦情文!…と言うよりは実質的な指名手配書であり、一通り目を通すとそこにはここに辿り着くまでの時間で起きたあの喧嘩について…マサツグが全面的に悪い!と書かれた文章が明記されてあった。それもマサツグがその国に対して何らかの誠意を見せないと戦争が起きる等…物騒な事が書かれて有り、更に一番下にはあのナンパ集団の口から出て来た名前…アスモマウデルの名前が書いて有る事も目にする。ギルドの方でもこの警告文に書いてある人物が誰を指しているのか分かっている様子で、ルンがマサツグに対し事実確認を取るよう言葉を掛けると、マサツグはその問い掛けに対し一人面倒臭そうな表情を見せては書類をジッと見詰める。その際マサツグからは同時に若干の焦りを覚える様子も見て取れ、その様子からルンも察した様子でただ戸惑った反応を見せて居ると、マサツグはその書類を見詰めてはふとある疑問を持ち出す。


{……あれからそんな時間は経っていない筈…

…なのに何でこんな警告文が?……

オマケにわざわざこんな国絡みの大事にまで発展させて…

あのナンパしている様にしか見えなかった状態に

それ程の意味が有ったのか?……まぁ…何方にせよ……}


疑問と言ってもまぁ…よぉく考えたら直ぐ分かる事なのだが、この警告文がギルドに届くスピードが余りにも速過ぎるのである!…あの事件から逃げ出しそこから道具屋へ…掛かっても大体一時間掛かるか掛からないか程度の話なのだが、いつその国まで行って宰相の耳に入り!…この文章が作られたのかと考えると、やはり疑問しか出て来ないのである!間違い無くその獣人達の国はここからだと遠く…そんな一時間未満で行ったり来たりが出来る筈が無いと考えると、更に宰相に耳に入るまでにも時間が掛かる筈と冷静に考える!…オマケにここまで大事になる様な!…ましてやあのナンパにそこまでの意味が有る様に思えず、マサツグ自身この警告文自体が偽物なのでは?と考えるのだが、ルンがマサツグの様子等お構い無しにある気になる話をし始める。


「…実は最近この町で不穏な動きを見せるならず者達が

居るようで、そのならず者達が獣人だとか?…

何でも女性ばかりに声を掛けるナンパ集団だとかで、

言う事を聞かなかったら無理やり何処かへ連れて

行こうとするらしく!…

現在ギルドでもそんなならず者達に対して警戒を強めては

指名手配にしようと思っていたのですが…

その矢先にこの警告文が!…

この警告文を受けてギルドは何か危機を感じては一度大事を

取ると、その指名手配の話は白紙に!…」


ルンが戸惑い気味に話し始めたのはあのナンパ集団について…ルンが言うにはマサツグ達が見つけた時と同様、無理やり何処かへ連れて行こうとするなど迷惑行為を働いていたらしく、ギルドの方でも見かねて指名手配にしようと動いていたらしいのだが…同時刻にこの警告文が届いてはその出方を怪しみ、一度待ったを掛けると有耶無耶になっって消えたとルンがマサツグに話し、その話を聞いてマサツグも改めてナンパ集団の容姿を徐に思い出すと、確かにそのナンパ野郎達の頭にケモ耳が付いていた事を思い出す。


「ッ!…獣人のナンパ集団?……そう言えば…耳が…」


「…現在ハーフリングスはギルド非加盟国で更に

鎖国状態の為、この警告文の詳しい調査は出来ません!…

オマケに内容が疑わしい事からこの警告文が本当に

真実で有ると分からない限りは動かないと、

ギルドの方でも断固とした態度を取ると決めている

ようですが…

ギルドマスター自身は如何にも気になる事が

有るらしくて…本人に確認をする様にと言われたのです…

一応こちらの裁量でまだ指名手配はされない事に

なっていますが…

もし向こうの国がマサツグさんを指名手配にして

賞金を懸けた日には!…

余計な火の粉が掛かるんじゃ?と危険視していまして…」


マサツグがナンパ集団の容姿を思い出して居る一方で、ルンの口からはギルドの対応説明の話が話される。ギルドの方でもマサツグ同様この警告文が疑わしいと考えているのか、事実証明が取れない限りは動かないと決めているらしく!…その際一応マサツグに確認を取る等するもののハーフリングスに引き渡さない方向で動いて居るらしいのだが…相手は非加盟国と言う事から素性が分からないらしく…どんな風に動くかによって、どの様な危険が有るか等は把握出来てないとマサツグに話し、警戒している点も含めてルンが隠さず話すと、その一部始終を聞いていたシロは途端に麻袋を落としてはマサツグに縋り付く。


