表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
11/569

-第一章十節 マテリアルマニアと初の護衛の依頼と道具屋-



「……さて、落ち着いたところで聞くけど…

何でそんなに毛皮の取れた場所を

訪ねて来たんですかい?…

何かウサギに恨みでも?…」


「い、いえ…

別にそんなピンポイントな恨みはありませんが……」


ギルド受付カウンターで受付嬢に迫られるも少ししてから互いが落ち着きを取り戻し、マサツグが受付嬢の豹変具合に疑問を持つとその白熱した理由について尋ねると、受付嬢はマサツグの質問に戸惑い、その様子を周りで見ていた他の冒険者も気になると言った様子で耳を澄ます。そのマサツグと受付嬢の話を盗み聞きして居る様子に気が付いていない受付嬢は、少し恥ずかしそうにかつ申し訳なさそうな表情をすると恐る恐るその理由を話し始める。


「……ッ…じ、実はですね?…わ、私…

私、マテリアルマニア(素材愛好家)なんです!…」


{…マテリアルマニア?…

えらく変わった嗜好の持ち主だな?…}


「この仕事を始めて直ぐ位でしょうか?…

こう言う納品の依頼書に書いて有る素材が

如何言う物なのかがまだ分からなくて…

簡単な物だったら分かったのですが…

モンスターの素材となると全然で……

で、一度図鑑やその他の参考書を読んで

勉強をして居たら次第に興味を持ち始めて…

それと同時にこうして業務を行って居ると

毛皮や鉱石・モンスターの甲殻に鱗と

色々見ている内に気が付いたら…

素材に対して凄い愛着が湧く様になっちゃって!!…

特に良い物を見るとそれはもう!!!…

今では見ただけで産地・どの部位なのか等が

わかるんです!!」


「そ…そうなんですか……」


受付嬢が自分の嗜好について説明し始めると、初めて聞く嗜好にマサツグが不思議な表情をする。その説明をする受付嬢も最初のきっかけを恥ずかしそうに話すのだが、自分の話をしている内に徐々にまたマテリアルフェチの熱が昂って来たのかマサツグに詰め寄り、その素材に対する情熱を語り始める。そしてそのフェチが高じた特技を自信満々で語り、その受付嬢のテンションにマサツグがまた後ろに仰け反り始めると、後ろで盗み聞きをしていた冒険者の一人が席から立ち上がっては受付カウンターに近付き、話し掛け始める。


「ほぉ…そいつはすごいな!…

じゃあこいつはどこで取れたもんだ?…」


__ゴトッ!…


「ッ!…う~ん…この透明度に色…

カウンターに置いた時の音を察するに……

オータムクラウド山脈の紅葉化石洞窟中間道に

在る鉱脈…マラカイト鉱石ですね!」


__どよ!?…


話を聞いてか茶々を入れに来た冒険者が懐から青い鉱石を取り出すと、受付カウンターの上に置き「さぁ!当てて見ろ!」と言わんばかりのドヤ顔で受付嬢にその鉱石が何処の何と言う鉱石かと尋ねると、受付嬢はその鉱石に顔を近付ける事無くジッと見詰めて色や透き通り具合…更に冒険者がカウンターに置いた時の音を思い出して、迷いが無い様子で冒険者の顔を見返し笑顔で答える。そしてその答えを聞いた冒険者及びその周りの冒険者達が驚いた表情を見せると一斉にどよめき立ち、答え合わせを待って居る様に受付嬢がその冒険者を見詰めて居ると、その出題者の冒険者が戸惑いっぱなしの表情で答える。


「あ…当たりだ!…」


{ッ!?…ほんとに当てちゃってるし…

しかも、一切の迷いが無いし!?…}


「やった!!えへへ!!…

えっへん!!…どんなもんです!」


出題者が正解と戸惑いながらも受付嬢に答え、マサツグも隣で驚いた表情を見せて受付嬢を見詰める。そして肝心の受付嬢はと言うと言い当たられた事に喜んで見せてはぴょんぴょんと小刻みに飛んで見せ、マサツグの方に振り向いてドヤ顔で胸を張り喜んで見せる。その様子にマサツグもただただ驚いて居ると受付嬢の後ろから先輩らしき人物が荷物を抱えて出て来て、受付嬢を注意する。


