表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紗華国妖魔奇譚  作者: 空色
第二部 皇子と仙女 第一章
199/218

村の怪異 其の一

 神獣様と別れてから、俊宇(ジュンユー)は一人道なりに進んでいた。暫く歩いていると前方に村人が集まっている。


 ──何事だろうか?


 不思議に思った俊宇は一団に近づき、村長と思わしき人物に声をかけた。

 村人達はいきなり現れた俊宇を訝しんだものの、彼が旅の道士だと聞くと事情を話してくれた。


「──実はここ最近の村で奇妙な出来事があったのです……」



 ✦✦✦



 ──それは一月前の夜の出来事である。


 ──ぎゃあああ!!?


 深夜、絶叫が村の中に木霊した。

 寝静まっていた村人達は何事かと外に出てみると一人の酔っ払が腰を抜かしている。

 村人の一人が男に声をかけた。


「──お前さん、こんな夜分にどうした? 酔っ払って悪い夢でも見たか?」


 男は震える声で答えた。


「く……、くくっ、く、首が!」

「首?」

「首がっ、人のっ首が空を飛んでたんだ!!」


 男はそれだけ言うと気を失った。村人は彼を村長の家に運んでやった。そして、彼が目覚めると昨夜何があったのか尋ねた。男の言い分はこうだ──。

 酒を飲んで良い気分になっていた男が畦道を歩いていると遠くに白い何かが浮かんでいるのが見えた。


「──おっ! 今夜は月夜か!」


 男は上機嫌で白い何かが見える方に歩を進める。男が歩くと月もゆらゆらと揺れている様に見えた。


 ──今日は一段と酔っ払っちまったなぁ。


 男は酔いを覚まそうとそこで足を止めた。しかし、男が月だと思った白い何かはまだ揺れている。その上、どんどんと近付いて来ているではないか。


 ──何だありゃぁ?


 男が不思議に思っているうちにもその白い何か近付いて来て、それがはっきりと認識出来た時男は悲鳴を上げた。

 空を飛んでいたのは人の、女の首だったのだ。



 ✦✦✦



「──相手は酔っ払い。儂らも最初は信じていなかったのです」


 しかし、夜中度々女の生首が目撃されるようになると村人達も無視できなくなった、


「何か被害はありますか?」


 俊宇が尋ねると村長は首を左右に振った。


「生首に驚いて転倒というのはありますが、今のところ大きな被害はありません。ですが、大きな被害が出ないとも限りません。道士さまどうか儂らに力を貸してください」


 村長に頭を下げられ、俊宇は了承した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