-第二章二節 船長とシロの買収とその後の船旅-
マサツグが言った言葉が信じられない船長達の間では笑い声が響き…その様子を周りの者達は妙な物を見る様な目で見詰めて居ると、シロは静かに怒りを露わにする!…それは自分が馬鹿にされた事に対してでは無く…マサツグが馬鹿にされた様に聞こえたからであり、その様子を知ってか知らずか…マサツグを擁護するよう乗客達の一部が船長の方へやって来ると、本当だ!と言って説明をする。
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「いやいや船長!…本当なんですって!!…
私達も目の前で見た!!…
この子が腕を振ったらあのクラーケンの脚が!!…」
「はっはっはっはっは!!!…
おいおい!…あんた達まで俺を笑わせようってのかい?…
本当に今日は!…
話が上手い客が大勢乗って居るんだな?…
だぁっはっはっはっはっは!!!」
「ッ!?…せ!…船長!!…俺達も見たんだって!?…」
乗客達もシロの事に戸惑いの様子を見せながら船長へ本当だと説明し、何とか理解して貰おうとするが船長はただ笑うだけで一向に信用しようとはしない…まるで何か根拠が有るのか…口が上手いと言っては乗客達に対しても笑って見せ、その様子に不味い!…と感じた一部の船乗り達も弁明に入る!…何故不味いと感じたのか?…それは船長の態度にも問題が有るのだが、それよりも…嘘吐き呼ばわりされる主人の隣で肩を震わせ!…静かに怒りを露わにする幼女の姿を見たからであった。そして先程の光景…それも相まって船乗り達が慌てて居ると、遂にシロも我慢の限界と言った所で動き出すと、船長の前に歩いて来て軽くデコピンをする様に船長のパイプへ向かって指を弾いて見せる。
__……コッ…コッ…ッ!……ピンッ!…
ズバンッ!!……コンッ!!…
「うおッ!?……こ、これは!?…」
__ッ!?……コロコロ…
「これでいいですか?…
これ以上シロのご主人様を馬鹿にしないで下さい!……」
__どよ!?…
シロが指を弾くと小さなカマイタチが発生し、船長が咥えていたパイプを縦に裂いては更に帽子をも吹き飛ばすと、船長の口から落ちるよう縦に割れたパイプは甲板に落ち、吹き飛ばされた帽子の鍔にはアウトローな傷が付く!…その突然の出来事に話を信じていなかった船長及び船乗り達が途端に慌てた表情を見せると、シロは怒った様子で船長に文句を言い!…幼子ながら若干の殺気を放って居る事に船長達がシロにたじろぎの様子を見せて居ると、マサツグは一呼吸吐いてはシロに落ち着くよう声を掛ける。
「……ふぅ…シロ?…やり過ぎ。」
「ッ!…はいです…」
「……まぁその気持ちは嬉しかったよ…
ありがとな?…」
__ポンッ…なでなで……ッ!…ギュッ!…
マサツグがお説教トーンでシロに注意をすると、シロは直ぐにマサツグが怒って居ると感じたのかシュンとした様子で聞き分け、マサツグの後ろに隠れるよう移動すると項垂れる様にしては耳を伏せッとさせる。別にそんな激しく怒った訳では無いのだがシロはショックを受けたらしく、マサツグがその様子を見て若干戸惑うもシロの頭に手を置くと、シロの気持ちは嬉しかったと愛でる様に撫でては声を掛ける。するとシロは撫でられた事にピクっと反応してはマサツグの左足にしがみ付くようくっ付き、顔を埋め出すとその様子に船長もやり過ぎたと感じたのか、一度息を吐き出すとその雰囲気をぶち壊す様に改めて大笑いし始める。
「…ッ!……クッハッハッハッハッハッハッハ!!!」
__ッ!?…どよどよ!…どよどよ!…
「アァ~ハッハッハッハッハ!!!…
…あぁ~あ…いや失敬!…