「はいはい!…凄いのは分かったから!…よっと!!…

ちゃんと仕事しなさい?…

この前みたいに受注ミスが無い様にね?…」


「ッ!…は、は~い…

えへへ…怒られちゃいました…」


先輩ギルド職員に注意を受けて受付嬢が慌てて振り返ると、その先輩職員に頭を下げて了承する。するとその先輩職員は軽く溜息を吐いては少し呆れた様子で笑みを浮かべ、またカウンターの奥へと姿を隠して行くと受付嬢はホッ…とした様子で息を漏らす。そしてマサツグ達の方を振り向き、少し気まずそうに笑って見せてその場の空気を誤魔化そうとする…そんな可愛らしい仕草をする中、マサツグが釣られて苦笑いをすると脱線していた話を戻す。


「あははは…

と…とりあえずこれでクエスト達成出来るかな?…」


「え?…あ!はい…出来ますけど…良いんですか?…

これだけ良い物だと明らかに損をするし…

それに美品での追加報酬等も出ませんよ?…」


「別に良いよ。

持っていてもアイテム欄を圧迫するだけだし…

それにこれを使ってクラフトも出来ないし…

そのまま達成で。」


「…ふふふ!…分かりました!

では少々お待ちください!…」


マサツグがウサギの毛皮の納品の話に戻すと、受付嬢が少し戸惑った様子で返事をしては改めて大丈夫かどうかを確認する。マサツグが持って来たウサギの毛皮でも納品は出来るがその分に見合った報酬は出ないと申し訳なさそうに話し、更に追加の報酬が出ないとマサツグに話すのだが、マサツグは全く気にしないと言った様子で返事をしてはクエストクリアの手続きを受付嬢に頼む。その答えを聞いた受付嬢はマサツグに笑い掛けるとクエストクリアの手続きをし、一度奥に移動すると報酬であるG(ゴールド)の袋を取り出してはマサツグの元に持って行く。


「……お待たせしました!…報酬の4550Gです!」


__ジャラッ!…


「どうも!…ッ!……

あった!…ふぅ…」


受付嬢が奥から用意して来たお金をマサツグに手渡し、そのお金をマサツグが受け取った瞬間お金は自動的にマサツグの財布へ送り込まれ、手元から消えて無くなる。その仕様は王様から賞金を受け立った時にも起きていたのだが、今回は手元に何も残らなかったので突然消えた事に戸惑って見せ、自分の財布の中身を確認してまだこの仕様に慣れていない様子で一息吐く。そしてマサツグが一人安心している所で最初に話していたもう一つの依頼書をマサツグの前に差し出しては受付嬢がその依頼を受けるかどうかについて尋ね始める。


「…えへへ!…

じゃあこっちの護衛依頼の方はどうしますか?

