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その2 「上等じゃねえか」

「おい、ここにある物全部売れ」

 横柄な口調とそれ相応の態度でやってきた輩がいた。

 表示される名前と所属団体から、攻略組である事がすぐに分かった。

 なんだこいつは、と思いはしたが、それでも言うべき事は口にした。

「いや、全部はさすがに無理だ。

 他に買う人もいるんだから」

「金なら出す」

「そういう問題じゃない」

 金がどうこうという問題ではないのだ。

 手元にある在庫と、それを求める人の数の兼ね合いである。

 在庫全部を売り払ったら、それで困る人も出てくる。

「他にも必要としてる人はいるんだ。

 ある程度優先してまわしてもいいけど、全部は無理だ」

「おい、俺たちは攻略の為に動いてんだぞ」

 攻略組の輩は、いっきに態度を悪くした。

 それにヒロシも周りにいた者達も呆気にとられた。

「……だからってな」

「必要なんだよ、攻略に」

 なおも言いつのってくる攻略組の輩。

 押し切ろうという魂胆が見え見えだ。

 それが分かったからヒロシは、迷わず自分のもってる機能を使った。

 瞬間、目の前から攻略組を名乗る輩が消える。

 正確には、そこに存在する事を示す黒い影だけが残る。

 ブロック機能を使った結果だ。



 ブロック機能は、ゲームにおいてプレイヤー全員に与えられてる権限であり機能である。

 これを設定する事で、特定のプレイヤーとの接触を完全に断ち切る事が出来る。

 こちらからも向こうからも接触不可能。

 通信を含めたやりとりもだ。

 それはゲーム内における様々な接触、PKといった行動も全て含まれる。

 つまり、これで今回接触した攻略組の輩とは今後接触する事は無くなる。

 ブロックを解除するまで。

 ただ、これをする事で、今後様々な事が起こるだろうとは思っていたし覚悟もした。



 その通りになった。

 それを皮切りに、ヒロシは攻略組につきまとわれる事になった。

 とにかく道具をよこせ、の連続である。

 その都度相手をブロックし、相手の事を無視してきた。

 しかし、そうなると今度は別の事をしでかすようになる。

 なんとヒロシの店にやってくる客にたかるようになったのだ。



「なあ、お前。

 そこの店で買ったよな」

 そうやって客に絡み、ヒロシの店に来た者にからみだしていった。

 その圧力に屈して購入した道具を差し出す者もいた。

「外でどうなるか分からねえからな」

 そう言われてしまったらどうしようもない。

 PK────プレイヤーキルをされたらかなわない。

 このゲームにおいてそれは、現実での死に直結する。

 それを恐れるのは当然である。



 そこまで直接的でなくても、ヒロシの店に素材を卸に来る者達につきまとう。

 それも、彼らが出向く場所に先に向かい、そこのモンスターを粗方倒すという方法で。

 これでは素材の回収も経験値稼ぎも出来ない。

 こんな事が続くので、次第にヒロシの所に来る者は消えていった。



「上等じゃねえか」

 それがヒロシに火をつけた。

 やられたならやり返す。

 やるなら徹底的にやる。

 それがヒロシの信条だ。

 何も悪くないのに引き下がる理由は無い。

 頭を下げるべきは、やらかした者の方である。

 そう考えたヒロシは、つながりのある者達に一斉に連絡をしていった。



 デスゲームではあるが、それでもゲームである。

 必要な機能はしっかり揃っていた。

 その一つに、連絡先登録がある。

 友達登録とも言われるこれは、個別の連絡を距離に関係なく行えるものだ。

 音声とメールによる伝言などが用意されている。

 この機能を使って、ヒロシは接点のあるあらゆる者に声をかけていった。

 用件は一つ。



『攻略組が許せねえ。

 あいつらを排除しよう』



 それをあらゆる者に伝えていった。

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