はじめての○チュー
※今日4/26は00:31に続き2回目の更新です。読み飛ばしなきようご注意ください。
帰宅部の女子がキャーキャー言ってる。
口笛吹こうとしたのか、スースー音させてるやつもいる。
出てきたばかりの部活のヤツらの変なノリの歓声……。
初めての路チュー、いや校チューか。どうでもいい。
平静を取り戻してきた。
(なんで僕が戻したって?)
(うん、悲鳴の次には暗くなって……ヨウに抱かれてた)
「暗く」って、ヤツのデカ口の中だからか、いやそれもだが。
(感触でヨウってはっきりわかったよ。例のスキルだって)
前回は固まったままだったけど、そういや柔らかかった?
スキルの進化のせいか、必死だったからか。
(体が熱くなって、世界が消えていった気がする)
痛くなかったか聞こうとしてやめた。
『何か危険だった』、程度の認識でいい。
あんな思いは僕だけで沢山だ。
(昔の記憶が見えて、ヨウのスーツ姿も見えたよ)
無言で見つめ合う二人、だよな。
野次馬が増えてきた。
くそ、クラスメートもいる、【感知】で分かる。
「どうやってここまで来たの?」
「普通にタクシー拾ったよ、イタかったけどね」
(マジで?)
(片っ端から学校回るつもりだったけど、近所で目立ちたくないから)
高校生には痛いよな、タクシー代は。
「とりあえずえーと、うちに行こう。歩きながらで」
「うん、アパートじゃないよね、まだ」
シーってしようと思ったけど、その程度いいか。
帰りは普通の話に終始した。
僕の実家はユイの家の割と近くだ。
高校になると、学力その他で離れた学校へ通うのが普通。
ユイは学力高めの有名女子高、例の山奥神社の向こう。
僕は普通学力で一番近い高校、僕らしいよね。
うちの玄関前まで来た。
「いちお、紹介はするけど三指つくのはやめてね。
いきなり過ぎるから」
「うーん、だよね。
卒業してからだよね」
「その時もいきなりはやめてね、話し合ってからで」
決めていた『トレーニング仲間兼彼女(?)』設定で母に紹介。
僕は部屋に学校のジャージに着替えに行く。
大きく名前の入った布は外す。
禁止だけど、残り授業は安全ピンでいいか。
戻ると、お茶と和菓子で談笑しているユイと母。
余計なことは言ってないよな。
(余計なことは言ってないよね?)
(ふつーふつー)
「じゃあ早速行こう、大会まで時間がないからね」
なんの大会だ。
ついつい言ってしまったが、まあありか?
「わかりましたコーチ!」
ユイさんや……なんのプレイだよ。
ユイのお母様は以前より綺麗だった。
血筋だな。
メイちゃんはまだ帰ってない。
お茶とケーキを頂いてしまった。
「あっ、私のあるよね。めいのは?」
「あとで買いに行くから」
ジャージ姿で速攻でケーキに飛びつくユイ。
「にゃあをーち、いひわひょう」
(じゃあコーチ、行きましょう)
「よし、大会までがんばろう」
いちおう付き合う。
出かけようとして方向が違うのに気づく。
「どこにいくつもり?」
「山奥ダン……方面」
ちょっと、それは危ないんじゃ?
(さっきも称号取ってきてるよ)
(危ないだろ!)
思わず怒りを向けた僕に戸惑うユイ。
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