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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死にたくない

作者: 檸檬色

私は醜い人間です

何かすれば誤る無能な人間です

特別賢い訳でもなければ、抜けて馬鹿でもない、中途半端に不出来な人間です

クズになりきれぬクズなのです

口から出るのは薄っぺらい言葉だけの、どうしようもない人間です

他人に会えば、愚かな私を嗤っていると思うのです

何度も何度も死のうと思いました

しかし出来ぬのです

私は醜い人間ですが、周りはそうではありません

愛情に深い両親と、利発で才覚ある妹と、愛しくも勇ましい弟と、共に笑ってくれる友人は

私に不釣り合いなほど美しいのです

そして、私が死ねばその美しさは歪んでしまう

こんな私のためにすら、彼等彼女等は泣いてくれる

私のせいでそうなるのは嫌なのです

私の唯一の大切な物なのだから

死んでも失いたくない物のために、死ねないのです

どうすれば良いのでしょう?

私はどうすれば良いのでしょう?

この苦痛はどうすれば良いのでしょう?

やはり私は、産まれるべきでは無かった

他人に不幸を撒くことはあれ、幸福を贈れぬ私は存在するべきでは無かった

産まれてきてごめんなさい

そう謝る事しか出来ません

産まれてきてごめんなさい


縄を持つ手が震える

洗面台の鏡には、醜悪がうつっていた

元々良くもない顔がら涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている

「死にたくない…」

ぼろぼろと涙を流しながら呟いた

ほらまたダメだ

ゆっくりと台から降りようとして、ガトッと台が傾いた

「あ」

首にちょうど縄がかかった

骨は折れないが、気道は潰れている

嫌だ、死にたくない

足をバタつかせるが床に足がつく訳もなく

どんどん首はしまってゆく

死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死に

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