-第二章十三節 亀裂の壁と爆破採掘と金色の鉱脈-
[龍の血脈]のダンジョンBOSSであるレッサーワイバーンを倒し、マサツグがワイバーンの素材とインゴットと化した鉱石を集め終えると、いよいよ何処に仕舞っていたのか分からない鶴嘴を取り出しては最深部の採掘に挑もうとする!……のだが、ここで大きな誤算が出て来る!…それはまたもやワイバーンのブレスであった。ワイバーンにひたすらブレスを吐かせていたせいか辺りは煤けて何が何処に有るか分からない状態になって居たのであった。
「……で、いざ掘ろうと思って居たのだが……
こりゃぁ~…やっちまったか?………いやいや!…
ここまでやって諦められるかっての!!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「…もう一度辺りを見回せ!!…
…良く言われてるだろ?…くまさんに!!…
《もっと周りを良く見ろ!…ちゃんと探せ!》って!…」
幾ら壁を見ようとも有るのは黒い煤けた岩壁…あのブレスは殆どの鉱床を駄目にしたのかそれらしき場所見つける以前にただの鉱床を探す事さえ困難を極めさせた!…一応不純物だらけのインゴットが落ちていた辺りを調べるが、そこにもコレと言った物は見つけられず…何処を探ってもただ手が煤けるだけで完全に打つ手が無くなってしまうと、マサツグは自身の頭を掻きながらやっちまった?…と言った様子で若干諦め掛ける。しかしここで諦められる程マサツグは潔くは無く!…一度冷静になろうと火竜の巣の前に移動し、自身の母親の言葉を思い出しながらもう一度辺りを見渡し始めると、ふとある光を目にする。
__クル~~……チカッ…
「ッ!…今なんか光った!?…」
__バッ!!…コッコッコッコッ…
「……こんだけ光が漏れてたのに
気づかなかったのか…俺?…
……まぁいいや…どれどれ?…」
ゆっくり辺りを見渡すマサツグの目に入ったその光は、丁度この大空洞の出入口の真正面に有る…火竜の巣の奥に隠れるよう小さな亀裂から漏れ出ており、マサツグがその光に気付き慌てて亀裂の方に向かい駆け出すと、その光は近付くに連れハッキリとマサツグの目に飛び込んで来る!何故先程まで気付かなかったのだろう…その光は人の目を眩ませるには光量が足りないものの人に気付かせるには十分な光量で、マサツグがその光の正体を確かめる様に亀裂の中を覗き込むと、そこには今まで掘って来た鉱脈とは明らかに違う色で光る鉱脈が有り、それを見たマサツグは興奮を覚える!
__パアアアァァァ!…
「うおおぉぉッ!?…し、真鍮色に輝いてるぅ~!!…
何だこれ!?……ッ!…おいおい!…
これがあのモジャ男が言っていた鉱脈じゃないのか!!…
諦め掛けてた時に見つけるとか!…
…テンション上がるぜぇ!!…じゃあ早速!!…」
亀裂の間から見えるその鉱脈は金色に近い色で輝いており、見た所デカい鉱脈なのかその亀裂の直ぐ先に金色の鉱脈が繋がっているのが見て取れた。そしてその光景を見たマサツグは更に興奮を覚えた様子で、恐らくこれがあのモジャ男が言っていた鉱脈だろうと推察すると、手に持っている鶴嘴を構え始めてはまずはその亀裂を広げるよう鶴嘴を振り下ろそうとする!…しかし…
__スッ……
「……な、何でだ?…何でこんな緊張してんだ?…俺?…
こんな緊張する様な事だっけこれ?…
ここに来るまでにそんな緊張する様な事無かったのに…」
__プルプル…プルプル…
「ッ!!…えぇ~い、ままよ!!!」
