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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
106/606

-第二章八節 楽しい鉱石掘りと謎の魚とステージギミック-



誰の物か分からない鶴嘴を手にマサツグが改めて鉱床の前に立つと、大きく振り被って鶴嘴を振り下ろす!…のだがその前に少しばかし説明を…このゲームにおいて他人の物を使用する際、その所持者から予め許可を取っておかないとそのアイテムを使う事が出来ない仕様になっている。例えばポーション…ポーションは基本的に譲渡と言った形になるのであまり引っかかる事は無いのだが、もしこれが渡されたとかでは無い…カバンから盗った物だとすると、そのポーションの封を切る時はその封が滅茶苦茶硬かったり…無理やり開けれたとしても中身を零して悲惨な事になったりと色々デバフ(負荷)が付いて来る!…さて、今回はそのポーションが鶴嘴に変わった訳なのだが……結果はと言うと?…


__ガイィン!!…ガイィン!!…ゴロゴロゴロゴロ…


「ッ!…おっ!…

大剣で掘った時よりゴロゴロ掘れる!!…

うっし!…気合!…入れて!…逝きます!!」


__ガイィン!!!…ガイィン!!!…

ゴロゴロゴロゴロ…


幸いな事に如何やらマサツグの拾った鶴嘴は廃棄された物らしく、これと言ったデバフは無いものであった。因みに鶴嘴のデバフはと言うと石ころしか取れない…更に鶴嘴自体が壊れ易いと言ったデバフが掛かっているらしい。そしてマサツグが大剣で掘るよりも多く掘れる事に感激して気合を入れて掘り始め、鉱床を叩きに叩いた結果…最初の石ころとは明らかに見た目が違うアイテムがドロップされてマサツグの足元に転がり出し、それを見てマサツグが更にやる気を見せると言った好循環が生まれるのであった。ガンガンと岩が砕ける音が洞窟内で響き渡るとマサツグの足元にアイテムが量産され、遂にその鉱床自体が消滅し最後のアイテムがドロップされると、マサツグは一度手を止めてそのドロップされたアイテムを手に取り成功したかどうかを確かめる。


「…ふぅ~!!…いい汗掻いたぁ!…

で今度は如何なんだ?…

よっと!…鑑定(アプレェィザァル)!!」


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


       マラカイト鉱石


        レア度 D


マラカイト鋼鉄の原料であり、武具作成や強化に


用いられる鉱石。鉄製の武具より若干ながらの


強固さを誇り、今だ現文明を支える資源として


大いに用いられ、冒険者の武器や防具…日常生活に


おいても色々な工具や農機具等…料理器具と幅広く


使われており、ちょっと高級な鉱石として扱われて


いる。


 -----------------------------------------------------------------------


「ッ!…よっし!今度こそ鉱石GET!!…

…はぁ~…誰かは知らないけどありがてぇ~!…」


石ころの時と同様マサツグがドロップアイテムを拾うと鑑定(アプレェィザァル)を発動し、そのアイテムの正体を確かめると目の前に鉱石の詳細説明が表示される。アイテム名は[マラカイト鉱石]…某一狩り行こうぜのゲームでは一文字違うが序盤では非常にお世話になる代表的な鉱石で、深みの有る青い色をしていて意外と楕円状に丸まってゴロッとしている。そのままでも鈍器として扱えそうな位に硬い。初めて手に入れた鉱石にマサツグが感激しつつ…鶴嘴を置いて行った誰かに感謝して思わず言葉を漏らす。立ち上がり再度次の鉱床へと向かい始める。この時のマサツグはもはや採掘屋…気分上々で鼻歌を歌いながら採掘を楽しんでいるとマラカイト鉱石の他にも鉄鉱石や宝石の原石等が掘れる。


