口裏合わせ
少し大きい方のバンに乗り込む。
いつも使っているのだろう、一応全員座れた。
「オーガキャプテンは無かったことにします、いいですね?」
「ああ、賛成だ」
唯我にゴウが答え、全員うなずく。
「城島のやつら、オークでのんびりやってたみたいだな。
じゃなきゃ、あんな浅い所にキャプテンなんて沸かねぇ」
「まあ、『アフれ』ない程度に間引けばいいから仕方ないけどねー」
「どうせ薬草栽培の実験に必死なんでしょうね」
「島を買うとか言っていましたね」
「ヨウさん、そして皆さん、本当にありがとうございました」
ユイさんが改めて礼を言う。
「まだおれいを言うには早いんじゃー……」
「おい!」
ひらタンといい、ゴウさんの怒り方といい意味が分からない。
あ、同じ平田、兄弟か。
それでも意味は分からないし、兄弟でも不思議はないし。
「またヨウさんが参戦することに異論はありませんね」
「もちろんです」
「ああ」
「こっちから頼みてぇくらいだ」
全員肯定してくれてる。
弱々なのに。
なんか微妙に話題を変えられた気もするけど、いいか。
「ちょっと話せるか、ヨウ」
「なんですか、ヤスさん」
「ヤスでいい、次に『さん』付けしたら怒るぞ」
「ヤス!」
唯我さんだ、しかしヤスさん……ヤスが手で制する。
「俺は【ヘイト】を取るためにずっと人に絡みまくってたんでな。
クセが抜けなくていまだに要注意人物だ。
またクセが出たら全員で止めてくれ、それならいいだろ」
「話したいことがあるのですね」
「ああ」
ヤスが改めて僕に向き直る。
「そっくりなんだ、ヨウ、お前は昔の俺とな。
逆の意味で。
絡みまくるせいもあって、俺は色んなとこから敬遠された。
というか、本当は初期ステのせいだがな」
「やっぱりそうだったんですね」
戦っているうちに感じたことは当たっていたようだ。
「俺は『強さ』特化で敏捷や器用さは最悪だ。
そんな俺を拾ってくれたのがリーダーだ。
結局【ヘイト】を取れたのもここに来てからだ。
リーダーはすげえ人だ」
「いえ、あなたの剣がなければ、今日も全滅したかもしれませんよ」
「あれはヨウが目を潰したおかげで……。
それはいいとして、ヨウ、お前の剣技を見て思ったよ。
初心者があの速さ、見惚れるような動き。
だが、俺にあるものがお前にはなかった。
魔法剣士に絡めて最初に言おうとしたら止めれちまったが、止められてよかったよ」
「危なかったですね……」
「今はもう、お前には勝てないと思ってる。
俺は一発で切り捨てるが、それができなきゃ死ぬ。
お前は例え剣が通らなくても、千回、1万回剣を振って勝つだろう。
リーダーがいれば俺が絶対勝つがな、ガハハハ」
「ヤス!」
ほぼ全員がツッコむと言う珍しい現象を見た。
「最後のジョークはだめか?」
「いえ、最高に面白いですよ!」
みんな知らず知らずにヤスの言葉を意識しすぎているのかも。
レベリングの代わりに、僕も何か返せるかもしれない。
だからなんだと言われても困るが、そうできれば嬉しい。
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