-第二章十一節 ゴブリン戦争とラッキーパンチと地獄絵図-
今だ竜の巣にて岩場の陰に隠れているマサツグはワイバーンに睨まれて動けないでいた…起死回生のぴちぴち…それを手に持ったまま何度か様子見で覗こうとするも、覗いた瞬間火を噴くぞ!?とばかりにワイバーンが威嚇し…かなり気が立っている様子を見せてはマサツグを監視する様に睨んで居た。そしてそれはマサツグも岩場の陰に隠れて居ながらもヒシヒシと感じ、どのタイミングで仕掛けたものかとピチピチを手に考え!…何とか監視の隙を伺っては仕掛けるタイミングを計っていた。
__ゴギャアアアァァァス!!!…
ダンッ!!…ダンッ!!!…
「ッ!?…おぉおぉ!…かなり気が立っている御様子…
オマケに地団太踏んでまでいらっしゃる!……
こりゃ…悠長に時間は掛けてはいられないか…
…シロの事も有るし……フェイント掛けてみるかぁ…
掛かればそのまま!!…」
__バッ!!…スッ…
岩場の陰に隠れながらもそのワイバーンのご立腹具合が分かる事にマサツグは戸惑い!…地団太を踏まれてはその振動が今自分の居る場所まで伝わって来ると、色々と時間が無い事に焦りを覚える!…ワイバーンは今だ獲物を護る様に仁王立ちしているが、このまま獲物を諦めて動き出す様になったら!…時間を掛け過ぎては待ち切れないシロが飛び出し、まさかの一人でここまで来てこの戦闘に巻き込まれたら!…と考えると、違う意味でダラダラと汗を掻き始める。睨みを利かせるワイバーンの様子にマサツグは戸惑い続けるも、そろそろ仕掛けようと動き出すと不安を覚えつつもぴちぴち回収時の様にフェイントを入れ始める。すると…
__ッ!!…ゴアアアアァァァァ!!!…
余程頭に来ているのか?それとも集中していたのか?…見事にマサツグのフェイントに引っ掛かると、既に隠れたマサツグに向かってブレスを吐いては無駄撃ちに終わり…マサツグはブレスが飛んで来た事に反応し岩場の陰から直ぐに姿を現すと、ゴブリンを呼ぶ様に叫んではワイバーンに向かって大きく振り被りぴちぴちを投げ付け始める。
__バッ!!…
「ッ!!…掛かった!!…
…そ~らゴブリン共!!…餌の時間だぞ!」
__ブォン!!…べチ~ン!!……ッ?…
尻尾を掴んでオーバースロー!…そしてマサツグの投げたぴちぴちはワイバーンの顔や翼・足に当たると、その衝撃でかそのまま絶命し…ワイバーンも反撃を喰らった?…と言った微妙な反応を見せて居ると、その投げ付けられたぴちぴちに目を向けては鼻先を近づけ匂いを嗅いだり、ワイバーンがぴちぴちに興味を向けていると何処からとも無く聞き覚えの有る足音が聞こえ始める。
__……ッ~~~…
「ッ!…来た!!…」
マサツグがワイバーンにぴちぴちを投げ付けてから一分と経たない内に何処からとも無く軽い地鳴りの様な雑踏が聞こえて来る!…それは大空洞だからこそ良く聞こえるとばかりにマサツグの耳にも届き、マサツグが若干歓喜した様子で直ぐにまた岩場の陰へ隠れると、更にその奇妙な雑踏は大きく響き出す!…
__ッ~~~ドドドド……ッ!…グゴゴゴ!!…
「よしよし!!…ここまでは計算通り!!…」
徐々に何かが近付いて来る足音にワイバーンもハッと気が付いた様子を見せると、辺りを見渡しては警戒し…ワイバーンと違ってマサツグは徐々に近づいて来るその足音にウキウキした様子を見せると、岩場の陰からその様子を見守る。その地鳴りはまるでバーゲンセールの開店ダッシュの客の足音に似ており、先程までのイライラも何処へやら…また神経質なワイバーンがその雑踏に注意を向けてはソワソワとし出し、その雑踏も遂に近くまで来たのか元凶の声が聞こえ出すと、次にはその姿を現す!