__ガイィン!!…ガイィン!!…ゴロゴロゴロゴロ…


「おっ!…何だこれ!?…宝石!?…

それもこれって…鑑定(アプレェィザァル)!!」


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


      深蒼のルビーの原石


        レア度 B


少し変わり種の青いルビー…サファイアと成分が


一緒の事から出来ても不思議では無いのだが、


そのサファイアと見間違う程の深い蒼さに誰もが


騙されては逆に人気を呼び、宝石マニアの間では


高値で取引される高級な宝石として界隈では有名。


主に装飾品等に加工しては魔力を宿され、護法の


装飾品として世に出されると貴族達は争ってでも


手に入れたがる逸品になるとか…


 -----------------------------------------------------------------------


「あれ?…これルビー?なのか?…

ほえぇ~…てか物騒な……っで、分かった事は…

これ…鉱脈毎に違う鉱石が掘れるのか……

ゲームだから他の鉱石も一緒に掘れると

思っていたけど……こう言うとこ芸が細かいな……」


掘って出て来た深蒼のルビーを手に鑑定(アプレェィザァル)をし、サファイアじゃない詳細説明が出て来た事にマサツグが驚きつつ…物騒な文面を見て更に戸惑って居ると、ある事に気が付く。それは鉱床毎に色が違い掘れる鉱石も違うと言う事…それを確認するようマサツグが改めて辺りを見渡すとやはり鉱床毎に色が違う事を目にし、今まで掘って来た鉱床の色を思い出すよう掘れた物を確認すると、その種別も判断が出来始める。例えば青い鉱床ならマラカイト鉱石が出てき易く、赤茶鉱床なら鉄鉱石…と言った具合にその色の鉱床毎に取れ易い物が有るのだが当然違う場合も有り、掘った鉱床が青くても鉄鉱石や石ころと言った…運が良ければダマスカス鉱石と言った面白い物まで取れ始める。


__ガイィン!!…ガイィン!!…ゴロゴロゴロゴロ…


「…ッ!…な、何!?…

この毒々しいと言うか何と言うか?…

木目模様の鉱石は!?……とにかく…

鑑定(アプレェィザァル)!!」


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


        ダマスカス鉱石


         レア度 B


ダマスカス鋼合金の原料であり、武具作成や強化に


用いられる鉱石。マラカイト製の武具より数段の


頑丈さを誇り、中堅冒険者達が好んで着ける装備は


大体これ!と言われる程の耐久性を有している。


鍛冶師でもこれを加工出来て漸く一人前と言われる


程扱いが難しく、鉱石だけでも鍛冶屋に売れば


そこそこの値段で買い取って貰えるとこれも人気の


資源である。因みに鉱石自体に毒性は無いのだが、


これで作った武器は異様に毒のノリが良く…


一度毒薬を塗って使えば半年は持つと言われる程、


毒との相性が良いとされている!…


 -----------------------------------------------------------------------


「ダ!…ダマスカス!?…

こんなものまで取れるのか!?…

それにやっぱり説明文が…

まあいいか…採掘採掘!!…」


ダマスカス鉱石を手に持って…例によって見た事無い鉱石を拾っては鑑定(アプレェィザァル)を発動し…そして目の前に何度目となるか鉱石の詳細説明が出て来ると、その説明文の最後の文章に何やら闇を感じる!…まるでこれで暗器を作れ!…と言っている様な…そんな事に一々ツッコミを入れては鉱石を回収し、安全第一を心掛け採掘を楽しんでいると、時間も忘れた様子で掘りまくり続け!…


そうして採掘プレイ開始から時間数十分…


__ガコンッ!…


「……ふぃ~!…いや本当に良い汗かいたなぁ~!…

とりあえず満足行くまで掘ってやったぜ!…

お陰でカバンの中がゴロゴロと………ッ!?…

しまった!…ついやっちまった!…」


マサツグが辺りを粗方掘り尽くした所で鶴嘴を置き、掘った事に対して良い汗を掻いたと汗を拭っていると、辺りは整備でもしたのかと言わんばかりに綺麗になっていた。鉱床は勿論辺りの岩場等…時間が経てば直ぐ元通りになると言うのに、綺麗に整備してそれを眺めてやり切った感を滲ませていた。そうして整備をする様に採掘したお陰か、アイテムポーチ内は鉱石や石ころでごった返しており、それを整頓しようかしよまいかとポーチの中身を見ながら考えていると、ふと本来の目的を思い出す。