いやぁ…さっきは悪かったな!嬢ちゃん!!…
別にお前のご主人を馬鹿にした訳じゃねえ…
勘弁してくれ!!…」
「ッ!…は、はいです…」
まるで急に正気じゃなくなったかの様に笑い出した船長にその場の全員が驚き、視線が船長に向けられ各々が困惑の表情を見せて居ると、船長は徐々に落ち着きを取り戻し始めては改めてシロに謝り始める!まるでシロの出した殺気を誤魔化す様に…シロにマサツグを馬鹿にした様な態度を取った事について謝ると、その突然の船長の変わり様にシロも付いて行けないのか困惑気味に了承し…これで手打ちとなった所で船長がクラーケンが居る方に向かって歩き出すと、そのクラーケンの状態を見て若干戸惑った様子で言葉を口にする。
「…ッ!……うぅ~ん…にしても見事なモンだ!…
まさか本当にあのクソったれイカを見るも無残な!…
こんな小さな嬢ちゃんが愉快痛快な姿に
変えちまうとは!!…長生きはするもんだな!!…」
__バシャバシャ!!…バシャバシャ!!…
「……へ!!…
このまま放って置いても野垂死ぬか!…
いい気味だ!!…
事ある毎に襲い掛かって来やがって!!…」
「え?…それは如何言う?…」
クラーケンの姿を見てシロの実力を認識したのか驚き!…余程クラーケンに対して恨みを持っていたのかその姿に驚きつつも笑みを零す。その船長の眼下では今だクラーケンが逃げようと必死に藻掻く姿が見て取れるが、やはり足が無い為ただバシャバシャと慌しく水面を叩くだけで体力を消耗し続ける。そんな姿を見た船長はクラーケンに止めを刺そうと思っていたのか止める様な言葉を呟くと、クラーケンに背を向けてシロに真っ二つにされたパイプとアウトローな帽子を拾い、その船長の言葉にマサツグが尋ねるよう声を掛けると船長はあのクラーケンに因縁が有ると言った様子でマサツグの質問に答え始める。
__パサッ…カコン…
「ッ!…そう言えば言ってなかったなぁ?…
まぁもう襲われる事も無いだろうから説明するとだ…
アイツは最近!…
ここいらを荒らし回っているクソったれイカでよ!!
ここいらで漁をしている漁師も何人かアイツに
やられたって話だ!!!…で、毎回こうやって
航海している俺達にも何かしらとチョッカイ掛けて
来ては船を壊そうとしやがって!!!…
その度に何とか追い返してるんだがアイツ!!…
全然懲りねぇ!!!…
あのゲソの2~3本切った所で2~3日すれば元通り!!…
……いっそギルドに依頼を出そうと思っていたんだが…
その矢先この出来事が起きたって話だ!……で?…」
__…スッ……ピシッ…バッ!!…
マサツグの質問に答える前に拾った帽子を被り直し、パイプの具合を確かめるようマジマジ見詰めては質問に答えるよう話し出す。何でもあのクラーケンはこの海域?…航路?…に出没してはあの様に襲って来る質の悪いイカらしく、この海で漁や航行している船は幾度と無く被害を受けていたらしい!…そんなイカを退治するにも船乗り達に出来る事は精々あのゲソを斬り落とす位で、その斬り落としたゲソも2~3日すれば元通りとなる驚異のリジェネ仕様!と厄介この上ない事を怒り交じりに話してはマサツグ達を戸惑わせる!…そんなイカを相手に我慢の限界だったのかギルドに頼もうとしていた経緯も話し出すのだが、その前にシロが倒したと分かり…今までの苦労は何だったのか?と先程の様子の話に戻り、船長が改まって様子で背筋を伸ばし突如としてマサツグに頭を下げ出すと、その様子にマサツグが戸惑う!…
「ッ!?…うえぇぇ!?…」
「この度は我々の船!!…
フライングフィッシュ号を助けて頂き
誠にありがとうございました!!!
