1章1話 「始まり」
【登場人物】
凛夜レイガ この物語の主人公。ゲームが好き。
異世界に来る前は引きこもり。
はなを探しに異世界に来た。
陽野森はな レイガの幼馴染。異世界に転生した。
転生前は学生。現在、行方不明。
インス レイガを異世界に送った女神(?)
謎多き存在。
シューメル ただのいい老人。集落最後の住民。
この世界に着いた瞬間に俺は気づいた。女神に騙されたということに。俺の目の前に広がっているは何もない世界。だだっ広い平原が広がっている。所々にかつて何かがあったであろう建物の残骸があるくらいだ。遠くに見える家らしきものに人が住んでいなければ、このまま野垂れ死ぬだろう。俺はあの家らしき場所へと歩き出した。それにしても、異世界といえばのようなモンスターらしきものは見当たらない。というか、普通に日本でも見かけるようなバッタやトンボ、蝶がいる。それに、あそこには熊がいて…ん?く……ま?
まずい!このままだと熊に食われて死ぬ!いや、異世界に飛ばされたんだ。きっとチート能力があるはずだ。そして、俺はこの世界に来る前にやったゲームの技を思い出す。
「ギガデイン!」
そうRPGゲームの金字塔のような作品の魔法だ。しかし、何も起こらなかった。そして、次の瞬間、強い痛みに襲われ、そのまま俺の視界は真っ暗になった・・・。
あれ?生きてる。なぜだろうか、俺は確実に熊に喰い殺されたはずだ。しかし、なぜだか俺は生きている。女神の言っていた4つの能力のうちの1つだろうか。ゲームだったり、ラノベで見たことがある。そう、これは『死に戻り』と言われるものなのだろう。正直言うと、俺はこの能力はいらない。だって、普通は死にたくないからだ。残りの3つもこんな能力だったら……と思うとゾッとする。とはいえ、現状では死に戻りしか能力はわかっていない、せっかくもらった能力なのだから、時には有効利用していきたいと思う。
ようやく、目指してた家に着き、戸を叩く。
「すみませーん。誰かいらっしゃいませんかー?」
俺の呼びかけに応えるかのように扉が勝手に開いた。魔法か何かが扉にかかっているのかもしれない。俺が家の中に入ると勝手に扉が閉まった。中身は特段変なことはない普通の家だった。俺が周りを見渡していると
「いらっしゃい。こんなところに人がくるなんてね、だいたい23年ぶりじゃか……」
老人が言った。
「23年ぶり?何かあったんですか?」
「もしかして、おまえさん知らんのかい?」
俺は頷く。
「いいじゃろう。どうやらおまえさんはこの世界の人ではないようじゃからの。」
老人は話し始めた。
老人は名をシューメルと言った。シューメルが言うには、この世界では悪魔をこの世に復活させ、世界を1から作り直そうとする組織『悪魔教』というものがある。それに対して、様々な国々が法や武力などにより全面戦争を封じ込めている。現在、俺がいるのは極東に位置する国『イーストカリス帝国』であるとのことだ。そして、この土地はかつて小さな集落があったらしいのだが、悪魔教とイーストカリス帝国の衝突により、シューメル以外の人たちは住宅などを失ってしまい、集落から出ていくしかなくなってしまったのだ。そして、23年前この国に世界のパワーバランスを "たった1人で" 変えてしまう男が生まれた。その男が悪魔教にとって脅威なのか、戦うための準備が足りてないのかはわからないが、その23年前から悪魔教の侵略行為は起きていない。その男の名前は、ヴェイルというらしい。
「色々とありがとう、シューメル。俺はこれからある人を探すために冒険へ行かなければいけない。そのための路銀を稼ぎたい。ここから1番近くの街を教えてくれ。」
「いいじゃろう、近くの街まで送ってやろう。」
俺はシューメルの案内を受け、この家をあとにした。
俺はこのとき、知る由もなかったのだ。弱火になっていた火がこれから戦火として、この世界を業火に包むことになるということを。
初めましての人ははじめまして!こんにちは。
前回も読んでくれた方は2回目ですね。
今回からようやく異世界?っぽくなってきたのではないでしょうか。
感想だったり、ご意見いただけると今後の制作の参考になりますので、ぜひともお願いします!
それではまた1章2話で会いましょう!
次回は9/7頃公開予定です。