行軍オーク
(そこにいて、発信は待って)
走りながら念話を送った。
オーク達は集団というより、めいめいが本能のまま街方面に向かっているのだろう。
僕達がいるのはそのオーク達の下の端っこ。
とりあえず下から順にジグザグに倒してしまおう。
下手に処理班を呼んだら、彼らが被害を受けるかも。
感知範囲外か、市街優先か、この辺りに隊員の気配は無い。
走っている間、【思考加速】で状況整理できた。
2匹目、ほぼ不意打ちだった。
引いたままだった剣がオークの首を刈った。
(一旦合流しよう)
(うん)
もう一度しっかりとユイに状況を説明しておく。
スマホのマップ上でオークのいる範囲を四角く示す。
「歩いて降りて来てるから、十分ジグザクに殲滅できる。
処理に来る人達の強さが分かんないから、倒せてから呼んだほうがいいかも」
「そうね、さっきの座標は記録だけして送ってないから大丈夫。
倒して行ってくれれば、付いていきながら記録していくね」
「すぐ先で倒してる。
次からは倒すたびに念話するから!」
次に向けて走る。
(端っこ倒した。逆に向かう、あと7匹)
確か6匹倒した。
順調だ、問題ない。
オークなら。
終わった、とりあえず。
(終わったけど、連絡は待って。まず合流しよう)
(? うん)
「記録はできたよ。
もしかして、もしかしなくても、まだ何かいる?」
「いる。ちょっと動きが予想できないんだ。
Bランクの人達まだみたいだし」
「それ、次出て来るのを待ってるんじゃない?
普通は『アフれ』は単独では起きなくて数匹以上で行軍するの。
といっても、それぞれバラバラで動くそうだけど」
ダンジョンは山の頂上に近いところにあった。
斜め下に神社全景がきれいに見えている。
ダンジョンの囲いが一部壊されている。
他にはない、太い金属でできた檻のような構造だ。
これを壊すとは……。
こいつが最初に出てきたんだろうか。
更に出てきて進軍を始めたら……。
二人でかなり遠巻きに見ている。
(Bランクが早く来ないと)
(今それらしいのが向かってきてる、神社の方)
まず、神社駐車場まで車で向かうみたいだ。
なるほど、それが早い。
ここに向かっているのは間違いない。
いつもの法則のようなものがあるのか。
ああ、『アフれ』の原因除去か。
ダンジョン前で待ちぼうけ(?)していたのは一匹のオーガだ。
二人のスマホから同時に警報音が鳴った。
マナーモードのはず……そういや消せないって何かで見たか。
もう遅い、気づかれた。
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