一章 6話
なんとか仕上がりました!
さて、なんだか軽くSっ気のある少女と無事に打ち解けたことだし、これからのことを考える。
(えっと、まずはどうしようか。……傷の手当てができるところを探すべきだな)
ザッと自分の身体を眺めてそう思う。左肩に大きく開いた咬み傷に左腕の切り傷。正直立ってるのも辛くなってきた。
だがまだ倒れるわけにはいかない。もし近くにさっきの狼とは違う敵がいたならば、こんな所で倒れていたら喰われてしまってもおかしくはない。そして何よりこの子の安全を考えるならばそれは絶対にありえないよな。
「よし、それじゃ、えーと、えー…」
しまった、名前聞くの忘れてた。俺の様子を見て女の子はこちらに不思議そうな目を向けている。
「リンさんどうしたんですか?」
「え、あ、いやぁその……」
「?」
女の子は俺のまごまごしている言葉に可愛らしく小首を傾げている。
ええい、仕方ない!
「あの、君の名前は!?」
「きゃっ」
「あっ、驚かせちゃったね、ごめん!」
ビックリした様子の女の子に即座に謝る。
「あ、そんなことないですよ。それと私の名前はリラです。本当は私が最初に名乗らなければいけなかったのに、ごめんなさい」
「い、いやいやいいんだよ! それにあのタイミングじゃ自己紹介のしようもないでしょ?」
「え、でも…」
シュンとしてチラリと上目遣いでこちらを見て来るリラのなんと可愛いことか!
「いいからいいから気にしないで! ね?」
「分かりました。やっぱりリンさんは優しいんですね! やっぱり神様って呼んでいいですか?」
「いや、それはもうホントにやめて……」
思わずげんなりしてしまう。だって俺が神様って……、天地がひっくり返ってもありえないよ絶対。大体俺人間だし。あれ、人間か?
思わず自分の腕と足を見てしまう。
(この格好は人間っていうより化け物だろ……)
相変わらず俺の腕と足は人間とは程遠い形状を保ったままだ。
「リンさん、私はその腕と足かっこいいと思います!」
そんな俺を見ていたのだろうか。 ニコッ! と桜のような小さな可愛い笑顔でそんなことを言ってくれた。
(なんだこの子、天使かよ……)
「リラちゃん、ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞なんかじゃないです! だってリンさんはその手で私を助けてくれたんですよ? とってもかっこいいじゃないですか!」
相変わらずニコニコと丁寧にまたお世辞を述べてきた。
「え、う、そ、そうかな……」
分かっている。分かっているんだ。だけど、こんなに可愛い子にそんなことを言われてしまったらお世辞だろうが喜んでしまう。それが男ってものだろう!?
「ッとと……」
「あっ、大丈夫ですか!?」
少し足元がふらついてしまった。お陰でリラちゃんにいらない心配をかけてしまった。
「ごめんごめん、なんでもないよ。 それより早くここから移動しようか」
「分かりましたけど……、本当に大丈夫ですか?」
本気で心配した顔を向けて、不安を露わにするリラちゃん。
「大丈夫だよ。でも早くしないと大丈夫じゃなくなりそうだから早く行こっか?」
「は、はいっ、そうですね!」
「うん、……あれ? とは言ってもどこ行こう?」
「それならやっぱり私の村がいいと思います、ここからそんなに離れてないですしそうしましょう!」
「あ、そうだね。じゃあ道案内お願いできるかな?」
リラちゃんはトンと胸を叩いて、
「任せてください!」
力強くそう言った。
ちょっと短くなってしまった。
そしてやっぱり進行遅いですよね。次回からはなるべく巻きで書こうと思います。