1章3話 「崩れさる平和」
【登場人物】
凛夜レイガ この物語の主人公。ゲームが好き。
異世界に来る前は引きこもり。
はなを探しに異世界に来た。
陽野森はな レイガの幼馴染。異世界に転生した。
転生前は学生。現在、行方不明。
インス レイガを異世界に送った女神(?)
謎多き存在。
ヴェイル 世界のパワーバランスを崩した。
史上最強とも言われる存在。
【悪魔教:世界中で暗躍する組織。】
エスパル 大幹部の1人。サイギョクを襲う。
俺がサイギョクに来てから30日。街から旅立つ頃、サイギョクで黒いフードの服の人たちを見かけるようになった。そして、今日も今日とて、平和が続くのだろう。なぜ人々はそんなことを思い込まずにはいられないのだろうか。俺は生涯この日のことを忘れることはないだろう。悪魔教の脅威を知ることになった日を。
その日、俺はいつも通り鍛冶屋で働いていた。街の人たちとの交流も深まり、俺はこの街から旅立つのが悲しくなるような気がするくらいだった・・・・・・
「親方、こんな感じでどうでしょうか!」
「おう、レイガ。ようやく掴んできたな……もう少しで旅立っちまうんだってな。この前、一緒に作った剣は今日の夜には完成するぜ!楽しみにしてな。」
「ありがとうございます!親方」
いつも通りの他愛のない会話。外では、子どもたちが遊んでいるのだろうか。楽しそうな声が聞こえる。そして、刻一刻と運命の刻は迫っていた。
夜、俺は再び鍛冶屋に来た。
「これだぜ、レイガ。持っていけ!行っちまうのは悲しいが、俺たちはここにいる。いつでも戻ってこい!」
「親方ありがとう!」
俺は街を出るために道具一式を持っていた。そのとき突然、爆発音が鳴り響いた。辺りの人たちは阿鼻叫喚としている。動揺するものもいれば、落ち着いている人もいる。はたまた、泣き喚く人もいる。街にサイレンが鳴り響く。火事が起きたようだ。
すると、遠くのほうから凄まじい量の足音が聞こえてくる。黒いフードの人だと思われるものが大勢いる。その数はざっと1000はいるのではないか。
「親方。あれはなんですか?」
俺は親方に聞いたが、親方の返事はない。そして、ふと親方のほうに目をやると顔を青くして、震えている。親方だけじゃない。大人はみんな怯えていた。それを見て、俺はわかった。あれが『悪魔教』なのだと、親方たちは23年前までに起きた惨劇の数々を知っているのだろう。すると、黒フードの隊列の中から、明らかに異様なやつが出てきた。周りは黒一色なのに対し、1人だけ黒に金色が少し入っている。そして、そいつはフードを下ろした。
「えー、皆様。今日からこの街は私たちの所有物とさせていただくのでアリマス。」
コイツは何を言っているのだろうか。
「そのため、邪魔でアリマス皆様には消えていただくのでアリマス。」
は?なんなんだ、コイツは。
「そこのアナタ、私のことをなんなんだ、コイツはと思ったでアリマスね。ならば、私の名をなのるのでアリマス。私の名前は、悪魔教大幹部エスパルでアリマス。以後お見知りおきいただきたいでアリマス。」
その名を聞いて、一部の人が逃げ出す。しかし、エスパルは言った。
「逃げた人たちは有罪でアリマス。命を持って罪を償うでアリマス。」
次の瞬間、逃げた人たちの頭が弾け飛んだ。足元に転がってきたのは眼球であっただろうものや、脳の一部。おそらく、あいつの話ぶりから考えるに、心が読めたりするのであろう。これは詰みだ。
「そこのアナタ、心を読めるのだろうと考えたでアリマスねぇ。正解でアリマスよ。正解したので景品でアリマス。」
次の瞬間、親方をはじめ、周りにいた人たちの頭が全て吹き飛んだ。
「エスパル……お前だけは許さない。」
俺は親方と一緒に打った剣を抜く。
「うぉぉぉぉ!!!」
「いいものを見せてあげたと言うのに、、、残念でアリマスねぇ。仕方ないでアリマスね。」
エスパルが手を前に出す。次の瞬間、左目が見えなくなった。そして、猛烈な痛みに襲われる。
「ハハハハハハハハ、惨めでアリマスねぇ。」
エスパルが高笑いする。俺は残った右目でエスパルを睨む。
「おっと、怖いでアリマスねぇ。そろそろ、時間のようでアリマスねぇ。さようならでアリマス、レイガくん。ハハハハハハハハ」
そして、俺は7日前に死に戻った。ここからやり直せるのだろうか。エスパルの笑い声と、最後のレイガという言葉が脳裏に残っている。
俺は、強い絶望感に襲われるのだった。
初めましての人ははじめまして!こんにちは。
またお会いできた人は4回目ですね。
悪魔教大幹部エスパルの登場によって、レイガは絶望することになってしまいます。あのような能力を持っている相手にレイガはどう立ち向かうのか。楽しみにしていてください。
感想だったり、ご意見いただけると今後の制作の参考になりますので、ぜひともお願いします!
それではまた1章4話で会いましょう!
次回は近日中に公開予定です。




