15/25
「ごめんね」を言うたびに
「ごめんね」
それがおっちょこちょいの彼女の口癖。
いつも、何かあるたびに彼女は言うんだ。
「ごめんね」って。
デート中に足を滑らせて転んだ時も。
作ってきてくれた誕生日ケーキの砂糖と塩を間違えた時も。
玉子焼きに卵の殻が入っていた時も。
彼女はいつも「ごめんね」って僕に謝る。
だからね。
僕は決めたんだ。
彼女が「ごめんね」って言うたびに、キスしてやるって。
どんな時でも、どんなところでも。
それ以上「ごめんね」が言えないように。
そう、僕は今まさにその真っ最中。
彼女がデートの時間に遅れてやってきて「ごめんね」って言うもんだから、その瞬間に唇を奪ってやったんだ。
柔らかくて、あったかくて、気持ちいい。
脳天を突き抜けるほどの快感が僕を包み込む。
彼女の唇は、最高だ。
どれくらいそうしていたろう。
そっと唇を離すと、彼女は顔を真っ赤に染めながら目をパチクリさせていた。
そうして、何を言うかと思ったら。
「ごめんね……」
こんにゃろ、まだ言うか!
僕は、速攻で彼女の唇をふさいでやった。




