占い師
とある村に強欲だがよく当たる占い師がいた。
実際よく当たるのだが、依頼料が高いので村人達はその占い師に占って貰う事はなく、客は金持ちの商人や貴族が大半だった。
ある時、その噂を聞いたのかとある名家の使用人か訪ねて来た。何やら探しものがあるらしく、彼方此方から占い師達を集めているとの事だった。
村人が占い師の家を尋ねるが、占い師は不在だった。
「占い師が戻ったら知らせて欲しい」
そう言われ、村人は占い師が戻る度に知らせを出すが、知らせて戻ると占い師は何処かに消えている。
そんな事が何度が続き、使用人は待てど暮らせど現れない占い師に腹を立てて帰ってしまった。
使用人が去った後、ふらりと現れた占い師に村人達は不思議に思って尋ねた。
「お前さん今まで何処に行っていたんだい?」
「何処ぞの名家の使用人が訪ねて来ていたぞ。きっと依頼料も弾んでくれたぞ」
その問いに占い師は「ああ、あれね」と飄々とした態度で答えた。
「私が幾ら強欲でも、彼奴等にはついていかないさ。ついて行けば、きっと金を貰う前に命を失っていただろう。それと近々占い師の遺体も見つかるさ」
その占い師の言う通り、占い師の遺体が立て続けに発見された。
「あの占い師は良く当たる」と評判になったが、やっぱり依頼料が高いので、村人達は誰もその占い師には占って貰う事はなかった。