その亀裂を前にしてマサツグが鶴嘴を構え始めると妙な緊張感を感じ始める。…いや、プレッシャーと言うべきか?…とにかく鶴嘴を握ったまま亀裂を眺めているとここでマサツグが謎のプレッシャーに襲われ始め、妙に動けないままでいると構えている鶴嘴の手はプルプルと震える!…マサツグ自身その緊張感に困惑するも自身を奮い立たせるよう頭を左右に振ると、雑念を払っては思いっきりその亀裂に向かい鶴嘴を振るう!…だが!!…
__フォン!!…ガキイイイイィィィ~~……ン!!!…
「あっ!!……いっ!!……うっ!!……えっ!!…
…おぉぉ~~!!!……」
__ガランッ!!ガランッ!…ガランッ……
マサツグがその亀裂に向かい思いっきり鶴嘴を振り下ろした瞬間!…マサツグを襲ったのは硬い物で硬い物を殴った時に来るあのジ~ン!…とした鈍い痺れと痛みで!…腕全体に響き渡った後ゴッソリTPを持って行かれると、思わず握っていた鶴嘴を落としてしまう!…そして亀裂の壁は相当硬いのか先程の鶴嘴の刃はほんの少ししか削れて居ない様子で傷跡を残しており、腕の痺れに耐えながらその様子を見てマサツグが驚いて居ると、更に驚く光景を目にする!…
「ッ~~~~!!!……つぁ!!…あぁ、痛!?…
何なんだあの硬さ!?…久々だぞ!?…
あのジ~ン!…ってなる奴…ッ!?…マジかよ!?…」
[ マサツグ TP 456/570 <スタン> 20s ]
「うわぁ!…ガッツリTPを持ってかれてる!!…
大体1/5か?…それにスタンまで!!…
こんなの掘れるのかよ!?…」
驚いたマサツグの目に付いた物とは自身のステータスバーであった!…そのステータスバーを確認すると鶴嘴一振りに付きTPが約1/5消費され、更にスタン状態20秒と言う重い反動が返って来ていたのである!自身でもTPが削れる感覚が有ったのを覚えて居るのだが、まさかここまでとは思っても居なかった様子で…その鉱脈が眠る壁を見詰めてはスタン状態も相まってか、ガックリと来た様子で思わず強がる台詞を口にする。
「ま…ま…マジかぁ~~!……
…とは言え、ここまで来て簡単に諦める
マサツグさんではありませんよ~!…
何が何でも掘ってやる!!……倍返しだ!!!…
…さて、如何したものか…」
目的の鉱脈を目の前にして手が出せない岩盤の強度に、マサツグは肩からガックリと落ち込みショックを受けそうになるのだが、徐々にスタンが消えて行き…動ける様になると同時に闘争心を燃やし出すと亀裂の壁を睨み付ける!…そして何処かの銀行員の様なキレ芸を見せては改めて如何掘るかで悩み出し、とにかく鶴嘴では掘れないと言う事を認識すると一旦鶴嘴を自身の横に置いては、何か使える物は無いかとアイテムポーチを開いて物色し始める。
__…ガコンッ…
「うぅ~ん……何か使えそうな物無かったっけ?…
さすがに道具屋で爆弾みたいなのは
扱ってなかったしなぁ…
…スタングレネードは置いてるのに…」
__ゴソゴソ…ゴソゴソ…
「えぇ~っと……ん?…これは?…」
ここに来るまでの道中に得た素材でごった返すアイテムポーチの中をゴソゴソと弄り出すが、亀裂の壁を破壊出来そうな物は中々見つからない。その際マサツグは道具屋に対して愚痴を零す様な言葉を呟くのだが、ポーチの中に有るのは回復薬に鉱石・不純物交じりのインゴットにワイバーンの素材…後ゴブリンの遺留品など、採掘に役立ちそうな物は無く…徐々にマサツグが思う道具が見つからない某未来の猫型ロボットの様にアイテムを引っ張り出しては捨てを繰り返し出すと、ふとある物を手に取る。それはワイバーンの素材で明らかに装備を作る上で必要そうに見えない…某一狩り行こうぜのゲームでも出て来るワイバーンの素材の一つであった。
__ガッシ!!…ズル…
「……?…何だこれ?…こんなの回収してたのか?……
