第四話 各国の動き
少し視点を移して、アクポッド王国の幹部会議の様子を見てみよう。それは、いつもの様子とは打って変わって、とても騒々しくなっていた。
「この戦争が起こるかもしれないというときに、あなた方は何をしている!」
「不必要に民を怖がらせることはないはずだ!それに、まだ戦争が始まるという確証もないのだろう?」
「それはそうだが...
だからと言って、戦争に対する準備をしなくてもよいという言い訳にはならんだろう!」
「とりあえず、軍部はいつでも動かせるようにしてはいますが...」
「では、魔族が信仰を始めたらこちらもすぐに動かしましょう!」
「民はどうする!このままだと多くの犠牲が出てしまうぞ!」
「それは、避難させればすむ話では?」
「避難させるのは良いとして、国民の財産はどのように補うつもりですか?国庫をすべて使っても足りないですよ!?」
「それは、魔族から賠償金として奪えば済む話でしょう。お金よりも、国民をどこに避難させるか、でしょう。こちらの大陸で戦う以上、かなりの国民を避難させる必要があります。国内にはまだ土地があるとはいえ、それだけの人数を避難させることのできる地は無いですよ!」
魔族が戦争をするかもしれないといううわさが町でもよく聞くようになってきて、焦り始めたのだ。もちろん、七連の会議でも魔族の動きが怪しかったので、なんとなく察しているものはいた。しかし、そんなはずはないと安心していたのだが...
そんな議場を静かに見つめていた、アクポッドの王が、ため息交じりで言った。
「しかたない。三日後に七連の会議がある。どうせ、わが国だけでの問題ではない。フトゴ王国も同じだろう。避難先の確保などを、打診してくるとしよう。」
この発言で会議は終了、各々持ち場に戻ることとなった。戦争への不安を残しながら...
─*─*─*─
─三日後 セントル国 国際会議室にて─
「──それでは、他に何かある国はありますか。なければ、七か国連合会議を─」
「ひとつ、いいかね。」
「アクポッド王。どうぞ」
「ああ。魔族が戦争の準備をしている、という話は聞いたことがあるか。」
「まあ、そりゃあな。しかし、ただの噂だろう?あるわけがないではないか。」
「それは知っている。が、国民が不安になっているのだ。形だけでも、そういった条約が作れないか、とな。」
「アクポッド王がそこまで素直に言うとは珍しいな。」
「ああ。家臣がずっとうるさいのだ。それにぐったりしていたころなのだよ。
フトゴ王国もそんな感じではないかな?」
「いや、わが国はそこまで危機感が募っているわけではないな。空いた土地ならまだあるし、そもそも魔族領側に住んでいる人が少ない。」
「とはいえ、この先戦争が起こるとも限らん。一度、作っておくかの。期限は...そうじゃな、三年間と行こうか。」
「ありがたい...」
こうして、七連から一つの国際条約が発布された。しかし、この決定は、王がのぞんだものとはちがい、不安が増すだけだった。この国際条約が必要となる理由は、戦争が始まるからにほかないからである。
─魔王城にて─
魔王の玉座の前で、一人の暗部が報告に来ていた。
「魔王様、人族の国家より、このような条約が...」
「う、む。つまり、短期で決着をつけなければ、増援が来て膠着状態、もしくは敗北する恐れがあるのだな。もう少し、戦士魔術師の技術を上げておくよう伝えておけ。」
「承知いたしました。」
人間の間でも戦争への準備が進む中、魔族も負けじと準備を進めていくのだった。
ちょっと短くなっちゃったなぁ