私!…この船の船長を務めます!…
名を[ビスマルク・ドレッドノート]と申します!!…
このご恩は忘れません!…
ぜひ何かお困り事が御座いましたら
何なりとお申し付けくださいませ!!…
我ら船員一同!…心よりの感謝を!!…」
突如態度を改めた船長にマサツグが戸惑って居ると、船長はお礼の言葉を口にし始める!…それも先程までのてやんでぃ!口調とは打って変わってまるで豪華客船のアナウンスの様な若干感情交じりの丁寧な口調で、その変わり様にマサツグがただただ困惑して居るとマサツグの後ろではシロも同じ様に、船長の変わり様に戸惑っては目をパチパチとさせながら船長の事を見詰めていた!…そうして船長が自身の名前を名乗って大層に恩を忘れない!と言い出すと、その言葉にマサツグがハッ!としては戸惑った様子でビスマルクに声を掛け始める!
「ちょ!…ちょっと待ってください!!!…
何で急にそんな改まって!?…
てか、襲われていたのを助けたんじゃなくて
あのままだと自分達もヤバかったからって!!…
何なら倒したのはシロ!!…」
「いえいえ!…ご謙遜を!!…
こんな可愛く強いお嬢さんをお連れになられて
居ると言う事は貴方も相当な腕の筈!!…
それにお嬢さんが倒したとしましても!…
そのご家族様も当然命の恩人!!…
…決して貴方が認めようとしなくても
我々が勝手にそうさせて頂くだけなので悪しからず!…
これは!…海に生きる男としてのケジメなので!!…
受けた恩は意地でも返せ!…それが!!…俺達!!…
海の漢の生き様なんでさぁ!!!」
「…最後自が出ちゃってるし!!……」
ビスマルクがマサツグに頭を下げて止まるとマサツグは慌て出し、身振り手振りで頭を上げる様に訴えるがビスマルクは頭を下げたまま一切動こうとはしない!…その間マサツグは大した事はしていない!…当然の事をしただけだ!と訴えるが、ビスマルクは一歩も退かず…シロが倒したと言うのならその親御であるマサツグも当然命の恩人で、助けて貰った事には変わりは無い!と言ってのけると、ここで漸く頭を上げて、決意した…男らしいやる気に満ちた表情を見せては海の漢のポリシーを語り出す!その際気が付くと船長の後ろにはいつの間に集合したのか同じ様に頭を下げる船乗り達の姿が!…そして最後の最後でビスマルクの自が出て来るとマサツグが戸惑い呆れた様子でツッコミを入れ、余程自身の信条が固いのか本当に曲げようとしないビスマルクの姿勢にマサツグが負けると、遂には同意してしまう…
「……はあぁ~…分かった、分かりました!!…
俺の負けです!…
ですからまずこの状態を何とかしてください!…
異様なまでに人の目を集めてる…」
マサツグは心が折れた様子で脱力して、とにかく人目を集めている事を気にしてビスマルクに同意した旨と注目を集めている事を伝えると、その言葉にビスマルク及び船乗り達が反応して辺りを見渡す。するとマサツグの言う通り!…ビスマルク達を中心に注目の輪が出来ては乗客達の異様な物を見る様な何とも言えない視線を集め、その視線に悪目立ちして居る事をビスマルクが理解すると、船乗り達に号令を出す!
「ッ!……ッ!?…おっとこりゃいけねぇ!!…
おうオメェら!!…解散だ!!…持ち場に付け!!」
__アイアイサー!!!…
「…ふぅ!…悪いな旦那?…
俺達はちっとばかしケジメには五月蠅くてな?…
ちゃんと頭がしっかりして無いと
下は付いて来ないんだわ……まぁ!…
悪い様にはしない!…安心してくれ!!…
これからの後悔の無い航海!…
とびっきりの船旅をアンタにプレゼントしてやるよ!!