鑑定!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
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ワイバーンの灼熱器官
レア度 C
ワイバーンが炎を吐く為に使う臓器。この臓器には
可燃性の脂が分泌され、この脂に一度火を付けると
瞬く間に火を噴き、燃え尽きる。武器や防具の加工に
良く使われる物の扱いを間違えると爆発及び瞬く間に
燃え尽き、自身を滅ぼす可能性を秘めた危ない臓器
である。因みにこの臓器自体が耐火性に優れて居る為、
中の油を捨てて良く洗い…小物入れにするなど火山に
生きる狩人達の必需品としても人気が高い逸品である。
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「ッ!?…あっぶな!?…
こんなモンいつ回収した!?……あっ!…」
この時のマサツグはその皮袋の様な物がワイバーンの素材とは分かっては居らず、ただぞんざいにポーチから取り出し戸惑った様子で鑑定を発動すると、その正体が分かった途端に慌て出す!間違い無く何も考えずにワイバーンの素材と言う事からポーチの中に仕舞ったのだろうが、そのワイバーンの灼熱器官は本当に良くファンタジー物のゲームでよく見る革小物のよう既に鞣されており、臓器と言うには肉ヶしさが感じられず倒した時に鞣されたのか…とにかく自分のアイテムポーチの中に爆発物が有った事にマサツグが戸惑いを覚えていると、ここで説明文に改めて目を通してはある事を思い付く!…それは…
__……チラッ…チラッ…チラッ…チラッ…
…ニタァ!…
「…いっちょやってみるか!……」
__コッ…コッ…コッ…コッ……サラサラ…
ワイバーンの灼熱器官を手に何度も亀裂の壁とその臓器を交互に見詰めると、何か思い付いたのかふと悪い笑みを浮かべ…謎のやる気を出して散々お世話になった岩陰へと歩き出し、その岩陰に着くなりマサツグは灼熱器官から脂を垂らし出すと、亀裂の壁までまるで一本の線の様に繋げる。意外と灼熱器官の脂はサラサラとしており、スッと抵抗なく書けてしまうとその灼熱器官を亀裂の壁に食い込ませるよう固定する。
__サラサラサラサラ……グッグッ!…
「よし!…後は!!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ……バッ!…
灼熱器官が亀裂から落ちない事を確認するとマサツグは急いで岩場の陰に戻り出し、その道中鶴嘴を回収すると慌てる様に岩陰へ隠れて息を整える!…その間不気味な程に大空洞内は静寂に包まれており、壁に食い込まれた灼熱器官からは少しながら脂が漏れ出ていた。壁に滴るよう流れる脂にマサツグは危機感を覚えるのだが、これで準備が整ったとばかりに鶴嘴を構え始めると、徐にカウントダウンをし始める!
「発破準備完了!…これより爆破採掘に入る!……
カウント三秒前!!3…2…1…点火!!」
__カィン!!…ボッ!!…
まるでごっこの様に興奮した様子で鶴嘴を構えると発破のカウントコールを一人寂しくし始め、三秒数えた後マサツグが地面に向かい鶴嘴を振り下ろすと、地面と鶴嘴がぶつかった瞬間小さな火花が散る!そしてその散った小さな火花がマサツグが書いた脂の線の上に着弾すると、まるで導火線に火が点いたよう瞬く間に亀裂の壁へ向かって一気に伸びては燃え移り…それを見たマサツグが慌てて岩場の陰に隠れて耳を塞いだ次の瞬間!…
__シュン!…ボアァ!!…
ドグオォォォォォォンンン!!!!!
