細剣
早めに出勤する。
朝のニュースを見ずに、30分は節約できた。
北村さんと林教官のいる建物は結構大きい。
2人のいる新人担当セクションへ。
ここだけは何度も来ているので慣れたものだ。
事務所にノックして入る。
学校の職員室を思い出す。
「失礼します」
北村さんがとっくに何かの事務をしていた。
キーボードを叩く手を止めさせてしまう。
「今大丈夫でしょうか」
「ちょうど体を伸ばそうと思ってたし。
何です?」
徹夜仕事?
ここも結構ブラックなのかな?
試したい武器があると言うと、以前来た武器庫へ。
新人用というか、“常用武器類”倉庫の鍵は北村さんが常に持っているそう。
確かにAランクが持っていれば安全だろう。
「レイピアを使いたいんですが」
「レイピアもいいけど、それじゃあどうしても持ち替えになるね。
細剣も見てみたほうがいいと思うけど」
細剣の置き場へ。
何気なく支給されて使っていた剣と違い、全体が細い。
突きにも切りにも使えるのはいい。
でも、コンパクトなのはいいが頼りない気がしてしまう。
「ちなみにこれらは片手細剣ね。
盾を使わないなら、両手細剣もありと思うけど。
見てみる?」
でかっ!
両手細剣は、ほぼ僕の身長くらいある。
細剣をそのまま長ーく伸ばした感じだ。
「抜いて、持ってみて」
鞘を持って、持ち手の方を差し出された。
「失礼します」
気になっていた重さは特には気にならない?
バランスを取るためか、持ち手がデカくて重い気がする。
邪魔にならないか?
それにこれだけ長い剣を振り回せるのか?
「迷ってるようね」
「はい……。
確か普通の隊員、しかも研修だと一本、一振りっていうんですか、それしか持てないって」
「大丈夫、私の名前で借りてあげる。
長くて一週だけど。
折れても大丈夫だけど、小さな破片以外回収してね」
そして、【収納】の事も知ってるみたいだった。
北村さんのはからいで、大小の細剣を借りることができた。
今までの剣と両手細剣を収納、腰に片手細剣を付ける。
両手細剣の場合は、背中に鞘を装着するので革の装具とセットだ。
結構時間がかかった。
みんなの車はもう着いていた。
(おはよう!)
うわっビックリした。
見えてなくても届くよね、慣れないと。
(おはよう)
乗車中は剣は腰からは外し、後部に全員まとめておくか自分で持つ。
「なるほど、細剣ですか」
助手席から唯我さんが目ざとく見ていたよう。
ちなみに、大型バンの座席はバスのように左右に分かれていて中央が通路。
運転手がゴウ、助手席唯我、中列にユイさんとひらリン、後列ヤスと僕。
鎧をつけたままでも座れるよう、座席は余裕の大きさ。
細剣に少しでも慣れたいので、股に挟むように持ったままにする。
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