ウハッハッハッハッハッハ!!!…」
その号令を聞いて船乗り達は威勢良く返事すると、蜘蛛の子を散らす様に解散しては各々持ち場へと戻り、ビスマルクもマサツグに改めて謝り出すと、色々理由が有ると言った様子で話しては航海に後悔はさせない!と…ダジャレめいた事を言っては笑いながらその場を後にする。そうして最後のダジャレを聞かされた事にマサツグが戸惑い呆けた様子で立って居ると、ビスマルクの後ろ姿を見詰めては結論の一言を口にする。
「……一応…良い人なのかな?…
…あははは……はあぁ~…」
何とも言えない最後のダジャレにマサツグが脱力し…一応ビスマルクが悪い人じゃ無い事を理解すると一言呟く。その際ビスマルクは辺りを見渡し部下がちゃんと仕事している様子…海の様子を確かめて船内へと戻って行き、マサツグもクラーケンやビスマルクの信条等でドッ!と疲れた様な反応で肩を落とし溜息を吐いて居ると、シロは何故かプルプルと震えた様子でマサツグのズボンにしがみ付いては、シュンとした表情を見せてマサツグの事を呼び始める。
__……ギュッ!…
「…ご主人様……」
「ッ!…シロ?…」
「ご主人様…怒ってますか?…
シロ…また悪い事しちゃいましたか?…」
「え?…あっ!……」
シロに呼ばれてマサツグが振り返るとそこにはやはり何故かシュンとした様子で俯くシロの姿が有り、その様子にマサツグが不思議そうにして尋ねる様に名前を呼ぶと、シロはそのシュンとしている理由を話す様にある事を尋ねる。それはマサツグが怒っているか如何かの質問で、恐らくはマサツグが呆れた様子で脱力…溜息を吐いた事からストレスを感じて居ると思ったのか、こうなった原因は自分に有るとシロは考え…反省した様子で恐る恐る尋ねると、そのシロの様子にマサツグは困惑するも直ぐに理解した様子でハッ!とする。そしてシロの気持ちに気が付くとマサツグは徐にその場で屈んではシロと同じ目線に座って見せ、シロの頭に手を置きいつもの様に撫で始めると、笑顔でシロを宥めるよう質問に答える。
__…ポンッ…なでなで…
「怒ってないよ!…
ただ今度からは気を付ける様に!…」
「ッ!……はいです!」
マサツグがシロの頭を撫でながら笑顔で怒っていないと言うと、シロはマサツグの顔を覗き込んでは目を見開き、本当にマサツグが怒って居ない事を理解すると同じ様に笑顔で返事をしては手を上げてアピールをする。そんな微笑ましい光景を見せる二人に、周りの乗客達も思わずニッコリと笑ってはその様子を見守るよう見詰め続けるのだが…ここで何処からか貴族らしき裕福そうな格好をした…恰幅の良い男が一人マサツグ達の方へ歩いて来ると、徐に声を掛けて来てマサツグ達に拍手を送り出す。
__コッ…コッ…コッ…コッ……
パンッ!…パンッ!…パンッ!…パンッ!…
「いやぁ~!…先程はお見事でした!!…」
「ッ!……貴方は?…」
「ッ!…おっと!…これは失礼!…私は…あぁ~…
少し理由が有って身分を明かせないのですが……まぁ…
[ノイマン]とでも名乗っておきましょうか?…
実は貴方の様な…そのお嬢ちゃんの様な子にとても!…
ぜひ話を聞いて頂きたく!…」
その恰幅の良い男は突如としてマサツグ達に先程の事を褒める様に話し出し、突然話し掛けられた事にマサツグが驚き…戸惑いつつも誰だと問い掛けると、その恰幅の良い男は謝って見せては何やら今名前を考えた様子でマサツグ達に自己紹介をする。その際異様なまでにシロをチラ見し、何やら品定めをする様な…薄気味悪い視線を送り出す。シロがそれに反応するよう若干怯えた様子でマサツグの後ろに隠れ、マサツグもそれに気付いてシロを自身の後ろに隠すとそのノイマンと名乗る男に警戒をし始める!…その間何やら話が有ると言った様子でノイマンはマサツグに話を聞くよう言葉を掛け続けるのだが、次にノイマンの口から出て来た言葉はマサツグの怒りを買った!…周りの乗客達も驚き戸惑う一言から始まるのであった!