__……パサッ…ギュッ!!…


「ッ!…シロ?…ッ!…」


「………。」


シロがマサツグの脹脛に縋り付くとマサツグはそれに気付くなり振り返って視線を落とし、名前を呼んでそのままシロの表情を確認すると言うまでもなく不安の表情を見せて居た。この時先程まであんなに大事そうに抱えていた麻袋を落としている事も目に入ると、マサツグはハッとした様子でシロが不安がっている事に気が付き!…シロの気持ちを宥めるようシロの頭の上に手を置き撫で始めると、安心させる様に声を掛け始める。


「…大丈夫だぁ!……何処にも行かないからなぁ!…」


__……ギュッ!……ッ!?……


自分があのナンパ集団を蹴散らしたからこんな事になったのか?…そんな反省の色すら伺えるシロの表情にマサツグは頭を撫で続け、安心させるよう言葉を掛け続けるがシロの表情は一向に変わらず、ただマサツグの脹脛にしがみ付いては無言を貫いていた。そんな様子にルンもハッ!とシロが居る事を思い出した表情をすると、話のタイミングを間違えたと反省した様子を見せ…その挽回とばかりにある事を考え付くと、マサツグにそのある事を提案し始める。


「…ッ!…そ、そうです!…この手が有ります!!…」


「ッ!!…急に如何した!?…」


ルンは慌てた様子で何かを思い付くと突如声を挙げ出し!…その声に驚いた様子でマサツグがルンの方に振り返ると、その突然声を挙げた理由について戸惑いつつも質問をする。その際マサツグは今だシロの頭を撫でては安心させようと試み続けており、カウンターの上を覗く様にマサツグが顔を出しているのだが…ルンは構わず自身の考えた一旦の解決策を口にすると、更にマサツグを困惑させる。そしてその困惑させた内容と言うのは…


「…提案なんですがマサツグさん…

暫くの間この町に隠れてやり過ごすのは

如何でしょうか?…」


「えッ!?……と、言いますと?…」


「この町!…ホエールビアードはサマーオーシャン

連合国の共有都市なのです!…

エルフの国ユグドラド!…人魚の国マーメイディア!…

そして獣人達の国ハーフリングス!…

この三つで連合国となっていまして!…

この町はその三国の共有財産であり、ある意味で

独立都市となっています!!…つまり!…

この町をハーフリングスが如何こうしようと思っても

他二国の同意が無いと何も出来ない様に

なっているのです!」


ルンが突如提案したのはホエールビアードの町に潜伏すると言った一時的な隠居プレイであった。それも自信満々にルンが話すものなのでマサツグが戸惑った反応を見せながら詳しい話を聞き出すと、ルンは自信満々にその詳しい説明を話し始める。ルンが言うにはこの町ホエールビアードはエルフの国ユグドラド・人魚の国マーメイディア・獣人の国ハーフリングスなる三国の管理下に置かれて居る為、一国だけがこの町を如何にかしようと思っても!…動かしたくとも動かせない!…更に言えば無理に動かそうものなら外交問題になると言った説明をマサツグに話し出し、その話を聞いたマサツグがハッ!と理解した表情を見せると、簡単に自身の頭の中でまとめてはルンに解釈が合っているかどうかを確認し出す。


「…ッ!…なるほど?…その言い分だとこの町は…

サマーオーシャン連合国の中立都市みたいなモンで?…

三国が同時に動かないと迂闊な事も出来ないって事か?…」


「はい!…その通りです!!…

この町の条例等を決める場合もその三国と一緒に

ギルドが参加して決める程に確固な物です!…

この町の管轄下は確かにその三国の物ですが…

委託と言う形でギルドにその管理が一任されて

いまして!…

この管理者を決めるのも三国が揃っていないと

出来ない為、直ぐに管理者を変える等そう言った

事は出来ませんし!…

何よりこの大陸の管理をしている私達の

ギルドマスターはとっても頼りになる人です!!…

…まぁ…少し…いえ、かなり変わっていますが…

信頼は出来る人です!!…」


「……何かすごく不安を覚える言い回しなんだが?…」


マサツグの問い掛けに対してルンは笑顔で頷き、肯定すると更に説明を続ける。その際どれ位にその三国の取り決めが厳しいのかを話し出し、更にこの町の責任者をこの大陸のギルドマスターが一任されて居る事、そのギルドマスターが頼れる人間だと言う事を話すのだが…その途中で引っ掛かりを覚える話し方をして見せ…マサツグに不信感を与えるのだが直ぐに話を持ち直すと、ルンはオマケと言った様子でホエールビアードの条例の一つを口にする。


