ラストスキルは突然に
※今日4/23は02:00に続き3回目の更新です。読み飛ばしなきようご注意ください。
ミノはオーガに慣れたせいか、遅い。
レベルが上がらないな。
これもエセ上位と言われる理由なのかも……。
「逃げろぉぉ!」
何かが宙に浮いていた。
それを追うように杖を持った女性が空中を飛んで来た。
「インフェルノ!」
あちち!
一瞬熱かったがなんともない。
こちらに火が来たわけではなく、宙に浮く魔物が燃えたよう。
火は少しずつ消えていった。
体は人間、顔は角のある狼のような?
全身が赤い。
今度は魔法士全員が魔法を放ったようだ。
3つの火魔法と電撃とかが飛んだが……。
何も起きない。
僕たち剣士は必死でミノを攻略中。
遅いミノ、【思考加速】で上空を見る余裕がある。
空中の魔物は見定めるように辺りを見回している。
さっきから1ミリも動いていないんじゃ?
消えた!?
「きゃあ!」「あああ!」
複数の悲鳴と怒号、追ってきた仲間だ。
さっきの大きな火魔法を放った魔法士が食われている?
遠くてよく見えないが、上半身が無いように見えた。
そして次には……いなくなっていた。
また消えた。
「ユリィ!」
『百花繚乱』のケンだ。
ダッシュし魔物に斬りつけるが、既に……。
魔物はケンを無視。
火魔法の魔法士が順に、次は……。
「ユイ!」
(?)
【加速】!
ヤツはもうユイの寸前、間に合わない!
【障壁】!
魔物の一撃で壁は消えた。
普通に動いているように見える。
【縮地】!
【縮地】!
【縮地】!
人とミノの間を縫い、ユイにたどり着いた。
剣は放り捨てたが……違和感。
加速の中でユイをかばうように抱く。
構わず僕ごと食いつくようだ。
僕は吐き出すだろうね。
もう噛まれたか、意識が消えそうな中。
僕は残った最後の命を燃やした。
【現実逃避】!
消えて行く、全てが。
死んだようだ。
なのにイメージはつづく。
地球が、太陽系が、銀河が。
消えて行く。
ただのイメージだろう。
消えたのは僕だ。
会社にいる僕が見えた。
すぐ消えた。
ユイがゴブリンを、泣きそうにホウキで突いている。
突然ゴブリンが2つに分かれた。
討伐隊じゃなく、自衛隊員だ。
僕はどうしたんだろう。
意識が闇に沈み……。
学校か。
教室、座っている生徒。
教師が黒板に嫌な音を立てて文字を書く。
この癖は……古文の松田だ。
通ってた高校の制服だ。
僕は。
座っている。
腕を見ると同じ制服。
ノートの下手な字は自分のだ。
なんだ、夢か。
ほっぺをつねる、確かにあんまり感じない。
あんまり?
強くつねる。
痛いよ。
あ、地震。
僕以外みんな机の下に入る。
松田は頭が出てしまってる、バカだな。
黒板の右にある日付は……。
あの日だ。
ダンジョンが出現した日。
第一章終了です。
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