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弱々でごめんなさい~現代ダンジョン物語  作者: 炉里 邪那胃(ろり じゃない)
第一章
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昔話

「あの頃、ダンジョン出現後しばらくは手探りだったの。

 例の大国では超人的な者が出てきたと言われたけど、不確かだった。

 そのうち各国から同様の人たちが現れて証明されたけどね」


 林教官も普通にうなずく。


「『アフれ』が本格的になってからは……思い出したくもないわね。

 それからは大体は知ってると思うけど、幸いに社会のインフラは無事だった。

 そして……生き残った自衛隊員達が新しい組織『討伐隊』になったのね。

 かなりの人が人間離れした力やスキルを手に入れていた」


「こいつはAランク、日本のトップクラスだ。

 今はダンジョンよりも隊全体の縁の下の力持ちに徹してくれてる。

 いい歳だしな」


「あなたの方がもっと上でしょ!

 ……あっごめん」


「こいつは狂ったようにダンジョンに潜ってたからな。

 私の場合はステータスが伸びず、限界を感じていた。

 スキル無しでも身体能力で何とかできれば……。

 北村、後は頼む」



「『アフれ』が落ち着いた頃ね。

 ステによる身体能力の差が目に見えて分かるようになったのは。

 鑑定持ちは散在してたから、きっちり特定されるまで間があったの」


 話は続いた。



 林教官も能力の高いパーティーに頼み込み、レベル上げしていた。

 剣士である彼女は、なんとなくは気づいていた。

 他のメンバーに動きが追いつけていないことに。



 オーガの出現した時だった。

 前衛のリーダーのちょっとしたミスで一気にガードを超えられた。


 中衛の林は敵に無視された。

 魔法攻撃は避けられ、後衛2人は全滅。


 更に林は無視され、リーダーと盾メンバーは援護の無いまま翻弄されていく。

 どうすることもできなかった。

 残り一人となった林に、舐めたようにゆっくり迫るオーガ。


 はっきり笑っていた、と林は思ったそうだ。


 そこへ。

 生きていたリーダーが、取って置きのMP全消費スキルでオーガの首へ一撃。


 オーガは林を見て油断しすぎていた。

 鑑定など使わなくとも、弱者と解っていたのだ。


 リーダーはMPの代償で気を失いオーガの最後の怪力で上下に千切れた。


 そして、林は安全地帯までやっとの思いで逃げ延びた。




 ショックに打ちひしがれ、宿舎に閉じこもった林に届いた報せは。

 ・ようやくまとめれたステータス初期値とその伸びのデータ

 ・各都市に可能な限り割り振られる【鑑定】所持者


 林は思い出した。

 初めてスライムでステータスを得た時の、7と8ばかりのステータス。



 ダメ押しは鑑定されたその当時のデータ。


 同レベルの平均隊員の3分の2程度であった。

 活躍している隊員との差はもっと歴然だった。



 その後、トラウマのせいか林教官にも【鑑定】が芽生えた……。



「林先輩……教官とは毎晩話し合ったの。

 君のいる間は休みも取らずにね。

 そのステータスにも関わらず、君が特別視、いや実験台になることを回避できないかって」


「浜辺、すまなかった」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 日本ならば実験台にするにしても補償ぐらいは色々としそうなものだが。
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