「あははは……まぁ…とにかく!…

この町の条例に私利私欲での決闘!…

乱闘に闇討ちと…理由なき暴力を

振るった場合は厳罰に処すと言う物が有ります!…

…まぁ…マサツグさんの場合はアレですが…

ともかく!…

外に居るよりは圧倒的に安全では無いかと!…


「……うぅ~ん…確かにそうなんだが…でもなぁ~…」


__ガタガタガタガタ!!…


「……ん?…何事?…」


マサツグだけでなくシロも安心させようと必死になり法令の話を持ち出すルン!…その際マサツグが自白した喧嘩等思う所が出て来るのだが…ルンは必死にマサツグの無事を考えて説得し、マサツグもその話を聞いて少し考えた様子を見せるのだが…ふとギルド内がザワ付き始めたのを感じると、マサツグ達は視線をザワ付きの感じる方へ向け始める。するとそこには冒険者達がフルフルと肩を震わせた様子で席に座って居たり、立って居たり…とにかく何か可笑しな様子で俯いており、マサツグとルンが一緒になって困惑の表情を見せて居ると、それは突然起きる!…


__ガタタタ!!…

ウオオオォォォォォォォォォ!!!!…


「ッ!?…うぇえ!?…」


「ッ!?…み、みなさん!?…

急に如何なされたのですか!?」


__ガチャガチャ!!…ガチャガチャ!!…


その座って居たり立って居たりと…先程まで俯いていた連中が途端に!…それも一斉に顔を上げ出すとその場で憤怒の様相で吠え始める!その様子を目にしたマサツグとルンは戸惑い、ルンがその吠える冒険者達に向かい何が有ったのかを尋ね出すのだが、ただ冒険者達は先程までの話を聞いて…更にある光景を目にしたのか様相そのままに突如として装備を手にし始めると何やら不穏な空気を漂わせ始める!


「不埒者が!!…

そのナンパ野郎共締め上げに行くぞコラアァ!!!」


「オマケに指名手配だぁ!?…

こんな小さな子を捕まえてふざけた事を!!!…

いっそカチコミを掛けて行くか!?」


「えぇ!?…ちょ!ちょっと待ってください!!…」


「とにかく!!…

こんな小さな子を泣かせる奴らは絶対に許さん!!!…」


武器を手に何処へ行こうと言うのか?…ただ先程の話を聞いて居た様子で冒険者達が立ち上り、ギルドを後にしようとするとまず標的はナンパ集団と語り出す!この時立ち上がった冒険者達は本気でキレているのか殺気が駄々洩れでかなりヤバい集団に見え、更に恐らくはシロの事を言っているのだろうか指名手配にされた?…と思ってか獣人達の国にカチコミに行こう!と言い出す始末!…そんな様子にルンは慌てて呼び止めようとすると一人の冒険者がシロの表情を見て己を鼓舞し出し、それを聞いたマサツグがピクっと反応した様子でシロの顔を覗き込むと、そこにはその冒険者の言う通り!…不安の余り涙を流すシロの表情を見て取れた。


__ッ!…チラッ……


「ひっぐ!…ぐす!…ごしゅじんざまぁ~…」


「ッ!…あぁ!!…大丈夫!!…

シロを置いて行かないから!!…ほら泣き止んで!!…

折角の可愛いお顔が台無しよぉ~!…」


「野朗共!!…行くぞおぉぉぉぉぉ!!!」


「「「オオオオオォォォォォォォォォ!!!!」」」


自責の念に囚われてかシロはポロポロと涙を零し、必死にマサツグの脚に縋り付くとその涙でボロボロの顔を擦り付ける。そんなシロの様子にマサツグも慌ててしゃがむとシロを抱き締め、泣き止むよう声を掛けるのだがシロは泣き止まず…その間にも暴徒に近い冒険者達が町に繰り出そうとしていると、ルンだけでなく他のギルド職員達も異変に気が付いて慌てて止めに入り始める!…この時マサツグはシロを宥めつつも冒険者達の様子を見て…


{指名手配にされたのはシロじゃなくて

俺なんだけどなぁ……

…と言うかこのノリの奴って何処にでも

居るみたいだなぁ……

春野原(スプリングフィールド)のギルドと変らねぇや……}


と、感じてしまい…その光景に呆れを覚えると同時にふと何故か安堵してしまうのであった。そして震えながら泣きじゃくるシロを抱えては安心させるよう言葉を掛け続けていると、思わず溜息が出て来るのだがマサツグの中である考えが同時に出て来る。そしてこの時…二階のバルコニーから一人…一階の様子を見守る者が出て来ているのだが、誰も気づいて居らず…その者の視線はマサツグに向けられている事を本人はまだ知る由も無いのであった。