「…単刀直入に言わせて頂きます!…
そのお嬢さんを私に譲っては貰えないでしょうか?…」
「ッ!?…はぁ?…」
「いやぁ~…私実はお嬢ちゃんの様な強い子を
スカウトする旅をしておりまして…
その旅の帰り道にこうして貴方方と一緒に!…
それもあのクラーケンを倒す程の
実力を持った事で会えるとは!!…何たる幸運!!…
ぜひ私にその子を!!!」
「…失礼します!…シロ?…行くぞ?」
「ッ!…は、はいです!…」
マサツグが警戒をする中…何を言い出すかと思えばまさかのシロ本人を要求する話を持ち掛け出し、その話を聞いてマサツグは自身の耳を疑いもう一度聞き直すよう言葉を漏らすと、ノイマンは先程の話を肯定するようシロの実力を褒めては目的と要求をマサツグに話し続ける。勿論それを聞いたマサツグはカチンッ!…と来ると話を無視してシロを連れてその場を後にし、シロもマサツグの反応に慌てた様子で返事をすると、マサツグと手を繋いで後を付いて行こうと歩き始める。しかしノイマンは諦め切れないのかマサツグに対し更に怒りを増幅させる様な話の振り方をしては、徐に懐からお金が入った袋を取り出して見せる。
__ジャラッ!!…
「ま!…待ってくれ!!…
勿論ただとは言わない!!…幾ら必要なんだ!?…
10万?…いや20万か!?…それとも50万!!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ……
ノイマンは取り出した金袋からその自身が言った金額を取り出しては甲板にばら撒いて見せ、何とかマサツグに商談に乗って貰おうとするのだがマサツグは一切振り返る事無く!…自身の部屋へ戻ろうと歩き続ける。その様子にノイマンが慌てると徐々に金額を大きくしては更にお金を甲板にばら撒いて見せ、遂には自棄になったのか自身の足元に1000万G分の金貨をばら撒いて見せると、マサツグを煽る様に声を掛ける!
「ッ!?…こ、この商売上手め!!…良いだろう!!!
1000万で!!!…」
__ッ!…ピタッ!………
「ッ!…ご、ご主人様?…」
__…ぱっ…ッ!?…
「ご!…ごしゅ!?…ッ!?…」
__トッ……トッ……ペタンッ……ゴクリッ!……
ノイマンのその台詞を聞いてマサツグの脚がピタッと止まっては一度考える様に沈黙し…シロはまさか!?と言った様子でマサツグが止まった事に心配し始めて居ると、次にはマサツグが徐にシロの手を手放し出す!…当然その行動にシロはショックを受けた様子で目を見開くとマサツグの事を呼んでは顔を覗き込むのだが…その時のマサツグの表情を見るや否や酷く動揺した様子で後退りしてはその場にへたり込む!…そんな様子を目にした乗客達は商談に乗るのか?…と心配した表情でそのマサツグの行動に目を向けて居ると、マサツグは徐にノイマンの方に振り返り歩き出したかと思えば次の瞬間!…
__……クルリッ…コッ…コッ……バッ!!…
「……ふざけんじゃねえええぇぇぇ!!!!!」
「ヒィッ!?…」
__バキィィィ!!!…ジャラジャラ!!!…
…ッ!?…わああぁぁぁ!!…
マサツグがノイマンに向かい歩き出したかと思えば次には大きく踏み込み!…激怒した様子で握り拳を固めノイマンへ一直線に向かって行くと、大声で吠える様に叫んではその握り拳をノイマンの左頬に向かって貫く様に放って見せる!…その際足元に置いて有った金貨を蹴散らし殴り掛かる姿に乗客達が息を呑むと、マサツグの行動を野蛮!と批判するどころか称賛する様な様子で歓声が上がり!…殴り飛ばされたノイマンが殴られた頬を摩りつつ体を起こすと、そこには悪鬼の様に怒りの形相を見せるマサツグが!…握り拳から血を流しながらその場で仁王立ちしては倒れるノイマンを見下ろしていた!