「ッ!?…うおあぁぁぁぁぁぁ!!!……」
__ゴロゴロゴロゴロ……ザブンッ!!…
ブクブクブクブク…
マサツグが点けた火種はまず脂の線を辿り、そのまま壁に滴る脂に引火するとそのまま壁を登って最後は灼熱器官に…灼熱器官にはまだ脂が残っておりアイテム説明文通りに引火すると、大空洞内を激しく振動させるだけの爆音と大爆発を起こす!そして岩陰越しに隠れているマサツグにもその爆発の勢いは襲い掛かり!…岩陰から叩き出されるよう叫びながら転がり出て来ると、マサツグはそのまま地底湖に転がり落ちてはその灼熱器官の爆発の威力に驚かされる!
「…ぶはぁ!!…つつつつ!!…マジかよ…
確かに説明文に爆発するって書いて有ったけど…」
__ザブッ!…ザブッ!…
「……ッ!…うわあぁ……相当威力が有ったんだな?…
爆発の衝撃で池に居たピチピチがまた浮かんで来たぞ?…
雷撃刃も撃って無いのに……ッ!?…」
その灼熱器官の大爆発に驚きつつも地底湖の岸に向かって歩いていると、爆発の衝撃であろうか…マサツグはまたもや水面にぴちぴちが浮いている様子を目撃する。魚が仰向けに浮かんでいる…それも一匹や二匹では無く、軽く見ただけでも十数匹は浮かんでおり、それだけでもいかにあの灼熱器官の大爆発が恐ろしいものだったのかを物語っているのだが、更にその爆発が有った場所に目を向けるとマサツグは戸惑う!…何故ならそこには目的の鉱脈…あの硬かった亀裂の壁が消えて無くなっている光景が見て取れたからであった。
__シュ~~~…パラパラ…パラパラ…
「……うわああぁぁ…
…倍返しとは言ったが…まさかここまでとは!…」
__ザバァ!…ザバァ!…コッ…コッ…
「……はあぁ~…やれやれ…
俺今日あと何回ずぶ濡れにならない
といけないんだろうか?……
…まぁ…その苦労もこれを見れば…
…って、よくよく考えれば……」
まだ爆発して間もないと言った感じで硝煙が立つ込め、姿を現した鉱脈からは塵が崩れる音が聞こえて来る…そんなポッカリ空いた壁と鉱脈の様子を目にしたマサツグは戸惑いを覚えるのだが、とにかく地底湖から上がり出すと全身水浸しの状態で愚痴を零しては、その本命の鉱脈に向かい歩き出す。そうして徐々に目的の鉱脈が近付いて来るとマサツグはやっと辿り着いたと言った様子で安堵し出すのだが…その鉱脈を前にしてある疑問が出て来ると一人困惑し出してはその場で考え出す。その困惑した理由と言うのは…
「……これ…
さっきの爆発で漸く姿を現したんだよな?……
見た所損傷を受けた様子も無いけど…
耐えたって事だよな?…じゃあこれ……掘れるのか?…」
マサツグが抱いた疑問!…それはあの爆発にも耐えられた鉱脈の頑丈さについてであった。鉱脈はマサツグを迎えるよう今だ金色に輝いてはその壁に埋まって鎮座しており、先程強烈な爆発が有ったと言うにも関わらず全くダメージを負っている様子は何処にも無い!…その証拠にもし少しでも欠けていればその鉱脈の足元に何かしらのアイテムが落ちて居る筈なのだが、全く何も見当たらず…先程の爆発にも耐えられる!…と言う事はあれ以上の爆発もしくは衝撃が無いと掘れないと言う事を暗示しており、マサツグがそれらを考えて恐る恐る鶴嘴を握るとまずはその鉱脈を軽く突いてみる。
__…スッ……キンキンッ!…
「…何かもう既に金属音がして居るんだが?…
それにやっぱさっきの爆発で壊れたのは
あの壁だけで本体の鉱脈は無傷っぽいし…
これって岩盤より鉱脈の方が硬いって事じゃ?…
…とにかく一発叩いて!……」
マサツグが鶴嘴で鉱脈を突くと既に精錬されている様な軽い金属音…まるで音が反響しない音叉を叩いている様な音が聞こえ、明らかに石じゃない音にマサツグは戸惑いを持つとマジマジと鉱脈に目を向ける…鉱脈は近くで見てもやはり傷一つ無く輝いており、その様子にマサツグが薄々鶴嘴では駄目なんじゃ?と悟り始めるのだが、物は試しとばかりに鶴嘴を構え出すと鉱脈に向かい思いっきり振り下ろす!