__ゲギャギャギャ…ゲギャギャギャ!…
ドドドドド!!!…バッ!!…
「ッ!!…来た!!…
ゴブリン無謀突貫隊!!!」
__ッ!?…ゴギャアアアァァス!!…
…ゲギャギャギャギャアアァァァ!!!…
その大空洞にも当然横穴が存在し…ぴちぴちに釣られてその雑踏の元凶達が姿を現すと、マサツグは歓喜した様子で勝手に名前を付け始める。ステージギミックを利用したそのマサツグの援軍!…言うまでも無く洞窟ゴブリン達であり、大量に姿を現した洞窟ゴブリン達にワイバーンは威嚇し出すが、洞窟ゴブリン達はワイバーンの足元に転がっているピチピチ目掛けて一目散に突っ込んで行く。
__ダダダダダダダ!!!…ッ!?…ブワッサ!!…
「ッ!?…え?…ワイバーンが退いた!?…何で!?…」
目の前でワイバーンが威嚇しているにも関わらず洞窟ゴブリン達は真っ直ぐに向かって行き、その洞窟ゴブリン達にワイバーンが戸惑った反応を見せると慌てた様子で上空へと羽ばたき逃げ始める。まさかの光景にマサツグは声を挙げて驚いて居ると、ワイバーンもさすがに洞窟ゴブリン達を相手に完全に委縮している訳では無く、上空を旋回するよう飛行しては眼下に居る洞窟ゴブリン達を睨み付けていた。
__ブワッサ!!…ブワッサ!!…グゴゴゴゴ!!…
「……あっ!…でもしっかりお怒りの様だな…」
上空を飛んでいるワイバーンは自分の巣が荒らされていると言った様子で見るからにご立腹!…口から火の息が漏れ出るよう呼吸をしては眼下に居る洞窟ゴブリン達を見詰め、その様子を岩場の陰から見ているマサツグの目にも激怒している事が分かると、マサツグは見つからないようワイバーンの様子に目を向け続ける。そしてマサツグがワイバーンに目を向けている一方で洞窟ゴブリン達も自前の袋にぴちぴちを回収すると、漸く上空のワイバーンの存在に気が付いたのか…飛んでいるワイバーンを指差し何か騒ぎ出し始めると、あの通路での大乱闘と同じ様に笛を吹き始める。
__……ッ!?…グガギャ!!…グギャアァ!!…
ボウオォォォ~~~!…
「ッ!?……で、こっちも漸くワイバーンの存在に
気付いたみたいだな…
…てか、あんなデカいのが居たら普通イヤでも
目に入りそうなもんだが?……って、おい!!…」
__……スタコラサッサァ~…
…ドドドドドドドドド!!!…
大空洞内で笛の音が響き出し…相変わらず気の抜ける音色にマサツグが思わず肩を落としそうになっていると、今度は洞窟ゴブリン達の様子に目を向け始める。その際洞窟ゴブリン達が漸くワイバーンの存在に気付いた事に対しツッコミを入れるよう呟いて居ると、そのゴブリン達が物を回収したとばかりに現場を後に逃げ出しており、それと同時にあの笛の音で呼ばれて来たであろう他の洞窟ゴブリン達の足音が聞こえて来ると、次々横穴からそのゴブリン達が姿を現す!
__ドドドド!!!…ゲギャアァァ!!!
__ッ!?…ゴギャアァス!!!
__ッ!…ッ!?…ゲギャギャ!!…ゲギャアア!!!…
グゲギャアア!!!
ドンドン大空洞内にその笛の音で呼ばれた洞窟ゴブリン達が集まり出すと大部隊になる!…その数軽く見ただけでも300!…当然これだけの洞窟ゴブリンが集まるとワイバーンは鬱陶しく思ってか上空でゴブリン達に向かい吠えて見せ、それに反応するよう洞窟ゴブリン達も上空を見上げるとワイバーンを敵と認識したのか、一気に戦闘態勢に入り始める!その際目が悪いのかと疑いたくなる程に洞窟ゴブリン達はやる気を見せており、一種の戦争が始まろうとしているのを岩陰から見てはマサツグはその成り行きを見守っていた。
「……突発的に思い付いた作戦とは言え
まさかここまで大事になるとは!!…
思いの他効果が有ったと見るべきか?……」
__ゲギャアァァ!!!…ゴギャアァス!!!…
「……これ…
動画に撮ってUPしたら結構視聴率を稼げそうな…
…差し詰めタイトルは…そうだなぁ?…
ゴブリンズウォー -大空洞!!ワイバーンとの決戦-!!