「…不味い不味い不味いぞ!!…

こんな所で満足してる場合じゃない!!…

奥に行かないといけないのに!!…

もし遅いと思ってシロがここまで来たら!…」


__ご主人様ぁ~!……ッ!?…


「お留守番をさせた意味が無くなっちまう!!…

急いで最深部に向かわなくては!!!…」


__ガコンッ!!…バッ!!…


本来の目的…それは最深部の鉱石を掘る事!…それを思い出したマサツグはシロを置いて来た事も同時に思い出し、このままだとシロがやって来るのでは!?と色々危惧し出すと、慌てた様子で鶴嘴を回収して自身の肩に掛けて駆け出して行く!目指すは勿論洞窟の最深部!…更に洞窟の奥へと向かって行くその道中、道幅が徐々に狭くなってくると同時に地底湖でも有るのか、水の滴る音が聞こえて来る…しかしそんな事など如何でも良いマサツグはただひたすらに最深部に向かい走り続け、何度も転けそうになりつつも有る場所までやって来ると、自ずと足を止めてしまう。何故なら…


__ぴちょ~ん……ぴちょ~ん……ザバァ!!…


「ッ!?……はぁ!…はぁ!……え?…」


__ビチビチビチビチビチビチビチビチ!!!…


「な!…はぁ!…何…はぁ!…これ?…」


思わず足を止めてしまったその光景とは!…何の事無い地底湖には魚が泳いでいたのか、その魚が突如としてマサツグの前に飛び出すよう姿を現すと、目の前の道に落下してビチビチと跳ね出したのである。間抜けと言うか何と言うか…ただ目の前の魚は某黄色いネズミが人気のゲームに出て来る、オレンジ色の鯉の様にビチビチと必死に跳ねてはマサツグの進路を妨害し、マサツグもマサツグでその突然の出来事に驚いては息を切らしながら跳ねる魚に目を向けていた…一体何なんだこれは!?…思わず足を止めてしまった事に自身でも吃驚していると、マサツグは戸惑いながらもその魚に近付き、その魚の正体を確かめようとする。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「はぁ!…はぁ!…い、池から飛び出して来たのか?…

それ以外に考えられないけど…

まあ、別に害も無さそうだし…構わなくても…」


__スッ…


息を切らしながらも跳ねる魚に近付き、何か有るのかと警戒しながら観察するが、やはりその魚はただ跳ねるだけでこれと言って何も無い…そんな様子にマサツグは何処から来たのかと一瞬悩み始めるのだが、直ぐに近くにある地底湖だと気が付き…害も何も無さそうなその魚を無視して先を急ごうと、横を通り向けようとした瞬間!…突如としてバトルフィールドが形成されエンカウントが始まる!


__ブウウゥゥン!!…


「ッ!?…え?…ちょ!?…ハァ!?…

バ、バトルフィールド!?…何で!?…

モンスターも居ないのに何でバトル!……ッ!?…

まさか!!…鑑定(アプレェィザァル)!!」


当然突如としてエンカウントした事に戸惑うマサツグは辺りを見渡し、その敵の姿を確認しようとするが何処にも姿は無く…敵影は居ないのにバトルフィールドが生成された事にバグか?と更に戸惑いを覚えるのだが、ハッ!と驚きつつも視線はある物に向いてはある事に気が付く。それは魚の存在であった!…ただビチビチ跳ねてるだけの魚にマサツグはまさかと思いつつも、その魚に向かい鑑定(アプレェィザァル)を発動すると、キッチリ魚はモンスターと表示される!


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


「ぴちぴち」  


 Lv.30


HP 5600 ATK 250  DEF 100


     MATK 0   MDEF 0



 SKILL


 水鉄砲 Lv.7 水泳 Lv.MAX 食用 Lv.MAX

 -----------------------------------------------------------------------


「ッ!?…ちょ!?…マジか!?…

この道の真ん中でただ跳ねている魚がモンスター!?…

しかも無駄にレベルが高ぇ!!…」


今目の前で跳ねてる魚がまさかの()()()()()と表示され、マサツグが戸惑って居る間も魚は跳ね続ける!更にその[ぴちぴち]と言う名の魚は無駄にレベルが高く、そのステータスの高さにもマサツグは驚きツッコミを入れるのだが、本当にそれ以外ないのかただ攻撃等も無くマサツグの目の前で跳ね続け…この魚よりも自分のレベルの方が低い事に気が付くと、マサツグは思わず落胆する。ホルンズヒルダンジョン「龍の血脈・序」半ばに差し掛かる頃…サマーオーシャン連合国初めての戦闘が道の真ん中で跳ねる魚…マサツグはただただ困惑するのであった。そして段々マサツグとしても不憫に思えて来たのか?…それとも先を急ごうと考えたのか?…武器が抜けない以上鶴嘴で倒すしか無いと考えると、その跳ねるぴちぴちに対して鶴嘴を構え始める。