一応…依頼書の方はこうなっていますが…」


------------------------------------------------------------------------

護衛任務 スプリングフィールド王国~

    貿易都市クランベルズ


     依頼レベル10


依頼内容:商人マルコ及び商品を

     目的の場所まで護衛する事。


期間  :およそ三日間。



王都からクランベルズまでの物資運搬に付き、

護衛に六人の募集をお願いします。報酬の

受け渡しは目的地に着いてからの受け渡しで、

護衛として雇っている期間中に怪我をする事が

有りましたら簡易的ではありますが治療は

やらせて頂きます。勿論治療費等の請求も

ございませんので奮ってご応募お待ちしております。


      報酬 150000 G

------------------------------------------------------------------------

「…目的地はクランベルズ……

クランベルズって?…」


「クランベルズはここから西に三日間進んだ所に

ある貿易・商業と言った商人の町で、駆け出しの

商人が商業の修行をする場所であり大手の商業家が

自らの手腕を競い合う!…

そんなまで活気に溢れる大きな町です!!…

…ただ難点が有るとするなら商魂が逞し過ぎて

過度なサービスをする事がある位ですかね…

でも、クランベルズに行けば大抵のものは揃うと

言われている程、物流の盛んな街です!!」


「なるほど…」


受付嬢に差し出された依頼書を受け取り、内容を確認して王都とは別の町の名前が書かれてある事に気が付き、その行先の町について受付嬢に尋ねると、受付嬢は笑顔でマサツグの質問に答え始める。その際カウンターにスプリングフィールド大陸の全体地図を出してはクランベルズを指差し、マサツグに場所を教えるとどんな街なのかも説明し始める。その説明を受けてマサツグが分かった様子で地図を見詰めながら頷くと頭の中で考え事をしては受けようかどうかと悩み始める。


{…依頼レベルは10…

…まぁ問題は無いだろうけど…

三日間か…結構長いな…

でもこれって他の町に行く良いきっかけにもなるしな…

…ここは頑張って見るか?…}


「んん~…じゃあわかった…受けるよ。」


「ッ!…はい!分かりました!

それでは受理しますね?

依頼人は商人のマルコさんです!…

多分ギルドの何処かに居ると思うのですが…」


{…マルコ?シルクロードから来たのかな?

それとも三千里?案外踊るポン〇コリン?…}


悩んだ結果マサツグはその依頼を受ける事にし、その旨を受付嬢に伝えると受付嬢は笑顔で返事をしてマサツグの依頼受領の手続きをし始める。そして依頼人の名前を口にして合流するよう居場所をギルド内と説明するのだが、当然マサツグがそのマルコと言う人物が如何言う格好をしているのかを知る筈も無く、受付嬢も辺りを見渡してそのマルコを探すのだが中々見つからない。その間にマサツグがマルコの名前を聞いて色々連想しては一人で笑っているのだが、受付嬢がハッ!と気が付いた様子でマサツグの後ろを見てはマサツグに話し掛ける。


「あっ、いらっしゃいましたよ!…」


「ん?…わかった…じゃあ、何処に行けば会えるかな?」


「大丈夫ですよ?…既に()()()()()()()()()に…」


「え?…」


受付嬢がマルコを見つけたと笑顔で答え、その言葉を聞いたマサツグがやる気を見せて何処に居るのかと尋ねると、受付嬢は笑顔で大丈夫と答える。その大丈夫という言葉にマサツグが驚き如何言う事かと尋ねようとするのだが、受付嬢は続けてマルコはマサツグの後ろに居ると説明すると、マサツグは困惑しながら振り返る。するとそこには恰幅の良いトル○コ風の男性が立っており、マサツグの事を見上げて待っていたと言わんばかりの表情で突然自己紹介を始めるのであった。


「依頼を受けて頂きありがとう御座います!…

私がマルコ・ボウロです。」


「でゅわあぁ!!!…居たぁぁ!?…」


「はっはっは!!…驚かせてしまい申し訳ない…

何分自分の身長が低いせいでこの通り中々視界に入らず…

見つけて貰う時間が掛かってしまうので…

こうして私から会いに来た次第です。」



「…あぁ!…ッ!?…え?…えぇ~っと…

…マサツグ…です……何と言いますか…色々と…

盛大に驚いてしまってすいません…」


何の気配も無く突如後ろに現れたマルコにマサツグが声を挙げて後ろに仰け反り、驚いた表情を見せて居るとマルコは少しだけ笑って見せては直ぐに後ろに立った事…驚かせた事に対して謝罪をし、その理由をマサツグに説明し始める。そしてその理由を聞いたマサツグが改めてマルコの身長を確認すると受付嬢より低い、155cm位しかなく、それらを確認して思わず納得してしまうとマサツグはハッ!と確認した事・驚いた事と反省してマルコに頭を下げて謝る。そのマサツグの態度にマルコは少し驚いた様子を見せるが直ぐに笑って見せると、とある方を振り向いては呼び掛ける様に声を掛ける。


