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紗華国妖魔奇譚  作者: 空色
第五章 紗華の大禍の誕生・後編
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八名家招集 其の二

「──文は頂き事情は理解していますが、突然の訪問とは感心しませんな」


 (ホワン)家当主・黄威龍(ホワン・ウェイロン)は傲慢そうな顔を顰めた。


「申し訳ありません。急を要した為、(リャン)当主に招集を掛けるように依頼しました」

「ほう?」


 梁篤実(リャン・ヅーシ)を庇うように郭清海(ガオ・クィンハイ)が前に出た。招集を掛けたのは紛う事なく梁家であるが、いつ口裏合わせをしたのか郭家が依頼した事にするらしい。

 黄家当主も郭家が前に出るとそれ以上は言わず、「では、中で他の当主たちを待ちましょう」と言って使用人に案内させた。


 ──その翌日には黄家へと八名家の当主達が集まっていた。


「──一体何の騒ぎですか?」


 会議開始後一番に口を開いたのは、(シュー)家の当主である。彼は苛々とした様子で尋ねた。無理もない。彼は今妖魔孔をを防ぐため、賀州の僧侶とともに各地に人を派遣しており、他家よりも忙しなく働いている。これ以上の問題は起きては欲しくないだろう。


「それは郭家当主に聞こうじゃありませんか?」

「郭家? 招集を掛けたのは梁家ではないのですか?」

「郭家が梁家当主に依頼したそうですよ?」


 黄家当主が郭家の名を出すと(ツァオ)家当主が目を丸くした。


「そうなのですか?」

「ええ?間違いありません」


 郭家当主・郭清孝(ガオ・クィンシャオ)は鷹揚に頷いた。


「何故ですか?」

「実は妖魔討伐を行う際、私は対策を立てる為に弟に命じてある調査をさせました」

「調査?」

「各地の妖魔出現の頻度です。その結果、あることが分かりました」


 清孝は清海に視線をやると彼はその場に立ち上がり、白楽(バイリー)皓然(ハオラン)にした説明を当主達の前で話し始めた。

 疑惑の目が黄家に向けられるのにそう時間はかからなかった。

 黄当主は忌々しそうに顔を歪めるかと思いきや、彼の表情は特に変わらず、何か別の事に気を取られている様だった。


「黄当主、どう説明なさるのですか?」 

「説明? 何の説明が必要なのだ?」

「黄家では、妖魔が出現した際の報告を怠っているのですか?」


「ふん」と彼は鼻を鳴らした。


「梁家とて出現状況が変わっていないではないか」

「わ、我が梁家は地形的な問題が……」


 いつも通り、しどろもどろな篤実に皓然は苛立ち例のことを切り出した。


「なら、()()()についてはどうなのだ?」

「別の件?」

「ちゃ、(チャン)当主……!」


 顔を青くする篤実をよそに清孝が皓然に目配せをした。加勢してくれるらしい。


「私共も黄当主にお伺いしたい事があります」


 皆の視線が一気に清孝に集まった。


「黄家は梁家の人々を攫っていると噂があります。それは事実なのですか?」


 その場でざわめきが起こった。




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