プラトンの2000年を超えた警鐘
【お嬢様 悪治物語】は天使で、いえ、あくまで五十界が舞台の、架空とされるお話です。
早速、引用します(引用行:>)。
>トラシュマコスは、「正義」とは「強い者の利益」だと主張する。諸々の国家では、僭主制であれ、貴族制であれ、民主制であれ、「支配者の利益」に合わせて法律が制定され、「正しいこと」とされていると。
強烈です。歯に衣着せぬとはこの事です。
>ソクラテスは、支配者たちが判断を誤り、自分たちの「不利益」になることを命じてしまうことも、あり得ると指摘する。
そこでトラシュマコスは、各専門家・知者の場合と同様に、「その呼び名にふさわしい振る舞いをした場合のみ、その呼び名の者とみなす」という「厳密論」を導入し、「支配者」とは「自分にとって「最善の事柄」を法として課す者」のことなので、それにふさわしい者である限りは、自分に「不利益」なことはしないと主張する。
これは、厳密論(後にも出てきます)を読者に紹介するのが目的なのだと思います。
実際は、支配者が判断を誤り「不利益」になることもするが、ここでは「利益」になることをしたケースのみに”話を限定する”と云うものです。
>ソクラテスは、「医者」「船長」「馬丁」などを例に、「支配 (世話)-被支配 (被世話)」の関係を持つ「支配者の知識/技術」というものは、「対象 (被支配者) を善くすること」「対象 (被支配者) の利益」のために存在しているのであり、(厳密な意味での)「支配者」とは、「被支配者の利益」のために考察・命令する者であると指摘する。
「(厳密な意味での)「支配者」とは、「被支配者の利益」のために考察・命令する者」
”衝撃です”。
私は拙作にて、「支配が全ての者の幸せを支え、配るものになる日まで」と書きましたが、この『国家』を先に読んでいたら書かなかったかも知れません。
なぜなら、至極当然の事だったからです。
皆様も『支配』という言葉には悪いイメージしか、持たれてないでしょう。
それが、支配 が世話で被支配が世話される事だったとは!!!
まさに、目から鱗です。
この事を知れただけでも、お釣りが来ます(ᐢ ᵕ ᐢ)。
そして、残念ながら現状において、厳密な意味での支配者様は居ないのかも知れません(泣)。
>(先に述べた通り)「技術」や「支配」それ自体は、「支配者自身の利益」ではなく、「被支配者の利益」のためのものであること、そしてそうであるが故に、一般的には自発的に「支配者」の地位につく者などおらず、金銭・名誉などの「報酬」が、別に与えられることで初めて人は「支配者」の地位につくのだと指摘する。更に、金銭・名誉などでは説得されない「優れた人々」を「支配者」にするには、強制・罰など (広義の「報酬」) が必要になるが、中でも最大の罰は、「自分が支配することを拒んだ場合、自分より劣った者に支配されることになる」ことだと指摘する。
これは、厳密な意味での支配者(世話する者)を志す者は少ない事を表しています。
日本神話においても、天照大御神様が世を治めていたのですが、その忙しさの余り自身の食事もままならず、食事や身の回りの世話をする豊受大神様を呼ばれたというお話があります。
天照大御神様はとても優れた神様で三貴神ともいわれる方なのですが、世の中を(まともに)治める事がいかに難しいかを表しているのも知れません。
>各人が、「能力/適性に応じて与えられた仕事/役割 (自分のこと)」だけを行う (余分なことはしない) こと。特に、
「守護者の種族」(政務/立法)
「補助者の種族」(軍事)
「金儲けの種族」(商業)
という「3つの種族」が、各自の本務に専心して、互いの分を侵さないこと。
>「守護者/補助者」たちは、国内外の敵を制圧/撃退するのにふさわしい場所に「陣/住居」を構え、私有財産を禁止し、「暮らしの糧」は「守護任務の報酬」として、他の国民から任務遂行上「過不足無い分だけ」を受け取り、また戦地の兵士のように「共同食事/共同生活」を行うこととする。