__フォン!!…
グワァキイイイイィィィ~~……ン!!!…
…スポンッ!…
「ッ~~~!?!?!?!?……
かっ!!……きっ!!……くっ!!……けっ!…
…こぉぉぉぉ~~~~!!!」
__フォンフォンフォンフォンフォン…バギン!!…
ガラガラ…
マサツグが鶴嘴で思いっきり鉱脈を叩いたその結果…マサツグが得たモノはと言うと、亀裂の壁を叩いた時より更にキツイ!…あのジ~ン!…とする鈍い痺れを通り越した痛みだけであった。更に今回は亀裂の壁の時みたく鶴嘴を落とすと言ったレベルでは無く、鶴嘴自体が大きく弾かれると言う!…まるで力をそのまま反射されるよう吹き飛ばされた事にマサツグは痛みに耐えながら戸惑って居ると、鶴嘴はマサツグの遥か後方に飛ばされては派手に落下音を立てて転がった。そしてマサツグがまたスタン状態になると徐にステータスバーへ目を向けるのだが、そこにはまたトンデモナイ事が表記されてあった!
「ッ~~~~!!!!…じょ、冗談じゃねぇ!!…
何だこれ!?……ッ!?…」
[ マサツグ HP 3100/3650
TP 266/570 <スタン> 45s ]
「こ、今度はHPも減るのかよ!!…
オマケにTPの消費量も上がってるし!…
スタンの時間も増えてる!!……ッ~~!!…
まるでダメージ反射を貰ったみたいに痛い!!……
これ本当に掘れるのかよ!?……ッ!…」
ステータスバーに目を向けるとそこには亀裂の壁を叩いた時とは違い…HPとTPの両方が減った様子とスタン状態が表記されてあった。HPは完全に反射ダメージを貰ったのかそこそこ削れ、TPも亀裂の壁の時とは違い今度は1/3とそこそこ消費量が増している!…スタン状態も15秒増しと更に劣悪になっており、その状態を目の当たりにしたマサツグは痛みに耐えながら文句を漏らし、ふと鉱脈に目を向けると更に心が折られそうになる!…
__キラキラ!…キラキラ!…
「…で、当然の様に鉱脈は無傷っと…
…もうあの脂は無いし?…鶴嘴も無駄!…
オマケに反射ダメージは付いてるし?…
腕は痛いし……」
マサツグが鉱脈に目を向けるとそこには無傷の様子を見せる金色の鉱脈!…やはり相当頑丈なのか傷一つ付いておらず、キラキラと輝いてはマサツグを煽る様に光を放っていた。因みにその光は恐らく周りの光る鉱石の光を反射しており、金色に輝くのはその鉱石の色だからと推測される。そして全く掘れない鉱脈を前にしてはマサツグは項垂れ、改めて状況を整理すると徐々にイライラを募らせる!ワイバーンの灼熱器官はあの一つだけでもう在庫切れ…鶴嘴はまだ残っている物の先程の様子からじゃ役に立たない…例え無理に振るったとしても反射ダメージで最悪、死!…その前にTPが切れては気絶が濃厚と考え始めると、全く掘らせる気の無い鉱脈に更なる怒りを覚え!…スタン状態が解除され素直に動ける様になると、マサツグは何を思ったか大剣を抜き始める!