って言った所かな?」
__ブワッサ!!…ブワッサ!!…
ズダアァン!!…ゴギャアァス!!!…
ただ目の前で起きている光景を見ては自分が引き起こした事に戸惑いを覚え…意外と効果が有った作戦に一人驚いて居ると、ゴブリン大部隊とワイバーンは互いに牽制し合う!その光景はまさにちょっとしたB級映画のワンシーンの様に見え、マサツグが動画で撮ったら意外と伸びるのでは?等とのん気に考えて居ると、ワイバーンは何故か上空から降りて来ては地面に降り立ち!…再度ゴブリン達に吠えて見せる!そしてそれを開戦の合図と受け取ったのかゴブリン達は武器を構え出し!…偶々大部隊の先頭に立って居た一体のゴブリンが威嚇するワイバーンに向かい棍棒を掲げてから突き付けると、号令なのか大声で叫び出す!
__ブン!!…グギャアアアア!!!…
ゲギャアア!!!…ドドドド!!!…
先頭のゴブリンが号令を出した途端!…他のゴブリン達はその号令に従うよう恐怖など微塵も感じていない様子で一直線にワイバーンへ向かって走り出し、突撃して行くゴブリンの集団を見送って居るとその後方ではマサツグと戦っている時には見られなかった、弓兵らしき弓矢を構えるゴブリンの姿が確認出来た。順々に矢を番いてはワイバーンに狙いを定め出し、あの袋持ちのゴブリンが三体居て三体とも笛を吹いたせいか、ゴブリンチャンプも三体と…如何やら三つの勢力が協力する形でワイバーンに挑み始めると、それぞれ自身の勢力の指揮を執り始める!
__ゲギャ!!…グゲガ!!…グギャガガアァァ!!!…
「ッ!…ちゃんと指揮執ってるし!!…
うわあぁ!…これ結構面白いかも!!…」
__ゲギャアア!!!…グゲギャアア!!!…
ゴブリンチャンプが指揮を執ると当然ゴブリン達もその指示に従って動き!…ちゃんと連携を考えて動くゴブリン達の光景を見たマサツグは興奮を覚えると、ゴブリン達に淡い期待を寄せる!もしかするとあのワイバーンを倒すのでは!?…そんな連携を取ってワイバーンを倒そうとするゴブリン達の様子を見てマサツグは面白がっているのだが、そんな妄想も無駄とばかりに直ぐに現実に引き戻される!…何故なら…
__ゴギャアァス!!!……ブォ!!…
ドガアァァン!!!…
「ッ!?…なッ!?…」
__ゲギャ!?……
第一陣…最初先頭に立って居たゴブリン達がワイバーンに向かって突撃しては攻撃を開始し、更に続くよう棍棒や剣を握ったゴブリン達が次々飛び掛かってワイバーンに攻撃を続けるのだが!…全く効いていないのか身震い一つで簡単にあしらわれてはそのまま一掃するよう尻尾で薙ぎ払われる!…その攻撃一つで先鋒のゴブリン達が一気に全滅する光景を目にすると、指揮を執っていたゴブリンチャンプだけで無くマサツグも驚いた表情を見せ、ただ戸惑いの言葉を漏らしその場で固まって居ると、今度は次鋒のゴブリン達が怯む事無く飛び出し始める!