>こうして、財貨に囚われない「守護者」たちによって、秩序と節制を以て統治されている国家は、(「階層間分裂/対立によって容易に崩壊する国家もどき」ではなく、「まとまりある共同体」という意味での国としては) 最大最強の国となる。
上記の三つの引用文からも、守護者(政務/立法)が堕落を招く富に関わる事を最大限に警戒しています。
>更にソクラテスは、「国の守護者」に関して
>「守護者の支配者」「真の守護者」(司令官) として任命し、他の者たちを、その「守護者/支配者」の決定に協力する「補助者」(軍人) とする。
司令官は政務/立法の長であり、支配者になります。
>「国民は皆「同じ大地」から生まれた「兄弟」である」としつつも、その素質/能力には、出自に関係無く (金/銀/銅/鉄の) 差異があるのであり、「金/銀」の者を「守護者/補助者」とし、「銅/鉄」の者をその他の「農民/職人など」の地位へとつけるようにと、説得する。
>「国の支配者/守護者」の任が与えられる「金/銀の種族」の中に、(「富 (金儲け/所有)」への欲望に弱い)「銅/鉄の種族」が混ざってくるようになる。
「金/銀の種族」は、「徳」と「旧来の制度」を護持しようとするが、対立する「銅/鉄の種族」は、「金儲け」と「土地/家/金銭の所有」「自由人たちの従属化/家僕化/所有」「戦争と内部監視への専念」へと「国の支配者/守護者」たちを引っ張って行くことになり
金/銀の種族が一掃されて、銅/鉄の種族のみが守護者(政務/立法)についているのが、今のこの世界なのでしょうか?
「金儲け」と「土地/家/金銭の所有」「自由人たちの従属化/家僕化/所有」「戦争と内部監視への専念」。
余りにも、当り過ぎていて正直こわいです。
そして、プラトンの2000年を超える警鐘も空しく、悪い予言は成就してしまったようです。
また、おそらく支配者様らはこの『国家』の内容は十二分に把握されています。
対して、私達は殆ど知るものはいないでしょう(私も知ったのは、つい最近です)。
知っていたとしても、この記事ほど踏み込んだもので、手軽に読めるものが他にあるのかどうか?
私は、『ひふみ神示』をより多くの人に読んで、理解して欲しいと奨めています。
それは、ひふみ神示を読む事により神に通じる心(霊)を取り戻し、より多くの人がそれを取り戻す事により、混沌としている今の世の中を乗り切る、とても大きな鍵になると見ているからなのですが、ひふみ神示も膨大な量です。
私も要点をまとめたものを投稿している最中ですが、このまとめ記事に比べたらとてもとても……。
ひふみ神示も必見(ᐢ ᵕ ᐢ)ですが、引用したまとめ記事もそうです。
また、ひふみ神示はこの『国家』の続編(『国家』では曖昧だった善の定義もされています)みたいな処がありますので、
『国家』のまとめ記事を読まれた後は、是非ひふみ神示をご覧下さい。
では、ひふみ神示から、
「未来にもえつつ現在にもえよ。神相手に悠々と天地に歩め」
ありがとうございます。
[参考・引用サイト] ウィキペディア フリー百科事典『国家 (対話篇)』参考URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6_(%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E7%AF%87)
[参考文献]該当のウィキペディアに記載されている訳書になります
訳書
『プラトンII 国家・エピノミス・書簡集』田中美知太郎編・藤沢令夫他訳、筑摩書房〈世界古典文学全集15〉、1970年。ISBN 978-448-0203151。
『クレイトポン・国家』田中美知太郎・藤沢令夫編・訳、岩波書店〈プラトン全集11〉、1976年。ISBN 978-400-0904216。
『国家 (上・下)』藤沢令夫訳、岩波書店〈岩波文庫〉、初版1979年、改版2009年。ISBN 978-400-3360170。ISBN 978-400-3360187。ワイド版2002年
抄訳版
『プラトン II 世界の名著7』(田中美知太郎責任編集、中央公論社、初版1969年)- 訳文は一部抄訳。解説は『田中美知太郎全集 19』(筑摩書房)にも収録。