第六話
「さぁ、勇者よ私に力を貸して欲しい。」
周りの男たちはその黒い奇妙な形をした槍を自分の顔辺りまで上げて構えている、
「あまり歓迎されてはいないようだが?」
「お前達、銃を下げよっ!!」
ふむ、あれは銃というものか?
男の声を受け周りの男たちは銃を下げる、
「力を貸して欲しいとのことだが、何を望む?」
男は一冊の本を開き何事かを詠唱し出す、
その詠唱が終わったのであろう、
「隷属せよっ!!」
ダイの周りに青白い輪が纏わりつきダイを拘束する
「これは?」
「ふふふ、勇者よこれは隷属魔法、これでお前は死ぬまで私の命を聞かねばならないのだ、はははははははっ!!!」
「ははははははははははっ!!!」
男とダイの笑い声が重なる、
「貴様っ!!何を笑っているっ!!そこに跪けっ!!」
「ははははははははははっ!!!」
しかしダイは少しも動かずに笑い続けている
「貴様っ!私の命令が聞けないのかっ!!そこに跪けと言っているだろうっ!!」
「俺に呪いの類は効かんよ。」
ダイはそう答える、
「ええいっ、こんな奴は必要無いっ!!お前たち撃ち殺してしまえっ!!」
「「「「「はっ!!」」」」」
周りの男たちはそう答えると銃を構えダイに向かって銃を撃つ、
銃は機関銃、
数十、数百発が一斉にダイ目掛けて撃ち込まれる、
しかし一発たりとてダイには当たらない、
スキル万武不当の効果で武器による攻撃はダイに一切当たらない、
「な、な、な、何なんだ貴様はっ!!何故一発も当たらない、何者だっ!!」
「お前が一番解かっている筈だろう?」
「わぁあああああああぁっ!!」
男は我先にと逃げ出す、
しかし逃げ出したその先で何かが男にぶつかる、
男がよくよく目を凝らしてみればそれは先ほど自分が呼び出した勇者、
何をどうすればあの場から自分を回り込むことが出来ると言うのか、
そのまま男は床へとへたり込む、
「話くらいは聞いてやるぞ。」
ニヤリと笑いながら手を差し伸べる勇者の笑顔はとても恐ろしかった。
「ふむ、ある程度は理解した。」
「それで、ダイ様、如何で御座いましょうか?」
ここは男の部屋、
現在ダイと男は二人きりである、
男の名前はジョーン、
この国の三代目の王である、
まるで判決を待つかのような表情でジョーンはダイの返答を待つ、
その姿を他人が見ればその小太りな体系もあいまって、
まるで屠殺場で自分の番では無い事を祈る豚のようであった、
(屠殺場の豚にそのような感情があるのかどうかは別として)
「はっきり言って無理だ。」
「そっ、そこを何とか。」
「まずこの民族が無能すぎる、他人を妬む事しか出来ず、その癖に気位だけは高い、はっきり言って俺のいた国ならば民族すべて始末するか奴隷以外に使い道が無い、一番のお勧めは憂いを無くす為に全滅だな。」
そう、ダイはジョーンからこの世界の成り立ち、
歴史などを聞きこの世界特有の物であろうコンピュータなる情報機器によりこの世界の情勢を知る、
閲覧制限をかけていたりもされたがそこは勇者ダイ丁寧に閲覧解除をさせその全てを知る事となった、
ジョーンはダイの言葉に震えていた、
「俺がこの半島の民族全てを始末してやろうか?そうすればこの星はかなり暮らしやすくなるぞ?」
そう、この半島の民族はこの星の厄介者だった、
何度か立ち直る機会はあったのだがその度に時の権力者がそれを許さなかった、
民が無知であるほうが権力者にとって都合が良いからである、
ダイも為政者であったから解からなくも無かったがそれでは国が発展しない、
その政策は先を見られないタイプの者、
又は生きても高々100年と言う人間だからこその発想なのかもしれない、
今が良ければ先の事等知ったことでは無いと言う事なのだろう、
この民族はその典型的なタイプだった、
土地を食いつぶし何も残らないような土地にしてしまう者達、
この民族は蝗よりもはるかに性質が悪い、
「ふざけるなーーーっ!!!」
ジョーンがダイに向けて発砲する、
当然ダイには当たる筈も無く、
「そう出ると思ってはいたがな。」
残念だ、
そう一言つぶやいてダイはジョーンを一瞬のうちに始末する、
発砲を聞きつけやってきた護衛も始末し周りに人が居ない事を確認すると、
ダイは浄化の魔法を変化させ唱える、
浄化は通常穢れた土地やアンデッドを倒すために使われるがダイはこれをある一部の遺伝子を持つ者だけが効くように変化させる、
いきなり全員が死んではこの世界で混乱が起きても困る、
故に子供が生まれない様にする絶対避妊の魔法と組み合わせる、
そして短命の呪いも組み込み魔法を発動させる、
星単位にまで広げる為に大分魔力を消費したが、
これでこの星からこの民族は長くてもあと20年ほどで消えるはずである、
「ふむ、我ながら良い仕事をした。」
そういってこの世界でしか手に入らなそうな知識を吸収したダイはスキル的在的所を使って帰ったのだった。