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紗華国妖魔奇譚  作者: 空色
第五章 紗華の大禍の誕生・後編
138/220

内乱

 逃げ出したと思われた(ホワン)当主のその後の行動は驚く程早かった。恐らく、発覚した場合に備えて準備していたのだろう。流石、八名家の当主をしていただけある。

 黄当主は黄家派の派閥の兵士を各地からかき集め、徒党を組むと黄家の領内に一旦籠城したのだ。

 黄家を除いた名家七家は直ぐに黄家を陥落できると踏んでいた。

 しかしながら、その目論見は大きく外れる事となる。

 彼等は籠城すると見せかけて、準備を整えると各名家門派に対して攻撃を加え始めたのだ。

 各名家門派は応戦したが、その戦も難攻を極めた。

 唯でさえ妖魔の出没が頻発していたのに加えて、妖魔討伐戦直後という事もあり他の八名家は戦力が通常時よりも大幅に不足していた。一体何処にそんな戦力を備蓄していたのかと思う程だった。

 更にその一因となったのは、黄家に組する派閥があった事だろう。また戦況が黄家に有利になれば、黄家に鞍替えするものも現れて内乱は更に大きくなり、数ヶ月以上に渡った。

 そのうち一般住人たちにもその戦火の火の粉は降り注ぎ、各地で暴動も起きたため、名家門派はその鎮圧にも注力しなければならなかった。

 そんな中、更に火に油を注ぐ出来事があった。

 黄家が3000人の兵士を引き連れ、(リャン)家本邸に攻め入ったのだ。

 黄当主が何故そのような決断に至ったかは不明であるが、彼等は八名家の中で元々拮抗していた梁家を滅ぼさんとしていたのは明らかであった。

 しかし、3000 人もの兵の大移動となれば、どうしても人の目に触れる。監視役の兵たちが黄家の動きを感知して梁家一同は()()()()()()()()逃げ延びる事が出来た。

 この一部の者というのが、精鋭部隊と言われていた梁明月(リャン・ミンユエ)率いる部隊の13名と梁明鈴(リャン・メイリン)であった。

 この内乱の最中、梁明鈴は(チャン)家に身を寄せており、一時的に梁家に戻る手筈になっていた。その護衛として同行したのが、梁明月の部隊であったのだ。

 僅かな行き違いにより、この者達は()()()()となってしまったのだ。

 何故、()()ではなく()()()()なのか。

 それは、彼等が黄家のものの手にかかったからではないと思われているからだ。

 この時、黄家の兵3000人も同時に消息不明となっていたからだ。


 その時、一体何があったのか?


 紗華国(しゃかこく)の大妖として語り継がれる──紗華の大禍(しゃかのたいか)が初めて目撃されたからである。 




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