「ッ!……ふむ…いや、はっはっはっはっは!!!…

まぁお互い様と言う事で…これで全員ですかな?」


「え?…」


__ガタッ!!…ゾロゾロゾロゾロ…


マルコがギルドに設置されて在る団体用円卓席の方に向かって声を掛けると、その席に座っていた冒険者達が一斉に立ち上がってはマサツグの居る方に歩いて来る。マサツグと同じヒューマンの男二人にエルフの女性が一人、恐らくホビット族なのだろうが男女何方とも言えない幼い人と、最後はゴブリンと変わり種パーティが集まって来る。その集まって来たパーティにマサツグが戸惑って居ると、マルコは改めて集まった人数を確認する様子でそのパーティの人数を数え始める。


「ひい、ふう、みい、よお、いつ、む…

うん!依頼通りだ!!…他の方々も自己紹介を…」


「俺の名はマトック!

職業は戦士、よろしくな!」


 ------------------------------------

「マトック」


「流離の戦士」


Lv.25


HP 2650 ATK 250 DEF 235  etc


 ------------------------------------


男性のヒューマン。何処にでも居そうな感じのガタイの良いキャラで恐らくはNPC…唯一個性が有るとするなら某機動戦士に出て来るメンタルの弱い男性艦長と同じ髪形をしている所で、装備は見た感じブロンズ装備一式で武器は片手斧とマサツグより若干強そうな感じを漂わせていた。そしてマトックの自己紹介が簡単に終わると次はエルフの女性が自己紹介を始める。


「私はアヤよ!

職業は狩人、よろしく頼むわね!」


 -------------------------------------

「アヤ」


「森の狩人」


Lv.18


HP 1550 ATK 185 DEF 190  etc


 -------------------------------------


エルフの女性。白金髪の三つ編みで首元から前へ垂れる様にして緑のフードから出ており、そのフードを被っていても分かる位の見事な美形、さすがエルフと言ったモデルの様なスレンダー体系で狩人と言うだけあってか軽装。背中に弓と矢筒を背負って上半身が緑のケープで下がミニスカとこのパーティの紅一点と行った所か…そうしてアヤの自己紹介が終わると今度はお坊さんが手を合わせて合掌しながらマサツグに挨拶をし始める。


「拙僧は、宗玄…

職業は、僧兵をやっておる。」


 -------------------------------------

「宗玄」


「オータムクラウド国在住・玄安寺住職」


Lv.45


HP 5230 ATK 350 DEF 550  etc


 -------------------------------------


特に言うことは無い…それ位にお坊さんの格好をしており、唯一言う事が有るとするならまるで太陽拳でも撃てそうな位にピカピカの頭をして居る所と、目が糸目と言う位…誰が何処を如何見てもお坊さん。格好も典型的なお坊さんの格好で恐らく武器は背中に背負っている薙刀だろう…そうして宗玄の自己紹介が終わり残り二人となって来ると次に自己紹介をし始めたのはホビットの人であった。


「僕は、ハリットです!

職業は魔法使いです!」


 ------------------------------------

「ハリット」


「魔法使いの卵」


Lv.10


HP 550 MATK 135 DEF 90  etc


 -------------------------------------


見た感じの年齢は大体11~12歳位のショタッ子?…に見えるのだが、髪型はエルフのアヤと一緒の三つ編みで典型的な魔法使いの格好をしており、幼い顔立ちで眼鏡を掛けて居る。背中には身の丈以上の杖を背負っており、良く見ると着ているローブはブカブカなのか袖が甘えんぼ袖になっている。そんな何処と無くスリザ〇ンは嫌だと言いそうな見た目なのだが結局の処どっちか判断が出来ず、そのハリットの紹介より性別の方が気になって仕方が無いと言った様子で耳に入って来ない…そうしてマサツグが困惑した様子でその自己紹介を聞いて居ると、最後にゴブリンの男がマサツグに挨拶をし始める。


