八名家当主会議
張皓然が梁家を訪れてから数日後、大規模な妖魔討伐の召集令がかけられた。
妖魔が出現しているのは、場所は妖峰山の周辺の村々である。
会議を行う広間に集められた八名家の当主達は中央にある八角形の机に北から時計回りに黄家、梁家、張家、郭家、曹家、許家、唐家、鄭家の配置で座っている。これは各々の領地の場所を示していた。
皇帝の使いが各々に渡した書簡を見ながら真っ先に声を上げたのは梁篤実である。
「──今年はやけに妖魔の出現が多いですよね」
「確かに私の領でも被害が相次いでいます」
彼の言葉に頷いたのは郭家当主郭清孝である。彼に続く様に他家の当主達も話し始めた。
「先日も千頂山で鼬の妖魔が出没したとか」
「その妖魔は狂化していたのでしょう? 是非詳しくお聞きしたいです」
皓然は彼らの問いに答える形で口を開いた。ただ、その後の調査だも特に新しい情報はなかった為、彼等に対して答えた内容は殆ど報告書通りであった。
「外的要因がある事は明らかです。今後も同様の事があるでしょう」
「やはり、妖峰山の妖魔孔が影響しているのでしょうか?」
皆の視線が自然と黄家当主へと注がれる。
「被害が妖峰山やそれに連なる山脈周辺に集中しています。恐らく無関係とは言えないでしょう」
彼は神妙に頷いた。
妖魔孔と言いつつも実際それがどんなものなのか目にした者はいない。
最も近くまで辿り着いたのは黄家と梁家とそれに同行した賀州の僧侶達であるが、多くの妖魔やそれらが放つ瘴気に阻まれその場所まで辿り着けなかったのだ。彼等はその周辺に結界を張り、今も賀州の僧侶達がその管理を担っている。
この妖魔孔を見つけ、封じる事が出来たならば後世に残る偉大な功績となるだろう。
「何であれ、妖魔討伐は必要不可欠です。各々部隊を編成して準備いたしましょう」
黄家当主の言葉に皆頷いた。
──まるで八名家の纏め役だな。
皓然は内心皮肉った。表向きには出来ないが、此処にいる者の大半が同様の事を考えているだろう。
本来八名家は同等の立場である。
その中でも危険の伴う妖峰山に最も近い黄家と梁家を他六家は慮っていたし、実際この二つの名家は実力もあった。
しかし、二大勢力であった梁家が廃れてしまった今、黄家は我が物顔で振る舞っているのに加え、更に黄家は勢力を拡大しようと目論んでいた。
これを面白く思わないものは多い。
──この妖魔討伐戦で何も起こらなければ良いが。
皓然はそう思わずにはいられなかった。