__チャキッ!!…スラァ……ブォン!!…
「…あっっっったまに来たぜこの野郎!!!…
こうなりゃ自棄だ!!!…
こちとらまだ刃毀れした事が無い
大剣で相手してやらぁ!!!
覚悟しやがれえぇぇぇぇ!!!!」
__バッ!!!…ガキィィィィィン!!!…
マサツグが自棄を起こして大剣を抜くと構え出し、ブチ切れた様子で文句の言葉を並べつつ…そのまま鉱脈に向かって走り出すと、大きく振り被っては斬り掛かりに行く!恐らく鉱石を相手に剣を抜くのはマサツグか某緑衣の勇者位だろう!…大きく振り下ろした大剣が快音を立てると、ここで意外にも漸く鉱脈に有効打を与える事に成功し、同時にマサツグの腕に鈍い痺れが感じられると、ここである事に気が付く!…それは思った以上に腕の痺れを感じないと言う点であり、もう一つはやはりTPが消費されるのだがその消費量が先程の様に酷くないと言う点であった!
「ッ!?…おっ!…おっ!…おぉぉ~~…
い、意外といける?…
つ、鶴嘴よりはマシだけどこれはこれで腕に来るぅ~…
…だが!!…負けらいでかあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
__バッ!!…ガキィィィィィン!!!…
「ッ~~~!!!…抑えられてても辛い!!…
けどイケる!!…
…こっから本気で叩き込み捲ってやるからな!?…
うるああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マサツグが大剣を振り下ろした後鉱脈に目を向けるとそこにはハッキリと傷跡が!…鶴嘴の時とは違い反射ダメージも無く腕の痺れだけで済むと、マサツグはまだ鬱憤が溜まているとばかりに追撃を放つ!またもや快音が鳴り響くと鉱脈には更に深い傷が入り!…それを見たマサツグがやる気と闘志を漲らせると、目の前の鉱脈に対して怒涛の攻撃を放ち続ける!もはやその光景は採掘では無く完全に剣の修行か何かなのだが、マサツグは一切攻撃の手を緩める事無く攻撃を繰り出し続けていると、徐々に鉱脈に異変が出て来る!
__バギィィン!!…バギィィン!!…
ドガガガガガガガ!!!!…
「オオオオオオオオオオオ!!!!!」
__…ピシッ!?…ピシピシッ!?…
無我夢中で吠えながら大剣を振るうマサツグは必死に腕の痺れを我慢し!…鉱脈に攻撃を弾かれよろけつつもただひたすらに加え続けていると、遂にその鉱脈にヒビを入れる事に成功する!…如何やら攻撃を受け切るにも限度が有るのか一撃毎にそのヒビは大きく入り出し、それを見たマサツグが更に闘志を燃やすと攻撃を加速させる!…もはや痺れが重なり過ぎて手の感覚に覚えが無くなるのだが、ダメージが入っている事の方が勝っているのか…ランナーズハイに近いテンションで攻撃を繰り出すと、最後の止めとばかりに突如飛び上がる!
__バッ!!!…ブォン!!!…
「オオオオオオオオオオオ!!!!!…これで!!!…
止めだあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
__ブォン!!!!!…
グワァキイイイイィィィ~~……ン!!!……
マサツグがテンションの赴くままに高くジャンプすると大剣を上段に構え!…自身がヒビを入れた鉱脈に対して狙いを済ませると、落下する勢いに合わせて大剣を振り下ろす体勢を整える!…そして徐々に迫って来る目標に対してマサツグは腕に力を入れ始め、遂に鉱脈が自身の攻撃範囲内に入るとその狙っている部位に向かって!…思いっきり兜割りを叩き込む!勿論外す筈も無く!…鉱脈を相手に会心の一撃!…マサツグが大剣を振り下ろした瞬間、快音を通り越して怪音が鳴り響き!…そのヒビの入っている部位から更に激しくヒビが入ると、崩壊するよう遂に鉱脈からアイテムがドロップされる!