「あっしの名はデクスター。

職業は…盗賊でやんす。」


 --------------------------------------

「デクスター」


「無謀の盗賊」


Lv.22


HP 1100 ATK 200 SPD 350  etc


 --------------------------------------


猫背のゴブリン男性。耳に鼻と妙に長く歯はギザギザで肌は緑色といかにもゴブリンと言った様子で、盗賊と言うだけあって頭にバンダナを巻いて来ていて、シャツは目立ち難い無難な色で擦り切れており、穿いているズボンも汚れた模様の絞り口のズボンと見た目からして盗賊を体現している。そして腰にはジャンビーヤを差しており、その他にもベルトに投げる用の小型のナイフを幾つも差してある。その恰好からマサツグは思わずゴブリンで盗賊…裏切りとか無いよな?…と疑ってしまうのだが、マサツグより先に集まったパーティ全員の自己紹介が終わると、最後にマサツグが自己紹介をして一段落する。そうして全員の挨拶が終わるのを待っていたマルコがマサツグ達に声を掛けると、先ほど他のメンバーが座っていた円卓の方へと連れて行く。



「…では今回の依頼について詳しい

説明をしますのでこちらへ……」


__ゾロゾロ…ゾロゾロ…ガタガタ…


「…えぇ~…では説明を…

依頼書にも書いて有ります様に貴方達への依頼はここ…

王都からクランベルズまでの荷物及び私の護衛に

なります…

護衛期間は約三日…移動方法は馬車で、数は三台…

先頭馬車に私と側近、真ん中の馬車には積荷等が乗って…

後尾の馬車には皆さんの治療が出来る様に薬草を

積んであります。そして護衛の陣形なのですが、これに

関しては皆様にお任せしようと思います。

…何分私達は戦闘とは無縁でして…

如何言う風に組んだら良いのかが分からないのです…

ですからご自由に陣形を取って貰っても構いません…」


マサツグ達が案内されるままに席に着き、全員が座った所でマルコが軽く頷くと依頼内容の詳しい説明をし始めるが、詳しいとは言ってもその説明も依頼内容に書いて有ったものの再確認と言った様子で話し出し、追加で情報が有ったとするなら当日の馬車の数とその場者それぞれに何が有るのかと言った事。そして護衛に当たる際陣形等はマサツグ達の方で臨機応変に対応してくれと言う内容に、一人疑問を持ったマトックがマルコに手を挙げて質問をする。


「…質問!……

陣形は私達の方で決めていいのは結構なんだが…

それだと積荷を奪われると言った心配は

無いのだろうか?…

…あっ!…疑う訳では無いのだが…

如何にも気になってな?…」


「それにつきましては大丈夫です!…

例え盗まれたとしても…

恐らくは扱えない上に直ぐに足が付くと

思いますので…」


「ッ!…了解した!…」


マトックが手を挙げて質問した内容はその陣形を自由に取って良いと言う事に付け込んだ泥棒行為であり、戦闘中のドサクサに紛れてその積荷が奪われないのかと言うマトックなりの心配の質問であった。勿論それを聞いてピクっと反応する者も居ては無言でマトックを見詰めたりと…中にはそれを聞いて同じ様に悩んだり、自分が疑われていると悲しんだり、いきなり雰囲気が変わっては修羅場を迎え掛けていた。そしてそれに気が付いたマトックも慌てた様子で宥めに掛かるのだが、マルコはご尤もと言った様子で頷いてはマトックに大丈夫と答え、その理由に奪われても直ぐにバレると答えると、何故かマトックや他のメンバーがハッ!と気が付いた様子で驚いては納得し始める。その納得する姿にマサツグが不思議そうにして居るとマルコがクエストの説明を終えようとしていた。


「…では他に質問が無ければ、これで今日はお開きに…

護衛は明日の朝…集合場所は王都の玄関口にて

集まってください…

時間は厳守で頼みますぞ?…」


__おう!!(ハイ!!)…


「ではこれにて…

明日に備えて今日は無理をしないよう

お願いいたします…

…それでは、解散。」


__ガタッ…バラバラ…バラバラ…


「…さて、如何したものか……」


マルコが最後にクエストは明日の朝から…王都のゲート前に集合と護衛メンバーに伝えるとメンバーが返事をし、そして最後にマルコが解散の言葉を言うと各々が席を立っては散って行く。誰も何処に向かうか等言わずに解散して行く中、一人マサツグが如何やって時間を潰そうかと悩んで居ると、エルフのアヤが徐にマサツグの方へ一人歩いて来ては声を掛けて来る。