__ポタッ!……ポタッ!……ギュッ!…
「…テメェが何処の誰かは知らねぇがよぉ!……
うちの娘を金で買おうとするたぁ!…
いい度胸じゃねぇか!!!」
「ひぃぃ!?…」
「次ぬかしてみろ?…
今度はテメェの命で支払って貰う事になるぞ!?…
覚悟して置けぇ!!!」
完全に頭に血が上った様子でノイマンを見下ろしてはブチ切れた様子でマサツグが怒鳴りつけ、恐らく握る力が強すぎて出血した手を解く事無く!…自身の目の前で構えて見せると、その様子にノイマンが怯えて尻餅を着きながら後ろへと逃げ出し始める。そんな様子を目にしたマサツグは呆れながら拳を収めると最後の忠告を叩き付け!…ノイマンに対して背を向けシロの方へと歩き出すと、まずは怯えているシロを安心させるよう抱き起しては笑顔で声を掛け始める。
__コッ…コッ…コッ…コッ……ガッシッ!…
「……ご、ご主人様?…」
「……ごめんよぉ~シロォ~!!!
怖かったなぁ~!!!…さぁ、部屋に戻ろうな?
俺はもう疲れたよぉ~!…」
__ギイィィィ!!…バタンッ!…
マサツグに抱き起されてシロが怯え困惑し…恐る恐るマサツグの事を呼んで様子を伺おうとすると、マサツグはまるで某新〇劇宜しくとある芸人さんの様な機嫌の変わりようをシロにして見せる!当然これにはシロも更に困惑した表情を見せると、マサツグの事を見詰めてはパチパチと何度も瞬きし…マサツグはマサツグでその反応で合って居ると言った様子でキャラを続けると、そのままシロを抱っこして甲板を後にする。そうして自室に戻るとマサツグは先程の事を忘れる様に…シロを潰さないようお腹の上に乗せてベッドへ倒れ込むとそのまま眠りに就き、シロも困惑したままマサツグに抱えられていると、緊張の糸が切れたのかそのままマサツグと一緒に眠りに就く…こうして最初の船旅は船に乗り遅れそうになったり…クラーケンに襲われたり…シロを買収されそうになったり…と色々あった訳なのだが、何とか船の旅一日目が終了するとマサツグ達はそのまま部屋で寝てしまうのであった。
……因みにあの後…その一部始終を見ていた船乗り数名があのビスマルクに事件の報告をすると、ビスマルクは激怒!…そのノイマンを捕まえると改めて身分を調べ上げ、人身売買の奴隷商である事が分かると船倉に放り込んでそのままサマーオーシャンの警備隊に突き出したと言う……
勿論その後マサツグはノイマンと会う事無く二日目になり…マサツグが目を覚ますとシロもいつも通り…ご主人様スキスキ!の様子で飛び付いて来るのだが…
-船旅二日目 雨天-
__ザアアァァァ…
「……今日は雨なのか…じゃあ部屋でゆっくり…」
「ッ!!…ご主人様!!…
おっはようございまぁ~す!!!」
マサツグが目を覚ますと船の外からは波の音と同時に雨の音が聞こえて来る…その雨音を聞いて昨日の様に甲板には出られないと考えると、自室でゆっくりしようと…ゲームの中で二度寝を試み始めるのだが、マサツグより先に目を覚ました様子でシロが起きており、耳をピクっとさせてはマサツグが起きた事を感じ取っていた。元気に挨拶をするなりマサツグに向かって駆け出し!…一回転半の回転を加えて飛び掛かって来る!…
__トトトト!…ピョイン!!…
ヒュウゥ…ドゴスッ!!…
「ヴ!!!!……ッ~~~~!!……」
そして助走を付けて飛び掛かって来たシロのフライングボディープレスはマサツグ目掛けて抱き着く様に着地をし、見事にマサツグの鳩尾を的確に貫いて早朝から…クリティカル大ダメージを負わせ始める!…当然それを喰らったマサツグの表情は苦痛に歪み、自身の腹部をシロを抱えたまま押さえてはその場に蹲ったのは言うまでもない…そしてシロもマサツグが自身を抱えたまま動かなくなった事に気が付くと、ここで漸く不味かった事に気が付いたのかオロオロとした様子でマサツグに声を掛けるのであった。
「ご!……ご主人様!?…だ、大丈夫!?…」