__ゲギャアア!!!……ブォ!!…
ドガアァァン!!!…
「…ッ!!…何体か生き残った!?…」
__ゲギャアア!!!……ブンッ!!…
第二陣…全く学習していない様子で真っ向勝負を仕掛ける次鋒のゴブリン達であったが、さすがに全部が全部馬鹿では無いのか根性を見せる!またもやワイバーンが尻尾を振り回しながら攻撃を繰り出し、次鋒のゴブリン達がこの攻撃を喰らうや否や全滅かと思われたのだが…ジャンプをする等して回避すると奇跡的に五体だけが生き残り、果敢にもそのままワイバーンへと襲い掛かり出すとマサツグを驚かせる!…そしてマサツグが驚いた言葉を漏らしていると、そのままゴブリン達はワイバーンに飛び掛かって殴り掛かる!…しかし!…
__ゴスッ!……ゲギャ!?…
…スゥ~…シュゴオオォォォォ!!!…
ワイバーン本体に攻撃を仕掛けるもゴブリンの力で…棍棒でワイバーンの硬い鱗を通り越す様な攻撃が出る筈も無く…いとも簡単無情に弾かれ仰け反ったまま地面に落下すると、ワイバーンは待ってたとばかりに火を吹き始める!そして五体共そのワイバーンのファイアブレスに巻かれると、悲鳴を上げる事無く灰となって消えて行き…先に迎撃されたゴブリン達はと言うと宙を舞った後、そのまま地底湖に着水…或いは壁に叩き付けられるとそのままズルズルとずり落ちては中途半端で見るも無残なミンチになってしまう…当然グロ部分は補正が掛かり黒い影で隠されるのだが、やはりある程度は見え…マサツグがその様子を見て思わず驚いてしまった事に自分で戸惑って居ると、よくよくこの状況について考え直してしまう。
「……つい驚いてしまったけど…
よくよく考えれば当たり前の光景だよな?…
幾ら集まってもゴブリンはゴブリン…
確かに人間相手ならこの数は凶悪だけど…
元のスペックが強いモンスターからすれば
ただの烏合の衆でしかない…
やっぱ無理なんだろうか?…」
__ゴギャアァス!!!……ッ!!…
ゲギャアア!!!…グゲギャアア!!!…
一方的にゴブリン達がやられる様を見てマサツグがやはり無理だったかと呟いて居ると、その間ワイバーンはまるで勝ち誇った様子で吠えてはゴブリン達に威嚇をする。だがゴブリン達はまだ諦めていないのか逆にその威嚇を見るや否や武器を掲げては戦う意思を示し、ここで漸く弓兵のゴブリン達はワイバーンに狙いを定める事が出来たのかその場で叫ぶと、チャンプの号令の下一斉射撃をし始める!…だが!…
__ゲギャアア!バババシュン!!…
…シュウゥゥゥ…カカカカ!!…
「あぁ~…やっぱり……あれじゃなぁ~…」
__ゲギャギャ!?……グゴゴゴゴ……カランカラン…
弓兵ゴブリン達が放った矢は確かに真っ直ぐワイバーンに向かい飛んで行くのだが、一発としてワイバーンの体を傷つける事が出来ず…ただワイバーンの足元に木片をばら撒く結果に終わると、マサツグは予想出来ていたとばかりにポツリと呟く。何故ならゴブリン達の放つ矢の矢じりは石で出来ており、明らかにワイバーンの固い鱗を貫く事は役不足と言った様子を見せて居たからである。その際数本だけが鱗に引っ掛かる様にしてぶら下がっていると、ただ痒かったと言った様子でワイバーンが身震いし、無情にもカラカラと悲しい木製の音を立てると、ワイバーンは余裕の様子でゴブリン達に吠える。
__ゴギャアアアァァス!!!…
…ゲギャ!?…グゲギャギャ!?…
「うぅ~ん……やっぱりゴブリンではワイバーンに
下克上的な事は起きないのかねぇ?…」
さすがのゴブリン達も棍棒に剣…矢が効かないとなると慌て始める!…目の前でワイバーンが吠えて居る事に!…今まで相手にした事が無い化け物が居るとばかりに戸惑って居ると、もはやゴブリン達からは先程の様な威勢は感じられず…ただ臆病風に吹かれている悲しい様子しか見られなかった。もはやマサツグ自身本来の目的を忘れた様子でただゴブリン達の奮闘に夢中になっていると、チャンプもこの状況を不味いと思っているのか…それでもまだ逃げようとはせずただ狼狽え、次第にゴブリンの軍隊が劣勢になって行き如何攻撃するかで悩んでいる様子を見せて居ると、まさかのここで起死回生の一手!…奇跡がマサツグとゴブリン達の目の前で起きる!…
