第六話 御指名依頼
おおよそ朝の8時を回ったころ。
家の扉をたたいてミレイを呼んでいる人がいた。
「はーい」
ミレイは起きていたようで、出ていった。すると、自分も来るように、と言われた。
玄関に出ると、ギルドの職員の方がいた。
「どうしました?」
「実はですね、森の奥のほうで謎の魔物が出たと報告が。個人の方が見つけまして。本人は恐怖のあまりすぐに帰ってきてしまったらしく、どういったものなのかがわからないのです。
あまりにも凶暴だと今後の冒険者の活動に影響が出る恐れがあるので、調査をしてきてほしいのです。」
「自分まだF+なのですが...」
「いえいえ、こちらでもステータスのほうが確認できるのですが、貴方のステータスはすでにD帯に通用するほどですので。申し分ないかと。」
ギルドはそういうことも把握してるのか...
「それに、こちらのDランクのカロイ君をつけますので。」
職員の後ろから、一人の男性が出てきた。ミレイと年が近そうだ。猫背で前髪が長く、ちょっとぼさっとしている。
「あ、カロイです...よ、よろしく...」
かなりの人見知りなようで、声がかなり小さかった。
「それでは、報告を楽しみにしています。」
そういって職員の方は帰っていった。これがいわゆる指名依頼ってやつか。
「あ!カロイじゃん!久しぶり!」
「知っているんですか?」
「うん。8年くらい前に知り合って、たまに一緒に依頼受けたりしてたんだよね」
結構前なんだな。
「ひ、久しぶり...げ、元気してた?」
「うん!元気だよ!あ!紹介するね!この子はヨシモト・ケンヤ!私とは違う世界から来たのよ!」
そんなこと言っていいの!?
「よ、よろしく。名前的に、僕とも違う世界なんだね」
この人も転生者だったのか...結構身近にいたりするんだな。
「そういえば、この三人以外の転生者っているのかな?」
「ぼ、僕は聞いたことないね...」
「いや、いないわね。バカ神に聞いたことあるのよ。」
「へ~そうなんだ。」
「よし!顔合わせも済んだことだし、指名依頼の準備しよっか!」
その後、必要なものを買ったりしていく。
水や食べ物についてだが、水は川があるのでそこまで多くの量を持っていかなくていいらしい。食べ物はその辺に生えている野草や動物を狩って食べるらしい。ミレイは解体ができるので、そこまで食料には困らなそうだ。
ただ、食べ物に関してはこれまでは適当に焼くくらいしかしてこなかったらしい。実際ミレイが作る料理はパンを焼いていろいろ乗せるだけのものが多かったりした。そこで自分が元の世界で食堂の手伝いをしていたから料理はある程度できるというと、かなり喜ばれた。確かに森だと焼くことしかできないが、ソースを作ればある程度の味変は楽しめる。そのため、いくつか使えそうなソースを持っていくことにした。
この世界には魔力で動く調理器具がある。コンロのようなものや、冷蔵庫のようなものなど。人間の魔力では動かせず、動かせたとしてもずっと同じ量を流し続けなければならないのでやる人はいない。
その代わり、ギルドで買える魔力の結晶である『魔晶』というものを使うことができるようになっている。『魔晶』はステータスでいう25分の魔力を持っている。意外と安く銀貨2枚で、冷蔵庫のようなもの(魔造冷蔵庫)だと3日間は持つらしい。魔晶から魔力補給もできるので一つは持ち歩くそうだ。ちなみにだが、コンロのようなものは魔造熱板というらしい。
二人に自分の能力のことは話してある。それに、二人もスキルについて教えてくれた。
◤ミレイ 複合能力『昇耀術』
・俊 足:素早さが上がりやすくなる
・必 中:エイムが上がりやすくなる
・未来視:相手の次の行動が読める
・念 話:脳内で直接話せる。イメージを伝えることもできる
・看 破:相手の弱点・核がわかる。
カロイ 複合能力『猛闘力』
・傷強:傷を負うと一時的にステータスが上がる
・衝撃:攻撃地点から衝撃波が出せる。形は自由に決められる ◢
というかミカエルが言っていた『五つも取ってった人』ってミレイのことだったのか...だけど、ミレイが念話を持っていたので、戦闘の連携は取りやすいだろう。
カロイ君の武器は大剣だ。1mほどの大きさで、20kgはあるそうだ。だが、彼はこれを片手で操るのだからすごいと思う。ちなみにカロイ君は治癒系の魔法が使えるそうだ。不思議なことに攻撃系、結界系、治癒系の三系統がそろってしまった。本当に偶然なのだろうか...
準備した荷物を持って、森へ向かう。詳しい場所は教えられているので、あとはそこを目指して歩くだけだ。
やっぱり下書きがあるってだけで書きやすいね。
ちなみに下書きの最新話は今日だけで書き終わっちゃったよ
その前の話が結構悩んだからその反動かな。