「「ねえ、貴方?…」


「え?…」


「えへへ♪…

もし用事が無いならちょっと付き合って

くれないかしら?…」


「……え?何処に?…」


突然のアヤの呼び掛けにマサツグが少し驚いては声の聞こえた方を振り返ると、そこにはマサツグの顔を少しの覗き込む様に優しく微笑むアヤの姿が有り、マサツグに暇かどうかを尋ねると何か意味有り気にこの後の付き合いをお願いし始める。その突然のお願いにマサツグが戸惑っては固まり、アヤの顔を見詰めては恐る恐る質問をするのだが、アヤはマサツグに笑って見せると行先を答える。


「ふふふ♪…何処って…道具屋よ?…矢と薬の補充!…

あっ!…後、携帯食料を少々ね!」


「あっ!…道具屋ですか……

なぁ~んだ!……って、これ全年齢対象…」


「……?

如何かしたの?」


「あ!…イエ、ナンデモアリマセン。」


アヤが少し勿体ぶった様子でマサツグに行先を告げ、用件も一緒に伝えるとマサツグが少しガッカリした様子で苦笑いをしては納得し、改めてこのゲームのレーティングを思い出す。その様子にアヤが不思議そうな表情を見せてはマサツグに質問をするのだが、マサツグは戸惑った様子で反応すると何故か片言で返事をしてしまう。そんなマサツグにアヤは不思議そうな表情を見せてはジッと見詰めるのだが、フッと笑って見せると徐にマサツグの手を取りギルドを後にし始める。


「……フッ!…おかしな人ね?…

とにかく!行きましょ!!…」


__パッ!…


「えぇ!?…ちょっと!?…」


アヤに引っ張られるままギルドを後にしたマサツグはただ戸惑って居るとそのまま道具屋へと向かい歩き始め、マサツグが如何してこうなったのだ?と困惑した様子で悩んで居ると、アヤはまるでマサツグの事を気に入った様子でフレンドリーに嬉々として話し始めては質問をする。


「貴方…今回が初めての護衛任務?」


「え?…あ、あぁ…そうだね…

まだ冒険者になって日が浅いし…」


「やっぱり!…じゃあ私の方が先輩ね!

…貴方を初めて見た時に

私、絶対初心者だと思ったの!…」


「えぇ~…」


「…でも不思議…

貴方の手からはまるで熟練者の様な…

オーラを感じる!…」


「え?…」


道具屋に向かう道中、アヤに手を引っ張られたまま質問をされるとマサツグは戸惑いながらも正直にまだ駆け出しと答え、その答えを聞いたアヤが笑って自分の方が先輩・自分の勘が当たったと喜び始める。その様子にマサツグが戸惑った表情を見せて思わず声を漏らしてしまう。しかしアヤは直ぐにマサツグの手を握って何かを感じ取ったのか、懐かしそうに笑みを浮かべてはマサツグの事を不思議…と話し、その言葉を聞いたマサツグが疑問の声を漏らして居ると、二人は道具屋の前まで辿り着く。そして道具屋に辿り着いてマサツグが漸く解放されるとアヤは道具屋の扉に手を掛け、先輩らしく振舞った様子でマサツグの方を振り向くとアドバイスをし始める。


「じゃあ、入ろっか!

君も色々買っておいた方が良いよ?…

さっき言った携帯食料も要るし、

回復系のアイテムとか?…

三日間の旅って結構物を消費するから!」


「え?…でも回復は馬車で…」


「あぁ!…違う違う!…

傷とかは確かに大丈夫だと思うけど…

私が言っているのは毒とか麻痺とか…

状態異常の方!

