1章2話 「うまい話には裏がある」
【登場人物】
凛夜レイガ この物語の主人公。ゲームが好き。
異世界に来る前は引きこもり。
はなを探しに異世界に来た。
陽野森はな レイガの幼馴染。異世界に転生した。
転生前は学生。現在、行方不明。
インス レイガを異世界に送った女神(?)
謎多き存在。
シューメル ただのいい老人。集落最後の住民。
ヴェイル 世界のパワーバランスを崩した。
史上最強とも言われる存在。
【謎組織】
悪魔教 世界中で暗躍する組織。
「クソッタレがァァァ!!!!労働基準法どこだよぉぉ!」
俺は今、異世界の洗礼を受けていた。どうして、こうなったのか…少し過去に遡ろう。
ー3日前
俺は『サイギョク』という街に来た。ここはイーストカリスの中で田舎町ではあるが首都との距離が短いため、人口が多いらしい。俺は1ヶ月ほど滞在して、路銀を稼いで、幼馴染を探すための旅に出るつもりだ。
「まぁこれはしばらくの生活の足しにでもしてくれ。」
シューメルから1万クローバーを貰った。クローバーとは、この世界で流通している通貨のことだ。ちなみに宿屋はめちゃくちゃ安く、3日間10クローバーほどで泊まれるようだ。そして、ここでシューメルと別れ、俺は宿屋の部屋を取り、仕事を探し出した。
どれも命を張るものが多すぎるのだ。その中に1つ、素晴らしい仕事を見つけた。『鍛冶屋』だ。鍛冶屋は賃金こそ安いが、屑鉄なんかで剣でも作れれば、武器を買うお金を節約できる。うん、そうだ、鍛冶屋にしよう。俺は鍛冶屋で働くことにした。
鍛冶屋は予想以上にキツかった。親方が納得する武器を作れるまで、仕事から上がらせてもらえない。そして、中々帰ることができず、、、
「クソッタレがァァァ!!!!労働基準法どこだよぉぉ!」
今に至るというわけだ。労働基準法なんてものはもちろん異世界には存在しない。
そして、俺は仕事をやめることにした。1週間は頑張った。そう1週間、、、親方にしばかれ続けた1週間。
とはいえ、仕事がないのは困る。そこで一際、目を引く求人を見つけた。
「『簡単・誰でも稼げる。森で木の実を収集し、加工するだけ。日給15万クローバー』。見つけたぞ、ついに。」
案外、異世界もチョロいものだ。木の実を収集して、加工するだけで15万も稼げるのだ。この世界に勝ったも同然であろう。俺はこの求人に申し込むことにした。
ー1日後
今日はバイト初日だ。ふふふふ、ついに勝った。これで俺も勝ち組であろう。しかし、こんなにもうまい話 なのに、なぜか俺以外に人がいない。この求人に気づかなかったのだろうか?まぁ人のことはいいのだ、俺は仕事を開始した。
もちろん、ただ木の実を集めるだけだ。何事もなく余裕であった。さらに、木の実を加工するのも木の実AとBを粉々にして、混ぜ合わせ、水を入れて、乾かすだけという簡単なお仕事だった。ふぅ、これで終わりか。さぁ給料もらって帰ろう、と思い、動いたとき、後ろから剣を抜くような音がした。
「え?」
「悪いな。お前には消えてもらう。」
「嘘ですよね?」
「嘘ではない。」
「えっと、一応なんでか聞いても?」
「冥土の土産に教えてやろう。」
どうやら、この仕事で作るモノは、国から直々に法律で禁止されている違法なモノだったようだ。つまり、俺はそんなことも知らずにまんまと嵌められたようだ。どこからやり直すことになるのだろうか。うまい話には裏があるとよく言うが異世界でもそれは本当のようだ。
「すまないな。証拠隠滅のための犠牲になってもらう。」
強く体に何かが刺さる衝撃。痛い。苦しい。熱い。血が止まらない。声を上げようとしても出てくるのは掠れた声。ようやく絞り出して出たのは声ではなく、血の塊。・・・・・・死ぬのは嫌だ。だんだん寒くなってきた。俺の視界は少しずつ霞んでいき、やがて…………
「どうしたんだい?レイガくん。もうサイギョクに着いたぞ。」
俺はサイギョクに着いたその瞬間に戻ったらしい。そして、またシューメルと別れた。
ん?どの仕事に就くかだって?もちろん、、、鍛冶屋で働くことにした。今度こそは前回の経験も活かしてやっていきたい。
うまい話には裏がある。異世界でも通用する言葉だと痛感した。そして、死に戻りは今後使いたくない……
初めましての人ははじめまして、こんにちは。やまぬこもちと申します。
またお会いできた人は3回目になりますね!
今回のお話はどうだったでしょうか?感想だったり、ご意見いただけると今後の制作の参考になりますので、ぜひともお願いします!
ところで、そろそろ思ったことがあるのではないでしょうか、はなはどうするの?とこれに関しては乞うご期待をとしか言えません。笑
それではまた1章3話で会いましょう!
次回は来週まで公開予定です。
サブキャラにフォーカスを当てた閑話も制作予定です、、、




