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第九話:常闇の軍勢

 俺とアリアは、新たな力を得た興奮と共に、荒れた道を進んでいた。新たな決意と覚悟を胸に秘め、彼らの目には輝きが宿っていた。険しい山道を越え、彼らがたどり着いたのは、かつて平和だった村だった。しかし、今やその村は破壊され、燃え盛る炎が立ち上っていた。


 家々は崩れ落ち、瓦礫が散乱している。かつて子供たちが遊んでいた広場は、今や無残な姿に変わり果てていた。巨大なクレーターが広場の中央に空いており、その周囲には黒焦げになった木々と瓦礫が広がっている。あたりには焦げた木材の臭いが立ち込め、炎の熱気が肌を焦がすようだった。


「この光景……ひどい。」俺が呟いた。


「誰がこんなことを……?」アリアも同様に驚愕し、周囲を見渡した。彼女の目には、かつての美しい村の面影がうっすらと重なり、その変わり果てた姿に心を痛めた。


 通りを進むと、幾つもの家が完全に倒壊しているのが見えた。石造りの家屋は無残にも崩れ去り、木製の家は灰となって地面に散らばっていた。村の中心にあったはずの大きな鐘楼も、いまや傾いて倒れかけている。鐘楼の鐘は地面に転がり、重厚な金属音を響かせながら、かつての威厳を失っていた。


 その時、かすかな声が聞こえてきた。「助けて……誰か……」


 俺とアリアは声のする方に駆け寄った。そこには傷ついた老人が倒れていた。彼の体には無数の傷があり、息も絶え絶えだった。


「しっかり!何があったんですか?」俺が老人を支えながら問いかけた。


「オルディオスの軍勢が……村を襲い、皆を……」老人は力なく語った。彼の目には恐怖と絶望が宿っており、その声はかすかに震えていた。


「オルディオスの軍勢……?」俺が疑問を抱きながら尋ねた。


「そう。彼らはただの兵士じゃないです。オルディオスは闇の魔法で古代の戦士たちを蘇らせ、彼の意のままに操っているのです。。」アリアが説明を始めた。


「彼らは不死の軍団。普通の武器では倒せない。闇の力に対抗するためには、私たちのように覚醒者の力が必要なの。」


「不死の軍団……そんなものがこの世に……?」俺が信じられない様子で言った。


 その時、周囲の空気が一気に冷たくなり、地面から黒い霧が立ち上り始めた。霧の中から、重厚な鎧を纏った戦士たちが現れた。彼らの目は暗い闇の中で赤く輝き、その姿はまるで死者が再び歩み始めたかのようだった。彼らの武器は鋭く輝き、鎧はかすかな光を放っていた。


「来ました……これがオルディオスの軍勢よ。」アリアが警戒しながら言った。


「こんな連中相手に……でも、やるしかない!」俺が剣を構えた。


 オルディオスの軍勢は一斉に動き出し、俺とアリアに襲いかかった。俺は素早く反応し、最初の戦士の攻撃を受け流して剣を振り下ろした。しかし、戦士の鎧は硬く、その剣はあまり効果がなかった。


「強い……!アリアさん、どうすればいい?」俺が叫んだ。


「覚醒者の力を使って!健太さんの剣に私の魔法を込めます!」アリアが言い、彼女の手から青い光が俺の剣に流れ込んだ。


 剣が輝き始め、その光はオルディオスの軍勢にとって致命的なものとなった。俺の次の一撃は、戦士の鎧を簡単に切り裂き、敵を地面に倒した。


「すごい……これなら!」俺は新たな力に驚きながらも、次々と敵を倒していった。俺の動きは風のように速く、鋭く正確だった。


 アリアも後方から魔法の矢を放ち、敵を翻弄した。雷の矢が空を裂き、次々と敵に直撃した。彼女の魔法は圧倒的な威力を持ち、オルディオスの軍勢を次々と焼き尽くした。


「健太さん、左から来ます!」アリアが叫び、警告する。


 俺はすぐに反応し、左から襲いかかってくる戦士を一刀両断にした。


 すると突然、常闇の支配者は、暗黒のローブに身を包んだ姿で現れた。そのローブはまるで闇そのものが具現化したかのように、周囲の光を吸い込んでいるかのようだった。彼の目は深い赤色に輝き、まるで地獄の炎が宿っているかのようだった。髪は漆黒で、風に舞うたびに不気味な影を描き出す。常闇の支配者の容姿は、恐怖と絶望を呼び起こすほどの邪悪なオーラに満ちていた。


 彼の体は長身であり、その存在はまるで影のように不定形であるかのように見えた。手には古代の呪文が刻まれた杖を持ち、その杖からは常に暗黒の霧が立ち上っているかのようだった。常闇の支配者が立ち現れると、周囲の空気が一瞬で冷たくなり、恐怖と絶望が広がっていく。


 彼の声は低く響き渡り、まるで地獄からの使者が現れたかのように響いた

 。「私は常闇の支配者。この世界のすべての闇を我が手中に収めん!」彼の言葉はまるで死の呪文のように感じられ、聞く者の心に恐怖を植え付けていく。


 常闇の支配者の存在は、まるで悪魔そのものが姿を現したかのようであり、彼の前に立つ者たちは、その圧倒的な力と恐ろしさに立ちすくんでしまうのだろう。


 俺とアリアは一瞬怯んだが、すぐに覚悟を決めた。


「行くぞ、アリアさん!」俺が叫び、オルディオスに向かって突進した。


 オルディオスの魔法が激しく襲いかかり、俺はそれをギリギリでかわした。


「なんて力だ……!」俺が歯を食いしばりながら言った。


 アリアは後方から強力な魔法を放ち、オルディオスを攻撃した。雷の矢がオルディオスに直撃し、一瞬彼の動きを止めた。


「今です。健太さん!」アリアが叫び、援護する。


 俺は全力で剣を振り下ろし、オルディオスのローブに深く食い込ませた。しかし、オルディオスはそのまま俺を吹き飛ばした。


「ぐあっ……!」俺が地面に叩きつけられた。


「健太さん!」アリアが叫び、駆け寄ろうとしたその瞬間、オルディオスが再び魔法を振り上げた。


「お前たちは終わりだ!」オルディオスが叫び、巨大な魔法を放った。


 その瞬間、俺の剣が眩い光を放ち、オルディオスの闇の魔法を切り裂いた。光がオルディオスを包み込み、彼の体が崩れ落ちた。


「これで……終わりだ!」俺が最後の一撃を放ち、オルディオスの心臓を貫いた。


 オルディオスはその場に崩れ落ち、黒いオーラが消えていった。


「勝った……私たち、勝ったのです!」アリアが喜びの声を上げた。


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