__…スチャッ!…


「と、とりあえず倒すしかないよな?…

…悪く思うなよ!!」


__フォン!!…ドシュ!!…ビチィ!!………


「……ふぅ…あっさり倒せたなぁ~…

何と言うか味気無い…」


マサツグは戸惑いながらも構えた鶴嘴をぴちぴちの頭部に向かい真っ直ぐ振り下ろすと、ぴちぴちの頭を貫いて一撃で絶命させる。その際陸でずっと跳ねていたせいか既にHPを徐々に消耗していた様子で、それも相まってか余計にマサツグの一撃を喰らったぴちぴちはピタッと時間が止まった様に身を硬直させた後、一跳ねしてはそのまま動かなくなるのだが…あまりに手応えの無い戦いにマサツグが思わず一言呟いて居ると、ある異変に気が付く!…


「……ん?…あれ?……何で?…」


__ブウウゥゥン!!…


「何でバトルフィールドが消えない!?…

…てか、まだ魚が残ってる!?…」


マサツグがぴちぴちを倒して安堵する一方で、ふと辺りを見渡すと今だバトルフィールドが解除されて居ない事に気が付く。先程のぴちぴち以外に敵影は無く、完全にマサツグだけがバトルフィールドの取り残されたまま放置され、更に倒した筈のぴちぴちもまだ原形を留めたままそこに残っている事に気が付くと、いよいよマサツグは嫌な予感を感じ始める!…まさか本当にバグ!?…ぴちぴちも一向にアイテム化…或いはドロップアイテムを落とさず…いつもの様に光になって消える様子も無い!…マサツグは恐る恐るぴちぴちに近付いては状態を確認するも、やはりピクリとも動かない倒された状態でただそこに残っていた。


__コッ……コッ……コッ……コッ……


「あ…鑑定(アプレェィザァル)?…」


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


「ぴちぴち」  


 Lv.30


HP 0/5600 ATK 250  DEF 100


      MATK 0   MDEF 0



 SKILL


 水鉄砲 Lv.7 水泳 Lv.MAX 食用 Lv.MAX

 -----------------------------------------------------------------------


「や…やっぱ死んでるよな?……何で?…」


ただただ不安を覚えては辺りを見渡し解除されないバトルフィールドを見詰め、何で解除されないのか?…とマサツグは困惑し始める。もしこれがバグだったら如何助けて貰えばいい!?…そんな心配ばかりを考えマサツグは悩んで居たのだが、この時マサツグはこれがバグでは無くれっきとした()()()()である事を!…そしてあの魚の本当の存在理由を!…知る由も無いのであった!…そしてその戦闘継続が続いている理由は突如として現れる!


__ババッ!!…


「ッ!?…うおあぁ!?…

な、何か足元通った!?……え?…」


__グギャガガァァ!!…ゴソゴソ…


「……え?…ゴブ…リン?…

一体何処から湧いて!?…」


突如としてマサツグの足元を走る謎の影!…それに反応してマサツグが驚きよろめくが何とか耐えて見せ、その正体を確かめるとそこにはゴブリンの姿が!…マルコの護衛時に居たゴブリンのデクスターとは違って小汚く、そのゴブリンは腰みのと帽子だけで身長も低く…その手には使い込まれた麻袋を持っていた。先程マサツグが倒したぴちぴちに反応しているのか、イソイソとその倒したぴちぴちを持っていた袋に入れ始めると、その様子にマサツグは戸惑い…一体何処から出て来たのか?…今までの道中巣穴らしき物が無かった事を思い出しつつ戸惑って居ると、その袋を持っているゴブリンはマサツグの方へ振り向くなり突如として警戒し始める。


__……クルリッ…

グギャガガァァ!!…グギャギャギャ…


「えぇ!?…今度は何!?…

面倒事は!…て、まさか!!…」


デクスターとは違い人の言葉を話す事が出来ないのかただ威嚇する様に喚き、マサツグがそのゴブリンの様子に戸惑い何が何だかと棒立ちしていると、そのゴブリンは徐に自身の腰みのを漁る様に何かを探し始める。まるで何か武器でも探している様な…そんな素振りを見せ出し、その様子にマサツグは警戒をすると同時に更に戸惑いを覚える中、ゴブリンは腰みのから奇妙な角笛らしき物を取り出すと、マサツグを目の前に角笛を吹き出す。


