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その8 それが生きて帰る事が出来た彼らの求めるところ

「まさかこんなに集まってくれるとはね」

「それだけ思うところがあるんでしょう」

 それは分かるのだが、それでもヒロシからすると意外だった。

「おかげで、やりたいことがかなり前倒しで実行出来そうだけど」

 それは、デスゲーム解放後についての事だった。

「そっちはどうなの?」

「足取りは掴んでますが、さすがに全員ってわけにはいかないですね。

 まあ、ぼちぼち釣れてきてるようですけど」

「そいつは良かった」

 それは彼らにとってどうしても確かめておかねばならない事だった。

 デスゲームの首謀者と同じか、それ以上に気をつけて対処するべき存在として。

 攻略組だった連中を。



 ゲーム内でやらかした連中である。

 現実でも何かしでかすかもしれない。

 それを危惧したヒロシは、事前に有志を募る事にした。

 現実でも何らかの対策をとれるように。

 幸いにも賛同者は数多くあらわれた。

 それだけ危機感を誰もがもっていたのだろう。

 ゲーム内での様々な出来事が、彼らに攻略組への警戒感を強めさせていた。



 もし、そいつらが社会的な影響力があったら?

 そうでなくても、単独で何かやらかすような連中だったら?

 あるいは徒党をくんで押し寄せてきたら?

 そんな危機感があった。

 そう考える程に、色々とやらかした連中でもある。

 実際に何をしてくるか分からない。

 だからこそ、何か起こった場合に対処出来るようにしておきたかった。



「諜報員からの情報もあるから、結構身元も分かってるけど」

「そこから更に追求できるか?」

「さて、さすがに難しいかも。

 俺たちみたいに、こっちに戻ってから顔を合わせようって雰囲気でもなかったみたいだし」

「そりゃそうだろうな」

 もし攻略組としてゲーム攻略をしたなら、胸を張って再会を求めただろう。

 だが、結果はそうではない。

 途中からはヒロシ達に追い抜かれ、隅に追いやられた形だ。

 彼らにとっては挫折と失敗の日々でしかないだろう。

 好んで思い出したくなるような出来事ではない。



 それでも諜報員として潜り込ませた者達と連絡をとるのだ。

 拒絶するだけの時間だったわけでもないのだろう。

 あるいは、同じ境遇の者同士での傷のなめ合いを求めてるのか。

 それは分からないが、とりあえず接触をしてもらいたいとは考えている。

 そこから更に何かが発展するかもしれないのだから。



「ま、出来るだけの事はしよう」

「そうですね。

 とりあえず、あのゲームの運営会社。

 買収には成功しました」

「ご苦労さん。

 ゲームデータは回収できた?」

「それもなんとか。

 参加者の情報もある程度は回収済みです」

「よし、それなら足跡を追跡出来るな」

 それがこの数十万人でもっともやるべき事の一つだった。

「開発した奴、こんな事やろうとした奴。

 とにかく全部洗い出せ。

 なんでこんな事をしたのかを」

「分かってます。

 絶対につきとめてみせます」

 それがあのゲームからの生還者である彼らの意思だった。

 無理矢理付き合わされたデスゲーム。

 その主催者には相応の報いを受けてもらわねばならない。

 法の裁き程度では決して満足しない。

 ゲームへ強制参加させられた彼ら自身の手によって決着をつけねばならない。

 でなければ何も報われない。

 攻略組対策も含めて、それが生きて帰る事が出来た彼らの求めるところだった。



 ゲームは終わった。

 だがそこで起こった出来事はまだ続いている。

 舞台を現実に移してデスゲームは進んでいく。

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