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11.エステ~ワイバーン山

 ウェスト引き締めコース……どんなことされるんだろう。

「まだまだ引き締めの余地があるのよねえ。さっき言ったでしょ? 楽な服を着てたら体がたるんじゃうって。今まで体を甘やかしてきた罰をたっぷり受けてもらうわよぉ」

「そ、そんな……」

「かっ彼女ほんとに敏感なんです。厳しいエステは許してあげてください。かわりに……わ、私が罰を受けます。どんなエステでも辛抱します」

「優しいのね。でも、それじゃ彼女のためにならないわよ。せっかくキレイになろうとしてるんだから応援してあげなくちゃね。それに、エステティシャンはプロなんだから心配いらないわよ。ビンカンな娘なら、それに合わせて調節して、一番切ない状態にしてくれるから大丈夫よ」

 一番切ない? 一体どんなことされるんだろう。怖くてふるえてきた。

「天使ちゃんは彼女と、切なさを分かち合ってあげるといいわよ。悦びが二倍になるようにね」


 師匠と二人で裸にされて、体重やサイズを測られてから、別の部屋に連れて行かれた。入ると、奥と左右が白いカーテンで仕切られていて、かなり狭い。そこに拘束台が二つ並んでいる。あたしたちはそこに乗せられて、片手だけ残して手足を拘束された。自由になっている手を師匠と繋いだ。

「これより、若いお嬢さん二人が美しくなるために、ハードなエステに挑戦いたします」

 カーテンが引かれる音がした。周りを見ると、大勢の人に囲まれている。あたしが想像してた通りの、エステに来るような婦人が何十人も並んでいた。こんな大勢の人に見られるなんて……!

「ではまず腸内洗浄エステから始めましょう」

 あたしは師匠の手をぎゅっと握ったまま、あまりの恥ずかしさに体をふるわせて泣いた。


 目が覚めると、俯せに寝ていた。横を見ると、隣で師匠も俯せに寝かされている。さっきとは違う部屋のベッドの上だった。

「あ……あたし、また失神しちゃった……」

「大丈夫よ。エステのコースを一通りこなすまで頑張ったわ。最後にエステを強くして、失神したところで終わる段取りだったの。二人ともすごくよかったわよ」

 防具職人が椅子に座っていた。目を覚ますのを待ってたらしい。

「さ、エステの効果を測りましょ」

 さっきの部屋に連れて行かれて、また体重とサイズを測られた。エステを一回受けただけとは信じられないくらい、特にウェストが減っていた。死ぬほど切なくて恥ずかしい思いをさせられたけど、確かにウェスト引き締めコースっていうだけの効果はあった。


 お茶を飲んで待っていると、師匠も目を覚まして測定を受けた。それからエステサロンを出て、次に向かったのは防具職人の工房だった。

「これから防具の製作にとりかかるけど、その間も練習や狩をするでしょうから、とりあえずこれを貸しておくわ。これが天使ちゃんの言ってたビキニ防具よ。これはあくまで新作が出来上がるまでの繋ぎだからね。これで満足しちゃだめよ。さ、着けてみて」

 上はビスチェ、下はビキニになっていた。

「天使ちゃんが着けたのはローライズだったんだけど、新しくハイレグタイプを作ったのよ」

 鏡を使って、後ろ姿も含めて全身を確認する。上はともかく、下は思ってたよりずっと布が少ない。後ろの布は、両手の親指と人差し指で作った▽くらいしかない。しかも、▽の下の頂点が尾てい骨のあたりまで食い込んじゃってる。ビキニ防具でお尻を隠しちゃダメなんて言ってたけど、実際にはほぼ丸出しだった。

「は、恥ずかしいです」

「ふふ。それでいいのよ。恥ずかしさをたっぷり味わってね。そうすると魔力中枢が刺激されて、魔力が成長するのよ」

 この露出度の高い防具にそんな狙いがあったなんて、知らなかった。強い冒険者ほど小さい防具を着るっていうのも、ちゃんと理由があることなんだ。


 工房の外へ出て、試作品の新型魔導二輪車を借りた。あたしは当面この試作車に乗って、使い勝手を報告することになった。

 それから弓工房で矢を受け取って、日があるうちに練習した。ただ射るだけじゃなくて矢に魔力を込めていくから、早撃ちはなかなか大変だ。

 日が落ちるとギルドで夕食を食べて、それから師匠の家に泊めてもらった。この街にもちゃんと師匠の家はあって、集合住宅だけどすごく高級なところだった。


 翌朝は買い出しをしてから魔導二輪車二台で出かけた。いよいよワイバーン狩りだ。山の麓まで行って二輪車を降りると、歩いて登った。街で買っておいたパンを途中で食べて、さらに登ると高い木がなくなり、見通しのいい場所に出た。

「ここから先が狩場です。ワイバーンは一匹ごとに縄張りを作っているので、複数に襲われる心配はまずありません。基本的な狩り方としてはこちらが姿をさらして、餌だと思って寄ってきたのを落とします。相手がこちらを食べようとして接近してくる動きは型にはまっているので、やりやすいでしょう。最初は私がやります」

 師匠の後について歩き、稜線に出た。しばらく進むと師匠は右上の方を向いた。あたしもそっちを見ると、何かが近付いてくる。

「それじゃ、いきますよ。三、二、一」

 まるで師匠のカウントに合わせるように、ワイバーンは急降下から水平飛行に移って口を開いた。そこに師匠の矢が飛び込み、ワイバーンは一射で絶命した。そのまま地面に落ちて滑ってきた死骸を師匠が回収した。あまりにも鮮やかで、簡単そうに見えてしまう。

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