__ピシピシピシピシッ!!!…ガラガラガラガラ……ゴロッ…
「ッ!…ぜぇ!…ぜぇ!…ど、どんなモンじゃい!!!…
って、ドロップされたアイテム!?…鑑定!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
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オリハルコン鉱石
レア度 S
オリハルコン神鉄の原料であり、武具作成や強化に
用いられる鉱石。伝説上で語られる幻の鉱石の一つで、
あらゆる鉱石を上回る強度と耐久性を兼ね備えた
素晴らしい特性を有しており、生半可な攻撃は跳ね返す
程の強靭性も確認されている…掘る際少しばかり難儀な
鉱石としても有名であり、この鉱石を掘る際は同じ
オリハルコンまたはそれ以上の物で無いと掘る事は
出来ないと言われている。また加工面でも難しく
かなり熟練された者で無いと真面に扱う事が出来ない
のだが、もし扱う事が出来たのならそれは「神器」と
呼ばれる程の一品になる事が確約されている。
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「ッ!?………ッ~~~~~~~!!!!!…」
兜割りを繰り出した後マサツグはフラ付きながらも着地すると、その足元には件の鉱脈からドロップされた鉱石が転がって居た。もはや拾う元気も無い様子で息を切らしては慌てながらも地面に転がしたまま鑑定を発動し、マサツグの目の前にその鉱石の鑑定結果が表示されると、思わずマサツグは沈黙してしまう。何故ならその目の前に表記されたアイテム名と言うのは[オリハルコン]であり、言わずもがな上級武具を作成する際必ずと言って良いほど必要になる定番鉱石を手に入れたからであった。そして徐々にマサツグの中で達成感と言う名の波が押し寄せて来ると限界にまで達し、感情を爆発させる様にガッツポーズを取ると、取るのに苦労した事など忘れ!…大空洞内に反響する勢いで叫ぶのであった。
「ッ~~~!!!!…
シャアアアアアアアァァァァァァァ!!!!!」
__ッ!?…ビチビチビチビチ!!!…
大空洞内にマサツグの声が響き渡るとそれに反応してか、ピチピチが地底湖の水面をバチャバチャと揺らし…足元に転がって居るオリハルコンはアイテム化すると金色に光っており、見る限り最後の一撃が良かったのかそこそこの数が落ちている。更にその件の鉱脈に目をやるとそこには塊で崩れたかの様にボコッと穴が開いているのだが…その鉱脈の奥には普通では有り得ない…奇妙な物が刺さっている事にマサツグはまだ気づいては居らず、そうして徐々にその歓喜のガッツポーズも徐々に収まり出すと、意気揚々とそのオリハルコンを集め出すのだが…
__……コッ…コッ…コッ…コッ…
「これで二十!!!…
それも結構大きいのがゴロゴロ取れたぁ~!!…
これであのモジャ男を見返せるな!…
じゃあ後は本当に落ちてないか……あ?…」
__コオオオォォォォォ…
「……え?…何これ?…刀?……でも何で?…
何でこんな所に刺さって?…
てか鉱脈の中に有るんだ?…バグか?…」
マサツグは意気揚々と落ちているオリハルコンを拾い集めてはアイテムポーチに仕舞いを繰り返し、目に見えて落ちている分を回収し終えると見逃してないか!…取り逃して無いかの指差し確認をして徹底ぶりを見せる!そして本当に無い事を確認し終えるとマサツグはモジャ男を驚かせられると言った様子で悪い笑みを浮かべるのだが…その表情のままふと鉱脈の方に目を向けると、鉱脈の中に刺さっている奇妙な物…古びた刀らしき物を見つけては、興味を持った様子で見詰めて悩み出すのであった。