…多分あの調子だと…そっちの方は

準備してないでしょうからその点もね?…」


「…な…なるほど……そうだな!…

じゃあそうさせて貰いますよ、先輩?」


アヤのアドバイスを聞いてマサツグが回復は馬車で出来ると戸惑いながらも口にすると、アヤはピクっと耳を動かしては苦笑いでマサツグに手を振り、違うと答えては別の回復アイテムと話し始める。アヤもその馬車の話は覚えて居ると言った様子で話し、その馬車でもさすがに状態異常とかは配慮していないだろう…と話すと、その話を聞いてマサツグがハッ!とした反応を見せてはアヤの言葉に納得する。そして少し考えた後、マサツグが素直にアドバイスを聞く事にしてアヤの事を先輩と呼んで見せると、アヤはパッと目を見開いては少し頬を赤く染め、恥ずかしそうにして誤魔化すよう笑顔でマサツグに返事をする。


「ッ!!…ふふふ!…そう来なくっちゃ!!

じゃ!行きましょ!」


__カランカラン!…


「いらっしゃ~い!…」


アヤがマサツグに返事をした後、道具屋の扉を開けて中に入るとドアベルが鳴り響き、その音に反応して店主がレジの前に立っては入って来たマサツグ達に挨拶をする。店内には色々なアイテムが棚に陳列され、各アイテムの用途事に整頓されており、それはまるで異世界版コンビニエンスストアに見えて来る。そしてこの言い方だと現代版と何が違うのかと言う話になるのだが、現代に弓の矢は取り扱っていないし、その他にも奇妙な魔石と言った霊感商法っぽいアイテムも取り扱っていない点が有り、中でも極め付けがこれであろう…


「……ブリンクストーン商会製の大剣用研ぎ石…

無料体験…こんなのまで有るのか…」


壁に立て掛けるよう設置された巨大な研ぎ石…ゆうにマサツグの身長+αと言った大きさで、既に誰かが数回使ったのか使用感が有る。若干凹んでいるのが見て取れ、こんな物が置いて有るとしたら余程のホームセンターじゃないと見つからないぞ!?…と現実(リアル)に置き換えて思わず心の中でツッコミを入れる。そうして色々な物が置いて有る道具屋の店内を歩きながらマサツグが驚いて居ると、アヤがマサツグを呼び始める。


「あっ!…あったあった!…えぇ~っと…

貴方!!確かマサツグ?…だったわよね!?…

こっちこっち!…」


「え?…あぁ!…はいはい!!」


「…ッ!…ここが状態異常を回復する為の

アイテム類が置かれてある棚よ?…

自分が必要だと思う物を選んで買ってね?…

後…隣が…そうね、携帯食料の棚ね!…

ここで三日分の食料を買って置くと良いわよ?…」


「あっ!…了解で~す。」


アヤがマサツグの名前を確認しながら呼ぶとマサツグはアヤに返事をして、声の聞こえた所へと歩いて行く。そして呼ばれた場所に辿り着くとそこには棚の商品と睨めっこするアヤの姿が有り、アヤがマサツグが来た事に気が付くとさっきまで睨めっこしていた棚を指差してはマサツグにアイテムの場所を教え始め、更に隣の棚を確認しては携帯食料も買うよう勧めて来る。状態異常回復アイテムの棚の中にはRPGでは大概肥しとなる毒消し薬や麻痺解除薬などのポーション類が色々置いて有り、それらを手にマサツグがこの先の旅で何が有るか分からないと言った様子で考え込んでは各状態異常回復系アイテムを五本ずつ買う。その中に何故か二日酔い覚ましの薬も有るのだが、この時のマサツグはとにかく何が有るか分からないと言った様子で手に取って買ってしまうのであった。そうしてアヤに勧められた携帯食料や、やっぱり戦闘中でも回復出来る様にとHPやTPが回復出来るポーションを買い込むとアヤと共に明日の護衛任務の準備を終える。その後道具屋を後にするよう店の扉を開けると同じ護衛の依頼を受けたメンバーと合流をするのだが、何故か酒盛り集会をする事になるのであった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 全年齢対応のゲームなら、ラッキースケベはありませんね クエストは全員が受けるかもしれないので、ゲーム的に規制が掛かります ので、成人限定の方がいいと思います どうしてもラッキー…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