八名家招集 其の二
「──文は頂き事情は理解していますが、突然の訪問とは感心しませんな」
黄家当主・黄威龍は傲慢そうな顔を顰めた。
「申し訳ありません。急を要した為、梁当主に招集を掛けるように依頼しました」
「ほう?」
梁篤実を庇うように郭清海が前に出た。招集を掛けたのは紛う事なく梁家であるが、いつ口裏合わせをしたのか郭家が依頼した事にするらしい。
黄家当主も郭家が前に出るとそれ以上は言わず、「では、中で他の当主たちを待ちましょう」と言って使用人に案内させた。
──その翌日には黄家へと八名家の当主達が集まっていた。
「──一体何の騒ぎですか?」
会議開始後一番に口を開いたのは、許家の当主である。彼は苛々とした様子で尋ねた。無理もない。彼は今妖魔孔をを防ぐため、賀州の僧侶とともに各地に人を派遣しており、他家よりも忙しなく働いている。これ以上の問題は起きては欲しくないだろう。
「それは郭家当主に聞こうじゃありませんか?」
「郭家? 招集を掛けたのは梁家ではないのですか?」
「郭家が梁家当主に依頼したそうですよ?」
黄家当主が郭家の名を出すと曹家当主が目を丸くした。
「そうなのですか?」
「ええ?間違いありません」
郭家当主・郭清孝は鷹揚に頷いた。
「何故ですか?」
「実は妖魔討伐を行う際、私は対策を立てる為に弟に命じてある調査をさせました」
「調査?」
「各地の妖魔出現の頻度です。その結果、あることが分かりました」
清孝は清海に視線をやると彼はその場に立ち上がり、白楽が皓然にした説明を当主達の前で話し始めた。
疑惑の目が黄家に向けられるのにそう時間はかからなかった。
黄当主は忌々しそうに顔を歪めるかと思いきや、彼の表情は特に変わらず、何か別の事に気を取られている様だった。
「黄当主、どう説明なさるのですか?」
「説明? 何の説明が必要なのだ?」
「黄家では、妖魔が出現した際の報告を怠っているのですか?」
「ふん」と彼は鼻を鳴らした。
「梁家とて出現状況が変わっていないではないか」
「わ、我が梁家は地形的な問題が……」
いつも通り、しどろもどろな篤実に皓然は苛立ち例のことを切り出した。
「なら、別の件についてはどうなのだ?」
「別の件?」
「ちゃ、張当主……!」
顔を青くする篤実をよそに清孝が皓然に目配せをした。加勢してくれるらしい。
「私共も黄当主にお伺いしたい事があります」
皆の視線が一気に清孝に集まった。
「黄家は梁家の人々を攫っていると噂があります。それは事実なのですか?」
その場でざわめきが起こった。