「…はあぁ~………

大丈夫だシロ…お前のせいじゃない!…大丈夫だ!…

だから泣かなくて良い……ッ!…」


「…ひっくっ!……えっぐ!……」


「「「オオオオオォォォォォォォォォ!!!!」」」


「ちょ!…本当に落ち着いて下さい!!!…

このままだと本当に戦争が起きますよ!?…」


シロを宥めるマサツグの頭の中である事が思い付く一方で、ギルド職員達は暴徒と化した冒険者達の鎮圧に掛かり切っていた!…このままだと本当に全面戦争になりかねない!…そんな大きなうねりに成りつつ在る冒険者達に、遂にはギルドの鎮圧武装部隊まで出る始末で!…マサツグがシロを抱えてカウンターの前に立ち尽くし考えて居ると、ルンは鎮圧部隊に後を任せてはカウンターの方へ戻って来る。まさか一人の幼女が泣き出しただけでこの様な!…そんな驚きを覚えつつルンがカウンターの方に戻って来るなり、今度はマサツグがトンデモナイ事を口にし始める!


「……はあぁ~…すいません…

話が逸れてしまいましたね…

で、先程のお話なんですが…」


「…なぁ?…ルン?…

ここからそのハーフリングスまでどれ位掛かる?…」


「え?…」


「……ッ?…いやだからハーフリングスまでどれ位?…」


ルンがマサツグに謝り話を元に戻そうとすると、突如マサツグはハーフリングスまでの道のりを尋ね始める。その突然の問い掛けにルンは驚くとマサツグの顔を見詰めては戸惑い…今何と?と言った表情を見せるのだが、マサツグはその表情を聞いて居なかったのか?と誤解した様子で受け取ると、もう一度ハーフリングスまでの道のりについて尋ね出す。しかし当然ながらルンが聞き直したのはそう言う意味ではなく、マサツグの返答を聞いてはただ戸惑った表情で違う!と言い出し、何かを察したのかもう一度マサツグに説得するよう慌てながらも話をし始める!


「いや違います!!…

何故今そのハーフリングスまでの道のりを

尋ねているのかと聞いているのです!!…

いいですか!?…

今マサツグさんがハーフリングスに行けば

間違いなく捕まっちゃうんですよ!?…

それどころか今行けば間違いない

捕まえて下さいと言っている様なモノで!!…」


「いや?…ワザと捕まりに行くんだよ。」


「…ッ!?……ハァ!?…」


ルンの予想は如何やら的中していた様で…必死に今行けば捕まりに行く様なモノとマサツグに説得をするのだが、マサツグは逆に捕まりに行くと話し出し…その話を聞いてルンは更に戸惑い驚きの声を挙げると、マサツグの顔をジッと見詰める。この時のマサツグの表情からはふざけている様子等は無く、ただキョトンと…真面目に考えたと言った表情を見せており、マサツグの考えが分からないルンはただ一人困惑し始めていると、マサツグは続けてハーフリングスに行こうと考えた理由について話し始める。


「ルンが心配してくれるのは有り難いよ?…

確かにその方がシロにとっても一番だと思う!…

でもいつまで隠れ続けている訳には行かないだろ?…

だから自分から行って直談判をと思ってね?…

…ほら?…こう言った文章を送って来る奴は

大抵腐ってて…

一度痛い目に会わないと分からないだろうからさ?…」


「い、いえいえ!…それにしても無茶が過ぎます!!…

大体捕まってしまったら即刻処刑とかも

有り得るんですよ!?…幾ら何でも!!…」


「ッ!…あ、そうか…じゃあ……

あの冒険者達みたいに乗り込んで宰相だけを

ぶっ飛ばそうか?……とにかく!…

何か色々考えてたら名指しで挑発されている様な

気がして来て!…むかっ腹が立ったから

ぶっ飛ばそうかと?…」


「ッ!?…む、無茶苦茶すぎますよ!…

マサツグさぁん!…」


マサツグが話し始めた理由にただただ困惑する事しか出来ないルンは、それでも諦めずにマサツグに説得を試みる!…命が幾つあっても足りない!…一国を相手にたった一人の冒険者が勝てる訳が無い!…最悪捕まって死罪になる!と言った命に訴える説得を試みるが、マサツグは一切退かず!…死罪の話を言われても軽く受け流してはただ宰相をぶっ飛ばす事しか考えていない様子で、シロを徐に肩車し始めると自身の指をパキパキと!…やる気を滲ませる音を鳴らし始める。そしてそんな様子を見せるマサツグに対しルンも匙を投げるよう諦め出すとただ困惑の言葉を口にし、あの姉はよくこの人の相手が出来たなと関心を抱き始めていると、シロが漸く徐々にではあるものの落ち着きを取り戻し始める。更に二階からマサツグを見詰めて居た者も今までの話を聞いてか興味を持った様子でニヤッと笑うと、何故かマサツグの背筋に冷たい何かが走る!…