__スッ…ボウオォォォォォォ~~~~!…


「ッ!?…何この気の抜ける様な音は!?…」


そしてその音色はと言うと何とも気の抜ける様な…辛うじて音がなっている?…と言った空気が駄々洩れの感じの音色で、マサツグが思わず〇喜劇ばりのズッコケを見せようとした瞬間!…何処からともなく異音が聞こえ始める。


__ドドドドドド!…


「ッ!?…な!…何だ!?…この足音みたいなの!?…

それにやっぱバトルフィールド解除されて無いし!!…

おかわりってか!?……と、とにかく!…」


__ドドドドドド!!!…


「……ッ!…って、さっきのゴブリンは!?…

…居ない?………ッ!?…

ってかまさかと思うけどあの魚の本当の理由って!?…」


その異音は洞窟内に反響する様…更に地面を軽く揺らす様に響き、その異音がとにかく足音である事をマサツグは理解すると、慌てた様子で鶴嘴を一旦近くの壁に立て掛ける!…無くしてもいけないし壊してもいけない!…そう思ってマサツグは鶴嘴を壁に立て掛けた後、鶴嘴から離れるよういつでも動ける様に身構え出すと、辺りを警戒するのだが…気が付くとそこに居た筈の袋持ちのゴブリンはいつの間にか姿を隠し、バトルフィールドにはまたマサツグだけが取り残される。その間足音は一向に止む気配を見せない所か徐々に大きくなり出し、マサツグがここである事を思い出すと漸くあのぴちぴちの本当の存在理由について理解をし始める!…そう…あのぴちぴちはただの噛ませ犬…ただのステージギミックなのである!…ステージギミックと言うのは簡単に言うと[罠]である。誰も居なさそうな古城でシャンデリアが降って来たり、火山を歩けば間欠泉で大ダメージ!…そう言った物をステージギミックと言うのだが、この「龍の血脈」ではあのぴちぴちがスイッチだったらしく…マサツグはまんまと引っ掛かった訳である!そして…


__ドドドドドド!!!……

グギャガガ!!…グギャガガガ!!!!…


「ッ!?…出て来た!?…」


__グギャガガ!!…グギャガガガ!!!!…

ワラワラワラワラ…


「ッ!?…しかも一体全体何体出てくんだよ!?」


この「龍の血脈」でのステージギミックは如何やらこのゴブリン達らしく、地鳴りと共に洞窟の横穴や先の道…マサツグが通って来た道等からゴブリン達がゾロゾロと出て来るとマサツグを包囲し始める!…ゴブリン達は洞窟で生活するよう進化したのか身長が低く見た所110cm位しかなく、当然の事ながらその場はオスだけでメスの姿は何処にも無い!…一匹を皮切りに…何処にこれだけの数が隠れていたのか、マサツグが辺りを警戒し身構えてはその数に驚いて居ると、更にゾロゾロと数は増えて行き…気が付けばまるで縄張りに一人取り残されたよう円形状に取り囲まれ、身動きが取り辛くなってしまう。


「…おいおい…勘弁してくれよ

…あの紹介文てそう言う事だったのかよ!…

俺はてっきりモンスターとして!…

…って、モンスターか…とにかく如何するよ?…

如何やってこの状況を切り抜けようか?…」


__グギャガアァ!!!…グギャガアァ!!!!…


「……チッ!…あぁ~…

アイ キャン ノット スピーク ゴブリン語?…

OK?…」


完全にゴブリン達に取り囲まれてからあのダンジョン説明に書かれてあった本当の注意書きの意味に気が付き、マサツグが一人囲まれた状態の中落胆しつつ如何切り向けるかで悩み始める。逃げようにもバリアフェンスまでの道はゴブリン達によって防がれて触れる事すら困難!…戦うにしてもこの数一人で捌き切れるか不安の残る所!…悩んでいる間にもゴブリン達は石を削って作ったであろう剣や棍棒を手に身構えており、今だマサツグに対して威嚇するよう喚いては考えるマサツグの注意力を散らしに散らす!…そして余りに喚くゴブリン達に対してマサツグもイラっと来たのか、舌打ちをすると思いっきりジャパニーズ混じりの英語でゴブリン達を挑発し、それに反応するようゴブリン達が武器を掲げ始めると一触即発の状態になる!


