10階層
オーガを一匹づつ確実に倒していく。
目と両足を潰すのでかなり速く進めたようだ。
初めて最奥部に着いた。
下層、10層への階段がある。
全員背後に警戒しつつ、リーダーが告げる。
「まず一匹を火魔法で釣り、素早くヨウの目潰し。
その間もう一匹は従来どおり。
足もその順で止め、トドメだ。
行くぞ」
10層から2匹、奥では3匹いることもある。
ボスはキャプテンクラスかそれ以上強いらしい。
ボス部屋にいるので出ては来ないが。
作戦のあらましはもう既に聞いていた。
僕が来るまでどうしていたかまでは聞き損ねたが。
リーダーから順に、様子を見つつ階段を降りる。
階段の真ん中まではその階の魔物が入れる。
安全地帯ではないので、一応警戒する。
初めての10層だ、緊張する。
層全部が普通のオーガだ、リーダーにうなずく。
一見全く今までと変わらない。
来た、2匹。
先頭の方にアローが飛ぶ。
突然の時は合図として魔法名を言うが、不要な時は言わない。
魔法初心者は違うらしいが。
オーガの正面に立つ、相手の速度を利用する。
タイミングを合わせて突く。
こんなとんでもないことを初心者に頼んだのか。
呆れると同時にリーダーの信頼が嬉しかったり。
なにせ【回避】+【超回避】もある。
【超回避】は使ったことが無くてどんなか知らないけど……。
相手を飛ばし、千切るオーガに目だけへの攻撃は予想外だろう。
よしいけた、両目!
だが、オーガの勢いは止まらない。
当然避ける、相手は目が見えないので余裕。
だが。
ヘイト先はユイさんだ!
ユイさんが避けるのを【思考加速】で見ている。
ここは!……
いやまだ間に合う。
ユイさんが見えたときからとっくに走っていた。
オーガすれすれにユイさんに届いた。
ユイさんを僕の体で押し出す。
僕の肩あたりにオーガが振り回す手が落ちてくる。
子供がヤケになって手を振り回す動きのオーガ版だ。
視界がブレた。
手はいつの間に、僕から離れた所に振り降ろされた。
2人はオーガのいない方に倒れ込んでいた。
「セイッ」
ヤスだ。
壁に止められたオーガが上下に分かれた。
僕の下にはユイさん。
盾で止められたもう一匹をリーダーがまだ斬りつけている。
ユイさんの顔が近い、真っ赤だ。
僕も異常に暑い。
「ヤス!」
リーダーの号令でヤスが突っ込む。
「セヤッ」
毎回掛け声が違うような。
それにしても柔らかい。
変な所は触ってない、ユイさんは全部柔らかい。
前部の鎧同士が当たるが、抱いているので柔らかい。
いや、がっちりホールドされている。
抱かれているのは僕だ。
「大丈夫? 痛くない?」
「うん。あせって逃げるの遅れてしまって」
かわいい。
オーガは倒したから大丈夫だ。
ホールドを解除しながらゆっくり起きればいい。
「作戦は組み直す。
ここで寝ていたい者は勝手に残れ」
みんなが上に帰っていく。
器用さ171でホールドを解く。
仕方なく起きて付いていく。
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