〜3章〜 破壊
ー夜ー
アリス「スースー」
アリスはベッドで寝ている。
輪廻は、缶コーヒーを飲みソファに座っている。部屋は薄暗くソファ近くの明かりがついているだけ。
輪廻「ふぅ、たくっ呑気に寝やがって。」
コンコン
輪廻「?」
輪廻はドアのそばにいき銃を構えた
輪廻「誰だ!!」
・・・返事がない
バサッ
!!後ろで物音だと
そこにいたのは、アリスを抱えたプロメテウスだった。
プロメテウス「典型的なトラップにひっかかりましたね。」
輪廻「チッ、貴様!!」
窓から入ってきたのか
俺としたことが、こんな単純な事にひっかかるとは!!
ドアの呼び鈴はトラップ。俺がドアの近くまでいった隙に部屋に入った
輪廻「アリスをどうする気だ!!」
プロメテウス「さぁ~て、どうしましょうかねぇ。」
プロメテウスは、手に持っていた物を投げた
プシューーーーーー
輪廻「ガス!!」
プロメテウス「ご安心を・・ただの催眠ガスですから。」
プロメテウスは、即座に窓から飛び出た
輪廻「ま・・て!!」
ちくしょう・・・ドサッ
アリス「・・ん?・へ?なに・・ここ」
アリスは全身を縛られて手術台の上みたいなものの上にのせられていた。
プロメテウス「やぁ、アリス。久しぶり。私の事覚えてるよね?」
アリス「先生!?これはいったい?あたしはホテルにいたはず?」
プロメテウス「僕がさらった」
プロメテウスは、その辺の棚にある薬剤みたいなものをいろいろと混ぜたりしながら話しだした。
プロメテウス「実は、僕は科学者でもあるんだが、組織内には僕の他にも科学者がいてね。そいつが最近最高の殺戮殺人化学兵器を作り上げてね。組織内でのそいつの信頼は上がり、逆に僕の信頼はガタ落ちだ。」
アリス「それとあたしをさらった理由はどう関係あるんですか!!」
プロメテウス「しかし、僕はやつの開発したエンジェル・ダストを超えるものが作れそうなんだ・・しかし、まだ試作段階。」
アリス「・・・!?」
プロメテウス「君に実験体になってほしいんだ。ちょうど状況は作られたしね。」
アリス「なにを!?」
プロメテウス「なぁーに、すぐに楽になるよ。」
アリス「注射器!?・・・嫌な感じしかしないんですけど。」
プロメテウス「アヒヒ、さぁ~て始めよう」
アリス「嫌だよ、・・やめ・・・て」
プスッ
アリス「ぎぇあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
輪廻「ハッ!!」
ベルゼビュート「目が覚めたかい?」
輪廻「俺は・・・」
ベルゼビュート「ホテルの部屋で倒れていたんだよ。君は。」
輪廻「そぅか。・・・!!プロメテウス!!あのクソガキはどこに行った」
ベルゼビュート「アリスの事ですか?部屋にはいませんでしたが。」
輪廻「プロメテウスは今どこにいやがる!!」
ベルゼビュート「さぁ、わかりかねますね。」
輪廻「チッ」
プロメテウス「あ、輪廻くん!?どこに」
どこだ!!どこに行った!!アリス!!!
なんでだよ、ちくしょう。甘かった、協力者という肩書きに目がいったがあいつはまだ10歳のガキ。
輪廻「ハァハァ、ハァハァ。」
街から遠く離れた雪山に来ていた。
根拠なしにきたわけじゃない。アリスが寝る前にプロメテウスが授業をおこなったという教室がこの辺にあるらしい
輪廻「しっかし、周り雪ばっかだな。」
って、あたりまえか。
シャリシャリ
雪を踏む足がどんどん遅くなっといく。
ちくしょう、体が芯まで冷えてきやがる
輪廻「ハァハァ、ハァハァ。」
プロメテウス「誰を探してるんだい。」
輪廻「貴様・・・、ハァハァ。」
プロメテウス「相当体力を消耗してるな。まぁ、そんな薄着なら当たり前か。」
輪廻「・・・・・ぁあ、ぐっ。」
くそったれが!!