__グギャガアアアアアアァァァァ!!!!…


「やっぱこうなりますよね!!…

俺ももう腹括ったわ!!…

行くぞこの野郎!!!」


__グギャガアアアアアアァァァァ!!!!…


「オオオオオオオオオオオ!!!!」


如何足掻いても戦闘は避けられない!…勿論の事ながらバトルエリアは消えて居らず、ゴブリン達も当たり前ながら健在!…マサツグもやるしか無いと言った様子で覚悟を決めて言葉を漏らし、改めて身構えるとそれを敵対行為と見なしたのか…ゴブリン達がマサツグに向かい襲い掛かり始めると、マサツグもゴブリンに向かい走り出す!狭い洞窟の通路で一対多勢の激しい戦闘が今まさに始められるのであった。



……因みにこの頃素直?…

にお留守番を聞いたシロはと言うと…



「……はぁ…ご主人様…大丈夫かなぁ?…

やっぱり付いて行った方が?…」


__カチャカチャッ…カチャカチャッ…キンッ!…


「ッ!…あっ!…解除出来たのです!…おじさん!!」


「ッ!?…何!?…もうか!?…

…ふむ…ではこれは如何じゃろう?…」



意外と面倒見の良いモジャ男に知恵の輪を渡されて興味を持ったのか、マサツグの事を心配しながらも大人しく知恵の輪を解いてはマサツグの帰りを待っていた。そして今解除したのは三個目…マサツグが更に地下に行ってからゲーム時間にして約二時間と言った所…モジャ男は解除出来た事とそのスピードに驚いては面白がる様子でシロに次の知恵の輪を与え、シロは笑顔で受け取るなりその知恵の輪を何の疑問も無く解き始める。そして次の知恵の輪に向かっているシロを尻目に、モジャ男は解かれた知恵の輪を拾ってはシロが如何解いたのかを確かめ出すと、更に驚いた表情を見せる!


__……カチャッ…カチャッ…


{…ッ!?…こ、これは!!…ふむ……

このフェンリルの子は末恐ろしいな!…

ワシらドワーフの知恵の輪とは…言わば技術の結晶!!…

解く力に組む力!…

これら両方を考える力を付ける事によっていかに物の

構造を理解・想像・学習するか!…

それらを鍛えるには打って付けの玩具なのじゃが…

こうもアッサリ解かれるとは…」


「うぅ~ん……ご主人様ぁ~…」


シロが解いた知恵の輪を拾いその解いた様子を確認すると、力任せにやったと言った痕跡は何処にも無く…ちゃんと順序通りに解いた様子が見て取れてモジャ男が驚く!何故ならシロはマサツグの事を考えながら知恵の輪を解いている様子で、そんな上の空で考えながら解けるチャチな知恵の輪では無かったからである!そして自身の声には出さなくとも心の中で自身に言い聞かせるよう…モジャ男はある事を語り出すとその手に持っている解かれた知恵の輪を見詰め続けていた。


{そしてこの知恵の輪にはもう一つの意味が有る!…

それは相手の技量を図る為の目安としての道具!…

相手が作った知恵の輪を解く事によって自身の構想力の

高さを示すと同時に、自身の知恵の輪を相手に

解かせる事によって難解さ…自身の技術の高さを

相手に見せる物となっておる…

じゃからワシらドワーフはより難解に!…より複雑に!…

意地悪に作る事によってその技量の高さを嫌!と言う程

相手に分からせる物なのじゃが…

…ワシが作った知恵の輪をこうもアッサリ…

それも無理やり解いたとかでは無くちゃんと順序追って

解いておる!…それもあの様に…}


「ご主人様ぁ~…ご主人様ぁ~…」


__カチャカチャッ…


{…上の空で解かれるとは!!…

…燃えて来るでは無いか!!!…}


知恵の輪は言わばドワーフ達職人のプライドが詰まった代物!…そう言う風に心の中で呟いてシロの方を振り向くと、シロは今だマサツグの事を考えている様子で…更にまた順調にモジャ男が作った知恵の輪を解いて行っている様子からモジャ男の心に何か火が点き始めると、一人職人としてのやる気を漲らせる!…そんな事など知らないシロはただマサツグの事を心配し…そのシロが心配しているマサツグはと言うと、今まさにゴブリン達と死に物狂いの大乱闘を始めようとしているのであった。



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