発覚
「──俺達にも説明してくれないか? 黄当主?」
突然現れた赤毛の少女に続き現れたのは、李白楽と郭清海の二人であった。予期せぬ場所からの登場に八名家の当主陣は驚きを隠せなかった。
「そこは黄家の禁書庫だが、何故黄家のものでもない貴殿達が出て来た? 大体、その娘は誰だ?」
唐当主が眉間に皺を寄せ当然の疑問を口にすると、白楽がニヤリと笑う。
「俺と郭清海は俺達をつけて来る怪しい奴を追っているうちに隠し通路を見つけたのさ!」
「その不審な人物が隠れているのではないかと探っているうちに、此処に辿り着きました」
清海が白楽の言葉に補足する。
「隠し通路?」
八名家当主陣に動揺が走る。黄当主は咳払いをすると他の名家当主たちに向かって言った。
「隠し通路等どの名家にもあるでしょう? そこを偶々見つけただけの事。他家の隠し通路を探るなんて何て非常識な!」
これはこれで最もな意見である。隠し通路とは危険が迫った時、脱走に使用する通路である。他家の隠し通路を暴くなど以ての外だ。
「じゃあ、この子はどう説明する? その子は梁家で拐われた使用人の娘だぞ」
白楽が赤毛の少女を示して言った。
「本当ですか? 梁当主」
「ええ、そうです! 間違いありません!」
唐当主に尋ねられ、梁篤実は慌てて頷いた。この辺りで異国交じりの赤毛など珍しい特徴だ。間違えるはずは無いだろう。
「梁当主達が私を嵌めるために連れてきたのではないか!?」
黄当主が怒りを顕にして篤実を睨んだ。篤実はひっと悲鳴を上げて郭当主の後ろに隠れる。
「隠し通路を通った先に彼女はいたんだ。梁当主が黄家の隠し通路の場所を知っていたとでも? それに彼女一人ならそれで説明がつくが、彼らはどう説明するんだよ」
そう言って禁書庫の奥を示す。そこからは彼等から遅れて、衰弱した梁家の使用人達がぞろぞろと出て来たのだ。
「なっ!」
「……詰んだな」
動揺する名家の当主たちの視線は一気に黄当主へと向う。唐当主に至ってはすっかり呆れた表情をしていた。
「説明して頂けますよね?」
「くっ!」
「きゃあ!?」
白楽に詰め寄られた黄当主はそばにいた赤毛の少女の腕を掴むと白楽と向かって突き飛ばした。
「なっ!」
いきなりの行動に皆の注意がそれると、黄当主はその場から脱兎の如く逃げ出したのだ。
「黄当主を捕らえろ!」
誰かが叫び、その場が騒然とした。




