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拳の剣聖  作者: 心戒
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一章 15話

1日ぶりですね皆さん、それではどうぞ。

俺は黒い光に呑み込まれていく自身の腕を他人事のように呆然と見つめていることしか出来なかった。


「な、何だよ、これ……!?」


焦燥と極度の緊張により渇いた口からはそんな言葉しか出てこなかった。

しかしそこから数秒後、俺は予期せぬ形で別の言葉、いや声を吐き出すことになる。


ビキィッ!


「ぐあっ!?」


バキィッ!


「うぅっ!!」


先程までは完全に黒い光に呑み込まれた俺の腕はいつしか影の衣のようにぴったりと俺の腕を包んでいた。

しかし今は、その光が大きな音を立ててヒビを入れていく! ヒビの入る音が聞こえる度に俺の腕には激しい激痛が走った!


ビキキィッ!


「うあっ!?」


思わず腕を抑える。しかし痛みは止んでくれなかった。手でヒビを抑えているのにもかかわらず俺の腕には先程よりも勢いを増してドンドンヒビが入っていく。


パキッ、ピキィッ、バキンッ!


「ううぅぅぅぅ……」


痛みで何処かに流れていきそうになる意識を必死に掴み、決して離すまいとして歯を食いしばって俺は耐えた。

そして最後——。


バキィンッ!!


「ぐうぅぅっ!!」


一際際立つ大きな音が俺の腕で鳴ったのを最後に痛みは止まった。


「っく……はぁ、はぁ…はぁ……!」


痛みが終わったことにより俺には自分の腕を確認する余裕ができたため、恐る恐る視界を持ち上げると。


パラパラパラ……


黒い光だったもののカケラが剥がれ落ちる。そして出てきたのは——。


「なんだ……これ……!」


白い絵の具よりもさらに白い、純白に彩られた腕が陽の光に晒された。


同時に俺の脳内には正体不明の声が響いてきた。


『〔強制進化〕完了。[深山 燐の右腕]は[白き腕]に進化。』


俺の理解が追いつかないうちに声はさらに続く。


『スキルを自動獲得。〔部位破壊Lv1〕〔武刃術Lv1〕〔道標Lv-〕〔瞑想Lv1〕』


「えっ? はっ? はぁっ?」


混乱する俺に配慮する気は無いのだろう、声はどんどん続けた。


『〔強制進化〕により、ランダムにスキルを強制進化。ダラララララララララララララ……』


(ドラムロール!?)


『ドン! スキル〔瞑想Lv1〕を〔自動回復Lv1〕に進化。』


その瞬間、俺の身体に異変が生じ始める。


「……!? 傷が、治っていく……!」


シュウシュウと音を立てて、僅かではあるが少しずつ傷が塞がっていく。

段々と身体から倦怠感が無くなり、痛みも薄れ始めている。


「身体が……、動く!」


ニギニギと剣を掴む腕を動かす。多少痛みはあるがこれなら!


「くっ……、よっ…! っと」


剣を杖にして何とか立ち上がることに成功する。すると俺の視界には。


「あっ、そういえば俺戦ってたんだっけ……」


すっかり目の前の存在を忘れてしまっていた。

自己弁護をするつもりはないが仕方のないことだろう。そりゃああれだけ短時間に色々起これば多少物忘れはするものだ、そうだろう?


「まぁ、今の身体の調子なら戦えるよな」


そう思い軽く飛び跳ねたりしてみる。


「つっ! まぁ、当たり前か」


恐らく〔自動回復Lv1〕と言うスキルのおかげで多少治ってきてはいるが、完全回復とはいかないだろう。やはりあちこちが少し痛んだ。

だが、戦闘を行うには十分な回復だといえる。

それなら、やることは当然一つだ。


「お前らを……ぶっ倒す!!」


今まで様子を伺っていたのであろう眼前の三匹に対してそう宣誓した。

果たして俺の言葉を理解したのか、それとも俺の気迫とか言葉にできない何かを読み取ったのか。


「グオオォォォォッ!!!」

「ガアアァァァァッ!!!」

「ブギイイィィィッ!!!」

あちらも先程とは打って変わり、それぞれが騒ぎ出し始める。


一体何故なのかは知らないが、その時俺の口元から笑みが零れた。

ニヤリと笑い、剣を肩に担ぎ俺は飛び出した!

向こうは当然迎撃の体制をとる。そんな万全の状態で構えているところに、剣を振り下ろせば力の差を考えればどうなるかなど見ずとも分かる。

だから俺は——。


「おらっ! ここだっ!」


素早く姿勢を低くして三匹のうちの狼の死角から剣撃を叩きこ——めなかった。それは何故か?


「はぁっ!?」


今の様子を見て入れば分かる。剣が()()()()()()のだ。


俺は即座に自分の手を確認した。手汗は、それほどかいていないから汗で滑ったとは思わない。そして俺は柄をしっかりと握っていた。グーパーグーパーと手を閉じたり開いたりしてみる。動かすのに支障は一切ない。

なら何故?


そんな悩みを抱えた俺に、更なる混乱が俺に襲いかかる。


『チュートリアルを開始します。』


「ハァッ!?」


こんなリアクションしか出来ない俺を一体誰が責められようか。



最初書こうと思っていた内容が段々勝手に進化していく。やっぱり〔強制進化〕は止められないんだね。

〔強制進化〕だからデメリット満載の進化でも止められないんだよなー。

もちろんメリットのある進化だって止められないよ!

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