{……フリードちゃんから話は聞いて居たけど…

お話通りに面白い子じゃない♥…気に入ったわ♥…

ちょぉっと様子を見ててあげましょ&♥…}


__ニヤァ!……ゾクウゥゥゥ!!!…


「ッ!?…ッ!?…な、何だ!?…急に悪寒が!?…

シロ?…何かって…何もある筈無いか…」


「スン!…スン!…」


突如悪寒を感じたマサツグは慌てた様子で辺りを見渡し、何も無い事を確認すると不気味さを覚える!…そして一度はその悪寒を感じた原因をシロなのでは?と考えたりするのだが…直ぐ冷静に考え直すと有り得ないと言った様子で自己完結し、シロはシロで肩車をされてマサツグの頭に縋り付くと鼻を啜って居た。そんなマサツグの悪寒の原因はと言うと良い物が見れたと言った様子でスキップしながら、二階フロアの奥へと戻って行き…結局マサツグは自身が感じた悪寒の原因は分からず仕舞いで、更に一瞬ではあるものの命の危険より凶悪な物を感じた事に、戸惑いを隠し切れないのであった。


{…さっきのは一体?…何か…

身の毛もよだつ様な?…

バルデウスと会った時より

ヤベェ奴に遭遇した気分だ!…}


「ごしゅじんさまぁ~…ごしゅじんさまぁ~…」


「ッ!…はいはい…何処にも行かないよ…

シロを置いて行かない!…」


マサツグがただひたすらに先程の気配について色々考えていると、シロはマサツグの頭をガッチリホールドしては甘え出し…マサツグもシロが泣き止んで甘え出した事にホッと安堵し頭を撫で始めると、シロは元気を取り戻すよう撫でられる事に反応して尻尾を振り始める。そうして玄関口の方で起きていた冒険者達の暴動も遂に鎮圧された様子で落ち着きを見せ始める中…マサツグ達の後ろから一人誰かの歩いて来る足音が聞こえて来ると、その足音の主はマサツグの横に立つなりルンへ今にも消えそうな声で話し掛け始める。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……あのぉ~…すいません……」


「ッ!…え?…あぁ!…はい、何でしょうか?」


「ここが…冒険者ギルド…なんですよね?…」


その今にも消えそうな声にルンが反応するとマサツグの隣に視線を向け、用件を聞き出すルンの視線に釣られてマサツグも隣に目を向けると、その隣に居た人物に思わず驚いてしまう!何故ならそこに居たのはあのナンパ集団に襲われて逃げた筈の獣人女性が立って居たからである。更に驚く事にその獣人女性は着替えて居ないのか水着姿でギルドに姿を現しており、目を涙で潤ませては必死に場所が合っている事を願う様にルンへ質問をしていたからである。そしてそんな問い掛けに対してルンは戸惑いながら肯定すると、その獣人女性の様子が普通で無い事に気が付き…何が有ったのかを恐る恐る尋ね始める。


「え?…は、はい…そうですが…

一体如何なさいましたか?…」


「ッ!…はあぁ~…よかったぁ~…

…ッ!…あっ!…貴方達は!!…」


「ど…どうも…

あの後無事に逃げれたみたいで良かったです…」


「ッ!?…私を助けて下さったのに!!…

逃げてしまって申し訳ありません!!!…」


ルンが困惑気味にその獣人女性へ何が有ったのかを尋ねるのだが、獣人女性はただ目的地に無事辿り着いた事に安堵し…ホッと胸に手を当て落ち着きを取り戻し、そしてふと隣に誰かが居る事に気付いた様子で振り返ると、漸くマサツグが居る事に気が付く。何故気付かない!…と周りからツッコミを受けそうなものなのだが、マサツグは戸惑いつつもその獣人女性が無事ここまで逃げれた事に安堵した様子で言葉を掛け、その獣人女性もマサツグに逃げた事を謝り出すと頭を下げる。そんな様子にマサツグは慌てた反応を見せるのだが、何より一番に困惑して居るのは私とばかりに!…ルンは目の前の光景を見詰めてはただ困惑の表情を見せるのであった。



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