謎の男
「はぁー。やっちまったなぁ。」
起きると母さんは俺の部屋にいなかった。多分朝食の準備をしているのだろう。母さんのおかげで眠る事が出来たが、泣いてしまうとは……
俺の年齢は9歳だが中身は25歳だ。この歳でなくなんて恥ずかしい。だが、あのタイミングで母さんの顔見たら仕方がないような気もする。
この2日俺の見た夢は、ある日5人の魔族がやってきてハージ村の人々を殺していく夢だ。そして俺の目の前で母さんが殺される。そのタイミングで毎回目を覚ます。
「2日も同じ夢。もしかしたら……」
グゥ〜〜
とりあえずお腹が空いたので下に降りて朝食を食べることにした。
「おはよう。母さん。」
母さんにもう大丈夫という意味も込めていつもより元気に挨拶をした。
「おはようアレン。大丈夫そうね。良かった。」
そしてまた、いつものように会話をしながら朝食を食べた。
昨日は怖い夢を見たと言った。どんな夢か聞かれたが事実とは違う作り話を母さんに伝えた。
朝食を食べ終え、今日もトレーニングをして魔法の勉強をし、風呂に入り、夕食を食べ、眠る。
本当は今すぐにでも強くなるために行動したいが、明日は誕生日で父さんが帰ってくるというのもあるのでもう少しいつもの日常を過ごそうと思った。
。。。。。
「よう。」
ん?誰の声だ?それにここは………
俺は白い空間にいた。どこまでも先が見えない白の空間だ。
「おい。後ろだ後ろ。」
後ろを振り向くと冒険者風の格好にフードを被った人が立っていた。
「あなたは誰ですか?それにここはどこですか?」
「ここはお前の夢の中だ。それと敬語はやめろ。お前は俺なんだから。」
そう言うと男はフードを被っていた取った。
「俺は未来のお前なんだよ。アレン。いや、阿久津雄二。」