__ゲギャギャ…ギャッ!!…バチンッ!…
偶々撃ち損ねていたのかそれともわざとか?…一体の弓兵ゴブリンが遅れてワイバーンに向かい矢を放つと、その矢は弧を描くよう緩やかに…誰にも邪魔される事無く真っ直ぐにワイバーンへ向かって飛んで行く。しかしその矢は明らかに弱弱しく今にも墜ちそうな様子で飛んでいた…恐らくはまだ不慣れで有ろうゴブリンが撃ったからであり、その証拠に矢を撃った張本人はひたすらに手を振っては痛みに耐える様子を見せて居た。撃った際に弓が跳ねたのだろう手をぶつけたと言った様子で手を振るって居ると、その間にも矢はワイバーンに向かい飛んで行き…その飛んで行く矢の様子にマサツグも気が付いた反応を見せると、矢を目で追ってはその威力に駄目だと呟く。しかしこの矢が奇跡を呼ぶ!…
「ッ!…今矢を撃った?…でも…
…あぁ~…ありゃ駄目だな…
今あんな風に飛んでいるのが不思議な位…」
__ヒュウウゥゥ…ドシュッ!!…
…ッ!?…ゴギャアアアァァァァス!!!…
「ッ!?…えぇ!?…嘘おおおぉ~!?…」
マサツグが目で矢を追って居るとその矢の軌道は如何やら偶然にも…ワイバーンの頭に向かって飛んでいる事に気が付く。更にその着弾予想地点は目!…ユラユラと飛んでいる事にマサツグは当たる訳が無いと言った様子でその矢を見詰めて居るのだが、矢はマサツグの予想を大きく外すとそのまま吸い込まれるようワイバーンの右目にピンポイントに突き刺さり、ワイバーンが苦痛の叫びを上げ出て藻掻き出すとそのワイバーンが苦しむ姿にゴブリン達はビックリする!…そしてマサツグも釣られて驚いた反応を見せると隠れている事を忘れた様子で声を出し、とにかく何が如何なってこうなったのかと全員が驚いて居ると、これを好機と思ったのかチャンプ達の中で士気が上がる!
__……ッ!?…ゲギャ!!…グゲガ!!…
グギャガガアァァ!!!…
「ッ!?…今度は何だ!?…何をする気なんだ!?…」
__グギャ、グギャ、グガアアアァァァ!!!…
まかさの偶然の一矢でワイバーンが怯み…それを機にチャンプ達が息を吹き返すと、何やらゴブリン達に号令を出し始める!そんな様子を岩場の陰から諸見え状態でマサツグが見詰めて居ると、まるで鼓舞するよう声を掛けているのかその号令を聞いたゴブリン達はやる気を見せ始め!…またワイバーンに向かって行く姿勢を見せると、武器を手に構え出す!そして肝心のワイバーンはと言うと如何やら上手い具合に矢が刺さったのか完全に右目は失明しており、血の涙を流しては激しく怒っている様子でゴブリン達に吠えていた。
__ゴギャアアアァァァァァァス!!!!…
「ッ~~~~!!!!………だあぁ!?…
大空洞内だからか?…
あいつが吠えると本当に耳を持って行かれそうになる…
…てか俺隠れてねぇし!!…あぶな!…」
ワイバーンが激昂状態で吠えるとその咆哮は大空洞内で反響する様に聞こえ、マサツグがまるで某一狩り行こうぜのプレイヤーキャラの様に耳を押さえてはその咆哮に耐えていると、TPが著しく消費される!…耳を押さえて居るにも関わらずキンキンと響くその咆哮にマサツグは苦痛の表情を見せ、徐々に咆哮が落ち着き漸く耳を放せる状態になると、息を止めていたかの様に言葉を漏らす!そして場所が悪いのかと思いつつ自身の耳が大丈夫かどうかを確かめていると、ここで漸く自分が隠れて居ない事に気が付き…幸いな事にワイバーンもゴブリン達も目の前の敵にしか注意が向いていないのか、マサツグに気が付いた様子を見せないで居ると、第二ラウンドが始まろうとして居た。
