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紗華国妖魔奇譚  作者: 空色
第五章 紗華の大禍の誕生・後編
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瘴気の穴

 大規模妖魔討伐戦後、各地で瘴気の漏れ出る穴が発見された。また、張皓然(チャン・ハオラン)が懸念した通り、あの狂化した(いたち)の妖魔の出現場所からそう遠くない場所にもあった。 

 張皓然と梁明月(リャン・ミンユエ)では調査しきれなかった部分は(シュ)家と賀州の僧侶達によって詳しく調査される事となった。


「──十中八九、妖魔孔と関係があるだろうな」


 したり顔でそんな言うのは皓然のもとにふらりとやって来た李白楽(リ・バイリー)である。彼は(ガオ)家に身を寄せてはいるが、現在何処の派閥にも所属しておらず討伐戦にも参加していなかった。


「何故そう言い切れる?」


 その彼が自身満々に言い切って見せるものだから皓然は呆れた顔で尋ねた。


「郭当主に討伐に行っている間、調べものをするよう頼まれたのさ!」


 胸を張る白楽に皓然は更に呆れてしまった。


「頼まれたのは郭清海(ガオ・クィンハイ)だろう?」

「でも、俺も手伝ったんだよ!」 


 白楽は身を乗り出して主張する。


「で、何を調べたんだ?」


 そう尋ねれば、白楽は嬉しそうに笑う。


「妖魔の出没場所と時期だ」

「そんなものはもう調査済みだっただろう?」

「いや、今回報告書に挙げられているものだけじゃないぞ。それ以前から少しずつ妖魔の出没は増加していただろう? それを遡って集めてたんだ」


 ここ数年の妖魔の出没状況を調べていたらしい。各地の報告書ならかなり膨大な数になっただろう。その結果、妖魔の出没は妖峰山(ようほうざん)周辺から徐々に増えていたらしい。


「それで妖魔孔が関係していると言う結論に至ったんだな」

「ああ、それにこの状況は二十年前とよく似ている」


 白楽の言葉にふと八名家当主会議での会話を思い出した。


「しかし、賀州の僧侶達が張った結界が弱まったという話は聞いていないし、賀州で問題が起きているという話もない」

「そこが妙なんだよなあ」


 白楽は腕を組んで思案する。

 もし、瘴気が増えていたり、結界が弱まっていたならば、最初に被害を受けるのは当然賀州の僧侶達である。隠す利点などない。そして、次に被害に遭うのは(ホワン)家と(リャン)家である。黄家は兎も角、梁家の当主はあの情けない梁篤実(リャン・ヅーシ)である。必ず助けを求める筈だ。


「最も妖魔孔に近い筈の場所で何もないなんて事あるか?」


 白楽に尋ねられ、皓然は答えに窮した。


「なぁ、少し調べてみないか?」


 何処を、とは言われなくても分かる。

 じっと皓然の顔を見つめる白楽の表情は何時になく真剣なものだった。





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