「ッ~~!!…シ、シロちゃん?…
情熱的な起こし方は有り難いけど…
お約束追加…フライングボディープレスは禁止……
もっと…優しく…ね?……」
「は…はいです…ごめんなさい……」
…その後マサツグが復帰した後、何事も無く時間が進むとあっと言う間に船旅二日目を終える…その際二日目は船内を歩いては昨日の続き…何これタイムが始まり、シロの好奇心に付き合ってマサツグは軽く…色々な事を教えてそのまま終わるのであった…そして船旅三日目…
-船旅三日目 快晴-
「……う…んん…朝か?…」
__スゥ~…スゥ~…
「……今日は俺の方が速かったみたいだ…」
三日目の朝になりマサツグが目を覚ますと今日はシロより早くに目が覚めたらしく、シロはマサツグのお腹の上で寝息を立てていた…そんなシロを起こさない様にマサツグは自身の体から降ろし、自分だけがベッドから起き上がると簡単に身支度を整え、今度はクラーケンみたいな化け物が出て来ても大丈夫な様に武器を装備すると、一人部屋を後にしては朝の甲板へと歩き出していた。そうして朝の甲板に辿り着くと空は絶好の快晴!…そこでは朝早くから船乗り達が掃除を始めており、他に乗客が起きて来ていないかを確認するよう辺りを見渡すが、誰も起きて来ている様子は見当たらない…
__チラッ…チラッ……
「…他に起きて来ている人は居ないみたいだな?……
あのノイマンって野郎も!……ッ!…
イカンイカン!…心穏やかに!…
無駄に怒って居るとまたシロを怖がらせてしまう!……
気晴らしにラジオ体操なっとするか…」
一人甲板の上でラジオ体操をするマサツグ…勿論この世界にラジオ体操なるモノは無いので、その様子を掃除している船乗り達はまるで人をど〇にんぎょう…じん〇んじゅ…の不思議な踊りをしている様に見て来る。そんな奇異な物を見る目で見られつつ…マサツグがラジオ体操をし終えると居た堪れなさから部屋に戻るのだが、部屋に戻れば戻るでシロが扉を開けるなり飛び込んで来てはマサツグに泣き付き始める。
__ガチャッ!…ピクッ!!…
「ただい…」
__ダダダダダ!!…ドゴスッ!!…
ッ!?…ッ~~~!!…
「ごじゅびんばばぁ~~!!!
どごにいっでだんでぶかぁ~~!!!
じろぉ!…おいでいがれだどおもっで!!…
ざびじがったでふぅ~~!!!…」
「ガッフ!!…ゲッフ!!…
お、置いて行く訳が無いだろ?…
さぁ…泣き止んで…ゴフッ!…
…準備をしようか?…」
扉を開けるなり手厚い歓迎!…シロは完全に置いて行かれたと誤解した様子でマサツグの腹部に頭突きを入れるよう抱き着くと、涙を流しながらマサツグに文句を言うのだが…その文句より腹痛!…マサツグはまたもや耐える様に咽ながら宥めて、落ち着かせるとシロの涙を拭いてシロの支度を準備し始める。そうしてシロの支度が終わり何やかんや色々時間を潰して居ると、船はサマーオーシャン大陸に辿り着いたのか鐘を鳴らしては到着したと乗客達に合図を送る。
__カラァ~ン!!!…カラァ~ン!!!…
「サマーオーシャン大陸ぅ~!!!…
サマーオーシャン大陸ぅ~!!!
間もなくサマーオーシャン大陸の港町!!…
ホエールビアードに到着ぅ~!!!」
「……まぁ色々有ったけど…
この世界での船旅も良いかも知れないな…」
「ッ!…はいです!…シロも楽しかったです!」
三日目お昼過ぎ…サマーオーシャン大陸の中央港町・ホエールビアードに辿り着くと船長が伝達管で放送すると、乗客達は一斉に船を降りる準備をし始める。マサツグ達もその放送を受けて甲板に移動すると、既に乗客達が降りる準備を整えて整列しており、その列にマサツグ達も並びながら思った事を口にして船旅を振り返っていた。船に乗っている間色々な事が有ったと言うとその話にシロも同意し、遂に船が港に繋げられサマーオーシャン大陸に上陸可能になると、マサツグとシロはサマーオーシャン連合国の大地に一歩!…足を踏み入れるのであった!