__グギャ!グギャ!グガアアアァァァ!!!
__…ブワッサ!!…ブワッサ!!…グゴゴゴゴ!!…
__ゲギャ!?…
もはやイケイケ状態のゴブリン達が吠えてはワイバーンが怒って居ようが居よまいが、倒す気満々で再度突撃を敢行し出すと果敢にも武器を片手に飛び掛かり始める!もはや何も怖くない!…そんなフラグ臭すら感じるゴブリン達の様子を尻目に、ワイバーンもゴブリン達を迎え撃つよう徐に自身の翼を広げて真っ直ぐに立ち上がり出すと、息を深く吸い始める!…そのワイバーンの立ち姿は小さいサイズのワイバーンとは言え圧巻の様子を見せており、今まさに襲い掛かろうとして居たゴブリン達が思わず足を止め戸惑って居ると、次の瞬間!…
__…シュゴアアアアアァァァァァ!!!!…
__ゲギャ!?……
そのワイバーンの立ち姿はまるで死を暗示していたのか、それはまさに一瞬の出来事であった…ワイバーンが息を吸い込み終えゴブリン達に向かいブレスを吐くと、再起したと思われたゴブリン達がそのワイバーンのブレスに包まれてはその姿を隠し…灰となって消えたのである。更にそのブレスも今までマサツグに向かって吐いて来たモノとは違い高温かつ大火力のブレスで、ワイバーンがブレスを吐き続けながらゴブリン達を灰燼に変えて行っていると、更に驚く行動に出始める!
__シュゴアアアァァ!!!…スッ…
「ッ!?…え?…まさか!…」
__ダァン!!…ダァン!!…シュゴアアアァァ!!!…
このワイバーンは驚く事にブレスを吐き出しながらゴブリン達の方へと歩き出したのである!…最初の一歩こそ踏み出す際はやはりブレスを吐いているせいか、バランスが悪いと言った様子を見せるのだが…その一歩踏み出す事に成功するとそこからは流れを掴む様に歩き出す!その歩き出した事にマサツグが驚き声を漏らして居ると、まるでその光景は首一本だけのキングギ○ラと言った様子でゴブリン達を蹂躙し!…ゴブリン達はその迫って来る炎の息から逃げるかどうかで戸惑って居ると、そのまま何も出来ずに炎の息に包まれる!…ただ音も無く…最後の叫びも無いまま炎に巻かれては骨だけが残り、その光景にマサツグはこの戦いの終わりを見つけるとただただ岩陰からその様子を見ていた。
「ッ!?……あぁ~あ…こりゃ終わったな…
まぁ…善戦?…したと言えば…どうなんだろうか?…
まぁ確かにある程度スタミナは奪っただろうし…
良しとしますかね?…」
そこから見える光景はただの地獄絵図!…ワイバーンが火を吹きながら歩いてはただただゴブリン達を焼くと言った様子が見て取れ…そのワイバーンの攻撃にゴブリン達は成す術無く姿を消して行くのであった。だがゴブリン達も最後までやられっぱなしでは終われないとばかりに、数匹のゴブリンが再起を賭けてワイバーンの後ろに回り込むと奇襲を掛けようとするのだが…
__ゲギャ!…グゲガ!…ゲギャアァ!!……
__ブォ!!…ドガアァァン!!!……ぽちゃんッ!…
…ぷかぁ~…
飛び掛かった所をワイバーンの尻尾にはたかれては最初の時同様その姿を地底湖に浮かべ…そのまま地底湖に沈んで行くと、ドロップアイテムとなって浮いて来ては敢え無く玉砕に終わる。そうしてゴブリン達の頭数が少なくなって行くそんな光景を目にしつつ、マサツグもハッと元の目的を思い出すと漸く行動に出る。
「……ッ!…って!?…
マジマジ見てたけどそんな時間ないんだって!!…
そろそろ動き出さないと!…」
__バッ!!…バッ!!…
「…よし!…このまま……これで何とか近づける!…
後はタイミングさえ何とかすれば!!……」