ドーーーーーーーーーン
プロメテウス「これはこれは。」
輪廻は、自らの手に銃を撃った。
輪廻「ぐぁ、っくーーーーー。ハァハァ、よーし頭がさえてきたぜ。」
プロメテウス「まったく、無茶な。」
輪廻「アリスはどこだ!!」
プロメテウスは、輪廻の後ろを指差した
輪廻「!?」
そこには、アリスがいた
輪廻「ちっ、クソが!!さっさと帰るぞ!」
アリス「・・・」
輪廻「あ?聞こえねぇのか?おい!!」
プロメテウス「ククク、そんな人形に話しかけてもなにもかえってはきないさ。」
輪廻「てめぇは、さっさとくたばりやがれ!!」
輪廻は、銃を構えた
ガチャ
ドーーーーーーーーン
輪廻「ハハハ・・・・嘘だろ?」
銃弾が輪廻を貫いた
銃を撃ったのは、輪廻でもなくプロメテウスでもなく、アリスだった。
プロメテウス「ククククク・・・・・あはあはあはあはあはあはあはあはあはあ!!かんせいだ!!人形に情を抱いた馬鹿な男の舞台がな!!さぁ、アリスやってしまえ。」
アリス「・・・はい」
プロメテウス「この薬も完成は近いな。」
これは、投与された人間は自我を失い虚脱状態になり最初に話しかけられた人間の奴隷となる。最高に都合がいい薬物だ。
しかし、エンジェル・ダストと違い直接体内に投与しなければならないところが難点だが。
エンジェル・ダストは空気中に散布したのを吸い込めば感染する細菌タイプ。
こちらは、その分致命的だが。
プロメテウス「さぁ、殺せ!!」
アリス「・・・」
ガチャ
輪廻「目ぇ覚ませよ!!ふざけんなよ!!こんな事があってたまるか!!」
なにか、何か手があるはずだ。
考えろ。あのクソガキを助ける方法が。
輪廻は、撃たれた足をおさえながらうつむせで自分の気持ちを叫んだ
プロメテウス「輪廻くん、人形に話すのはあまりにも無駄がすぎるな。それに、もうアリスは君の知るアリスではない。」
輪廻「ふざけてんじゃねぇぞーーーーーーーーーーぁあーーーー!!あのガキには笑い続けられる世界にい続ける権利があるんだ!!てめぇや俺みたいな人間のクズが奪っていいものじゃねぇんだよ!!」
ガチャ
プロメテウス「その状態でまだ私を撃とうとする覚悟があるとは」
輪廻「地獄に落ちるのはテメェと俺で十分だ!!!!!」
俺には、無様な死に様がお似合いだぜ・・・
散々人をぶっ殺してきたんだ、今更自分の幸せなんて望むかよ。
けどな、あのガキはちげぇだろ!!
ズドーーーーーーン
プロメテウス「馬鹿な!?・・なぜ撃たない?アリス・・」
輪廻の撃った銃弾はプロメテウスの顔面をえぐった。
プロメテウス「ぐっ、ぁあ。・・クッソガキがぁ!!」
そう言うプロメテウスの顔には火傷のあとがあった
輪廻「・・・!?」
ドクン・・・ドクン
こいつ・・・まさか・・・
プロメテウス「ちっ、せっかくの変装が台無しじゃねぇか。」
プロメテウスの声が変わった
この声・・あの火傷・・・
輪廻「貴様ぁーーーーーーーーー!!ぐぅえ」
プロメテウスの足蹴りが輪廻の顔面にあたった。
プロメテウス「急になんだ?いきなりよ~、これだからガキは。」
輪廻は、うつ伏せで顔だけを上げる形でプロメテウスを睨みつけた。
輪廻「三年前・・・、貴様は・・俺の家族を殺した。」
プロメテウス「三年前?んー、ぁー覚えてねぇわ。つーか、この変装もういいか。」
ベリベリベリベリ
プロメテウスは、自らの顔面を剥いだ。
プロメテウス「ふぅー、すっきりだ。」
輪廻「ふざけんな。」
プロメテウス「はっはー!?いいかよく聞けクソガキ!!世の中弱肉強食なんだよ!!敗北したあとに汚ないだなんだど言おうが負け犬の遠吠えだ!!今のテメェにぴったりじゃねぇか。」
プロメテウスは、それを輪廻の頭を踏みつけながら言った。
輪廻「・・・」
確かにな。
こいつの言うことは、十割十全理にかなってやがる。弱肉強食、この世は確かにそうだ。やったもん勝ちの腐った世の中さ。
だから、俺もてあたりしだいにぶっ殺していこうなんて考えたわけだしよ。
・・・
三年前の俺は力がなかった。
だから、救えなかった。
じゃあ・・・今の俺は?
復讐とアリスの命
はっ・・・
比べるまでもねぇ
プロメテウス「さて、消えてもらおうか。」
輪廻「なぁ。大切なものってなんだ?」
プロメテウス「謎かけは好きじゃねぇ。が、後学のために教えて頂きたいものだね。」
数日だが、あいつと過ごした日々は俺を変えたんだ。
いや、変えられたが正解か?
人にとって答えは違うだろう。だけど、少なくとも俺はこう答えるぜ。
輪廻「自分のために本気で笑ってくれる人だ!!」
プロメテウス「それが君にとっては・・・」
輪廻「アリスだ!!」
輪廻がアリスの名を口にだしたのはこれが始めてだった
その刹那アリスの頬を一粒の涙が濡らした