表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紗華国妖魔奇譚  作者: 空色
第五章 紗華の大禍の誕生・後編
136/221

捜索 其の三

「──全くいきなり人の家にやって来たかと思えば、要らぬ疑いまでかけて……」


 八名家の当主陣を連れて屋敷内を案内しながら、(ホワン)家当主・黄威龍(ホワン・ウェイロン)は文句を垂れる。


「要らぬ疑いと言うならば、文句を言わずにさっさと疑いを晴らせば良いだけだろう」


 八名家当主の中で最年長の(タン)当主にそう促され、黄当主は閉口する。此処で中立的な立場を保つ唐家の反感を買いたくはないのだろう。そもそも、彼は「証拠を捏造されてはかなわない」などと宣った黄当主の為に(リャン)家・(チャン)家・(ガオ)家を覗いた他四家の当主陣がついて来たのだ。


「唐当主にお手間をかけてもう少し訳ありません」

「本当だ!」


 郭清孝(ガオ・クィンシャオ)が謝辞を述べると唐当主はふんと鼻を鳴らす。他家の争い事に無関心な唐家の彼はさっさと終わらせたいのだろう。黄当主が文句を垂れる度に諌めていた。


「──そう言えば、梁当主にお伺いしたいのだが、従姉妹殿は()()の血筋かね?」


 ふと思い出した様に唐当主が篤実(ヅーシ)に尋ねる。その時、一瞬黄当主の表情が変わったのを皓然(ハオラン)は見逃さなかった。


 ──何だ?


「いいえ、()()の血筋ですが何か?」

「そうか、であれば気の所為か」


 きょとんとした顔で答えた篤実(ヅーシ)に対して唐当主は僅かに訝しむ素振りを見せたものの直ぐに元の表情に戻った。

 しかし、黄当主と唐当主の反応の違和感に清孝も気が付いたのだろう。皓然と清孝は視線を僅かに交わして首を捻っていた。


「もうこれくらいで良いでしょう。他の皆様も待たせていますし、気が済んだのではありませんか?」


 一通り屋敷内を巡ると限界だとばかりに黄当主が言った。


「確かに一通り巡って何も無かったのだ」 


 実際怪しい場所は無く、あとは禁書等が納められている場所くらいしかない。


 ──他家の禁書庫なんて証拠もなければ探る事も出来ないしな。


 皓然達が諦めて戻ろうとした時、バン!と音がして目の前の禁書庫の扉が開いた。

 そこから出て来た人物に八名家の当主陣は目を丸くした。

 皓然も突然の出来事にかなり驚いていたが、禁書庫の主である黄当主は更に驚いただろう。 

 何せ禁書庫の扉を開いて現れたのは、梁家で皓然を案内した異国の血が混じったあの誘拐された筈の少女であったからだ。


「──さて、黄当主。これは一体どういう事なのか説明していただけますかな?」


 唐当主が無慈悲な質問を黄当主に投げかけた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