今度こそワイバーンの後ろを取る為、足元にも気を付けながら岩場から岩場へ移動し始めると、そのお怒り状態のワイバーンとの距離を縮める。その際足音にも細心の注意を払っては勿論ワイバーンとゴブリン達にも見つからないよう素早く移動し、何とかワイバーンの後ろを取る事に成功すると、岩陰からまたもやワイバーンとゴブリン達の様子を探る!…すると如何だろう…最初大部隊となっていたゴブリン達は今では小隊も組めない程に数を減らしており、チャンプ達も恐怖しているのかそれとも怒っているのか…ブルブルと肩を震えながら散って行った仲間の骸を見詰めては佇んでいた。
__グギャ!…グゲガ!…ゲギャアァ!!……
「……終わったな…」
__ッ~~~~!!!!…グガアアアァァァ!!!……
もはや周りに居たゴブリン達も戦意喪失しているのかチャンプを置いて逃げ出す始末…しかしそれでもワイバーンの怒りは全然収まって居らず、逃げようとするゴブリン達の方に振り向くと追い掛ける様に焼いてしまう!…そんな様子にマサツグもただ見守る事しか出来ないと言った様子で見詰めては呟き、その光景を見させられたチャンプはピクっと反応した様子を見せると、自分達の中で覚悟を決めたのか!…突如として吠える様に叫ぶと一直線にワイバーンへ向かって走り出す!…
__ッ!!……グガアアアァァァ!!!…
「ッ!!…行った!?」
__ッ!?…シュゴアアアアアァァァァァ!!!!……
チャンプ達三体がワイバーンに対し決死の突貫を開始すると、その様子を見たマサツグはてっきり逃げるものだと思って居た様子で戸惑いの言葉を漏らし…ただワイバーンに向かい走って行くチャンプ達の姿を見ていると、チャンプ達は自身の持っている武器を掲げては吠える様に襲い掛かろうとして居た!マサツグが戦った時は拳タイプのチャンプゴブリンだったが、三体はそれぞれ…剣・槍・双剣と違う武器を手に持っており、もはや何も考えずに一切後ろを振り返る事無くワイバーンに向かって行くと、ワイバーンもそのチャンプ達に反応しては前進してブレスを向ける!するとそのブレスは見事にチャンプ達を飲み込んではものの数分で灰と帰し、頭領が消えた事で更にゴブリン達が慌て出すとバラバラに逃げ出して行く…
__ッ!?…ゲギャ!?…ゲギャガ!?…
ゲギャアアアァァァ!!!…
__ゴギャアアアァァァァァァス!!!!…
そうして自分の巣を取り戻したワイバーンはブレスを吐き終え、勝ち誇った様子で吠え出すとまたもや大空洞内にその咆哮を響き渡らせる!…その後ろにマサツグが居る事も知らず…ただ天を仰ぐ様に吠えているとマサツグが岩場から姿を現し、耳を押さえながら改めて辺りを見渡すと、その散々たる光景に驚きと戸惑いを隠せないでいた。そこに広がっていたのは最初来た時とは違った光景…自分がまるで地獄に居る様な錯覚を覚える。辺りからは焼け焦げた匂いと死屍累々のゴブリン達!…更にその姿も良く見ないとゴブリンだと分からないレベルに損傷して居たり、骨だけの姿であったりと…まさに蹂躙!…ここが地獄!とそう言った言葉が適切!…相応しい言葉であると思える位に酷い惨状であった。
「ッ~~~!!…本当にうるさいな…
…しかし…よくもまぁこんな状態を…」
__チャキッ!…スゥ…
「この戦いの原因を撒いたのは俺だけど、何と言うか……
後味悪いから俺がきっちりこのトカゲを始末する!!」
__ッ!?………ッ!!…
耳を押さえつつそんな惨状を目にしたマサツグが呟いて居ると徐々にワイバーンの咆哮が収まり始め、耳を放せる位にまで収まりマサツグがワイバーンと対峙する為…自身の大剣を抜き始めると、ワイバーンはその鍔鳴りに気が付いた様子で首だけマサツグの方に振り返る。そしてマサツグの姿を確認するとまだ戦いは終わってないと理解したのか、逃げ惑うゴブリン事を薙ぎ払おうと尻尾を振り被り始めると、マサツグも大剣を構えてワイバーンに向かって行くのであった。




