妖魔討伐戦 其の一
当主会議の数日後各家は精鋭を集めて部隊を組織していた。その中でも目を引くのは矢張り異様な仮面を着けた梁明月率いる部隊である。
「──気味の悪い」
「──元は破落戸を集めて組織しているって話もあるぞ」
皆彼等を奇異の目で見て、囁やき合う。劉大将軍の話を聞く前であったなら、皓然もそれは同様の反応をしただろう。
しかし、今彼の心情は複雑だった。体裁を重んじる彼には到底出来ない真似だったからだ。
何となく彼を見つめているとその視線に気が付いたのだろう彼と視線が合った。
「──大丈夫かい?」
その視線は篤実によって直ぐに遮られた。彼は見送り組である。そもそも彼は当主ではあるものの、この様な場では全く役に立たなかった。
明月は彼に気がつくと直ぐに馬を降り、礼を取ってから彼と二三言葉を交わしていた。その様子は梁当主が明月に纏わりついているようにしか見えない。
「梁当主、落ち着いて。明月殿なら大丈夫でしょう。私も出来る限り彼を支援しますから」
その内、郭当主もその場に加わり、彼を宥めているようだった。
──何をやっているのだか! 先が思いやられる!!
皓然は頭を抱えたくなった。彼がこれから組むことになるのはこの梁家と郭家であった。
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それぞれ八名家とその他の家との合同部隊で妖魔の出没地域へと向った。
出没箇所は複数あり、山脈の東西南北でそれぞれ行う事となった。
黄家は北側を複数の八名家に続く武家と西側は梁家、張家、郭家が、比較的に被害の少ない東と南は許家と唐家、鄭家がそれぞれ分担している。医術の曹家は後方支援として各家に派遣された。
「──先ず、明月将軍率いる第一小隊で妖魔の数、強さを把握しましょう。問題ありませんか?」
彼は「ええ」と静かに頷いた。
この中で年長者の郭当主・郭清孝が指示を出す。今までは劉大将軍がいた為彼が行っていたが、今回は参加していない為の采配であるが、妥当なものだろう。
妖魔討伐は毎年に行われているが、大規模なものは数年に一度あるかないかである。そのため、皓然が明月と実際に関わるのは初めての事だった。
彼は慣れた様子で、要所要所地図に書き込んでいた。
「半時辰もあれば周辺を回って戻れるでしょう。準備が出来次第出立しますが、お二方何か気になる点はありますか?」
「狂化した妖魔はいないか確認して欲しい」
「危険だと思ったら深追いはせず直ぐに帰還をしてください」
明月は二人の言葉に頷くと出立していった。




